ハイスクールG×E   作:フリムン

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第33話

 

「さて、お風呂にしましょうか。ここは温泉だから素敵よ?」

 

 その瞬間、僕と小猫ちゃんは視線を交わす。

 

「…ハルト、任せた」

「うん、任せて」

 

 

 頷き、僕は目を輝かせているイッセー兄ちゃんの肩に手を置く。

 

「兄ちゃん兄ちゃん」

「ん? どした、ハル。あ、もしかしてお前も―――」

「女湯覗きは僕が全身全霊を持って止めるからね?」

「なん………だと…………っ」

 

 イッセー兄ちゃんに甘いグレモリー先輩や、アーシアさん、何考えてるかイマイチわからない姫島先輩ならもしかしたら許すんだろうけど、小猫ちゃんはきっと怒るだろう。

 そして兄ちゃんはボコられるのだろう。

 

 それは構わない。自業自得だ。

 だけど、十中八九、僕にとばっちりが来るハズだ。

 

 僕はまだ死にたくない。

 

「兄ちゃんを止める。この命を賭してでも」

「俺を止めることに凄まじい決意を感じる!?」

 

 すると、木場先輩が僕とは反対側の兄ちゃんの肩に手を置く。

 

「イッセーくん、僕と裸の付き合いをしよう。背中、流すよ」

 

 ……………………。

 

 一瞬、空気が固まった。

 慟哭の涙を流していたイッセー兄ちゃんですら、真顔で固まっている。

 

「あれ? えっと…………?」

 

 木場先輩が気まずそうに頬を掻く。

 もしかしてこの人、そっちのケの人?

 

 …………い、いやぁ、まさかね、きっと天然なんだよははははは…………

 

 

 

 …………だよね?

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

「うおおおおお! 女湯を透視して見せる!」

「余計なことしなくていい!!」

「あべし!」

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 お風呂場でなぜか『勝手に』転んで気絶したイッセー兄ちゃんを引きずって僕らがお風呂から上がると、ほとんど同時に女性陣も女湯から出てくる。

 

「あら、イッセーどうしたの?」

「…………ちょっと逆上せたみたいで」

「…ハルト、ナイス」

 

 小猫ちゃんがサムズアップを向けてくる。

 無表情のハズだけど満足そうだ。

 

 最近、小猫ちゃんの僅かな表情を読み取れるようになってきた僕です。

 

「さて、このあとなのだけれど」

「あ、ちょっといいですか、グレモリー先輩」

「ええ、なにかしら、ハルト?」

 

 グレモリー先輩や、他の皆の視線が僕に集中する中、僕は人差し指を立てながらこう言った。

 

「皆に、『血の力』って奴を説明しようかと」

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 僕がそう言った後、皆はジャージに着替えてリビングに集まっていた。

 ちなみにイッセー兄ちゃんはアーシアさんが神器で治癒したら目を覚ました。

 

「それじゃあハルト、説明を」

「はい」

 

 皆が集まったのを確認したグレモリー先輩に促され、僕は一度咳払いをして、口を開く。

 

「えっと、まず思い出して欲しいのは、僕のこの神機を含めた力が、ゲームの物だったって事なんです」

 

 その場に出現させた神機を指差しながら言葉を紡ぐ。

 

「ええ、覚えていますわ」

「そして、そのゲームを僕らは知らないし」

「一緒にしていたハズの俺も忘れている、と」

 

 姫島先輩、木場先輩、イッセー兄ちゃんの順で答えが聞こえ、それに頷く。

 

「そう。まあその異変は追々考えるとして、まずは僕と、そしてイッセー兄ちゃんにも目覚めた、『血の力』を説明しようかと思います」

 

 一拍置いて、

 

「血の力って言うのは、意志の力とも言い換えられるんです」

「意志の、力?」

 

 グレモリー先輩が疑問を口にする。

 

「はい。その人の強い思い、誓い、決意。そういった物を胸に秘めて、かつ感情が爆発した時、つまり、感情が昂った時、血の力は目覚めます。 

 そして、血の力にはその人の本質が現れるんです」

「…本質って?」

 

 今度は小猫ちゃん。

 

「性格や真相心理といった物のことかい?」

 

 それに質問を重ねたのは木場先輩だった。

 

「少し違うけど、大体同じですね」 

 

 質問に肯定で答え、皆を見渡す。

 

「血の力は本来、僕みたいなゴッドイーターにしか目覚める事のできない力だった」

「けれど、イッセーさんはその力に目覚めたんですよね?」

「そうだよ、アーシアさん。イッセー兄ちゃんは血の力『鼓舞』を目覚めさせた。これは僕の推察だし、まだまだ証拠が足りないけど、きっと血の力に、悪魔の細胞か、それに類する何かが反応してるんだと思うんだ」

 

 だから、と繋ぎ、

 

「皆に目覚める可能性がある。その可能性を踏まえた上で、僕は皆に聞いておきたいんです」

 

 一人一人を見渡す。

 皆、僕を真っ直ぐに見ている。

 

「皆は、なんのために戦うの? 何を目指すの? それを、自分で見つめ直して見てください。それだけで、目覚めへ一歩進めるはずです」

 

 僕の言葉に、皆はそれぞれ、自分に問いかけているわように、黙りこむ。

 

 

 …………何と言うか、気まずい。

 

 

「ってまあ、知ったような口を聞いてますけど、これ結局ゲームの知識に持論を織り混ぜただけなんですけどね。僕自身、自力で目覚めた訳でも無いですし」

 

 だから、ちょっと慌てたように、僕はそう誤魔化した。

 

 すると、

 

「いいえ、ハルトくん。あなたの言葉、立派でしたわ」

「…うん、私達も、自分に向き合ってみる」

 

 姫島先輩と小猫ちゃんが僕に微笑み、他の皆も、僕に笑いかける。

 

「そっか、それはよかった」

 

 

 はぁー、緊張でドキドキした。

 

 

『素晴らしかったですわ、我が君』

『うむ、我輩の主らしい、堂々としたものであったぞ』

『流石です、主君!』

 

 ありがと、三人(?)とも。

 

 ……て言うか、声からして人型だけど、いつまでそうやってるの?

 

『うん? できるようになった以上、これが基本体だが?』

 

 …………ああ、そうなの。

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

「さて、と。皆、修行を再開するわよ」

 

 と、グレモリー先輩がいきなりそんな爆弾発言をぶちかます。

 

「え、部長マジっすか?」

「ええ、マジよイッセー。だって私達悪魔は、元々夜の住人だもの」

 

 へぇ、大変だねぇ…………。

 

 あれ? これ僕も参加するパターン?

 僕もうおねむなんだけど?

 

「あ、ハルトは大丈夫よ? あなたはゴッドイーターといっても、基本は人間だものね」

 

 ああ、よかった。

 

 僕が胸を撫で下ろすと同時に、皆がゾロゾロと玄関へ向かう。

 ブーブーと文句を言っていたイッセー兄ちゃんもなんやかんやいいながら後をついていく。

 

「じゃあ頑張ってね、皆」

 

 

 僕は玄関まで見送って、リビングに引き返したのだった。

 

「よし、僕も頑張ろうっと」

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 ちょっと小用で私が戻って来ると、まだリビングの電気が点いていて、そこに彼がいることを示していた。

 

「全く、いつまで起きているのでしょうか、ハルトくんは」

 

 濡れた手をタオルで吹いて、私はリビングのドアを開ける。

 

 そこには、

 

「あら? あらあら、うふふ」

 

 ソファーに横になって眠っている彼の姿が。

 テーブルの上には、一冊のノートが開いて置いてあった。

 

「うふふ、可愛い寝顔ですこと」

 

 彼の頬をつつき、彼が何かを書いていたノートに目を向ける。

 

「これは…………」

 

 そこに書いてあったのは、先程彼が言っていた、血の力に関する内容。

 きっと、口頭だといつか忘れてしまうからと、明文化していたのだろう。

 

 とても丁寧に書かれている。

 そして、そのノートに書かれてある言葉が、やけに胸に響いた。

 

 

 

 

『自分に向き合って、自分を受け入れること』

 

 

 

 

 その言葉は、私の胸を揺らした。

 

 知っている?

 いや、そんなはずは無い。教えていないもの。

 

 これはきっと、血の力の発現に必要なことだから、皆に向けて書いた言葉なのだろう。

 

「ハルトくん………」

 

 彼への想いは、絶対に見せないと誓った。

 何度かその決意が揺らいで、変なイタズラをしてしまったけれど、その度に、これまでの自分を思い出して、自己嫌悪した。

 

 でも、こうして今、彼の寝顔を見ていると、どうしても胸が苦しくなる。

 

 ―――やっぱり、好きなんだ。

 

 自分個人に向けられた言葉では無いけれど、このノートに書かれた言葉が、胸を締め付ける。

 

「今なら、良いよね?」

 

 彼はぐっすりと眠っている。

 きっと、私の声も聞こえていないだろう。

 

 

 

 だからだろうか。

 

 

 

 

 

 私は、

 

 

 

「ごめんなさい、小猫ちゃん」

 

 

 

 

 

 ――――――…………。

 

 

 

 彼の頬に、キスをしていた。

 

 

 いつも彼に密着したり、いろんなイタズラで彼に触れているけれど、いつも以上に心臓がバクバクと高鳴っている。

 

 

「ごめんね、小猫ちゃん」

 

 

 もう一度、そう謝る。

 彼女の想いは、誰が見てもわかるもので、多分気付いていないのはハルトくんだけ。

 

「本当に、ズルい女」

 

 彼の体に毛布をかけて電気を消し、私はリビングをあとにした。

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 ……………………どうして?

 

 

 どうして今、姫島先輩は泣いていたんだろう。

 

 寝惚けてたから、声は聞き取れなかった。

 でも、あの人が泣いていたのを、何となく覚えてる。

 

 眠りから、ほんの少しだけ浮上した思考が、そんなことを考える。

 

 ああ、もう眠いや。

 

 

「泣かないで、欲しいなぁ」

 

 

 勝手な思いだけど、あの人には笑ってて欲しい。

 あの人だけじゃなくて、小猫ちゃんも、アーシアさんも、皆に笑ってて欲しい。

 

 

 そんなことを考えながら、そして、頬に残る柔らかな感触を感じながら、僕は眠りに落ちていった。

 

 

 

 




特に書くような事が無いけど、何か書かないと気がすまないんだよなぁ、ここ。

強いて言うなれば、大学面倒くさいです。理系のレポートは鬼畜。
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