ホントならテスト終わって直ぐ上げようと思ったんですけど、これが中々の難産で。
あと色々と予定が建て込んでたので(笑)
しかし……………なるほど、これが自由か(←テストと課題からの解放)
「小僧、本当に俺に勝てると思ってるのか?」
「んなもん、やってみなきゃわかんねぇよ!」
巨大な闘技場の真ん中、俺とライザーは十メートルほどの距離を開けて対峙する。
「はっ、あの時まさに文字通り、手も足も出せなかったお前がか? 笑わせる」
「うるせえ! 行くぞ!」
走り出すと同時に、籠手が赤く輝く。
実戦で使い続けて、ようやく使い方がわかってきたぜ。
「血の力! 【鼓舞】!」
『Bloody Booster!! The Encourage!!』
『Blood Arts Operation!!』
「喰らいやがれ! 【ドラゴン・ショット】ォ!」
「ふん、下らん!」
俺の放った魔力を、ライザーはこの間のように左腕のみで弾こうとする。
だが、
「なに!?」
「っし!」
ライザーはそれを弾くことができず、左腕が消し飛んだ。
「もういっちょ!」
「(威力が上がっているだと!?)―――小賢しい! 【
ライザーから放射状に放たれた炎が、俺の魔力と競り合う。
だが、魔力面では俺は圧倒的に劣っているため、あの競り合いも長くは持たないだろう。
ならばどうする?
決まってる。
「真正面から、ぶん殴る!」
魔力の衝突で、今は俺もアイツも、互いの姿を見ることは出来ない。
「おおおおお!!!!」
雄叫びを上げて、俺は魔力の中に飛び込む。
ヤツは強い。俺よりも遥かに強い。
実力で劣っている。
経験で劣っている。
才能で劣っている。
家柄で劣っている。
でも、
「これは、これだけは、
この挑戦が、この行動が、例えどれだけ無謀で、無茶で、愚かな事だとしても!
「覚悟だけは………この
叫びと共に力強く踏み込み、体を焼かれながら炎を突き抜ける。
「中から!?」
「吼えろ龍帝! 【破撃ノ拳打・龍】」
「ちっ!」
赤い龍の光を纏った左拳を降り下ろすが、咄嗟の判断でバックステップを行ったライザーには届かず、地面に当たる。
直後、殴った部分を起点に、辺りが砕け陥没する。
「身の程を、弁えろ!」
地面を砕いたことで俺に生まれた隙を逃さず、ライザーが顔面に回し蹴りを叩き込んでくる。
「がっ!?」
「【
吹っ飛んで壁に叩き付けられ、そこに炎が追撃で打ち込まれる。
「ぁぁああああ!!」
骨の髄まで焼き付くしてしまいそうな業火の灼熱が俺を襲い、包み込む。
『イッセー!!』
モニターで見ている部長の悲鳴が聞こえる。
「ぶ、ちょ……………」
体から煙を上げながら、弱々しく呻き声を名前を呼ぶ。
大丈夫です。
今度こそ、俺が貴女を救いますから……………ッ!
「ぉ、おおぉ………」
痛みに震え、力の入らない体を叱咤し、無理やり立ち上がる。
「……………ぶ、長、俺は」
「ほう、まだ立ち上がるか」
「俺は………勝ちます。勝って、貴女を取り戻します」
俺のその言葉に、ライザーの眉がピクリと反応する。
「俺には、何もありません。
実力も、経験も、才能も、誇れるものも、何も。
でも、これだけは譲れないんです。この想いだけは、何があっても!」
恋心なのか、憧れなのか、俺にはわからない。
これは押し付けだ。俺の理想の押し付けなんだ。
だけど、あの人には、俺の王には常に、
「笑ってて、欲しいんです。泣いて欲しくないんです。部長には、威風堂々と、笑顔でいて欲しいんです……………」
あの人の笑顔を見るだけで俺は元気になる。強くなれる。努力できる。
「貴女の笑顔を守るためなら、俺は………兵藤一誠はッ!! 例え神様だろうと、ぶっ飛ばして見せる!
俺の唯一つの
――――覚悟は決まったか? 相棒。
◆◇◆◇◆◇◆
『俺の唯一の拳で、想いで!!』
モニターの向こう。闘技場の中で、イッセーが声高に叫ぶ。
私に笑っていて欲しいって。私を救うって。
そのために、何もかもで自分に勝る存在と戦っている。
どんなに痛め付けられても、どんなに力の差を見せつけられても、彼は諦めようとしない。
どうして、そんなに一生懸命でいられるの?
どうして、そんなに真っ直ぐでいられるの?
私にはできなかった。皆がやられて、イッセーまでボロボロにされて、私の心は屈した。だからこうして、諦めていたのに。
なのに、彼のその姿は、屈した私の心に火を灯す。
「グレモリー先輩」
不意に、横から声がかけられる。
「イッセー兄ちゃんを、信じて下さい」
「え?」
「イッセー兄ちゃんは、自分がやるって決めた事と約束は、何があろうとも決して諦めないんです。やり遂げるんです」
声の主――ハルトは、私を真っ直ぐに見つめ、そう語る。
「だから、グレモリー先輩………いや、【
それが、あの人の強さに、引いては貴女の力になるのですから」
彼を、信じる…………か。
「ええ、そうね。信じるわ、私の【
『俺の左腕なんかくれてやる! 持っていけ! その代わり、俺に力を寄越せ、
『Welsh Dragon over Booster!! and Bloody Reinforce!!』
イッセーの掛け声と共に、
「あれは!?」
「…………まさか、
後ろから、そんな会話が聞こえてくる。
この土壇場で、この短期間で、イッセー………あなたは……………。
『十秒だ! 十秒でてめぇをぶっ飛ばす!』
『抜かせ小僧! そんな未完成な
『少なくとも、さっきよりは戦える!』
体はボロボロ。体力ももうほとんど残っていないのだろう。
それでも彼は立ち上がる。ハルトが言ったように、自ら定めた目標に手を届かせる為に。
「イッセー……………聞こえる?」
だから私は、呼び掛ける。
画面の向こうで、もがき、あがき、命を懸けて戦っている彼に。
私の、【
胸が高鳴る。
心臓が激しく脈打つ。
血の流れが早くなる。
それらすべてが、私に力をくれる。
「私は信じているわ。あなたが、今度こそ私を守ってくれるって。だからねイッセー……………、
――――――勝ちなさい! 絶対に!」
『はい! 部長!』
届いた。
私の声が、願いが……………想いが。
彼のもとに、彼の心に、届いた。
『―――――――』
その時だった。
私の中で、何かが目覚める音がしたような気がした。
「リーア………その、光は?」
「イッセー様と、同じ光?」
「え?」
お兄さまとグレイフィアが、少し困惑したような雰囲気で、私を見ている。
言われて、自分の体を見てれば、
「この、光は………」
赤い光。
血のように鮮やかな赤い光。
イッセーやハルトと、同じ色。
「ハルト、これって!」
すぐさま振り向いて、そこにいる少年に顔を向ける。
すると、その少年は笑っていた。
満面の笑みで、喜びを表していた。
「はい。今、グレモリー先輩の【血の力】が、目覚めました」
「これが………」
この感覚が、血の力。
体の底から溢れてくる、想いの力。絆の力。
「さぁ、グレモリー先輩。貴女のその血を、イッセー兄ちゃんに」
「ええ」
わかる。この力で何ができるのか、そして、この力の名前が、脳裏に浮かんでくる。
「私は王よ。みんなの主。だから私が支えるの! みんなの標となって、灯火となって!
辛いのなら『支』えるわ! 皆に、私の力を『配』ってあげる!」
そう。これは私の在り方が顕現した力。
皆のための、私のための力。
「血の力【支配】! さぁ、
◆◇◆◇◆◇◆
『血の力【支配】!』
ドクン。
1拍だけ、心臓が高鳴る音がした。
同時に、温かく優しい力が、俺の体内を満たしていく。
「これが、部長の……………」
【支配】の力。
その言葉のような、傲慢な物ではない。皆のためを想った優しい力。
「へへ、部長にぴったりだ」
カツカツだった魔力が満たされていく。
―――力を『配』るって、そういう意味か。
上級悪魔の家系の、純血故の莫大な魔力量。
それが、戦闘における消滅以外の部長の強さだった。
その魔力を俺たち下僕に配っているのか。
「なるほど………行くぜ!」
――――喜べ、相棒。この魔力のお陰で、もう十秒ほど、時間が延びるぞ。
そいつはありがてぇ!!
「決着だ、ライザぁぁぁあ!!」
「よかろう! 兵藤一誠! 引導を渡してやる!」
俺もライザーも、同時に動き出す。
けど、空中戦は、飛びなれていない俺では不利だ。
「だから速く! 誰も追い付けない速度で! それこそ、
『Blood Arts Operation!!』
「疾く駆けろ!【翔天龍】!」
『Maximum Jet!!』
背中のスラスターから勢いよく魔力の光が吹き出される。
「部長の魔力だけど、出し惜しみは無しだ、ドライグ!」
――――応ッ!!
「速い!? これが
「余所見してる暇は無いぜ!」
『Blood Arts Operation!!』
俺も認識しきれないような速度で、ライザーよりも高度から、俺は加速する。
イメージはあの蹴りだ。
あの特撮の、必殺技。
「【破撃ノ蹴打・竜】!!」
突き出した右足を赤い竜の光が纏い、そして全身を覆う。
その姿はまるで、赤い隕石のようだったと、後に皆が言っていた。
「なに!? ………ぐぅっ!!」
驚いたことに、ライザーはこの蹴りを両腕を犠牲にして受け止める。
「舐めるなあぁぁぁあ!! 【
巨大な炎の翼が広がり、俺の勢いが削がれる。
「「おおおおおおおおおお!!」」
俺とライザーの雄叫びが重なる。
「負けられねぇんだよ! お前には!」
「それは、俺とて同じことだ! 兵藤一誠!」
「部長を守るために!」
「種の誇りの為に!」
「「負けられない!!」」
叫ぶと同時に、互いの技の発動時間が切れ、共に地に落ちる。
「……………認めよう、兵藤一誠。お前は強い。ああ、強いとも!」
立ち上がりながら、ライザーがそう言う。
「………」
「だがな、お前が今やろうとしていることは、ともすればこの会場にいる方々を、敵に回すようなものだ!
………それでも尚、リアスを欲するか?」
「当たり前だ!」
即答すると同時に、時間切れとなり鎧が解かれる。
「俺はバカだし、悪魔になって日も浅いから、そんな小難しいこととか、純血の重要性なんか、これっぽっちも解りゃしねぇ」
だけど、
「だけど! あの時、部長が泣いていた! 俺の主が、泣いていたッ! その涙を拭うためなら、その笑顔を守るためなら、何を敵に回すことになろうとも構わないッ!」
それが、その覚悟が、
「ようやく見つけた、俺の
俺には何もなかった! 夢も、目標も、歩みたい道も!
だけど部長にであって、皆とであって、ようやく見つけたんだ! 俺の道を!」
だからこそ、
「俺がお前をぶっ飛ばす理由は、そんな俺の我儘だ。
でも、それでも! 俺は自分の願いを、諦めたりなんかしたくねぇんだよ!」
叫ぶ。
有らん限りの、残された力を振り絞って。
あと一発だ。あと一発殴れればそれでいい。
その一発に、持てる全てを注ぎ込むから。
――――ハハハハッ! いいぞ相棒!
――――相棒、お前は正しく赤龍帝さ。だから受けとれ、取って置きだ。
『Blood Arts Operation!!』
「そうか、これが……………」
――――一撃だ。一撃で決めろ。
「わかってる。轟け赤龍帝!」
駆け出すと同時に、両手両足に赤い光が纏われる。
「鎧がなくとも、正面から来るか。その意気やよし。ならば俺も、全力で捩じ伏せてやろう!」
「【
「【
向こうの最大火力の一撃と、こっちの全身全霊の一撃。
ぶつかり合い、拮抗したのは一瞬だった。
「バカな!?」
「龍の炎は、もっと熱いんだよ!
俺の拳は、炎を突き破り、ライザーの腹に深々と突き刺さった。
「が、ふ…………」
血反吐を吐きながらライザーは前のめりに倒れ伏した。
「俺の、勝ちだ、ライザー!!」
それを見届けた俺は、高らかに拳を上げて勝利宣言をするのだった。
うーむ、ハルトが今回も出番無かったでござる(´・ω・`)
主人公なのに。
リアスの血の力。
【支配】………王として皆を『支』え、魔力を『配』る。自らの眷属の魔力を一時的に増幅させる。眷属ではないハルにも効果あり。
モチーフはピクニック隊長ですがなにか?
※タグ追加しました。