ハイスクールG×E   作:フリムン

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一度に書いたら長すぎるので、三つに分けたいと思います。

さて、この僕にどれだけの砂糖が書けるか、いざ挑戦!


閑話2
猫と少年の休日 その1


 

 フェニックス、グレモリー両家のお家騒動から数日が経ったある日の土曜日、僕は駅前で人と待ち合わせをしていた。

 相手は小猫ちゃん。理由は前々から約束していた、「二人でのおでかけ」だ。

 

 

 そしてそれが、なぜ今日だというと、事の始まりはそう、お母さんから頼まれたお使いだった。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

「えーっと、頼まれてたのはこれで全部だね」

 

 渡されたメモ帳を見ながら、買ったものにチェックをしていく。

 

「………ん?」

 

 ふと顔を上げると、視界にはデカデカと書かれた「駒王町商店街抽選会」の文字が。

 

「抽選会? ………あ、レシートと一緒に付いてきたあれか」

 

 買い物袋から財布を取り出して、レシートと一緒に付いてきた抽選券を取り出す。

 数は三枚。

 

「まぁ、当たらないだろうけど、ダメ元だよね」

 

 そう誤魔化しつつ三回ガラガラを回す。え? 正式名称? 知らないよそんなの。

 

 やってみた結果。

 一回目。白・ハズレ。ポケットティッシュ。

 二回目。赤・六等賞。猫さんキーホルダー。

 

 うん、ここまでは妥当だよね。

 

 そして三回目。ここで奇跡が起こった。

 

 

 出てきた玉の色を見たとき、最初は五等賞の黄色かと思った。ちなみに景品はタワシ。すごく要らない。

 

 けど、雲の切れ間から差し込んだ日の光に、その玉はキラリと反射した。

 

 抽選ブースの空気が固まる。ついでに僕も固まる。

 

 

 そして、

 

「お、おめでとうございます! いっとーしょー!!」

 

 カランカランとベルが鳴らされ、周囲からはおぉー、といった声も聞こえてくる。

 

 

 そうして僕は、金色・一等賞。映画「司教と悪魔」のチケット二枚組を手に入れるのだった。

 

 っていうか普通、一等賞っていったら旅行券じゃない? って思ったけど、後日、商店街会長曰く「そんな金があったら自分で行くわ!」とのこと。

 

 それでいいのか経営者。

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 そしてその次の日の学校で、

 

「ねぇねぇ小猫ちゃん。今度の土曜か日曜、暇?」

「…どうしたの?」

「いやね、この間一緒に出掛けようって話したでしょ? だから二人で映画でもどうかなって」

 

 そういって僕が二枚の映画チケットを取り出すと、それを受け取った小猫ちゃんが固まる。

 

「小猫ちゃん?」

「…は、ハルト、この映画の内容、知ってる?」

「ううん? 名前は聞いたことあるけど、さっぱり」

「…そ、そう」

 

 なにやら顔が赤かったけど、どうしたんだろう。

 

「…(「司教と悪魔」。悪魔の女に恋をした法王の息子と、法王の息子に恋をした悪魔の悲しいラブストーリー………これをハルトとかぁ…………あ、ヤバイ、顔ニヤける。どうしよう……………っと、そうだ、忘れる所だった)」

 

 一人モジモジして、なにやらニヤニヤしながら顔を赤らめてた小猫ちゃんは、ふと何かを思い出したように自分の鞄をガサゴソ漁る。

 

「…土曜日なら丁度良かった。ハルト、これも行こ?」

 

 そう小猫ちゃんが出してきたのは………

 

 

 ――――ケーキレストラン「セラフォール」一日食べ放題券。

 

 

「――――――――」

 

 今度は僕が固まる番だった。

 

 手に持った紙を凝視する。

 

 食べ放題? あの「セラフォール」で? この紙切れ一枚で?

 

 

 

 駒王町名物、ケーキレストラン「セラフォール」

 この町に住む存在なら誰もがその名前を知っているくらい有名なケーキレストランだ。

 ケーキレストランと名の通り、その形態は他のケーキショップとは違い、基本的にテイクアウトはできず、店内オンリー。

 

 そんな、本来なら誰もが面倒臭がる形態ながら、駒王町名物とまで言われる由縁は、ズバリその質と量だ。

 単純な種類も去ることながら、とある評論家………「神のタン」を持つとされる女の人は、食べた瞬間服を脱がされたかのような美味しさと評し、その量は種類、質量共に大食い弓道美少女さえも満足させる量らしい。

 

 そんなケーキレストランの唯一のネックは、一言で表すのならば「値段」だ。

 あの質量、味、種類となれば、それは当然この不景気、材料費がバカにならないらしく、相当抑えてなお、高校生には少々高い敷居となっている。

 

 

 

 けれど今の僕は違う。

 僕の手にはそんな敷居すらも打ち砕く宝具が握られている。ランクはA+。

 

 

 あのセラフォールで食べ放題?

 なにそのアヴァロン。まさに桃源郷、理想郷、酒池肉林のユートピア、アルカディア。

 

 こんなにも僕を魅了するなんて………甘味は人類の至宝だ、財産だ。

 人類皆甘いもの食べて戦争なんか無くしてしまえばいいんだ。

 人類平和最高、甘味は至高。人類の(カルマ)は深かった」

「……は、ハルト? 大丈夫?」

 

 おっと、どうやら無意識に声に出ていたらしい。

 

「大丈夫大丈夫。別に嬉しさのあまり世界平和を願い望み叶えようなんて大それたことを考えてただけだから」

「…全く大丈夫じゃなかった!」

「それで、小猫ちゃんこれどうしたの?」

「…リアス部長から貰ったの。ハルトと一緒に行きなさいって」

「僕と?」

「…お礼だって。ゲームとかこの間の事とか」

「別にお礼なんてしなくて良かったのに……………ま、行くけどさ」

 

 むしろこれを渡されてキャンセルする方が解らないね。

 

「…ところでハルト」

「うん? なに?」

「…朱乃さんは……………」

「姫島先輩がどうかしたの?」

「………ううん、なんでもない」

「?」

「…じゃ、じゃあ土曜日の………八時半に駅前集合ね」

「はーい。ふふふ、楽しみだね!」

 

 そんな感じで僕らは予定を決めていったのだった。

 

 

 

 ……………朝の教室で。その日一日の視線が痛かったのは言うまでもないはず。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 ポケットから携帯を取り出して時間を確認すると、現在7時55分。

 ここに来て10分が経過したことになる。

 

 ……………べ、別に楽しみすぎて早く起きて45分前行動したとか、そんなんじゃないんだからね!

 

 

 なんてツンデレって見るけど、まあ、あれだよね。

 

「早く来すぎた。ぶっちゃけ暇過ぎる」

 

 せめて本かなんか持ってくれば良かった。

 ネット小説は………更新されてないか…………かといって新しいのを探したとして、今面白いのを見つけたら続きが気になってケーキや映画どころじゃ無くなりそうだし……………ぐぬぬぬ………。

 

 

 と、そんな僕の肩を叩く感触が。

 つられて振り向けば、

 

「…お待たせハルト。早いね?」

 

 私服姿の小猫ちゃんの姿が。どうやら早く来たつもりが、自分が遅れていたことに気付いて少し困惑気味だ。

 

「ちょっと、楽しみすぎて……………にしても、可愛いね」

 

 今の小猫ちゃんの服装は、上からベージュのキャスケット(猫冠バッチ付)、白いフリルの付いた肩出しのトップス、デニムのホットパンツにピンクと黒の横縞が入ったニーソックス。そして脛の半ばまである茶色のブーツ。荷物はリュック。

 まさにTHE・現代っ子なスタイル。

 

「…か、かわっ!? ……………ハルトも、カッコ……可愛いね」

 

 え? 僕の服装? そんなの教えたって誰に需要があるのさ。木場先輩? やだよ。あ、そうじゃない? サービス? それなら……………ん? なに? メタい? そんなの僕の知ったことか。

 

 僕は上から、チョーカー、シャツ、七分丈のズボンにスニーカー。特筆するところ無いと思うんだけどなぁ。確かにシャツは女物だけどさ。

 

 母曰く「胸元が開いててなんかエロくてイイね! フェロモン! フェロモンがバンバン出てるよ!」とのこと。あんたそれでも母親か。

 

「少し……っていうか開店までまだあと一時間あるけど、どうしようか?」

 

 セラフォールの開店時間は9時から。現在あれから5分が過ぎて8時ジャスト。

 

「…じゃあ、ゲーセン?」

「早速………けど、開いてる?」

「…ここはこの時間から開店だから」

「詳しいね? 良く行くの?」

「………………」

 

 あ、目逸らした。顔赤い。

 

「ふふふ、じゃあ行こうか」

 

 

 本日のおでかけ、急遽入ったゲーセンも含めて、予定はこうなってる。

 

8時・ゲーセン。

9時・ケーキ食い倒れ。

13時30分・映画。

15時以降・ショッピング。

 

 ショッピングは小猫ちゃんの要望。欲しいものがあるらしい。

 

「あ、そうだ小猫ちゃん。これあげる」

 

 ふと思い付いて鞄から取り出したのは、この間の抽選会で手に入れた猫さんキーホルダー。

 

「…え?」

「いや、使わない僕が持っててもなんだし、それにこの猫、なんだか小猫ちゃんみたいだなって。あ、要らなかったら良いけど」

「貰う!」

 

 うおぅ、ビックリした。

 小猫ちゃんの大声って割りとレアじゃないかな? 心なしか、いつもの「…」すらも無かった気がする。

 

「それじゃ、行こうか」

「…うん。驚かせてごめんね?」

「あはは、むしろ珍しい小猫ちゃんが見れてラッキーだったかな」

「………っ、ばか!」

「痛い痛い、脇腹つねらないで」

「…むー」

 

 まあ、そんなに力入ってないからホントは痛くないんだけどね。

 

 

 

 今日は楽しくなりそうだ。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 そんな二人を、物陰から伺う人影が一つ。

 

 

「あらあら、うふふ。これは、リアスに連絡しなくては……………ふふふふ」

 

 

 その人物は、一人いたずらっ子の笑みを浮かべるのだった。

 

 

 




ハルトの中ではあくまで「おでかけ」な訳で……………頑張れ小猫ちゃん。


※「ローマ法王の休日」は実際にそのタイトルの映画があったため、変更して「司教と悪魔」と言うタイトルにしました。
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