こいつが案外難しくて、消しては書いて消しては書いてを繰り返してると遅くなりました!
それではどうぞ!
『うふふ、私を呼んだのは、貴方かしら?』
『いえ、人違いです』
『……………あれ?』
◆◆◆◆◆◆
『君の名前を教えてよ』
『……………嫌よ。って言うか、そもそもあなた教会の人間でしょ? なんで
◆◆◆◆◆◆
『……………やっぱり、僕は君が好きみたいだ、エミリア』
『私は悪魔よ?』
『関係ないさ。心からの愛なら、主もきっと許してくれる』
◆◆◆◆◆◆
『どうして? どうしてなのエドワード! どうしてあなたは悪魔である私を助けようとするの!?』
『そんなの、僕が君を愛しているからに決まってるじゃないか! エミリア!』
『でも、私は悪魔なのよ!? 対してあなたは血の繋がりは無いとはいえ法王の息子なのよ!?』
『それがどうしたというんだ!』
『あなたは教会側、私は悪魔! 相容れるはずが無いの!』
『それでも、僕は……………っ!』
◆◆◆◆◆◆
『法王さま………いえ、父上! 僕は、彼女と共に在りたいのです!』
『……………それが、どれ程の業だとしてもか?』
『はい』
『そうか……………ならば私は、貴様を異端とし、この教会より放逐する!』
『……………はい』
『エドワードよ。私は、たとえ血の繋がりがなくとも、お前を息子として愛していた』
『僕もです。父上……………いえ、法王さま』
『逃げるのならば、日本へ行きなさい。あそこは、世界でも類をみない多神教の国だ。たとえ悪魔と人間といえど、きっと祝言を挙げられるだろう…………………………私たちカトリックでは、挙げてやれぬからな』
『父上……………ありがとうございます』
◆◆◆◆◆◆
『エドワード! 嫌! エドワード!!』
『エミリア……無事、かい?』
『ええ、ええ!』
『それは、よかった……………』
『良くない! 良くないわよ! なんで私なんか庇うの? 鉛弾なんか、私には効かないのに!』
『ダメだよ、エミリア………枢機卿の弾丸には、十字が掘られて、聖の力が込められてる……………君が触れれば、一瞬で消え去ってしまう……………』
◆◆◆◆◆◆
『エミリア………そこに、いるのかい?』
『ええ、いるわ』
『手を、握ってくれないかい? もう、目が見えないんだ……………』
『エドワード………っ!』
『ねぇ、エミリア』
『…………なぁに?』
『今度、生まれ変わったらさ、今度こそは、普通の人間か、悪魔として出逢ってさ、普通に恋をしてさ、そして、幸せになろうね……………』
『ええ、もちろんよ! でも、それはまだ先なの! だから、そんなこと言わないで! 私はまだ、あなたに何の恩も返せてない! 悪魔なのに、貴方の願いを一つも叶えてない!』
『そんなこと無いよ……………君がいたから、僕は幸せだった。たとえ20年と少しの人生だったとしても、僕は君と出会うために、生まれて来たんだと思うんだ』
『たったの20年しか生きていないのに、何を言ってるの! 貴方とであってまだ……………まだ一年しか経っていないのよ!?』
◆◆◆◆◆◆
『ありがとう、エミリア。君と会えて、君を愛して、君に愛されて、僕は幸せだった……………ありがとう、エミリア………………――――――』
『エドワード………? 嘘よね? 冗談よね? エドワード、目を開けて? エドワード………エドワードォーー!!!!』
◆◆◆◆◆◆
『こんにちは、エド……いえ、
『お姉さん、だぁれ?』
『私はエミリア。100年も前から
◆◇◆◇◆◇◆
……………何これ。スッゴい泣けるんですけど。
「………すずっ、うぅ」
「…ハルト、ほら、鼻水吹いて」
小猫ちゃんから渡されたティッシュで鼻を噛んだ後、涙を拭う。
「だって! 感動したんだもん!」
いやー、ほんと名作だったよ。悪魔と人間、それも、ローマ法王の地位にもっとも近い枢機卿の青年との禁じられた恋。
添い遂げられる事はないと知りつつも互いに愛し合い、最後には彼女を庇った傷が元で青年は死んでしまった。ここで終わりなら、ここまでは感動しなかったんだけどね。
だけど彼女はずっと彼を待ち続けて、100年後に彼の魂と再会を果たした……………。
これを泣かずに、何で泣くと言うんだ!!
「…面白かった?」
「あれは歴史に残って然るべき名作だね」
「…そこまで!?」
そりゃもちろん。
さて、ところで……………。
「ねぇねぇ、小猫ちゃん、あれはなに?」
つい、と僕が指差した先には、
「うぉぉぉ……エミリアのおっぱいでかかったぁ………ぐずっ」
「そうね、同じ紅髪で、なんだか親近感が……………ぐすっ……イッセー、揉むなら私のを揉みなさい」
「はうぅぅ、やはり教会側の人間でも、悪魔と恋をしてもいいんですね……………部長さんばっかりズルいです……………んずっ」
「うぅっ、ずず、エドワード……イイオトコだった」
「ハルトくんと手を繋いだハルトくんと腕を組んだハルトくんの隣に座った……………小猫ちゃんが羨ましい羨ましいうらやましいうらやましいウラヤマシイ……………」
…………………………。
「…見ちゃいけません」
スッと、小猫ちゃんが僕の視界を手で覆い隠す。
本当に見ちゃいけないものを見た気がする。
特に最後の二人。あれはヤバかった。
一人は鼻血出してるし、もう一人は目から光……いわゆるハイライトが消えた状態だった。
って言うかみんな何してんの!? ん? なに小猫ちゃん? え!? あの人たち最初からいたの!? なんで教えてくれないのさ! みんなの反応が面白くて? うん! 面白いね! 面白すぎてある意味ホラー状態だよ! 小猫ちゃんってば結構なSっぷりだね!
「……僕は何も見ていない。見てないったら見てないんだ! ほら、小猫ちゃん次いこ次」
「…あ、ちょっと待って、ハルト」
僕の提案に、小猫ちゃんがストップをかける。
そして、ポケットからケータイを取り出すと、全く音を立てない見事な忍び足で、彼らの元へと歩いていく。
そしておもむろにケータイを構えて、
カシャ!
あの子、し、写メを撮りやがった! なんて恐ろしい子!!
……………僕も撮っとこ。カシャ!
◆◆◆◆◆◆
続いてやって来たのは、映画館に隣接しているショッピングモール『Sir・zX』。
僕は特に買いたいものは無かったんだけど、小猫ちゃんが雑貨を買いたいそうだ。
洋服は買わないの? と聞いてみたところ、一辺に詰め込みすぎると後々閑話に困りそうとか何とか、良く分からないことを言っていたけど、とりあえず洋服はまた今度との事らしい。
「それで、何を買うの? 小猫ちゃん」
「…それはもう決めてあるの。ちょっとここで待ってて」
「わかった」
そう言って、小猫ちゃんは雑貨コーナーの奥へと入って行く。
それから待つこと数分後………
「ねぇねぇ、そこの可愛い君! 今一人かい?」
僕が店内のベンチに座ってケータイを弄っていると、割りと近くからそんな声が聞こえて来た。
「今暇なんでしょ? ならさ、オレらとお茶しない?」
今時この手の、それこそ漫画や小説内でしか見ないようなナンパをするような奴がいるとは……………。
て言うか、絶対成功しないって。下手したらセクハラになるだろうし。
「ちょっと~、無視は無いんじゃない? そこまで無視されると、オレらかなしいなぁ~」
だったら諦めれば良いのに。
「そんなケータイばっか見てないで、少しはこっちを見てよ。なあ」
しかしこのナンパ野郎の声、やけに近いなぁ。
それにしても、顔すら見ないなんて、凄い無視の仕方だよね。一体どんな子なんだろう?
そう思って、僕が顔を上げると……………。
「お!? やーっと顔を上げてくれた! ねぇねぇ君! オレらとお茶しようぜ!」
やたらとチャラい、恐らく大学生とおぼしき男5人が、僕の目の前に立っていた。
しかも、その5人ともが僕を見ている。
「ぇ? 僕?」
状況が掴めず、ついそんな声が零れてしまう。
すると、
「僕っ娘キタァァ!」
「リアルでの僕っ娘がこんなに可愛いとは思わなかったぜ!」
「しかもチョーカー着けてるし! なんだろう、この性欲とは違う愛くるしさ!」
「それなのに胸元が開いてて鎖骨がばっちり見えるあの
「ズボンと靴は男物ってのがまたギャップをそそる!」
いきなり5人は円陣を組み、小声で何やら議論を開始する。
つか、丸聞こえです。
って待って? この人たち、もしかして僕に声かけてた? なんで?
そりゃ確かに子供の頃は女の子によく間違われてたし、小学校を卒業するまでは水着の上からシャツ着せられてたし、変声期が過ぎてもまだ声は高めだし、喉仏無いし、中学の時男子に告白されたこともあるし、今着ているものも女物だけど……………。
え? もしかしなくても僕、今ナンパされてた!? うそ!? いやでも、この人たち、僕に声かけてるっぽいし、周りの野次馬もチラッチラこっち見てるし!
僕が、ナンパ…………? このお兄さん達に?
………………………………………。
「ふ、ふぇぇぇ………」
やだなにそれ怖い。
そう考えると、途端に涙が溢れてくる。
『主君!』
『おのれ! 下衆な人間どもめ! 我輩の主をよくも!』
『喰い殺してくれましょうか! それと白狼王! 先程の発言は許せませんね! 我が君は貴女だけの物ではありません!』
「え!? あ、ちょ!」
「お、おい、泣き出しちまったぞ!」
「お前の顔が怖ぇからだよ! この筋肉ダルマ!」
「そうだそうだ!」
「ンだとゴルァ!」
「お、落ち着いてみんな! 泣いてる君も、ね?」
ちょ!? なんかカオス!
確かにビックリしすぎて少し泣いちゃったけど、周りが慌てすぎて逆に落ち着いて来ちゃったよ! あとアラガミ三人は一番落ち着いて!? すこぶる物騒だよ!!
………はっ!? 殺気!?
あぅあぅしながら狼狽えていると、どこからともなく濃密な殺気を感じ取った僕は、辺りを見回す。
すると、
「ハルトきゅんにナンパしたハルトきゅんを泣かせた許さない赦さないゆるさないユルサナイ………」
「き、ききき木場! おおお餅突け! じゃなかった、落ち着け!!」
「ふふふふふふふふふ………あの人たちに雷撃を落としたら、こんがり焼けるかしら? うふふふふふふふふ……………」
「それは止めて。ほんと冗談でもそれだけは止めて。ね? お願いだから朱乃その魔力を引っ込めて!!」
「はぅぅぅ、お二人が怖すぎますぅ!」
……………僕は何も見ていない(二回目)
それからも暫くこのカオスは続き、むしろその混沌さを増して行った。
しかし、そんなカオスに今ようやく、一条の光が差し込んだ。
「……なにこのカオス……ハルト大丈夫?」
「
「…え? な、何事………ああ、そういうこと」
どうやら小猫ちゃんは、オカ研メンバーの闇を見て理解してしまったようだ。いや、諦めたっぽいな、これ。
「…それで、この人たちは?」
「僕をナンパした人たち」
「…ナンパ!? ハルトを!?」
「女物の上着のせいで女の子に間違われたっぽい」
「…ああ」
納得した!? 納得しちゃったよこの人!
そこで、僕たちの会話を聞いていた人たちが僕らに声をかける。
「ね、ねえ君……今随分と男っぽい名前で呼ばれてたけど……………」
「あ、僕男ですよ?」
『な、何ィィィィィィ!!!!???』
「うわぁっ!?」
「きゃっ!」
ビックリした! 5人どころか周りのお客さんも一緒に驚くんだもん! 心臓飛び出すかと思った!
「…ハルト、行くよ! ほら、走って」
周りが混乱した隙に、小猫ちゃんが僕の腕を取って走り出す。
「わ、わかった!」
◆◆◆◆◆◆
「はぁ、はぁ、はぁ……………」
「…こ、ここなら大丈夫……かも」
あそこで走り出した僕らは、そのままショッピングモールを抜け出して、近場の公園まで来ていた。
ちなみに、兄ちゃんが殺されたり、アーシアさんが拐われたりした公園とは別の公園です。
「ビックリしたねぇ、さっきのは」
「…うん、ホントにね」
そう言って、お互いに頷き会う。
「「……………」」
そこで、会話が途切れる。
黄昏の茜に染まる公園で、二人きり。遊具にはまだ子供たちがいるけれど、僕らの近くには誰もいない。
そんな中で、僕らはベンチに隣り合わせで座っている。
「「……………」」
先ほど見た映画のせいもあって、どことなく気まずいと言うか、気恥ずかしいと言うか、とにかく、そんな感情が僕の中を埋め尽くす。
「「………あのっ!」」
声をかけようとして、同時に喋ってしまう。
「あ、いや、小猫ちゃんからどうぞ」
「…い、いや、ハルトが早かったし、ハルトから……………」
そこから、「そっちが先に」「いやいや、そっちから」と、譲り合うループが少し続き、そしてまた沈黙が訪れた。
「「………ぷっ」」
しかし、それも一瞬の事で、僕らはなんだか可笑しくって、互いに笑ってしまう。
「あっはははは! なにこれ、こんなお手本みたいな台詞かぶりとか、僕始めて見た……はははっ」
「……ふふふ、確かにそうかも」
ひとしきり笑い合うと、小猫ちゃんが僕をまっすぐと見てくる。
「…ね、ハルト。手を出して?」
「うん? いいよ?」
僕が手を出すと、小猫ちゃんは鞄から一つの小袋を取りだし、僕の手の上に置いた。
「これは?」
「…プレゼント」
「え?」
「……今日、ハルトと一緒に遊べて楽しかったから、そのお礼」
「お、お礼だなんて! 僕だって楽しかったし!」
「…それに、ぬいぐるみやキーホルダーも貰っちゃったから」
そう言って、僕があげたぬいぐるみとキーホルダーを鞄から取り出す小猫ちゃん。
「…ハルト、開けてみて?」
促されて、小袋を開けてみると、そこに入っていたのは、僕が小猫ちゃんにあげたキーホルダーと、色違いのキーホルダーだった。
「キーホルダー?」
「…うん。ホントはアクセサリーにしようと思ったんだけど、ハルトがくれた奴の色違いがあったから…………あ、でもハルト、今朝キーホルダー使わないって言ってたよね……………」
「そんなこと無いよ! 小猫ちゃんからのプレゼントだもん! ちゃんと使うよ! ありがとう。でも、なんでおんなじの?」
僕がそう聞くと、小猫ちゃんはなんだか拗ねたような顔をして、ぬいぐるみに顔をうずめる。
「…(気づいてよ、バカ)そ、それは」
「それは?」
「…~~~っ!」
「い、痛! え? なんで今つねられたの!?」
「…お」
「お?」
「…お、お揃い………だから……………」
小さな、それこそようやく聞き取れるくらいに小さな声で小猫ちゃんはそういった。
その時の顔は、夕陽も相まって凄く赤くて、それでいてとても綺麗で可愛いかった。
「………ふふっ」
「…な、なんで笑うしっ!」
「いや、ちょっとね。ありがとう小猫ちゃん! 僕、大事にするね!」
「…う、うん」
そう返事した時の表情も可愛かったと、ついでに追記しておこう。僕の心の日記に。
そのあと、僕らは日が暮れるまで、ベンチに座ってお喋りを続けたのだった。
ついでに、初めは荷物が置けるくらいの距離だったのが、気がついたら肩が触れ合う距離まで縮まっていたことも、追記しておく。
◆◆◆◆◆◆
小猫ちゃんを駅まで送り届け、僕が帰路につく頃には、既に陽はとっぷりと沈み、夜の帳か空を覆い、月の無い夜空に星が瞬いていた。
「うぅぅ、怖いなぁ………早く帰ろ」
『ニャァーオ』
「うっひぃ!? ……って猫か、ビックリしたぁ。ただでさえ今日ビックリしすぎて心臓に悪いのに、またビックリするなんて」
そうぼやきながら辺りを見回すと、少し離れた塀の上に、キレイな金色の瞳を持った黒猫が、僕の事をジッと見ていた。
「黒猫?」
いつもなら、暗闇の黒猫にどこか不気味さを覚えると言うのに、その黒猫にはその不気味さを一切感じることは無く、むしろ触れてみたいとまで思ってしまった。
こちらをジッと見つめるその金の瞳には、警戒する猫独特の観察するような雰囲気が感じられなかった。
その証拠として、僕が近づいても逃げるどころか、むしろ塀の上に座り込むほど、警戒なんかしていなかった。
「お前、どこかで見たことあるような?」
答えが帰ってくるはずの無い問いを口にしながら、僕が猫の頭に手をやると、その黒猫は喉をゴロゴロと鳴らしながら気持ち良さそうに目を細め、僕の手に顔全体を擦り付ける。
「な、なんか僕、懐かれてる?」
それから暫く猫を撫でていると、どこかからともなく、ピィーっと、指笛独特の音が響いてくる。
すると、その音に反応したのか、黒猫の動きはピタリと止まり、そして立ち上がり、背を向ける。
「なんだ、もう行くのか?」
少し名残惜しくて、そう問いかけると、僕の言葉が通じたかのように立ち止まり、一度だけこちらを見る。
しかし、それも少しの事で、すぐに走ってどこかに行ってしまう。
「あ……行っちゃった………あの猫、触り心地良かったなぁ……どこかの飼い猫なのかな?」
呟きながら、猫の去った方を見ていると、もう一度鳴き声が聞こえてきた。
『ニャァーオ』
――――またね。
不意に、そう聞こえた気がした。
……………いやいや、
「いやいやいや、猫の鳴き声が人の声に聞こえるとか、僕の重症じゃね? 疲れてんのかな?」
今日は帰ったらさっさと寝よう。
そう決めた僕は、少し早歩きで自宅へと向かうのだった。だって暗いの怖いし。
あっれ!? ヒロインがヒロインしてない!? 主人公がヒロインしてる!?
それにしても、『