ごめんなさい、遅くなりました。
トリックオアトリート!
なんてね。
翌日。
今日はなんだか朝から皆がピリピリしていた。
小猫ちゃんに聞いたところ、なんでも今日、教会からの使者が来るのだそうだ。
……………でも、それだけじゃないような? 部室で使者を待つグレモリー先輩と朱乃先輩。
表面上はいつも通りなんだけど、何て言うか、こう、ギスギスしているような、気まずそうな、そんな気配を感じる。
なんかあったんだろうか?
不意に、ノックの音が部室に響く。それにグレモリー先輩が返事をすると、
「失礼する」
という言葉と共に二人の女の人が入ってくる。
一人は茶髪だけど、見るからに日本人、あるいは東洋人の顔立ちの人、もう一人は青髪に緑のメッシュが入っている。
「ハァイ、イッセーくん。昨日ぶり」
目が合ったのか、茶髪の人がこちら、というか、僕の隣にいるイッセー兄ちゃんに手を振ってくる。
「兄ちゃん、知り合い?」
「まぁ、あれだ、幼馴染みって奴。お前と会う前に引っ越していった奴だよ」
そんなやり取りをする僕たちをよそに、先輩たちと彼女たちの会談が始まった。
「先日、教会からエクスカリバーが盗まれました」
兄ちゃんの幼馴染みの人が言った言葉に、僕とイッセー兄ちゃん、そして先程から鋭い視線を二人に向け続ける木場先輩が反応する。
「エクスカリバーって、まさか……………」
「ああ、木場、もしかして」
「そうだよ、イッセーくん、ハルトくん。あの時フリードが持っていた剣、あれがそうさ」
すると、僕らのやり取りが聞こえていたのか、青髪の人が僕らに声をかけてくる。
「ほう? どうやら既に戦った後のようだな?」
「ああ、つい最近な」
「確か………何て言ったっけ? ら、らラピッツ?」
「【
「あ、そう、それ」
その答えに、青髪の人も茶髪の人も同時に考え込む。
「ゼノヴィア、どう思う?」
「どうもなにも、イリナ、私たちじゃラピッドリィの速度に着いていけるかどうか」
「そう言うことでは無くて、相手方の聖剣保持者のことよ」
「どれくらいいるかってことか?」
「ええ、盗まれた聖剣は三本。
どうやら、敵の戦力把握をしようとしているみたいだ。
イリナと呼ばれた茶髪の人が口に手を当てて思考を巡らせている。すると、隣に座るゼノヴィアと呼ばれた青髪の人がお茶をすすりながら、こんなことを言った。
「難しい話なら私はわからんぞ、そういうのはお前の専門だ」
………それで良いのか教会の使者。
多分、そう思ったのは僕だけではないはずだ。現にそれを言われたイリナさんが思考をやめて、ゼノヴィアさんをギョロリと睨み付ける。
「あなたね、たまにはその頭を使いなさいよ! 飾りなの!?」
「なに、いざとなればデストラクションとアレを使えば良いだけだろう?」
「アレの使用には許可がいるでしょ! 全く、これだからカトリックは。古臭い考えに捕らわれ過ぎて頭まで固くなったの?」
「なんだと!? カトリックは関係ないだろう! このプロテスタント!」
「ちょっと! プロテスタントを悪口見たいに言わないでくれる?」
あ、あれ? なんか喧嘩始まってない?
「え、あの、お二人とも、喧嘩は……………」
突然の事に面食らってあぅあぅ言いながらもアーシアさんが二人の喧嘩を止めに入る。
「む、誰かと思えば、もしや『魔女』アーシア・アルジェントか?」
……………はい?
「え……………?」
「そうなの? イッセーくんのお家で会ったときにまさかとは思ったけど、ここにいたんだね、『魔女』さん」
『魔女』? 今、あの二人は魔女って言ったのか? アーシアさんを?
その瞬間、部室の空気が変わった。
話の重要性に対する緊張感から、戦闘時の緊張感に。
「癒しの力を与えられながらも、その力を悪魔にまで使った裏切り者。悪魔をも癒す、『魔女』。そんな君が今は悪魔か。これは傑作だな」
「ああ、安心して? あなたが悪魔になっていたことは、上には黙っといてあげる。あなたを『聖女』として慕っていた人たちが傷つくだろうからね」
そんな言葉を言われ続けているアーシアさんは、下唇を噛んで、スカート裾を握りながら震えていた。
正直、見ていられなかった。
「しかし、なぜ君はいまだに信仰心を持っている?」
「それは………」
「私はそういうのに敏感でね、君がまだ主を信仰していることくらい、見ていればわかる。だが、なぜだ? 君は主を裏切り、魔女に堕ちた。それなのに、なぜ?」
「わ、私は、主を裏切ってなんか……………」
「ああ、いい、そういう御託は聞きたくないんだ。これはただの自問だからね。それで、これは提案だ。
―――――君、私たちに斬られろ」
「―――――」
「信仰心を持っているならば、そしてその背信が罪悪感となるならば、私たちが君を、この聖剣で斬ってやろう」
そう言いながら、ゼノヴィアは背負っていた布を手に持つ。恐らく、あの中に聖剣があるのだろう
「主は心優しい。ならば、君の事も赦してくれるだろう、魔女アーシア」
そこまでが、限界だった。
「ふざけるな!」
そう叫んだのは僕で、同時に兄ちゃんや先輩たちが、アーシアさんを庇うように立ち上がる。
「魔女? 裏切り? 背信行為? ふざけるなよ! お前たちにアーシアさんの何がわかる! アーシアさんの優しさの、何がわかる!!」
アーシアさんは優しくて、大人しい人だ。だからこそ、この二人に口答えなんかしなかった。
だったら僕がしてやる。
アーシアさんの代わりに、アーシアさんの為に。
「優しさ? 悪魔を癒すのだから、卑しさの間違いだろう?」
ゼノヴィアが嘲るように笑う。
「そうね、神から与えられた神聖な力を貶めたんですものね」
「黙れよ! いくらイッセー兄ちゃんの幼馴染みだからって、僕は許さないぞ! 何が神聖な力だ! 何が貶めただ!」
「事実だろう?」
違う!
「
僕の言葉に、二人は少し面食らったような顔をする。
「アーシアさんの光に触れたことがあるか? 暖かいんだ、あの光は。柔らかくて、暖かくて、優しい光なんだ。それが卑しい力な訳がない! きっと神様がそう願ったんだ。だから悪魔も、堕天使も癒すことが出来る!」
「そ、それは詭弁だ! アーシア・アルジェントの心が穢れていたから!」
「それこそ詭弁だ! あんたたちは、アーシアさんの力を、
そこまで言って、少し息を整える。
少し熱くなりすぎた。頭に血が上ると抑えきれなくなるのは、悪い癖だ。
「神様が作った
僕がいい終えると、肩に手が置かれる。
振り替えるとそこには、親指を立てて笑っているイッセー兄ちゃんと、涙を流しながら、僕の腕の裾を握っているアーシアさんがいた。
「ふざ、けるな…………私たちが間違っていると? 教会が間違っていると、貴様はそういうのか!」
「うん、そうだよ」
「…………そうか、そうか」
激昂したゼノヴィアにそう答えると、彼女は小さな口調でその言葉を繰り返す。
そして顔を上げると、その顔には激怒というか言葉でも物足りない、憤怒の表情が浮かんでいた。
その隣のイリナは、激怒とまではいかなくても、やはり納得の行かないような顔をしている。
「ならば私は、貴様を斬る!」
そう叫んだ彼女は、一息に剣を抜き放つ。
「貴様は私達はおろか、教会や、挙げ句には神すらも侮辱した! 故に、斬る!」
そう言って、聖剣の切っ先を僕に向けてくる。
『ほう? 主に剣を向けるか、小娘が』
『あのようなちゃちな剣で、我が君を傷付けようなど……………愚かな』
『では、愚か者にはそれ相応の罰が必要ですね?』
僕の中で、アラガミたちが怒りにドスの効いた声でそういってくる。
「貴様、名はなんという?」
「………神結悠斗」
「ならばハルトよ、外に出ろ。貴様を断罪してくれる」
そう言い残し部屋を出ていく彼女に、イッセー兄ちゃんが食ってかかろうとするが、僕がそれを引き留める。
「ここは僕に行かせて、兄ちゃん。僕今、怒ってるんだ」
「けどよ!」
「なら、もう一人の方くらいは僕に任せてくれないかな?」
「木場先輩………そうか、聖剣」
「そう言うこと」
僕が頷くと、木場先輩はその顔を歪ませて、獰猛な笑みを浮かべのだった。
三人とも、今回の敵は人間だけど、力を貸してくれるかい?
『ふっ、主よ、それは愚問と言うものだ』
『主君の身を守るのが、拙者たちの務めであり存在意義』
『あのような小娘が我が君を傷付けるなど、どうして赦せましょうか』
『『『かならず喰い殺してくれる!』』』
……………いや殺さないよ!?
ハルにゃんが仮装するのはパンプキンヘッドなんです。
そんで視界の悪さとバランスの悪さでフラついて、小猫ちゃんと朱乃さんにラッスケするんです。
でも転んだ時の痛みが強くてそれに気づかないハルきゅんは涙目になって、それに皆がキュンと来るんです