ハイスクールG×E   作:フリムン

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今日はちょっと多めに書いちゃいました!

あと、今回はハルの出番が少ないです。


第49話

 

「……………」

「……………」

「……………」

 

 とあるファミレス。

 そこに、尋常ではないくらいに不機嫌のオーラを放つ三人がいた。

 

「………おい兵藤、何とかしろよ」

「……………俺に死ねと?」

「ことの発端はお前だろうが!」

「…ハル、落ち着いて」

 

 正確には六人だが。

 

「えー、あー、その、うん、三人とも?」

 

 とりあえず、その場を何とか修めるために、俺は恐る恐る声をかける。

 

「「「……………」」」

 

 無言で見つめ返してくる三人。怖ぇ。

 

「い、色々思うところはあるだろうけどさ、と、と取り敢えず飯にしようぜ? な?」

 

 俺の提案に、一応頷くハル、イリナ、ゼノヴィアの三人。

 

 ……………あー、ハル呼ばなきゃ良かったかなぁ………でもハブったらハブったで後々面倒だしなぁ。

 

 

 

 先日激しい口論の末に、決闘まで行った彼らがなぜ同じ場所に居合わせたか、その理由は数時間前に遡る。

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

「嫌だぁぁぁぁああ!! 俺は帰るんだぁぁぁぁああ!!」

「落ち着け匙! 大丈夫! エクスカリバーをぶっ壊すだけだから! 部長と会長に黙って!」

「全然大丈夫じゃねぇじゃねぇかボケぇぇぇぇ!」

「大丈夫だ、問題ない」

「大ありなんだよ!!」

 

 天下の往来、人々の行き交う駅前で、恥も醜聞も機密も関係なく匙が悲鳴をあげる。

 周りの人達が何やら見てくるけど、そんなのは関係ない。

 

「はぁ、そんなに嫌か?」

「当たり前だ俺まだ死にたくない」

「……………仕方ない」

「おお!」

「小猫ちゃん、卍固め」

「…了解です」

「あんぎゃぁぁぁぁぁあああ!!」

 

 再び匙が悲鳴をあげる。バカめ、素直に頷いておけば良いものを。ふーっはっはっはっ!

 

「さて匙くん? 会長の手によって(精神的に)死ぬのと、ここで俺たちによって(社会的に)死ぬの、どっちがいい?」

「悪魔か貴様!?」

「お前もな」

「鬼! 悪魔! 人でなし!」

「ふははは、誉め言葉だ」

 

 そこに、小猫ちゃんがポツリと呟く。

 

「…匙先輩………手伝って、くれないんですか?」

 

 な、泣きそうな声音と涙目のコンボ、だと!?

 流石小猫ちゃん! 小悪魔的! 恐ろしい子!

 

「搭城さん……………って痛だだだだ!! 待ってそろそろ肩が限界! 外れる! 肩が外れちゃう!」

 

 まぁ、卍固めが全部台無しにしてるんだけど。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

「うー、まだ痛ぇよ……………」

 

 匙が体のあちこちを揉みながら恨みがましくぼやく。

 

「素直に協力すると言えば良いものを」

「お前ホントに俺と同期かよ………悪魔過ぎる」

「まぁ、ぶっちゃけ、ハルのやり方なんだけどなこれ」

「……………あんな顔して中身悪魔かあいつ」

 

 あの後、目的の詳細を話し、平和的に(暴力が無いとは言っていない)協力を取り付け、今はあの教会組二人を探している最中だ。

 

「しかし、そう簡単に見つかるかね」

「あの二人、結構派手な格好してたからな、案外すぐ見つかr……………」

 

 

「えー、迷える子羊にお恵みをー(棒)」

「どうか、天の父に代わって哀れな私たちにお慈悲をぉぉぉ!(泣)」

 

 

「「「……………」」」

 

 いた。

 

 めっちゃ簡単に見つけた。 

 つかなにしてんの? ゼノヴィアは棒読みだしイリナ泣いてるし!

 

 

 そのあと何やら聖人だのぺトロだのと口論が始まり、その流れから脅すだの襲撃だの大道芸だのと話が転がり、また口論に発展する。

 

「これは…………」

 

 目立つなんてもんじゃない。うるせぇ。

 

 

 

 そんな二人に声をかけた後、なんやかんやあって、匙の提案で何故か俺の奢りで昼飯を取ることになって(解せぬ)、何を思ったか俺はハルに連絡してファミレスで待ち合わせて、

 

 

 そして冒頭に戻る訳だ。

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

「「「……………おかわり」」」

 

 三人が同時にこちらに皿を突き出してくる。

 

「お前らホントは仲いいんじゃねぇの!?」

 

 なんなのコイツら。胃袋どうなってんの? なんで定食五回もお代わりすんの? おかしくない?

 

 止めて! 僕の残金はもう0よ! 小猫ちゃんに軽く借金するから実質マイナスよ!

 

 そう告げると、奴らは自分のお皿を者足りなさそうに見つめた後、

 

「「「なら、あれで」」」

 

 指差したのはこのファミレス名物、『10kgパフェ。時間内に食べきれたら賞金諭吉二人』

 

 躊躇いなく、一糸乱れぬシンクロ率100%で同時に指を指す彼ら。

 

 バケモンかよコイツら。

 

「…あ、これなら私も」

 

 バケモン一人追加。

 

 

 

 

 

 結局、話は四人がパフェを食べ終わるまで始まらなかった。

 

 挙げ句途中には少し機嫌の治ったハルと小猫ちゃんがあーんしたり、イリナとゼノヴィアがパフェに乗ってるイチゴやらチョコレートを取り合ったり。

 

 ホントなんなの、お前らの胃袋。ブラックホールかよ。

 

 

 ……………嗚呼、斯くも儚き哉、男子高校生の御財布。

 

 

 などと嘆いていると、俺の目の前に座ったゼノヴィアが口を開く。

 

「それで、私たちに接触した理由は?」

「おいおい、礼も無しかよ」

 

 横柄にそう切り出した彼女にちょっとカチンと来て、俺はそう返した。

 

「む、確かにそうだな。悪魔に感謝するのは業腹だが、救ってもらったのは事実だしな」

「そうねぇ、ああ、主よ、心優しき悪魔に感謝を。アーメン」

 

 目の前で十字を切る二人。頭痛の走る三人。

 

「あ、ごめん」

 

 イリナがてへっと、自分の頭を軽く小突く。

 

 

 気を取り直して、俺はさっきの質問に答える。

 

「エクスカリバーの破壊に協力したい」

 

 瞬間、二人の雰囲気がガラリと変わり、戦士のそれとなる。

 

「イッセーくん、それってどれだけ危ないことか、わかってる?」

「危ない? そりゃ確かに聖剣は悪魔(俺達)の天敵だけどさ」

「そうじゃない、兵藤一誠。問題は壊した後だ」

「壊した後?」

 

 ゼノヴィアの言っていることの意味が分からずに首を傾げる俺に、二人は溜め息を吐く。

 

「まあ、悪魔になりたてなら分からないのも当然…………かな?」

「つまりだな兵藤一誠、『悪魔』が『聖剣』を壊す。それが問題なんだ」

「「「……あっ」」」

 

 俺以外の三人。ハル、小猫ちゃん、匙が同時に声を上げる。どうやら合点がいったようだ。

 かくいう俺も、流石にここまで言われればある程度の予想はつく。

 

 つまり、

 

悪魔(俺達)が聖剣、ようは教会または天界の持ち物を壊したら、天界と冥界の確執が深くなるって事か?」

 

 質問したのは匙だ。流石生徒会だけあって、頭の回転が早い。

 

「…それだけじゃありません。今回敵対するのは堕天使。これが堕天使の組織的な活動だとしたら」

「その二つを、兄ちゃん達は敵に回すって事だね」

 

 うーむ、そう考えると実に厄介だ。

 

「私たちは別に構わない。むしろ賛成だ」

「正直、私たち二人でコカビエルと戦うのは無理だからね」

「食事の借りもあるからな、出来るだけ擁護はするつもりだ。だが」

「堕天使がいちゃもん着けてきたら、私たちにはどうしようも無いけどね」

 

 確かに、これは余りにメリットが少なすぎる。

 いや、損得で動いている訳じゃないけど、ここまで後々面倒になるんなら……………

 

 

「兄ちゃん」

 

 

 思考に沈む俺の耳に、隣に座ったハルが声をかけてくる。見れば、ハルは何かを訴えるような強い意思の籠った眼差しで、俺を見ている。

 

 

 ……………バカか、俺は。

 

 

 なんで、ダチを助けんのにこんなグダクダ考えてんだか。

 

「ああ、それでもやらせてくれ」

「良いのかい? 君の主が不利になるぞ?」

「そんときゃ、はぐれにでもなって討伐されてやるさ」

「イッセーくん、そんな軽く……………」

「ダチを助けるんだ、これくらいどうってこと無いね」

 

 そう言って俺は笑う。笑って見せる。

 

「ハルも匙も小猫ちゃんも、危なくなったらいつでも降りて良いからな」

「…先輩」

「兵藤、お前………」

「これは元々俺の独断だ。そこまで付き合わせる必要は無い」

「なら俺は今すぐおr―――「バカだね、兄ちゃんは」

 

 不意に、さっきまで黙っていたハルが口を開く。

 

「木場先輩は僕らにとって大切な仲間でしょ? その仲間のために行動するんだ。どんなに危険でも絶対に降りないよ。僕は」

「…私も、降りません。祐斗先輩に、いなくなって欲しくないから」

 

 ハルと小猫ちゃんの、一年生組二人がそう告げてくる。全く、良くできた後輩と幼馴染みだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど、それが僕を呼んだ理由かい?」

 

 

 

 

 

 

 不意に、後ろから声がかけられる。

 ってまぁ、俺が呼んだんだけどな。

 

「おう、木場。遅かったじゃねぇか」

 

 そこには、イリナとゼノヴィアを不機嫌そうに見つめる木場が立っていた。

 

「全く、イッセーくん、君って奴は」

「っせーな、良いだろ」

「良くないよ。僕の事情に君たちを巻き込むなんて」

「けっ、一人でカッコつけてんじゃねーよ、このイケメンが」

 

 店員が持ってきた椅子に座る木場は、俺の言葉に少し戸惑ったようだ。

 

「べ、別にカッコつけてる訳じゃ……………」

「へっ、一人で抱え込んでシリアス気取って俺達に心配させる。これのどこがカッコ付けてないってんだよ」

「僕は、そんな」

「だー、ウジウジうるせぇ! いいから協力させろ! 卍固めすんぞオラ! 小猫ちゃんが!」

 

 そういうと、少し驚いたように目を見開いた木場は、そのあと何か眩しい物を見るように目を細めて、俺を見てくる。

 

「んだよ」

「……いや、カッコいいなって」

「やめろ気色悪い! それはハルにだけやれぶるふぁ!!」

 

 小猫ちゃんに殴られた。ついでにハルに蹴られた。死ぬほど痛い。

 

「…バカな事言うと殴りますよ、イッセー先輩」

「アホなことばかり言うと蹴るからね、イッセー兄ちゃん」

「……………はい」

 

 床に倒れる俺を一瞥したあと、小猫ちゃんが木場に居なくならないでと、匙にやった涙目涙声コンボよりも心の籠ったそれをやり、ハルが

 

「だって先輩がいなくなっちゃ、部活の楽しさが減っちゃうよ。皆揃ってのオカ研でしょ?」

 

 と笑顔を見せ(ここで見た木場の鼻血は無かったことにしてやろう)、結局木場は了承し、俺達とイリナ達との限定的な同盟が成立したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………あれ? 何この雰囲気? 何この、俺は降りる! って言えない雰囲気……………えぇー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

『お兄ちゃん!』

 

 木の上で昼寝していたオレの耳に、声が届く。

 

『あん? んだよガキんちょ』

 

 見下ろすと、そこには栗毛に眼鏡、そして白い服を着た少女が立っていた。

 

『ガキんちょじゃないよ! 私にはキャサリンって名前があるもん!』

『名前くらい知ってらぁ。ガキはガキんちょで良いんだよ。で? 俺に何の用だ?』

『用じゃなくてね、そんなところで寝てたら風邪引くよ?』

『けっ、鍛え方が違うんだよ』

 

 そう言って木から飛び降りる。

 

『やっぱり、聖剣が使えるから?』

『あん?』

 

 急に声が小さくなった少女を、俺は上から見下ろす。

 

『私も、いつかなれるかな、お兄ちゃんみたいに』

『俺みたいって……………けっ、やめとけやめとけ、こんなロクデナシ』

『ロクデナシじゃないよ! お兄ちゃんは凄いもん! 私たちに色んな事教えてくれるし、優しいし、強いもん!』

『……………』

 

 やめろ。そんな目を向けるな。

 そんな尊敬されるような奴じゃねぇんだよ、俺は。

 

『……ま、何にせよ、俺みたいには絶対になるんじゃねぇぞ』

 

 キャサリンの頭をグリグリと撫で付け、そのまま背を向ける。

 

『行っちゃうの? お兄ちゃん』

『おう。日本って国でお仕事だ。皆によろしくな』

 

 俺がそう告げると、彼女は少し寂しそうな顔をする。

 だから少し立ち止まって、振り返る。

 

『心配すんなよ。土産話沢山抱えて帰ってくるからよ』

『………うん、わかった』

 

 キャサリンが頷いたのを見届けて、今度こそ歩き出す。

 

 

 

 

『いってらっしゃい! フリードお兄ちゃん!』

 

 

 その声に、俺は振り返らずに手だけを上げて応えた。

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

「ふぁぁ………」

 

 眠っていた布団から起き上がり、欠伸と背伸びをする。

 外はもう真っ暗で、月明かりが電気の点いていない室内を照らす。

 日中まともに外を出歩ける訳がないので、ここ最近昼間は寝てばかりだ。

 

 ここは、コカビエルから与えられた部屋で、ベッドと机以外、枕元の聖剣しか無い小さな部屋だった。

 

「あいつら、元気にやってっかな」

 

 先程まで見ていた夢の内容を思い出す。

 

 あそこは、俺が良く行く孤児院で、コカビエル直轄の施設。

 あいつらは、聖剣因子を持っているため、放っておけば教会につれていかれ、因子を取り出されてしまう。

 

 因子を取り出せば、俺の同胞たちの様に殺されてしまう。それを防ぐために、コカビエルが施設をつくり、孤児を引き取っているのだ。

 

「ふぅ、今日も今日とて頑張りましょうかねっと」

 

 

 黒いコートを羽織り、腰に剣を携えれば準備完了。

 

 

 

 

 

 こうして俺、狂ったはぐれエクソシスト、フリード・セルゼンは今日も、夜の町に繰り出すのだった。

 

 

 

 




皆さんの暖かさに僕は涙そうそうです。
10評価が二つも付くなんて!

ありがとうございます。そして頑張ります!


ところで、最近ヒャッハーする内容のssにハマってるんですけど、この小説じゃできないよなぁ、書こうかなぁ、でも二つも抱えきれねぇよぉ、と悶々してる日々です。

DDでヒャッハーする内容の小説、誰か知りませんか?
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