ハイスクールG×E   作:フリムン

59 / 81
前話で今年最後と言いましたが、この話をどうしても入れたかったので、入れることにしました。


短いですがどうぞ。


第53話

 

 やっとだ………やっとここまで来れた。

 

 ここまで来るのに、どれ程の時間を費やしたのだろうか。どれ程の物を失って、殺して、捨てて、この手を汚して来たのだろうか。

 

 今さら後悔するつもりはない。したところで似合わないし、そもそも赦されるわけがない。

 

 でも、それでも構わない。たとえ俺の目的が果たされて、世界に戦火が撒き散らされる事になろうとも、たとえ多くの人が死ぬ事になろうとも。

 

 

 あの日教会に騙されて、友を、仲間を、想い人を失ったあの日から、もう数十年。

 人間性を、倫理観を、良心を捨て去って、殺して、殺して、殺して、そして狂っ(殺し)てきた。

 

 教会に敵対し、信者を殺し、悪魔を駆除し、ただ一人各地を回った。

 

 目的はただ一つ。

 

 ―――――聖剣を破壊する。

 

 その為だけに、剣を振るってきた。血を浴びてきた。

 

 

 そして俺は、俺の目的を果たしてくれる上司――――堕天使(コカビエル)にであった。

 まぁ、最初はレイナーレとか言う雑魚の下に付けられたが。

 

 幸い、基準値に届きはしないものの、聖剣因子を持っていたが為に、コカビエルから渡された光力の武防具を扱うことができた。

 

 

 そして次に、俺は被験者(後輩)に出会った。

 

 木場裕斗とか言う、魔剣の神器(セイクリッド・ギア)を持つ少年。

 

 

 その後輩と、悪魔二人と人間にレイナーレが負けた後、俺は一度コカビエルに連れられて日本を離れた。

 

 

 

 そこで出会ったのが、キャサリン達だった。

 

 コカビエルが言うには、彼女たちも聖剣因子を持ち、そして教会のあの施設に入れられていた為、コカビエル達が拐ってきて保護しているらしい。

 

 しばらくはそこで過ごすことになったのだが、子供と言うのはやはり苦手だ。

 

 俺が既に捨てた物を、彼らは彼女らは持っていて、何も知らずに、無邪気に俺に懐いてくる。特段何かをしたわけでは無いが、なぜか懐かれる。

 

 鍛練をすれば真似をし、飯を食うと同じものを食いたがり、昼寝をすると、気がつけば回りはガキだらけ。

 

 

 そしていつしか、俺も笑うようになっていた。狂気の(張り付けた)笑みじゃ無くて、ずっと忘れていた、もう二度と無いだろうと思っていた、心からの笑み。

 

 

『あそぼー、フリードにーちゃん!』

『フリードお兄ちゃん、大好き!』

『わたし、お兄ちゃんのおよめさんになる!』

『おれ、大きくなったら兄ちゃんみたいになる!』

 

 

 楽しかった。

 

 今は素直にそう思える。あのガキどもは、かつての俺で、俺が歩んだ道を歩みかけていた。

 だけど、もう違う。アイツらだけは、外道(俺のよう)にしてはならない。

 

 

 

 

 それからしばらくして、コカビエルから呼び出しがかかった。

 

 何でも、この間施設を襲撃したが、既に子供たちは事切れていて救うことができず、せめてもと研究成果を強奪してきたらしい。

 

 

 

 それを見たとき、俺は一瞬呼吸を忘れた。

 

 

 

 見せられたのは、白く発光する結晶と―――聖剣。

 

 

 

 俺はすぐに壊そうと手を伸ばし、そして弾かれた。

 

 

 やはり、因子が足りないから、聖剣に触れることができなかったらしい。

 

 

 しかし、コカビエル曰く、この結晶さえあれば問題ないとのこと。

 

 これは教会の研究成果で、因子を取り出して他者に与えることで、人工的に聖剣適合者を作り出すという物らしい。

 

 そして、本来なら因子を取り出しても被験者は死なないが、教会は用済みだからと殺すという。

 

 

 ……………そうか、こんな物の為に。

 

 こんなちっぽけな結晶の為に俺は、俺たちは……………っ!

 

 

 無言で結晶を受け取った俺は、それを自らの胸に押し当てる。

 

 

 

 この因子の持ち主たちも、無念だったのだろう。苦しかったのだろう。憎かったのだろう。

 

 ならば力をよこせ。俺がそれを果たしてやる。その憎悪を引き受けてやる。

 

 

 俺が聖剣エクスカリバーを破壊してやる!

 

 

 

 

 それからしばらくは、コカビエルが奪ってきた【天閃の聖剣(エクスカリバー・ラピッドリィ)】に体を慣らしながら、もう三本の聖剣を盗み出す。

 

 本心では、手に入れた瞬間壊してやりたかった。

 

 でも、それだとまた復元されてしまうと、コカビエルは言う。故に、今一度一本に直し、その上で破壊するのだと。

 

 

 残る聖剣あと三本。破壊と、擬態と、支配。

 

 支配に関しては行方知れずのため、もしかしたら完全に失われているかもしれない。と、バルパーのジジイは言っているが。

 

 

 そして今日、俺たちは後の二本を手にいれる。

 

 あのメスガキどもから聖剣を奪い、そして目の前で破壊して、こう言ってやるのだ。

 

 天に向かって、神に向かって、

 

 

 

 ―――――ざまぁみろ、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

「準備はできたか、フリード」

「はいはいよー、俺っちはいつでもバッチリおーけーよ上司さま! ってかあんた傷はもう大丈夫なのかよ、ズタボロになってたけど」

「ふん、あれしきどうと言うことはないわ」

「さいですか」

「さて、あやつらはどう足掻いて、私を楽しませてくれるかな?」

 

 

 

 この道は地獄への一本道だ。

 

 

 だけどそれでも、俺はこの道を進むしかない。

 

 なぜなら、この手から今さら血は落ちる事は無いのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 はぐれエクソシスト、愉快な狂人フリード・セルゼン。

 

 

 

 

 

 

 ―――――いざ、参る。

 

 

 

 

 

 

 

 




それでは皆さん、よいお年を!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。