短いですがどうぞ。
やっとだ………やっとここまで来れた。
ここまで来るのに、どれ程の時間を費やしたのだろうか。どれ程の物を失って、殺して、捨てて、この手を汚して来たのだろうか。
今さら後悔するつもりはない。したところで似合わないし、そもそも赦されるわけがない。
でも、それでも構わない。たとえ俺の目的が果たされて、世界に戦火が撒き散らされる事になろうとも、たとえ多くの人が死ぬ事になろうとも。
あの日教会に騙されて、友を、仲間を、想い人を失ったあの日から、もう数十年。
人間性を、倫理観を、良心を捨て去って、殺して、殺して、殺して、そして
教会に敵対し、信者を殺し、悪魔を駆除し、ただ一人各地を回った。
目的はただ一つ。
―――――聖剣を破壊する。
その為だけに、剣を振るってきた。血を浴びてきた。
そして俺は、俺の目的を果たしてくれる上司――――
まぁ、最初はレイナーレとか言う雑魚の下に付けられたが。
幸い、基準値に届きはしないものの、聖剣因子を持っていたが為に、コカビエルから渡された光力の武防具を扱うことができた。
そして次に、俺は
木場裕斗とか言う、魔剣の
その後輩と、悪魔二人と人間にレイナーレが負けた後、俺は一度コカビエルに連れられて日本を離れた。
そこで出会ったのが、キャサリン達だった。
コカビエルが言うには、彼女たちも聖剣因子を持ち、そして教会のあの施設に入れられていた為、コカビエル達が拐ってきて保護しているらしい。
しばらくはそこで過ごすことになったのだが、子供と言うのはやはり苦手だ。
俺が既に捨てた物を、彼らは彼女らは持っていて、何も知らずに、無邪気に俺に懐いてくる。特段何かをしたわけでは無いが、なぜか懐かれる。
鍛練をすれば真似をし、飯を食うと同じものを食いたがり、昼寝をすると、気がつけば回りはガキだらけ。
そしていつしか、俺も笑うようになっていた。
『あそぼー、フリードにーちゃん!』
『フリードお兄ちゃん、大好き!』
『わたし、お兄ちゃんのおよめさんになる!』
『おれ、大きくなったら兄ちゃんみたいになる!』
楽しかった。
今は素直にそう思える。あのガキどもは、かつての俺で、俺が歩んだ道を歩みかけていた。
だけど、もう違う。アイツらだけは、
それからしばらくして、コカビエルから呼び出しがかかった。
何でも、この間施設を襲撃したが、既に子供たちは事切れていて救うことができず、せめてもと研究成果を強奪してきたらしい。
それを見たとき、俺は一瞬呼吸を忘れた。
見せられたのは、白く発光する結晶と―――聖剣。
俺はすぐに壊そうと手を伸ばし、そして弾かれた。
やはり、因子が足りないから、聖剣に触れることができなかったらしい。
しかし、コカビエル曰く、この結晶さえあれば問題ないとのこと。
これは教会の研究成果で、因子を取り出して他者に与えることで、人工的に聖剣適合者を作り出すという物らしい。
そして、本来なら因子を取り出しても被験者は死なないが、教会は用済みだからと殺すという。
……………そうか、こんな物の為に。
こんなちっぽけな結晶の為に俺は、俺たちは……………っ!
無言で結晶を受け取った俺は、それを自らの胸に押し当てる。
この因子の持ち主たちも、無念だったのだろう。苦しかったのだろう。憎かったのだろう。
ならば力をよこせ。俺がそれを果たしてやる。その憎悪を引き受けてやる。
俺が聖剣エクスカリバーを破壊してやる!
それからしばらくは、コカビエルが奪ってきた【
本心では、手に入れた瞬間壊してやりたかった。
でも、それだとまた復元されてしまうと、コカビエルは言う。故に、今一度一本に直し、その上で破壊するのだと。
残る聖剣あと三本。破壊と、擬態と、支配。
支配に関しては行方知れずのため、もしかしたら完全に失われているかもしれない。と、バルパーのジジイは言っているが。
そして今日、俺たちは後の二本を手にいれる。
あのメスガキどもから聖剣を奪い、そして目の前で破壊して、こう言ってやるのだ。
天に向かって、神に向かって、
―――――ざまぁみろ、と。
◆◆◆◆◆◆
「準備はできたか、フリード」
「はいはいよー、俺っちはいつでもバッチリおーけーよ上司さま! ってかあんた傷はもう大丈夫なのかよ、ズタボロになってたけど」
「ふん、あれしきどうと言うことはないわ」
「さいですか」
「さて、あやつらはどう足掻いて、私を楽しませてくれるかな?」
この道は地獄への一本道だ。
だけどそれでも、俺はこの道を進むしかない。
なぜなら、この手から今さら血は落ちる事は無いのだから。
はぐれエクソシスト、愉快な狂人フリード・セルゼン。
―――――いざ、参る。
それでは皆さん、よいお年を!