ハイスクールG×E   作:フリムン

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明けましたおめでとうございました(過去形)


やっぱり戦闘シーンは苦手だなぁ……………


第54話

 

 指定の時刻がやって来た。

 

 時刻は既に天辺を回り、辺りは闇に包まれている。

 

 私は耳元の通信機に手をあて、皆に声を送る。

 

「皆、状況を」

 

 

 その呼び掛けに、少しの間が開き、

 

『こちら生徒会。結界の展開用意は整っています。いつでもどうぞ』

 

『こちら裏庭、祐斗、小猫ちゃん、異常なし』

 

『こちら裏口、朱乃、イッセーくん、同じく異常なし』

 

『こちら校庭及び屋上、ゼノヴィア、イリナ、ハルト、異常なし』

 

 

 四つに分けたチームそれぞれからの報告が届く。

 

 その報告を聞き、言葉を返そうとしたとき―――――

 

 

 

 

『イリナさん! 避けてっ!』

 

 

 

 

 ハルトの叫びが、通信機から響き渡り、轟音が通信機のみならず、振動として、部室の私たちにまで聞こえてくる。

 

 

『っ、きゃぁぁぁっ!!』

『イリナ!』

 

 イリナの絶叫と、ゼノヴィアの叫び。

 

 すぐに皆に緊張が走る。

 

 

『イリナさんが負傷! 皆校庭に早く! アーシアさん、治癒を!』

 

 ハルトの毅然とした声が、驚愕に動きを止めた私の意識を呼び覚ます。

 

「みんな! 校庭に急ぎなさい。私たちもすぐに行くから!」

 

『『『はい!』』』

 

 

 そして、戦争をかけた戦いが始まった。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 始まりは唐突だった。

 そしてそれに気づいたのも、ただの偶然だった。

 

 スキルが二つ使えるようになった僕は、【サイレントキリング】と【バックスタブ】の二つを発動させ、さらにステルスフィールドを展開して屋上に待機していた。

 

 敵が現れてもすぐに撃ち抜ける様に、と。

 

 

 けれども、先手を取ったのは僕ではなく、相手だった。

 

 

 雲の無い満月の夜、何となく空を見上げた僕が見たのは、星のそれに良く似た光で、普段だったらただの星だと思ったことだろう。

 

 しかし、直感が告げた。

 

 あれは攻撃だ、と。

 

 

 直後、校庭に立っていたイリナさんに警告を飛ばす。

 

 だが手遅れで、イリナさんは即死を防ぐだけで精一杯だった。

 今でも、五体満足なのが不思議なくらいの重傷だ。

 

「くっ、今の光は!」

『堕天使だな、主よ』

 

 次に、地面がめくれあがり、そこから三つ頭の怪獣、―――グレモリー先輩曰くケルベロスというらしい―――が姿を現した

 

『ハル! 状況は!』

「イリナさん負傷、怪獣出現、敵三人、擬態の聖剣は強奪! ゼノヴィアさんは怪獣と交戦中。今から援護するところ!」

『了解!』

 

 

 兄ちゃんとの通信を終わらせて、すぐさまスコープを覗き込み、怪獣ケルベロスに照準を合わせる。

 

 

「ゼノヴィアさん、そのまま引き付けて!」

『ハルト!?』

「怪獣退治は(ゴッドイーター)の役目だからね!

 撃ち抜く!」

 

 

 ケルベロスの横っ腹に狙いを澄まし、引き金に指をかける。

 

 

 放つ弾丸は、これまでのような、ただのオラクルの塊ではない。

 

 これから放つのは目覚めた力の一つ。目覚めた『血の力』

 

 

「Blood Bullet―――内臓破壊弾【神狩・朱雀】!」

 

 引き金を引けば、これまでのそれとは違う反動が訪れる。

 放たれた弾丸は狙い違わず、距離を行くごとに威力をまして、ケルベロスに着弾した。

 

 その弾丸から炎が放たれ、ケルベロスの内臓を焼き、それに怪獣が苦しみの声をあげる。

 

 だが、それで終わらせるつもりはない。

 

 すぐに照準をし直し、氷の属性を撃ち込む。

 

「【神狩・白虎】! ………っと、オラクル切れか」

 

 この弾丸はオラクル消費量が多い。

 どうやら、二発で限界のようだ。

 

『惜しかったです、主君。トリガーハッピーさえ使えれば撃てるのですが……………』

「そうだけど、今は無い物ねだりしてる場合じゃないよ! 飛び降りる!」

 

 柵に足をかけ、一息に飛び出る。

 

 残念ながら、僕は空中ジャンプのスキルを持っていない。

 でも、ゴッドイーターの能力として、剣を振るえば落下速度が消えると言う能力がある。

 

 壁を蹴り、神機を構える。

 

補食形態(プレデターフォーム)!」

 

 これから使うのは、目覚めた力の一つ、新しい技。

 

 

「【滑空穿孔式・穿顎(せんがく)】!」

 

 

 神機から一瞬で黒い口が現れ、僕は滑空してケルベロスの脇腹に食らいついた。

 

 その激痛にケルベロスが咆哮を上げ、さらに暴れだす。

 肉を食い千切り、その肉をオラクルへと変換して吸収すれば、神機がバースト状態となる。

 

「ハルト、今のは!?」

「話は後、一気に攻めるよゼノヴィアさん!」

「ああ、そうだな! こんな奴で手間取ってる暇は無い!」

 

 共に剣を握り、同時に走り出す。

 一度は激情のままに剣を交えた相手だけど、いや、剣を交えた相手だからこそ、何となく、相手の動きが把握できる。

 

「右は貰うぞ!」

 

 ゼノヴィアさんが右の頭目掛けて飛び上がり、僕が左の下に滑り込む。

 

「【破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)】!」

「ブラッドアーツ! 【斬鉄】!」

 

 上と下からの強烈な一撃に、ケルベロスの右左の頭が沈黙する。

 それを確認する前に、僕は神機を構え、中央の頭に収納された銃身を押し付ける。

 

「トドメ! 【IE肆式・轟爆】!」

 

 銃身からオラクルの爆発が放たれ、それを零距離で撃ち込まれたケルベロスは、断末魔の叫びを上げることもなく倒れ落ちた。

 

『見事です、我が君』

「ありがとサリエル。いこう、ゼノヴィアさん!」

 

 

 次は、隣で戦っている兄ちゃん達の援護だ。

 

 

 不思議と、今は全く怖くない。

 始まる前はあんなに怖くて、震えていたのに。

 

 慣れたのか、興奮してるのか、それとも皆がいるからか。

 それは解らない。でも、震えて無いから、ちゃんと剣を握れているから、僕は戦える。

 

 

 

 皆を、大切なこの場所を守るために、戦える!!

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 すぐとなりだったのに、僕らはこの惨状に気付くことが出来なかった。

 

「滅びよ、悪魔。【英雄の光矢(オリオン・サギッタ)】」

 

 それほどまでに一瞬で、僕らが気づく間もなく皆がやられたと言うことだ。

 

 

 降り注ぐ光の数は、およそ18個。

 それは、オリオン座を構成する星の数と同じ数だった。

 

「ぐぁぁぁ!!」

 

 皆、なんとか避けたり、防いだりしているけど、既に満身創痍だ。

 回復役のアーシアさんはまだ、イリナさんの治癒に当たっている。

 

「ああぁ、待っててください! いま、いま、行きますから!」

 

 皆が傷つくこの状況に、彼女は涙を流していた。

 

「ふん、他愛の無い。こんなものか? 貴様らの実力と言うのは? ならば興醒めだな。私が相手をする必要もない」

「みんな! このっ!」

 

 とっさに僕は神機を構え、回復したオラクルで弾丸を放つ。

 

「む?」

 

 しかし、一撃も、コカビエルの光の矢によって弾かれてしまう。

 

 強い。レイナーレなんかとは比べ物にならないくらいに、強い。

 

「ほう? もうケルベロスのを倒したのか。存外にやる

 ほら、かかってこい、人間と聖剣使い。相手をしてやるぞ?」

 

 空中で両手を広げ、僕らを見下ろすコカビエル。

 その表情はいたって余裕そのもので、愉しそうな物であった。

 

「おおおおお!! 【破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)】!!」

 

 僕の隣から跳躍したゼノヴィアさんが、コカビエルへと斬りかかる。

 

「ふん、軽い一撃だな。【獅子の咆哮(レオ・クラーマーレ)】」

 

 だが、その一撃を素手で受け止めたコカビエルは、その手から光の砲撃を行った。

 

「ぁぁぁああ!!」

「ゼノヴィアさん!」

 

 それをマトモに受けたゼノヴィアさんが、悲鳴を上げながら地に落ち、そのまま動かなくなる。

 

「そら、フリード、最後の一本だ」

「はいはいりょーかい! ところで俺っちの出番まだっぽい?」

「そう急くな。じきにくれてやるから、今はバルパーを援護していろ」

「あいあいっと!」

 

 倒れたゼノヴィアさんから聖剣を奪おうと、フリードまでもがこの戦場に入ってくる。

 

「くっそぉ、させるかよ! 血の力【鼓舞】!」

『Bloody Booster!! The Encourage!!』

「部長! 俺に魔力を! ハル、やるぞ!」

 

 それを止めるべく、立ち上がった兄ちゃんが僕らに声をかける。

 

「やらせるものか! 【射手の(サギッターリウス)―――」

「それはこちらの台詞さ! 【魔剣創造(ソードバース)・火氷剣】!!」

「…やらせません!」

「雷撃よ!」

「ちぃ、小賢しい!」

 

 僕らの妨害をしようとしたコカビエルに対し、三人の攻撃が同時に放たれ、その動きを阻害した。

 

「ありがとう、三人とも! いくわよイッセー、ハルト! 血の力【支配】!」

 

 【鼓舞】と【支配】の二つの強化能力により、魔力と身体能力を得た僕らが、フリードの元へと駆け込み、技を放つ。

 

「【破撃ノ拳打・龍】!」

「【波濤斬り】!」

「うあっとぉぉい! あっぶえねぇな! 死んだらどうするよ! なんちて」

 

 その攻撃すらも、【天閃】の加護を持つフリードの前では見切られ、躱される。

 

「おおっ、仲間を助けにいざ推参ってかぁ!? ところがどっとこいザンネン! 既に聖剣は奪われた後だった! 無念! それじゃ、あーばーよー、とっつぁん!」

「いかせるか! 『Boost!!』【ドラゴン・ショット】!」

 

 すぐさま僕らに背を向けたフリードに対し、兄ちゃんがブラッドアーツを放つが、

 

「ねぇねぇ、知ってる? 悪魔の攻撃って、聖剣で斬れんだぜ!!」

 

 その言葉と共に剣を振り抜いたフリードによって真っ二つにされてしまう。

 

 そして次の瞬間、後ろから爆音が響き渡り、コカビエルの相手をしていた三人の悲鳴が聞こえてきた。

 

「小猫ちゃん! 朱乃さん! 木場先輩!」

 

 振り向けば、三人が血まみれで倒れ伏し、それをコカビエルが哄笑と共に見下していた。

 

「ふはははは!! そんなものか、貴様らは! そんなものか、グレモリーの悪魔よ! 魔王の妹と、その眷属たちよ!」

「ちくしょうが! 【ドラゴン・ショット】!」

「温いわ、戯けが!」

 

 苦し紛れに兄ちゃんが放った攻撃も、片手一本で握りつぶされてしまう。

 

「このような攻撃で私に届こうなど、烏滸がましいにも程があると言うもの!」

「…………なら、これはどうかしら!」

 

 その言葉に返したのは、グレモリー先輩だった。

 先輩は、自分の紅い魔力と、赤い血の光を放ちながら、その二つを手へと送り込んでいた。

 

「ブラッドアーツ! 【滅魔ノ戯曲・巨星】!!」

 

 先輩が両手を上に掲げると、頭上に巨大な滅びの球体が出来上がる。

 

「これで、滅びなさい!」 

「ほお、この密度、大きさ、なるほどなるほど、流石純血の悪魔と言ったところが……………だがっ!」

 

 先輩の魔力を見て愉しそうに嗤ったコカビエルは、その両手を広げ、中心に光の十字を作り出す。

 

「この程度で破れる程、私は甘くはないぞ、グレモリー! 【南十字星の煌めき(サザンクロス・エールプティオー)】!」

 

 その十字星と巨星がぶつかり合った瞬間、眩い閃光と激しい爆音が辺りを包み込み―――――そして巨星が消し飛ばされた。

 

「ふむ、今のは凄かったぞ。流石に服が破れてしまったわ」

「……………嘘、でしょ」

 

 コカビエルが笑い、皆が呆然とするなか、もっとも衝撃を受けていたのはグレモリー先輩だった。

 

 血の力と魔力の全力を込めて放った一撃が、一瞬で、しかも相手に掠り傷一つ負わせられず、服を少し破くだけでとどまってしまったのだから。

 

「こっのぉ! 【滅魔ノ戯曲・流星】!」

 

 次に放たれたのは、先程の巨大な一撃ではなく、魔力の連撃。

 

「まだ撃てるのか。流石だな。だが、あれ以上の魔力ではない限り、貴様の攻撃はもはや通ることはない。

双子の連なる矢(ゲミニー・インペトゥス・サギッタ)】」

 

 先輩の魔力連撃は、コカビエルの連撃によってすべて打ち緒とされてしまう。

 

 

 

 強い。

 

 想像以上の強さだ。正直、勝てるビジョンが全く浮かばない。それどころか、負けるビジョンのみがありありと浮かんでくる。

 

 これが、本当の強者。

 歴史に、否、神話に名を残す程の、本当の強者の力。

 

 

 その圧倒的な強さの前に、笑いが出てしまいそうになるほどに。

 

 

「どうした? もう終わりか? もう足掻かぬのか?」

 

 無理だ。

 どんなにあがこうとも、どんなに立ち上がろうとも、また塵芥のごとく薙ぎ払われてしまう。

 ならば立つ意味など無いだろう。

 

 

 武器を掴む手が緩む。

 

 心が折れかけている僕らに、これ以上戦うことは無理なのかもしれない。

 

 

「ふん、所詮は下賤な悪魔か……………期待した私がバカだった。もうよい、死ね」

 

 コカビエルの前に、7つの光が浮かぶ。

 

「魂の欠片まで塵芥となりて滅べ、グレモリーとその眷属たちよ。

 

 ―――――【七星の制裁(ウルサマヨル・サンクティオ)】」

 

 

 

 

 

 

 

 そして、僕らのすべてを滅ぼしうる覇光が、辺りを白く塗り潰した――――――――

 

 

 




作中の内臓破壊弾のエディットが見たい人が多ければ、割烹に乗せたいと思います。

見たい人はこれで挙手を→(* ̄∇ ̄)ノ



思ったけどバレットの神属性って悪魔にめっちゃ有効じゃね? とか思ったけど、なんか設定とかめんどくさそうって思ったので、どうしようか迷ってる。
どうしよう?


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