後書きにアンケートがあります。ご協力お願いします。
あの戦いから二日後。
「「……………」」
部室で僕と兄ちゃんは開いた口が塞がらない、と言う言葉をまんま体現していた。
「いや、あの……そんなに見つめられると、照れるな」
「いやいやいやいや……………」
照れるとかそんなんじゃなくてね!?
「なにか、変だろうか?」
「「変だよ! おかしいところしか
僕らの叫びに彼女――――ゼノヴィアさんは苦笑を浮かべながら頬を掻く。
「ていうか、え? 転生? なんで? うぇぇえ!?」
驚くことに、ゼノヴィアさんの背中にはなんと、悪魔の翼が生えていたのである。
それはつまり、彼女が悪魔になったと言うことであり、教会を裏切ったと言うことだ。
「………いや、な。神の死を知ってしまった私は、どうやら教会からすれば異分子、或いは危険分子そのものらしくてな、放逐されてしまったよ」
「それで、破れかぶれで彼女は私の眷属、【
ゼノヴィアさんの言葉を継ぎながら、グレモリー先輩が部室に入ってくる。
「それにしても、教会もバカなことをしたわね。天然の因子保持者、それもデュランダルの担い手をアッサリと手放すなんて。まあ、そのおかげで私たちが得をした形だけどね」
そう言って、ふふ、と先輩は微笑む。
「まあ、あのアーシアさんをアッサリ裏切るような連中ですからね。おつむがきっと頗る軽いんですよ。案外中身はスカスカ何じゃないですか?」
「お、おう、いつになく辛辣だな、ハル」
全く、教会の人達って本当はバカなんじゃ無いのだろうか?
僕の言葉に、グレモリー先輩とゼノヴィアさんは苦笑を浮かべ、互いに顔を合わせていた。
「だが、そうだな。これで私もアーシア・アルジェントと同じになってしまったわけだ。………これでもう、彼女の事を悪く言うこともできないな。あの蔑みの目、結構堪える物だな」
ゼノヴィアさんが自嘲気味に笑うと、グレモリー先輩が「ともかく」と、話を戻す。
「これでうちの【
そう先輩が問いかけ、皆の顔を見渡す。すると、誰もが頷き、異論は無いと意思表示をした。
僕を除いて。
「異議あり!」
僕が声を上げながら人差し指をゼノヴィアさんに向けると、周囲が困惑したように僕に視線を向ける。
「………ふむ、やはり君から出るか」
「なにかしら、ハルト?」
ゼノヴィアさんの納得したような言葉と、グレモリー先輩の優しい問いかけが僕にかかる。
「ゼノヴィアさんが僕らの仲間になるのは良いです。でも、そうなる前に着けなきゃならないケジメがあるはずです」
僕がそういうと、兄ちゃんが「あっ」と声を洩らす。対してアーシアさんは、何の事かわかっていないのか首を傾げている。
いやいや、アーシアさん。貴方が一番関係あるんですが。
「ケジメ、か………いや、分かっている。ケジメを着けなくてはな」
その一言で理解したゼノヴィアさんは、僕らの横を抜け、アーシアさんの前に立つ。
「あ、あの、ゼノヴィアさん?」
いきなり目の前に立たれてわたわたとするアーシアさんに、ゼノヴィアさんは一瞬微笑んだ後、勢いよく頭を下げた。
「アーシア・アルジェント、初めてあったとき、君の事を魔女などと罵倒してすまなかった! 私も異端として放逐されたときに味わったよ、あの悲しみを。それなのに、何も知らない私があのようなこと……………本当にすまなかった! 君の気がすむのなら、殴ってくれてもいいし、罵倒しても構わない!」
突然のことに、アーシアさんは目を白黒させる。
「そ、そんな、殴るなんてそんなこと……………」
「いや、せめて一発でいい! でなければ私は私が許せない!」
ゼノヴィアさんの懇願に、アーシアさんは困ったような顔をし、こちらに助けを求める視線を向けるが、僕らは敢えてそれを無視した。
「あ、あぅぅぅ…………え、えいっ!」
困ったアーシアさんは、悩んだ末にペチンと、軽くゼノヴィアさんの頭を叩いた。
「え………アーシア・アルジェント?」
叩かれた衝撃の弱さに、ゼノヴィアさんはポカンとした表情で顔を上げる。
「いいんです。そもそも、もう怒ってませんから。それに、私の事はアーシアと呼んでください。そしてできれば、私の友達になってください」
そう言って彼女は微笑む。その微笑みはまさに……………
「聖母だ………聖母がいる……………」
ゼノヴィアさんが呆けたようにそう呟く。
わかる、その気持ちは凄くよくわかる。
なんせアーシアさんは心身ともに我がオカ研の癒し担当だからね。
え? なに小猫ちゃん? 私も? いやぁ、小猫ちゃは癒しと言うよりマスコット………いたたた! わき腹抓るのは痛いって!
僕と小猫ちゃんがそんなやり取りをしていると、ゼノヴィアさんが僕らの方に振り向く。
「神結ハルトに兵藤一誠。二人もすまなかったな」
「いいよ、気にすんな。あと、俺の事はイッセーって呼んでくれ」
「そですね。あ、僕もハルトでいいです」
「そうか………ありがとう」
僕らがそう返すと、彼女は嬉しそうに微笑んだ。
「それじゃ、新たな眷属【
そしてその日、僕らの仲間が一人増えたのだった。
◆◆◆◆◆◆
「僕の歌を聞けぇぇぇえ!!」
僕の声が部屋一杯に広がる。
「待ってましたー!」
「合いの手は要るかー!?」
松田先輩と元浜先輩のヤジも響き渡る。
あの後、僕らは前々から計画していたカラオケに来ていた。
お祝いにゼノヴィアさんも誘ったのだが、転入手続きやその他やることがあると断られてしまった。
面子は僕、兄ちゃん、アーシアさん、小猫ちゃん、松田先輩、元浜先輩、桐生先輩。
そして意外なことに、木場先輩が来ていた。
「きーみーがーよーはー、ちーよーにー……………」
「なぜその選曲!?」
僕の曲が始まり、歌い始めると兄ちゃんからの良いツッコミが入り、笑いが起きる。
「よっしゃ木場! ハル! トリオ行くぞ!」
「え、え? い、イッセーくん!?」
「らじゃ! せーの!」
その後は、代わる代わるマイクを交換しながら歌い、時には奪い合い、時には僕の腹パンが兄ちゃんに炸裂し、時には肩を組んだ木場先輩と兄ちゃんの画像がばらまかれたり、僕と小猫ちゃんとデュエットしたりなど、その日のカラオケは、今までに無いほどのどんちゃん騒ぎだったと、ここに記しておこう。
あと、後にトリオの画像が流出し、僕らの『禁断の三角関係』と言う噂が流れたのは、まことに遺憾である。
◆◇◆◇◆◇◆
「ごぶっ………! げほっ、げほっ!」
口から大量の血が溢れ、思わずむせてしまう。
「くっそ、だりぃ………」
再び血の滲み出した腹を押さえながら、俺―――フリード・セルゼンは一人、森の中を歩く。
あの戦いの後、集まってきた悪魔達に囚われないよいに、コカビエルから渡されていた
特に行き先も指定せずに転移したため、自分がどこの国の、どこの森に出たのかは分からない。
ただ、理由もなく今は歩き続けている。
俺にはなにもない。
木場祐斗のように仲間も、これからの目標も、居場所も、生きる意味も……………。
「……………へっ、ここまでかよ」
森の少し開けた場所に出て、手頃な木の根本に凭れかかる。
見上げれば、夜明けの近い空にはまだ星があり、その星座から、日本からはさほど離れていない場所なのだとわかる。
星座、か……………。
俺の仇敵であり、上司だった堕天使がかつて司っていた物。
…………なんか、複雑だな、おい。
意識が朦朧とし、少しずつ遠ざかっていく。
………少し、疲れた。ちょっとだけ眠ろうか、ちょっとだけ……………。
重たい瞼に逆らわず、俺は瞼をとじた。
頬を撫でる、暖かい感触があった。
俺の名を呼ぶ、愛らしい声がした。
「……………」
瞼を持ち上げる。
すると、そこには―――――
「よう…………お前ら」
あの戦いの時、俺の元に現れた少年少女――――キャサリン達だった。
『お疲れさま、お兄ちゃん』
前より、声がハッキリ聞こえる。
『やっぱり、カッコ良かったぜ、兄ちゃんはさ』
「そうかい」
子供達の言葉に、力無く笑う。
『お兄ちゃん、眠るの?』
「ああ、少しだけな」
『そっか』
「少しだけ休んだら、俺、頑張るよ」
『うん』
「これから行くところは、地獄って所だろうけどさ」
空を見上げる。空は夜明けの光に照らされ、瑠璃色と白色に変わり始めていた。
「多分、すっげぇ時間かかるけどよ、絶対に、お前らの場所に帰るからさ」
―――――だからさ、
「もう少しだけ、待っててくれや」
俺の言葉に、応える声はなく、彼らはただ、優しそうに微笑むだけだった。
無意識に、手を伸ばす。
最期に彼らに触れたくて。
その温もりを感じてみたくて。
けど、
『じゃあ、待ってるね、お兄ちゃん』
『ずっとずっと、お兄ちゃんが来るまで』
『だから、寄り道しちゃダメだぜ?』
そう言って、彼らは霧のように消えていった。
伸ばした手は何にも触れることもできず、ただ、宙を彷徨う。
「あっ………」
情けない声が、不意に零れてしまう。
夜が明ける。
木々の葉に付いた朝露が、暁光に反射し、キラキラと輝く。
その光景は、あまりに無垢で、美しくて―――――
「―――――ああ、綺麗だ………」
薄れ行く意識のなかで、俺はそう、最期に溢したのだった。
光に照らされた青年が、その体から長く長く息を吐いて眠りに付いた。
二度と目覚めることのない、安息の眠りに。
その顔は、何処までも安らかで、少し、微笑んでいるように見えた―――――。
そろそろこの小説のあらすじを変えようかと考える今日この頃。
だって主人公が無双しないしフルボッコもしないし……………
まあ、それは置いといて、アンケートです。解答は活動報告へお願いします。
【閑話3】について
①少年と巫女の休日(朱乃とデート)
②風邪引き少年と看病(風邪を引いたハルを看病する話)
③ガールズトーーーーーク(ヒロインズ)
④ガールズトーーーーーク(アラガミズ)
⑤その他
よろしくお願いいたします。