ハイスクールG×E   作:フリムン

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以上の結果から、今回は②を、次回は①をやりたいと思います。



 今話は導入部のため、短いです。そして難産故の駄文。




閑話3
風邪引き少年と看病 その1


 

「……………あー」

 

 頭がズキズキと痛くて、喉もヒリヒリと焼け付くような痛みを発している。

 ベッドの上で体を起こして外を見つめるも、体が怠く、思考も上手く纏まらず、ボーッとする。

 

「………これは風邪ですわ……………」

 

 

 

 

 

 その日、僕は風邪を引いた。

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

「休みなさい」

「いや、でも割りと平気…………けほっ…」

「休みなさい」

「今日は午前中で終わr」

「休みなさい」

「おかあs……」

「休みなさい」

「はい」

 

 

 なんてやり取りが朝の居間で繰り広げられ、僕は今ソファに座ってボケッと天井を見ている。おでこに貼られた熱○まシートと、着こんだ半纏のおかげで、風邪の苦しさも和らいでいるような気がしなくもない。

 

 しかし、お母さんも強引だよなぁ………確かに食欲が無くて体の節々が痛くて頭痛も酷くて寒気がして、ただちょーっと目が虚ろなだけで、後は何ともないってのにさ。

 

 僕、ゴッドイーターだよ? この程度の風邪、微熱に決まってるよ。

 

 

 ピピピ、と電子音が聞こえて来る。

 僕はその音の発信源………腋の下から体温計を取りだし、その温度を読み取る。

 

「………げ」

 

 そこに書いてあった体温は、【39.6】。

 

 完全にヤバめな風邪のそれであった。

 

 

 それを自覚した途端、体から力が抜け、意識が遠退いていく。

 

『あ、主! 気をしっかり持て!』

『なんてこと! この我々が、我が君の不調に気付けないなんて!』

『ダメです主君! 主君お気を確かに!』

 

 あ、ムリ、倒れる。

 

『あるじぃぃい!!』

『我が君ぃぃい!!』

『しゅくぅぅん!!』

 

 遠退く意識のなか、アラガミたちの焦った声がガンガンと頭に響く。彼女たちは僕が心配のあまり叫んだのだろうけど…………それが追い討ちをかけたことは言わないでおこう。

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 あのあと、なんとか持ちこたえた僕は、病院で診察を受け、お医者さんから「風邪と疲労ですよ。インフルエンザじゃなくて良かったですね」と言うありがたいお言葉とお薬を貰った。

 そしてそれを飲んで眠ったのだが、そこからが苦しかった。

 

 嘔吐感に苛まれても胃には何も無いし、熱と寒気のせいで寝苦しくて、嫌な汗が出る。

 

 

 うんうんと魘されながら睡眠を取り、意識が浮上してきたのは時計が天辺を大きく過ぎた午後の事だった。

 

 

 目覚めた原因は、僕のおでこに置かれた濡れタオルの感触と、首もとや顔の汗を拭う感覚だった。

 

「う………ん?」

 

 ぼんやりとした頭で最初に認識したのは、鼻腔を擽る甘い芳香と、さらさらとした黒髪。

 

 最初はお母さんかと思ったけど、考えてみればお母さんは黒髪だけどここまで長くないし、そもそもこんな良い匂いなんかしない。

 

 段々と意識がハッキリしていき、それに伴って目の前の人物が誰なのかを僕の頭が理解し始める。

 

 

 長く艶やかな黒髪をポニーテールで纏め、豊かな胸と優しげなたれ目が印象的な美人。

 

 

「あらハルトくん、おはようございます」

 

 

 ――――姫島先輩である。

 

 

「ッ!?!?」

 

 なんでここにいるのか? とか、学校は? などの疑問は浮かぶが、それよりもまず拭いている場所が問題だった。

 

「ひ、ひひひ姫島先輩!?」

 

 彼女が拭いている場所、それは僕の腹部だった。

 

 いや、それだけならまだ良い。けど、気がつけば僕の上半身は裸で、その上半身を姫島先輩が鼻唄を歌いながら隅々まで拭いていく。

 

「ななな、なん!?」

 

 慌ててベッドから飛び降りて距離を取ろうとするが、それが叶うことは無かった。

 

「ダメよ、ハルトくん。病人がそんなに暴れては」

 

 ガッチリと。

 上からのし掛かるように僕の両肩を押さえ、動きを封じる。

 

 あ、力強い! さすが悪魔!

 

「ち、ちか………けほっ、けほ………」

「あらあら……はい、君のお母様から頼まれた汗拭き、終わりましたわ」

 

 何頼んでるのお母さん!?

 と叫びたかったが、掠れた喉ではそれすらも苦しく、僕はただ呻くしか無かった。

 

「うふふ。あ、体、起こして下さいな」

 

 もう抵抗する気力も無くなった僕が言われるがまま体を起こすと、姫島先輩は僕にパジャマを着せ始める。寝る前に着ていた物とは違うものだ。

 

 パジャマを着せられた後は体を支えられながらゆっくりと横になる。 

 

 なんだか見られてるのが恥ずかしくなって、僕はお布団を掴み、口許まで持ち上げる。

 

「…………風邪、伝染(うつ)りますよ」

「大丈夫よ、悪魔ですもの。それよりも、まずはハルトくんですわ。ちょっと待ってて下さいね?」

 

 そう言って、姫島先輩は僕の頭を撫でたあと、額に濡らした布を置いて、部屋を出ていってしまう。

 

「……………」

 

 一瞬だけ寂しさを感じたけど、それも部屋に向かってくる足音で吹き飛んだ。

 

 

 ドタドタドタ、と複数人の足音が響き、話し声も聞こえて来る。

 

『こんなに大勢で押し掛けて大丈夫でしょうか…………?』

『案ずるなアーシア。彼ならきっと喜んでくれるさ。付き合いは短いが、私でもわかるぞ』

『はぁ、はぁ、ハルトきゅん、大丈夫かな?』

『誰かその祐t……変態を止めなさい!』

『…朱乃さん、雷お願いします』

『あらあら、うふふ……えいっ』

『アッーーー!』

『ちょ、お前ら押すな騒ぐな!』

 

 ………うん、途中のカオスちっくなやり取りなんて僕は聞いてないヨ。

 

 布団の中でついつい笑みを溢しながら、扉に目を向けていると、足音がそこで止まり、ゆっくりと開かれる。

 

「よーっす、ハル。無事か?」

「おはよう兄ちゃん。生存確認の意味なら無事だよ」

「よし、それくらい返せるなら大丈夫そうだな」

 

 最初に顔を見せた兄ちゃんは頷くと、扉を大きく押し開けた。

 すると、予想した通りの皆がそこにいた。

 

 

 ……………まあ、約一名、なぜか黒焦げの上に縄でグルグル巻きにされてはいるんだけどね。

 この間のカッコ良かった木場先輩は幻だったんだ、きっと……………泣きたい。

 

 

「疲労で風邪を引いたそうだな、ハルト」

 

 真っ先に話しかけてきたのは、この間眷属になったばかりのゼノヴィアさんだった。彼女を先輩と呼ぼうとしたら、「君からそう呼ばれるのは何だか気恥ずかしいな。今まで通りに呼んでくれ」と、笑いながら言われた事がある。

 

「ま、人間の身であんな戦いを引っ張ったんだ。疲労も出るさ。聞いたぞ? 短期間で下級堕天使や上級悪魔ともやりあったそうじゃないか。倒れない方が可笑しいくらいだ」

 

 なんて良いながら、彼女は僕のベッドの隣に座る。

 

「フム………華奢ながらも引き締まった体をしているな…………あれだけの大きさの得物を振るうんだ。妥当か」

 

 僕の腕を取って何やらぶつぶつ呟くゼノヴィアさん。

 それだけなら戦士としての癖なのかな、って思ったんだけど、なんだろう、この視線。

 まるで、肉食獣が獲物を見つけた時のような?

 

「な、なんですか?」

 

 少し身を捩りながら問いかけると、彼女は気にするな、と言いながらニヤリと笑い、腰を上げた。

 

「…朱乃さん。あれ」

「分かっていますわ小猫ちゃん。要注意人物ですわよ」

 

 何やら奥の方で姫島先輩と小猫ちゃんがヒソヒソと何やら会話しているが、生憎ここまでは聞こえないため、何を話しているのかは分からなかった。

 

 

 と、そこでイッセー兄ちゃんとアーシアさんがやって来る。

 

「ようハル。具合はどうだ?」

「薬飲んで寝たら、少し楽になったよ………あ、ありがとうアーシアさん」

 

 アーシアさんに濡れタオルを交換して貰いながら、兄ちゃんの質問に答える。

 

「あ、そうそう、お見舞持ってきた来たんだぜ。………なんだと思う?」

「エロ本とかだったら、次イッセー兄ちゃんが風邪を引いたときのお見舞いに百合と椿の花を持っていくよ」

「不吉過ぎる! つか違うわ!」

 

 それならよろしい。

 去年のクリスマスプレゼントの恨みは忘れないからな。何が嬉しくて『JK~熟した彼女~』だの『おっぱい百選~京都編~』を隠れて見なくちゃいけないんだ全く。

 あのときは全力で逃げた。

 いや、別に興味がない訳じゃないんだけど、なんか嫌だったからとりあえず。

 

「さっき、俺たち全員で買った果物の詰め合わせ、おばさんに渡してきたからよ」

「え、やった! ありがとう」

 

 果物は大好きだ。

 特に柑橘系とリンゴが。

 

 僕がお礼を返すと、皆が苦笑を浮かべ、その代表として兄ちゃんが苦笑を浮かべながら口を開く。

 

「いいって。日頃から何かとお前には迷惑かけてるしな。あと、お前がいないと小猫ちゃんと朱乃さんの元気が無くてな」

「ちょ、イッセーくん!?」

「…黙ってください先輩」

 

 途端に、小猫ちゃんと姫島先輩が何やら慌てたような様子を見せる。

 

「ともかくだ、今日は俺たちがハルに日頃の恩を返そう、と言うわけで、お前を全力で看病することにした」

「え?」

 

 兄ちゃんはいつも唐突に物事を始める人だけど、流石に今回のは反応がろくにできなかった。

 

「え、なんで?」

「言ったろ、恩を返すって」

「いやいやいや」

 

 返すも何も、僕皆に恩返しされるようなこと、何もしてないような?

 

 と、口にすると、兄ちゃんが深いため息を吐き、両手を腰に当てる。

 

「そんな謙遜……………じゃないんだよなぁ、コイツの場合。本気で言ってんだから質が悪い」

 

 兄ちゃんのぼやきに皆の苦笑が入り、それから僕を見る。

 

「とにかく! お前は今日絶対安静な! 絶対だからな!」

「……………フリ?」

洋服崩壊(ドレブレ)かますぞ」

「鬼畜!?」

 

 いまいち釈然としないものの、僕が了承すると、女性陣が勢いよく立ち上がる。

 

「買い出しに行ってくるわ」

「部長、私も付き合おう」

「あらあら、では私と小猫ちゃん、アーシアちゃんで、ハルトくんのお母様のお手伝いですわね」

「は、はい!」

「…頑張る」

 

 意気込む女子達は、僕に声をかけた後に、パタパタと慌ただしく部屋を出ていく。

 と、そこで兄ちゃんが立ち上がり、いつのまにか拘束から逃れた木場先輩と肩を組んで何やらコソコソと話し合っている。

 

「……今回………特別…………女そ……………襲う………………いいな?」

 

 耳を澄ましてみれば、所々聞き取れないものの、そこはかと無く危険な単語がちらほら。

 

 

 

 

 なんだろう、すごく嫌な予感がする。

 

 僕、この風邪を無事に乗り越えられるのだろうか……………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――そして僕の、波乱の一日が幕を開ける。

 

 

 

 

 




さて、風邪引きの時のネタって何がありましたかねぇ……………(オイ
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