ハイスクールG×E   作:フリムン

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書いてて思ったこと。
アラガミーズがボケていない!? 最近あいつらのボケが少なすぎて、けれどもボケを入れられるシーンを書いてないから入れられなくてジレンマつらい。



あと砂糖注意報。


第65話

 

 多勢に無勢だった。

 

 初めて神機を使ったレイナーレとの戦いの時よりも、フェニックス、コカビエルとの戦いを乗り越えたことで僕は遥かに強くなっていた。

 

 けど、四方を囲まれ、それこそ下以外の全方位からの攻撃に僕は徐々に追い込まれ、確実に疲弊していった。

 

 向こうはパッと見た感じで十数人。三人ほど斬り倒したけど、これではキリがない。

 おまけに向こうは光の槍を飛ばす遠距離攻撃も持っている。そしてこちらは、こんなに囲まれた状態では剣での攻撃以外のアクションは全て隙となり、致命的な一撃を受けてしまい兼ねない。

 

 ゆえに精々が【乱戦の心得】と【スタウトファイト】を発動させる位しか方法が無かった。

 

「くぅっ……」

 

 正面からの攻撃を切り払うと同時に身を捩るが、それでも後ろから迫っていた槍を躱しきれず、方を掠め肉が抉られる。

 

「ふん、おかしな神器(セイクリッド・ギア)を使う人間だが、やはり戦いは数よ」

 

 四枚の翼を生やした堕天使の二人のうち一人が僕を上空から見下ろして嗤う。

 

「………ぺっ、ふん。そんなところで見ることしかできない人には言われたくないね! コカビエルの方がもっと正々堂々としてたよ!」

 

 口に溜まった血を吐き捨ててそういうと、先程から捌いている槍とは二回りも大きさの違う光の槍が幾本も降り注ぐ。

 バックステップでなんとか躱すも、その一本が右足のふくらはぎを掠め、僕は着地に失敗して地に転がる。

 

貴様(人間)ごときが最上級堕天使の名前を口にするな!」

「いたぶり殺そうかと思ったがもういい。さっさと始末してしまえ!」

 

 そう命令された周囲の堕天使の動きが変わる。

 

 先程まで少し離れたところから槍を投げてくるだけだったが、それが波状攻撃で斬りつけてくる動きに変わったのだ。

 

「くっ、ブラッドアーツ【朧月】!」

 

 まず一人目、袈裟斬り。

 同時に右肩を切り裂かれる。

 

 二人目、逆袈裟斬り。

 背中を斬られた。

 

 三人目、刺突で突き刺した。

 同時に僕の背中から腹にかけて光の槍が飛び出る。

 

 それで動きが止まった瞬間を目掛けて、投擲された槍が正面から腹を貫く。

 

「ごぶっ………」

 

 血を吐き出した。

 膝をつく。

 

 正直言って、ここまでされてもどこか現実感が無かった。

 それもそうだ。あの激戦を乗り越えて、僕ならやれると、慢心にも似た自信を持っていたのだから。

 だから、ふと今回が初めて一人で戦っているのだと、膝をつくまで気付かなかった。

 

「く、そ………」

 

 視界が歪み、倒れこむ。

 

「ぁぁぁあああ!」

 

 隣から悲鳴が聞こえた。

 ゆっくり首を動かすと、そこには驚きと怒りに包まれた表情の姫島先輩が立っていた。

 

 堕天使達が何か言っている。

 姫島先輩が混じり物? 御方の血を引くって、誰のこと?

 

 薄れ行く意識の中、最後に見たのは絶叫する姫島先輩と迸る雷と()

 

 

 そして、一対の綺麗な黒い翼だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

「主よ、なぜそなたが負けたか、分かるか?」

 

 白狼が金の瞳で僕を見据えながら問う。

 

「僕が、慢心したから?」

「否」

 

 答えた言葉は即座に否定される。

 

「僕が弱かったから?」

「それも否」

「………じゃあ、なんなのさ?」

 

 問いの答えが解らなくて問いかけると、隣の魔蝶から返答があった。

 

「それは、あなたがまだ知らないから」

「なにを?」

「あの夢の、意味を」

 

 あの夢、とはきっと、あの夕焼けの河川敷の、名前も顔も分からない『姉ちゃん』の事だろう。

 

 僕が言葉を発する前に、今度は鋼蠍が口を出す。

 

「あの夢の意味を知らなければ、否、思い出さなければ、主君は弱いままなのです」

「思い、だす? 君達は知ってるの? あの夢の意味を。あの夢の答えを」

「ああ、知っているとも」

「なら、教えてよ! 知りたいんだ、知らなきゃいけない気がするんだ!」

 

 一歩前にでて訴える。

 だが、その訴えは首が横に振られることで拒絶されてしまう。

 

「なんで!?」

「それは、あなたが自ら思い出さなければ意味が無いから」

「それが、我輩たちの誓約だから」

「なんだよそれ……………なんで教えてくれないんだよ! なんで、僕だけ知らないんだよ!」

「すまぬ………それにも答えられぬのだ。許せ主よ。ほら、目覚めの時間だ」

 

 白い世界がぼやけ始める。僕の意識が覚醒しようとしている証だ。

 

「どうして、教えてくれないんだ……………」

 

 そう呟くと同時に世界が暗転し、僕の意識は現実へと戻って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 目を覚ますと、僕は布団に寝ていた。

 外はもう真っ暗で今が何時なのかも分からない。

 

「ここは………」

 

 多分、姫島先輩の家だ。

 

「傷が、治ってる?」

 

 腹に手を当てたり、巻かれている包帯に触ってみても痛みはなく、少しだけずきずきと腹に鈍痛が残っているだけだ。

 

 そこで、襖から漏れる光に気が付く。

 きっと向こうに姫島先輩がいるのだろう。

 

 襖に手をかけたところでふと立ち止まる。思い出すのは先程の光景。

 途切れる意識の最後に見た、先輩に生えた()()使()()()

 

 あれは、つまり……………。

 

 ふすまを開ける。

 

 そこは渡り廊下になっていて、漏れていたのは月明かりの用だった。流石は山ノ上といったところか、自分の家で見るよりも遥かに明るく見える。

 

「……………起きたのね、ハルトくん」

 

 右から声がかけられ、そこを剥けば、薄い白装束――恐らく寝巻きだろう――に身を包んだ姫島先輩がいた。

 

「ご両親にはちゃんと連絡を取りましたわ。明日は祝日だから、ゆっくりしてこいって言ってましたよ」

「……まったく、家の親は……………」

 

 予想通り過ぎる答えに、少し笑いが溢れてしまう。

 

 無言で先輩の隣に座る。距離は拳二つ分位。なんとなくこれがちょうどいい気がしたから。

 

 けど、そこに座ったからと言って何かを話す訳でもなく、互いに無言で空を、真ん丸の月を眺めている。

 

「傷は大丈夫なの? すぐに再生が始まっていたけれど」

 

 長いような短いような沈黙の後、先輩が口をひらく。 

「はい。なんかもう殆ど治りかけてて」

「それもゴッドイーターの性質?」

「どうでしょう。多分そうだと思いますけど」

「なら、あとは制服を直すだけね」

 

 再び沈黙。

 

 普段はこんなに沈黙しないはずなのに、何と無く互いに閉口してしまう。

 

「……………ねぇ、ハルトくん」

 

 また、先輩が呼び掛けてくる。

 

「はい」

 

 空を見つめたまま、返事を返す。

 きっと先輩も空を見たままだ。

 

「ハルトくんは、堕天使は嫌い?」

「うーん………」

「私はね、大嫌い」

 

 僕が質問に答えあぐねると、先輩は少し声を鋭くしてそう言った。

 

「あの真っ黒な翼も、堕ちた光も、そのあり方も、その存在その物も、私は大っ嫌い」

「どうして?」

「私の家族はね、堕天使に奪われたの。堕天使に襲われて、母を殺されて、一人で逃げて、それでも私を殺そうとする堕天使が追ってくる。今日のだってそう。ここ数年間無かったからすっかり警戒を怠っていたわ。

 

 大好きな母を殺した堕天使が、私は嫌い」

 

「……………お父さんは?」

 

 僕はふと、疑問に思ったことを口にだす。

 

「父? ………そうね、父も嫌いよ」

「どうして?」

「……………ハルトくん、こっち向いて」

 

 呼ばれて、先輩の方を向く。

 

 するとそこには―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どう? 醜いでしょ?」

 

 悪魔と堕天使の翼を生やした、()()()先輩が、そこにいた。

 

「その翼……………」

 

「私の父は堕天使。堕天使幹部【雷光】のバラキエル。どう? 驚いたでしょ?」

 

 そう言って笑う先輩の顔には、悲しいほどに自嘲の色が浮かんでいた。

 

「醜いでしょう? おぞましいでしょう? こんな、悪魔でも堕天使でもない、中途半端な混じり物は。

 きっとハルトくんは堕天使が嫌いなのでしょう? イッセーくんを殺したのも、アーシアちゃんを殺したのも、君に大怪我をさせたのも、全部堕天使。嫌いにならない訳が無いわ」

 

 自嘲の笑みを浮かべるその顔は、今にも泣きそうで、

 

「私は嫌い。堕天使が嫌い。堕天使の父が嫌い」

 

 今にも壊れそうで、崩れそうで、

 

「そして何より、こんな自分を隠さなきゃ生きていけなくて、でもこうやってさらけ出して支えてほしいって思ってる、自分が一番汚くて、大っ嫌い!!」

 

 助けを求めてる目をしていたから―――――

 

「軽蔑するでしょう? 醜いでしょう? これが私なの。姫島朱乃()の本性なの! ……………ごめんね、今まで黙ってて」

 

 

 

 

 

 

 ――――――だから、抱き締めた。

 

 

 

「ふぇっ!?」

 

 キャラじゃないのはわかってる。らしくないって、きっと深夜のテンションなんだと思う。

 

 でも、こうしなきゃ行けない気がした。

 

「僕は、先輩のこと好きですよ」

「―――――」

「いつも笑顔で、優しくて、ちょっぴり意地悪な所もあるけど、それでも一緒にいるとあったくて」

 

 抱き締める腕に力を込める。苦しくないように、安心できるように。

 

「堕天使が嫌いかと言われても、正直わかりません」

「………どう、して……」

「人間や悪魔に好い人と悪い人がいるみたいに、堕天使にもきっとそう言う人がいると思うから」

「でも、私は……………」

「現代っ子舐めないで下さいよ。人外娘? ハーフ? ドンと来いです」

 

 先輩の体が震え始める。

 シャツの胸元が少し湿り気を帯びる。

 

「ちょっと月並みな言葉ですけど、僕に取って先輩は先輩なんです。堕天使だろうが悪魔だろうがその半々だろうが、僕には関係無いんです」

 

 嗚咽が聞こえ始める。

 その背中を撫でながら、言葉を続ける。

 

「先輩は姫島朱乃。僕たちの先輩で、グレモリー眷属の【女王(クイーン)】。僕に取っては、それだけで十分なんですよ先輩」

「う……うぅ………」

 

 僕の腕の中にあった先輩の腕が後ろに回されて、僕をしっかりと抱き締める

 

 嗚咽の音がさっきよりも大きくなって、泣き声に変わる。

 

「辛かったんですね。ずっとずっと隠してて。でも、きっと大丈夫ですよ。兄ちゃんもアーシアさんも木場先輩も、きっと受け入れてくれます。だから、泣き止んだら笑って下さい」

 

 胸に(うず)められた頭をゆっくりと撫でる。

 

「僕は、先輩の笑った顔が一番好きですから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

「……………あの、先輩?」

 

 あれから数十分。

 ひたすら泣いた姫島先輩は、今現在そっぽを向いてしまっている。

 

「………僕、何かやらかしました?」

「ふーんだ。別に年下に慰められたからって拗ねてませんよーだ!」

 

 なに今の可愛い。

 

「えー、じゃあ、どうしろと………」

「名前」

「え?」

「名前で呼んで」

「い、いきなり?」

「小猫ちゃんとアーシアちゃんとゼノヴィアちゃんは名前で私だけ名字だなんて、そんなのズルいわ」

「いや、グレモリー先輩も……………」

「リアスはいいの! どうでも!」 

「ど、どうでも!?」

 

 それでいいのか懐刀(クイーン)

 い、いや、でもそれで機嫌を治してくれるのなら!

 

「あ、あけ、」

「………」

「朱乃………先輩」

「つーんだ」

「えぇ…。あ、朱乃、さん……」

「………………つん!」

「だめかー。………朱乃」

「はい、ハルト!」

 

 勇気を振り絞って呼び捨てで名前を呼ぶと、まるで花のような笑顔が綻んだ。

 

「ふふふ、はーるとー」

「は、はい!」

「んーん、呼んだだけ。ふふふふ」

 

 だ、誰だこの人ー!!

 

 え? いつもの先輩どこ行った!? これが素なのか!?

 

 その普段とのあまりのギャップの激しさに戸惑っていると、不意に腕を引っ張られ、引き倒される。

 

 ポフン。

 

 倒れた先で、僕の頭部を柔らかくて暖かい感触が包み込む。

 

 こ、これは!

 

「ふふふ、可愛い顔」

 

 これは、HIZAMAKURAだ!!

 

 しかも僕の頭を撫でるその優しい手つきが、とっても落ち着く。

 あ、ヤバイこれ。イッセー兄ちゃんがキモい顔してたの何と無く分かる気がしなくもない。

 やんないけど。

 

「ねぇ、ハルト」

「はい」

「ハルトの好きって、先輩としての好きでしょ」

 

 一瞬、どうしてそんなことを聞かれたのか本気で理解できなかった。

 

「……………どうして?」

「んー、なんとなく、かしら。きっとハルトには、ずっと前から好きな人がいる気がするの」

 

 ずっと、前から……………。

 

 そういわれると、なんだかそんな気がする。

 

 思い出せないけれど、思い出そうとするだけで、胸が暖かくて、切なくて、悲しくて、けれど愛おしくて。

 

 そんな風に思える人が、いた気がする。

 

「多分、そうなんだと思います。僕も自覚は無かったんですけど、そんな気がします」

「ふふ、やっぱり」

「………いいんですか? こんなこと言っても」

「いいの。ハルトには、真っ直ぐな気持ちで見て欲しいから。顔も知らない誰かに勘違いされたままなのは嫌だから」

「すみません………」

「謝らなくていいのに」

 

 そんなやり取りをしている間も、朱乃は僕の頭をなで続ける。

 

「私、負けないわ。絶対ハルトを振り向かせて見せる」

「…………はい」

 

 そう意気込む朱乃の姿がなんだか面白くって、ちょっと笑い声が出てしまう。

 

「あ、なんで笑うのよ」

「あた!」

 

 ぽかっ、と軽く額を叩かれてしまった。

 

「………そろそろ寝ましょうか」

「そうですね」

 

 朱乃……さんがそう行ったので、僕も返事をして立ち上がる。

 惜しく感じたけれど、仕方ないね。

 

「それじゃあ、おやすみなさい」

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

「……………あの」

「なぁに?」

「いや、なぁに? じゃなくてですね」

 

 あれぇ? どしてアケノ=サン、僕のオフトン入ってる?

 

「……添い寝、ダメかしら?」

「僕、一応男ですよ?」

「ハルトなら歓迎するわ。むしろ私が襲いそうですもの」

「リビングで寝てk……うわぁ!」

 

 戦線離脱をしようとした瞬間、腕を捕まれ引きずり込まれてしまった。

 

 そして現在、僕の目前には朱乃さんの豊満な胸部装甲が……………。

 

 

 

 チュ。

 

 

 

 呆けている僕の額に、柔らかい感触。

 見ると、朱乃さんが僕の額にキスを……………キス!?

 

「お休みのキスですわ。ハルトのファーストキスは、ハルトが一番大切だと思った人にあげるまで取っとくのよ?」

 

 私がその一番になれたら嬉しいけれどね。

 そう言って先輩が笑った。

 

「……………も、もう寝ます」

「あらあら、うふふ。はい、おやすみなさいハルト」

 

 せめてもの反抗で背中を向けて眠ると、朱乃さんが後ろから抱きついて来るが、それでも頑張って目を瞑っていると、戦いの疲れが溜まっていたのか、睡魔はすぐにやって来た。

 

 

 

 

 

 

 おやすみなさい、朱乃さん。

 

 あなたが笑ってくれて、本当に良かったです。

 

 

 

 

 そうして、僕の意識は夢の中へと落ちていくのだった。

 

 

 

 




ここだけの話。
最初この物語を考えた時のメインヒロインは朱乃さんでした! 故のこの厚待遇である。

 あ、まって小猫ちゃん! やめて!? その手に持ってるパラソルチョコ下ろして! 目は流石に……………あっ。





今日の気分。
夏休みだおらぁぁぁあ!! 多分きっと補習はない! そんな手応えがした! いける、行けるぞ! 沖縄に帰らせてもらう!

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