(土下寝)
……………
「はぁう!?」
すごい夢を見た気がする。
正確にはピンク色主体の浴室でのあれやこれやな夢。R指定は守った気がする。
「ここは………」
目が覚めれば、見慣れぬ木造の天井と本を読む朱乃さん、背中に伝わる固い感触と頭にある朱乃さんの太股の柔らかい感触、そして伊草の香りと朱乃さんの甘い匂い………。
「……………っ!」
「あら? 起きました?」
なんとか噛み殺した。悲鳴を。
あぁ、ビックリした………じゃなくて!
「ひ、ひひ姫じ…………じゃなかった、朱乃さん!?」
「はい? どうしました?」
「い、いやどうしましたじゃなくてですね! ………今どういう状況なんですかね」
問うと、朱乃さんはキョトンとした顔で首を傾げ、僕を覗き込む。
「どういう、と言われましても?」
「いやいやいや……」
「膝枕ですが?」
「いや見ればわかるんですけどね? あと、どうして僕の頭を押さえつけてるんですか? ちょ、起き上がれない力強い強い!」
強く押さえつけられてるのに、掌も太股も柔らかくてむしろ心地良い。
なにこのテクニック。すごい。
「もう、暴れないで下さいな。……心配したんですから…………」
そう言われると反論出来なくて、渋々抵抗をやめる。
決して太股の柔らかさに屈したわけではない。断じて。太股柔らかい。
「僕、どれくらい寝てました?」
「んー、1時間くらいかしら?」
「そ、そんなに!? ……ご心配をお掛けしました」
逆上せてしまったとはいえ、そんなに寝ていたとは。
やっぱり疲れてるのかな? 体感だと2ヶ月くらい寝てたような気がしないことも無いし。
「まあ、目が覚めたのなら良かったですわ。このあと予定もありますので」
「予定、ですか?」
部活でなんかあったっけ?
「ええ、本当はこのままイチ、んん、ゆっくりしていたいのですが、魔王様にお呼ばれしたら断るに断れませんもの」
「へー、魔王様に……【
特に考えもなくそう返すと、朱乃さんはなぜか首をちょこんと傾げ、僕の顔を覗き込んでくる。
「? 呼ばれたのは、ハルトくんもですよ?」
「えっ」
「サーゼクス様への用事は、リアスに頼んで夜にしてもらえたのですが」
「えっ」
「流石にあまり繋がりのないレヴィアタン様からの呼び出しは断れませんわ」
「えっ」
え、呼び出し? 魔王から? 誰が? 僕が?
い、いやだ、凄く嫌だ……。なんか、恐怖よりも嫌な予感がする。
「なんでも、悪魔と行動を共にする人間に興味が沸いたとかなんとかで」
「す、凄く行きたくないです」
そう答えると、朱乃さんは優しく微笑んで、僕の前髪を撫でる。
「大丈夫ですわ。レヴィアタン様は癖の強いお人ですけど、とっても優しい方ですから」
「うぅ、そうは言っても……」
僕は、悪魔、と言うかオカルトチックな物が苦手だ。
最近はオカ研の皆にも慣れて仲良くしてたから、もう大丈夫かなって思ってたけど、それでもやっぱり初対面の悪魔と会うとなると、どうしても体が硬直してしまう。
きっと、僕一人で会ったら会話してられないだろう。
「大丈夫、私が付いてるわハルト」
唐突に、耳元でそう囁かれる。
その言葉使いに昨日の夜、いや、今日の夜のことを思い出して、どうしても顔が赤くなる。
「………そういうの、ズルいと思います」
「あらあら、うふふ、そんなに顔を赤くして、可愛いですわね」
「……顔が赤いのはお互い様じゃないですか」
こうまで言われたら、腹を括るしか無いよね?
大丈夫、もうあそこまで過剰に反応はしないはずだ。
なんだかんだ言って、慣れてしまえばちゃんと話せるんだから。
「さて、と」
一通り会話して、朱乃さんの太股とかを楽しんだあと、僕は立ち上がる。
その時、朱乃さんの名残惜しそうな声と、温もりから離れて少し肌寒く感じる後頭部に後ろ髪引かれながらも、彼女の方に向き直る。
「確か11時からの予定でしたよね? なら、そろそろ準備しません」
「……………そう、ですね」
ちょっと俯き気味に頷く彼女の、普段の余裕からは考えられないその姿に、珍しい物が見られたとほんの少し笑みを溢す。
「また今度、時間がある時にでも一緒に出掛けませんか?」
「え?」
僕の言葉に、勢い良く朱乃さんが顔をあげる。
「今日は予定があるから無理でしょうけど、今度の休みの日に、お出かけしませんか?」
「そ、それは、デート……と言うことでいいのでしょうか?」
デート……まぁ、そういうことになるのかな?
「そ、そうですわね!」
首肯を持って返答すると、見るからに元気を取り戻した様子で彼女は立ち上がる。
そして、箪笥の上から修復した僕の制服を取って渡してくる。
「そうと決まれば、厄介事……………いえ、用事を済ませてしまいましょう。場所は部室よ」
おい今厄介事つったぞこの人……………いや、もう突っ込むまい。
それよりも僕は、これから魔王様に会うための心構えをしなくては。
主に倒れないための。
◆◆◆◆◆◆
……………正直舐めてた。魔王ってすごいなぁ。
「あれ? 聞いてる? と言うか生きてる? おーい、ハルきゅんー?」
いやもうね、悪魔怖いとかそんな条件反射とか吹き飛ぶくらいにはぶっ飛んでるね魔王様って。
「むー! 皆から悪魔が苦手って聞いてたから緊張解すための衣装で来たのにー!」
いやぁ、話によるとあのグレモリー先輩のお兄さんも、今日は神社お寺巡りを堪能してるって話だし、すごいシスコンって話だし、そう考えるとこの人のコレも、魔王じゃ普通なのかなぁ……?
「……………お姉様、私は何度その格好を止めてくださいと言えばいいのですか……」
「えー、ダメ?」
「ダメです」
「……………なんだよ、魔王少女って……」
「あ、復活した」
「…大丈夫?」
ようやく現実に目を向けた僕に、兄ちゃんと小猫ちゃんが声をかけてくる。
「うん、一応ね。正直、頭がショートしてはいたけども」
「気を付けろよハル、この人の本気はまだまだなんだから」
「えっ」
「…昨日はいろいろと酷かった」
「久しぶりなんだから、しゃんとしろよな」
「…先輩、それ言っちゃダメです」
と、とりあえず意識を戻して、
「あ、あの、レヴィアタンさま………」
「もー! 違うってば! 私のことはレヴィちゃん、若しくはマジカル☆セラフォルー、あるいはレヴィアたんって呼んでってばー」
「あっはい」
なんだろう、このノリ。
魔王ってつまり王様でしょ? 王様軽くない? え? 魔王はだいたいオフではこんな感じ? マジすかグレモリー先輩。
「……じゃあレ、レヴィ、ちゃん……」
「はい良くできましたー! えらいえらい」
「あ、ありがとうござ……じゃなくて! あの、どうして僕ら呼ばれたのでしょうか?」
今回呼ばれたのは木場先輩と、グレモリー眷属にとっての新参者である兄ちゃんとアーシアさんと僕だった。いや、僕眷属じゃないけどさ。
「いやぁ、君たちとは話したことないってのと、君たちはあのコカビエルを倒しちゃったからねー。興味沸いちゃった」
「興味、ですか?」
「だって、赤龍帝に回復系
にやり、と笑ったその顔には、先程までのおちゃらけた雰囲気はなく、ただただ興味の眼光を覗かせる一人の美女の容貌があった。
「リアスちゃんを覗けば下級悪魔だけだと言うのに、上級悪魔を下し、さらには最上級堕天使をも下したグレモリー眷属。そして彼らと行動を共にする人間。
冥界はこの話題で今持ちきりだよ? こんなの、私でなくても興味を抱くわよ?」
だから、
そう、魔王は言葉を区切り、テーブル越しに身を乗り出して僕に顔を近づける。
「気を付けなさい、神結ハルト。これは警告。
人の身に過ぎたる力は………いえ、そうでなくとも強大な力は、更なる災いを引き寄せるわ……………努々、忘れないようになさい」
そう言って、レヴィちゃん様は僕から顔を離して、にっこりと笑う。
その笑顔は、最初の天真爛漫な物に戻っていて、先程までの声音が嘘のような表情をしていた。
「はい、これでお話はお仕舞い! あとはリアスちゃんと朱乃ちゃんとのお話し合いだから、眷属の皆は帰っておっけー!」
ぱんっ、と手を鳴らして立ち上がった魔王様は、そのままグレモリー先輩と朱乃さんを連れて、会長先輩と一緒に出ていく。
途中、「あれ? もしかしてこれで出番終わり? え?」なんて会長先輩の言葉が聞こえた気がしたが、まぁ気のせいだろう。
四人が、と言うか魔王が部屋から出ていった途端に、部屋にいる全員から息が溢れた。
なんだかんだ言って、魔王という絶対強者と対面して皆疲れていたのだろう。
とりあえず、僕は四人が出ていった扉を見つめながらポツリと感想を呟いた。
「
「言ってやるな、ハル」
いや、あのですね、はい。
2ヶ月も待たせた挙げ句こんな中身のない糞みたいな文章垂れ流して何しとんじゃワレェ、奥歯にポップコーンの殻詰めてもどかしい感じにさせたろかい!
なんて罵詈雑言はいくらでも受けるんで、言い訳をさせて下さい……………
遅れた理由
4巻を実家(沖縄)に忘れる
↓
飛行機での行き来だから取りに帰れない
↓
かといって両親に送ってくれとは言えない
↓
古本屋へ行く
↓
売り切れ
↓
10月にようやく入手
↓
演劇部の公演(主役)
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レポートやら課題やら
↓
プロットの誤削除
↓
思い出せないので急遽予定になかった謎のセラフォルーのシーンを投下(薄い)
↓
投稿←今ここ
いや、もうね、とりあえず黙って土の下に座るのでごめんなさい!