誰も見てないよね? よし、今のうちに最新話置いて逃げよう。
内定先月の22日に貰ったけど、研究室の課題やらFGOやら気が抜けて遊び呆けたとかで先延ばしにしてたって言い訳はきっと通じないから、今のうちに……………。
約4ヶ月ぶりの更新なのにオールオリジナルっていう
――――また、夢か。
それを認識したとき、僕の意識は直ぐにそう判断した。
いつの間にか慣れてしまった、明晰夢のようなフワフワとした感覚に、つい身構えてしまう。
けど、今回のそれは、いつも見る、知らない記憶の夢じゃなかった。
僕や兄ちゃん、小猫ちゃん、朱乃さん、グレモリー先輩、皆が部室にいて笑っている、そんな夢。
他愛のない会話をして、お菓子を食べて、形だけの悪魔の研究をおふざけでやってみたり。
そんな日常の光景の夢。
暖かくて、楽しくて、こんな時間がいつまでも続けば良いって、ずっと思えた。
次に見たのは、戦いの夢。
これまで戦ってきた相手と、僕らオカ研で戦い抜いた日々の追憶。
決して許せない怒りをぶつけ、譲れぬ信念をぶつけ、悪意に、敵意に立ち向かってきた、激動の日々の夢。
辛くて、苦しくて、悲しくて、けれども互いの感情をぶつけ合った記憶。
楽しい
これまでの沢山の記憶が夢として甦ってきて、これが夢だと認識しているのに、不思議とそれが現実のように思えて、心地よくなっていく。
『ねえ』
誰かの声が聞こえる。聞きなれたような、聞きなれていないようなその声は、目の前から聞こえてくる。
『ねえ、ハルト』
その声の主に顔を向ける。
そして、認識する。
『ねえ、
目の前にいる記憶の僕が、語りかけてくる。
同時に、世界から音が消える。
彼がゆっくり振り向くと共に、世界が徐々に光に飲み込まれて、白く塗りつぶされていく。
そして、
『
世界が朱く染め上がった。
◆◆◆◆◆◆
「――――――っ!!!」
意識の完全な覚醒を待つことなく、勢いよくベッドから転げ落ちる。
「はっ、はっ、はぁっ………」
バクバクと心臓は脈打ち、火照った体に冷えた床が心地よく感じる。
「い、今のは………」
激しく胸を叩く心臓はそのままに、荒れた呼吸をゆっくりと整える。
仰向けになって、天井を見上げる。
「なんだよ、僕が望んだ光景って」
呼吸も落ち着き、体も冷めると、次第にあの夢への怒りが溢れてくる。
ああ、まただ。
また、こうやって僕の知らない感情を叩きつけてくるのか、この記憶は!
「知らないよ……知るかよ! 僕が望んだ光景なんて知らない! 僕はただ、大好きな皆といられればそれでいい! それだけでいいんだ!」
それだけでいい。そう叫ぶも、心は晴れない。
「ああ、くそ。なんなんだよ、一体」
暗闇のなか、ゆっくりと起き上がる。
こんな状態で眠れるわけがない。
「すこし、頭を冷やそう」
◆◆◆◆◆◆
夜の公園は、昼間の喧騒とはうって変わって静まり返り、静謐な空気に虫の鳴き声だけが響いていた。
ベンチに腰掛け、空を見上げる。
雲一つない夜空には、満月とまではいかなくても、それなりに大きな月が空を照らしていた。
「僕が、望んだもの………」
そんなもの、今まで考えたことすら無かった。
ただ、皆と一緒にいて、笑っていられれば、それだけで満足できると思ってた。
だけど、
「きっと違うんだろうな」
あの夢を見て、夢の僕に言われて、僕の胸に何かが足りないような、そんな気持ちが沸き上がる。
これは一体なんだろうか。僕はなぜ、こんなにも満ち足りているのに、何かを探しているのだろう。
「……いや、違うか。わかってる」
きっと、その答えがこれまで見てきた夢にあるんだと思う。
知らない景色、知らない町、知らない、愛した人。
名前も顔も知らない、一番愛していた人がいる。
会ったこともないのに、見たこともないのに、気がつけばそれを探している時がある。
「僕は、一体なんなんだ………」
知らない記憶の夢を見る。
知らない人の記録を見る。
けれどもそれは紛れもなく僕で、僕以外の何者でもなくて。
訳がわからなくなって、違和感と、疑問と、その他色々な感情がない交ぜになって、僕の心を苛む。
「わからない……わかんないよ! もう、なんだって言うのさ!」
込み上げてくる感情の波に耐えきれなくて、その場で頭を抱え込んだ。
「僕は誰だ! 僕はなんだ! ねえ、誰か教えてよ! 僕は一体誰で、なんでこんな力を使える! なんであんな夢を見る!? 答えてよ! アラガミ!!」
《……すまない、主。我らは、それに答えることが…………》
「そうやって、君たちはまた僕を遠ざけるんだね」
《そんな!? 我らは!》
「だってそうじゃないか! 知っているのに教えてくれなくて、自分で見つけろ? できたら苦労しないよ! ねぇ、教えてよ! どうして僕は、ゴッドイーターになったの!? ねぇ……教えてよ……………」
高まった感情は涙と言葉となって溢れ出す。
わからない。
わからない事だらけだ。
「…ぅぁ……!」
耐えきれず、嗚咽が漏れた。
頭の中はグシャグシャで、自分でも何を考えてるのかわからなくなって、
そうして、僕はずっと泣いていた。
◆◆◆◆◆◆
どれくらいの時間そうしていたのかはわからない。
沢山泣いて、泣き続けて、そうしていつの間にか寝てしまっていたのだろう。気がつけば虫の声も聞こえなくなっていて、あんなに明るかった月も今は厚い雲に隠れていた。
「………暗い」
月明かりのなくなった公園は、すこし異様なまでに暗くなっていた。
「街灯が点いてない?」
その暗さの理由は、本来なら着いているであろう公園の街灯が全て消え、この時間でも通るはずの車の気配すらも無くなっていた。
「っ、」
恐怖が心に入り込んでくる。
こんなのは苦手だ。早く帰ろう。
そう思い、立ち上がった時だった。
『だぁめ』
不意に背後から、女性とも男性とも取れる声が聞こえた。
「っ!!!」
戦闘で培った勘のおかげだろう。すこし前までの僕ならパニックを起こして固まっていたのかもしれない。
考えるより先に体は反転し、その場から大きく飛び退く。
そして振り向いた先、暗闇になれた目がとらえたその姿は、
「………アラ、ガ………ミ?」
黒く闇に溶け込むような巨躯、そのなかで浮かび上がる赤い瞳と白い髭、翼のような背の刃。
――――ディアウス・ピター。
アラガミにおいて、最強クラスと言われる存在。暴虐の化身。
「そん、な………」
『くくく、久しぶりの人間じゃ。それも、とびきり旨そうな臭いをしておる。これは不安の臭いじゃのぅ』
まさか、そんな、
まさかの出来事に思考が止まる。頭が白く染まる。
「………
思わず叫ぶ。自分が何を叫んでいるかもわからずに、ただただ込み上げてくる混乱を叫ぶ。
まるで、
「ぐぅっ!? ぁぁああ!!」
唐突に、締め付けるような頭痛が襲う。
《主! よく見ろ! あれはアラガミじゃない! あれははぐれ悪魔だ! 正気を持て、主!》
そんな筈はない。
だって、目の前にいるのは確かに、アラガミで、けど、そんなことは、あり得なくて………。
思考が纏まらない。身体はいやに震え、呼吸も乱れる。
《主君! 来ます!》
ガンガンと警鐘を鳴らすかのように僕を苛む頭痛のなか、アラガミ達の声が聞こえ、無意識に横に飛んで神機を呼び出した。
顔をあげると、そこにはアラガミではなく、獣のような姿をしたはぐれ悪魔の姿があった。
その悪魔の追撃が迫ってくる。
「この……っ」
刃を一閃し、追撃を凌ぐ。
――――君が望んだ光景は、本当にこれだった?
「――っ」
夢の台詞がリフレインして、息が止まる。
違う! 僕が望んだのは、望んだのは………っ!
《我が君!》
「っ!? がぁっ!」
一瞬生まれた逡巡の隙を狙われ、横凪ぎの一閃が僕の左側を襲い、大きく吹き飛ばされる。
「かはっ! ごほっ、ごほっ、ごぼ………」
受け身を取れず体を強く打ち付け、口から血が溢れる。
『くかかか! 脆い、脆いのぉ!』
「ぁ、ぇ?」
―――――痛い。
痛い。痛い。痛い。痛い痛い痛いいたいいたいいたいいたい!
今まで感じたことのない痛みが全身を襲う。
なんだよ、これ。これ迄だってこれ以上の大怪我をしたって言うのに、比べ物にならない痛みだ。
「いたい………いたい……………なん、で?」
『どれ、どう食ろうてやろうかのぉ』
「ひっ」
恐怖が心を埋め尽くした。
嫌だ。怖い。嫌だ。怖い。
「いやだ…いやだ………嫌だぁぁあ!」
◆◆◆◆◆◆
そこから先は、正直覚えていない。
覚えているのは、あの恐怖と、赤く染まった視界、泣きながら逃げ惑うはぐれ悪魔のみ。
気がつけば僕は、自室のベッドで横になっていた。
「んっ………」
ゆっくりと目を開けると、視界がぼやけて、よく前が見えない状態だった。
よく見えないが、感覚的にここが自室だというのはわかる。
「………起きたの?」
「っ、誰!?………つぁ!」
部屋にいる事で安心していたが、横から聞こえてきた知らぬ声に、反射的に体を起こそうとするも、全身に痛みが走る。
「動かない方がいいわ。治療はしたけど、まだ完全じゃないから」
その声に敵意はなく、胸に当てられた手から放たれる魔力が、僕の体をじんわりと暖かく包み込んでいる。
どうやら治療魔法のようだ。
いや、それよりも。
「ありがとうございます。………あなたは?」
「――気にしないで。ただの通りすがりのはぐれ悪魔よ」
「はぐれ!?」
「はぐれだからって、無差別に人を襲うような連中と一緒にしないで。私はただ、ただ………」
「ただ?」
「……………あなたには関係のないことよ」
何かをごまかすようにそう答えた彼女は、胸に当てていた手を放してしまう。
だが、治療のお陰だろうか、少しずつ視界が戻ってくる。
「治療は終わったわ。もう行くわね」
そういうと、彼女は立ち上がり、窓に手をかける。
「ま、待って!」
視界がほとんど戻り、ようやく彼女が見えるようになったのだ。お礼を言いたい。
「君の、君の名前を教えてくれ!」
戻った視力がとらえた彼女の姿は、残念ながら後ろ姿で、その顔を見ることはできない。
「………私、名前?」
出ていこうとしていた彼女の動きが止まる。
だが、彼女が振り向くことはなかった。
「……………そう、あなたは
「え?」
なんで、彼女は僕の名前を知っている?
「
「なら、せめて顔だけでも見せてくれないか?」
「……いずれ、またもう一度会えるわ。だからハルト。その時までに
そう言って、彼女は部屋から飛び出して行ってしまった。
「待って!」
慌てて窓に駆け寄り、外を見るも、そこに彼女の姿はない。
ただ、黒猫が一匹、塀の上を歩いて行くだけだ。
「彼女は、一体………」
彼女の名前を、僕が知っている?
そんな筈はない。黒髪ロングの知り合いなんて朱乃さんと副会長さんくらいしかいないはず。
それに、
……………いや、まさか、そんな。
思い出したのは、昔、初めて恋をした悪魔の女性。
でも、あの人は誰かに追われていなくなった筈なんだ。
だから、きっと、違う筈だ。
――――また、わからない事が増えてしまった。
僕の、僕自身に対する疑問はさらに大きくなり、そんな僕の苦悩も知らぬまま、夜は明けていったのだった。
いえ、別にね? 作品への熱が冷めたとかそんなんじゃないッスよ? むしろ書きたいものはちゃんとあるんですよ? ただナメクジの如き執筆速度なだけで。理由は活動報告に書いた通りと言いますかなんと言いますか。
遅れて申し訳ありませんでしたぁぁああ!!