ハイスクールG×E   作:フリムン

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もうダメだ。土下座も土下寝ももはや意味を成さねぇ…。

こうなりゃ開き直りだ。よし、言うぞ…言うぞ…





僕の! 更新は! 毎回! これくらい! 遅れるかも! です!!!



………なるべくがんばります













第71話

 放課後のチャイムが鳴り、運動部の元気な掛け声がグラウンドから響いてくる教室で。一人、僕は考え事に耽っていた。

 

 今日はなんだか、早く時間が過ぎたような気がする。

 昨夜の出来事がどうしても頭から離れず、あの言葉ばかりが脳裏で繰り返される。

 

 

 

 ――――あなたは()()なのね

 

 

 まだ? まだって、なんだ?

 僕のあの夢と何か関係がある? ただのはぐれ悪魔を、実物を一度も見たことの無いアラガミと勘違いするなんて事も、今まで無かったのに。

 

《…主君、拙者らも一応アラガミなのですが?》

 

 まぁ、そうなんだけど、そうじゃなくてね?

 

「おい、ハル」

 

「『思い出して』か………思い出すって、多分あの夢のことだよね」

 

「ハールー」

 

「あの夢は絶対にただの夢じゃない。何か意味があるはずだ………」

 

「なぁ、ハルってば!」

 

「!! っ、アバッ!?」

 

「ほげら!?」

 

 突然の大声に驚いて勢いよく顔を上げれば、何か固いものに頭頂部を強打してしまい、僕は頭を押さえながらうずくまる。

 

「いたたた…ん? 何してんの兄ちゃん」

 

 頭をさすりながら前を見ると、まるで潰れたカエルのようなポーズで倒れている兄ちゃんの姿が。

 と、潰れたカエルがもぞもぞと動きだし、体を起こしてこちらを睨む。

 

「あ、生きてた」

 

「お前なぁ……」

 

 涙目で顎を押さえながら立ち上がる兄ちゃん。どうも僕の頭がそこに直撃したらしい。

 そう認識したら痛みが増してきた気がする。

 

 ようやく痛みが引いたのか、兄ちゃんは顎から手を離し、僕の前の席に座り直す。

 

「で、ハル。お前も今日朱乃さん家行くんだろ?」

 

「うん」

 

 そうだった。今日、何でも朱乃さんとこの神社にお偉いさんが来てて、僕と兄ちゃんに会いたがってると今朝オカ研のミーティングで言ってた。

 

「なら、道案内もかねて、一緒にいこーぜ!」

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 夕暮れの道を、兄ちゃんと二人で歩く。野郎二人連れだっての、色気もへったくれもないバカ話で盛り上がる道中、その会話が恋愛へとシフトするのはある意味道理だったのだろう。

 

 切っ掛けは、兄ちゃんの

 

「俺、部長の事が好きなんだよね」

 

 なのだからバカなんだろうか。いや、アホだったか。

 

「へー」

 

「反応うっす!? つかなんか今地味に罵倒された気がする!」

 

「してないよ。て言うか、兄ちゃんのそれホントまじで今更だからね? あんなん公言してるようなものだよ? なに、ネタなの?」

 

「ちっげーよ! 真面目だよ!」

 

「いや、だったら膝枕とかチューとかあれだけされててそんなこと宣う神経を疑うよ」

 

「うーん、でもなぁ」

 

「なに怖じ気付いてんのさ。ヘタレ」

 

「やだ今日やけに辛辣」

 

 だってあれ見てて凄いモヤモヤするし……

 

「そういうハル、お前はどうなんだよ?」

 

「え、僕?」

 

「朱乃さんと小猫ちゃんだよ」

 

「………」

 

「まさか、気付いてないって訳じゃねぇだろうな?」

 

「まぁ、ね」

 

 朱乃さんはこの前本人から聞いたし、小猫ちゃんも、もしかしたらとは思っていた。

 自意識過剰見たいで口にするのは少し憚られたけれど。

 

「俺が言うのもなんだが、お前どーするんだよ」

 

「どうって言われても…」

 

 二人のことは嫌いじゃない。むしろあそこまでの好意を向けられて、嬉しくない訳がない。

 

 ………でも、僕は…

 

「俺は夢がハーレムだし、悪魔は一夫多妻が認められてるって話だけど、お前はどうなんだよ?」

 

 兄ちゃんみたいにそうやって考えられたらきっと楽なんだろう。

 でも、僕は、そんな簡単に複数の女の人と恋仲になれるような甲斐性も、度量もきっとない。

 

 だから、この前の、朱乃さんの告白すらも有耶無耶にして逃げたんだ。

 

「二人のことは好きだよ、きっと。でもね、兄ちゃん、僕は………」

 

「なんだ?」

 

 なんていえば良いのだろうか。夢で見た女の人に惹かれているから、二人とは付き合えない、なんてさ。

 

「僕はきっとさ、兄ちゃんみたいにはなれないんだ。複数の人と恋仲になって、みんなを笑顔になんかできそうもないんだ」

 

「そんなことねぇって。ハルならみんなを幸せにできるさ」

 

 兄ちゃんがそう笑う。きっと特に考えた言葉でなくて、純粋に僕を信じているから出た言葉なんだと思う。

 

 それが無性に、苦しい。

 

「僕ね、この前、朱乃さんに告白されたんだ」

 

「なに!! 赤飯案件か!?」

 

「でも、断っちゃった」

 

「なんで!?」

 

「………バカな話があるんだ。聞いてよ、兄ちゃん」

 

 そうして僕は、少し前から見るようになった夢のことを話した。

 

 

 知らないはずの懐かしい町のこと。

 覚えがない、戦いを決意した日のこと。

 

 そして、その夢に必ず出てくる、顔も名前も知らない、大切な人。

 

 

 見る夢はバラバラで、普通の町の時もあれば、荒廃した世界の時もある。

 統一性なんかなくて、繋がりもわからなくて、でも必ずその女の人が僕の心を揺さぶる。

 

 きっと、そう。

 きっと僕は、その夢の女性に恋をしたんだと思う。

 

 名前も知らない。顔も見えない。

 それなのにひどく心が、魂が求めるその人に、僕は恋をした。

 

 

「これが、あの二人にとって残酷で、不誠実な事だってのはわかってる。わかってるけどね、兄ちゃん。それでもその人の事を探してしまう僕は、きっと彼女達を幸せにはできないんだ」

 

「なるほどねぇ…」

 

 話を聞いた兄ちゃんはその顎に手を当て、似合いもしない神妙な表情で考え込む。

 

「なぁハル」

 

「なぁに?」

 

「お前もハーレム作れば?」

 

 とりあえず殴った。

 顎の先を的確に鋭く抉るようなストレートだ。決まった。

 

「当たるかぁ!! 唐突なバイオレンスやめろや!」

 

「ごめん、人が真面目な話してるのに兄ちゃんが兄ちゃんみたいな事言うから」

 

「そうだよ! 俺だよ!」

 

「………はぁ」

 

「露骨な呆れ……いや、まあ落ち着けってハル。別に考えなしに言った訳じゃねぇよ」

 

 んなバカな。

 

「あのね兄ちゃん。確かに悪魔は一夫多妻が認められてるし、推奨されてるきらいがあるけどさ、そんな簡単に囲えって言うのは、ちょっと失礼だよ?」

 

 好きな人がいるけどその人の事がわからないのでとりあえず自分の事を好きでいる女の子を妻にしときますってそれ、最低野郎の思考じゃないか。

 

「ちげーよバカ。お前はハーレムってものをわかっちゃいねぇ。ハーレムってのはな、欲望だけで作るもんじゃねぇんだよ!」

 

「ダウト」

 

「ごめんちょっと盛った。まぁ実際、ハーレムは確かに偉いやつが無理やり作ってたりするかもしれねぇけど、俺が目指すハーレムってのは、いわば愛の結晶なんだ!」

 

 兄ちゃんが目指すハーレム?

 確かに、兄ちゃんの回りにいる女の人、グレモリー先輩とアーシアさんは、兄ちゃんの事がすごく好きっぽいし、愛の結晶はあながち間違いじゃないのかもしれない。

 

「おこがましいかも知れねぇが、俺は部長とアーシアが好きだ。どっちが一番なんて決められねぇ。

 でももし、いつか一番が決まったとしたら、俺はきっと、それでも二人を好きでいると思う。一番がいても、もう一人だって同じくらい愛せる自信がある」

 

「………それは、兄ちゃんの器と愛が深いグレモリー眷属だからだよ」

 

「かもしれねぇ。けど違うかもしれねぇ。

 要はなハル。俺が言いたいのはこう言うことさ」

 

 立ち止まって、僕の目を見て、兄ちゃんは言う。

 僕が悩んでた一番の理由を。僕すら気づいていなかった、悩みの答えを、自らの欲のままいつも通りに、兄ちゃんは答えをだす。

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 それが、せめてもの誠実さだって、俺は思うぜ、ハル」

 

 

「―――」

 

 いつだって。

 いつだってそうだ。兄ちゃんは僕が悩んで、答えが出せなくなったとき、いつもそうやって、なにも考えてないような顔して平然と答えを出してくれる。

 

「……同じだけ好きになれ、か」

 

 それがなんだか可笑しくてつい笑いが込み上げる。

 

「な、なんだよ、せっかく人が真面目に答えたってのに笑うことねぇだろ…」

 

「ごめんごめん、でもありがとう兄ちゃん。おかげで少し決心ができた。

 ちゃんと、二人と話してみるよ」

 

「おう!」

 

「だから兄ちゃんも、あの二人と話しなよ?」

 

「………おう」

 

 急に声の萎んだ兄ちゃんを笑いながら、そうこうしているうちに、ようやく朱乃さんの家についたようだ。

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

「おうハル。オレの見間違いかもしれねぇけど、目の前に見えるあれはおかしくねぇか?」

 

 朱乃さん家を目前にして、兄ちゃんがそんなことを呟く。指差す方向には彼女の家の特徴である長い階段と鳥居が一つ。

 

「なにがさ?」

 

「いや、ほら、あれはなんだ」

 

「神社だね」

 

「生姜?」

 

「違うジンジャーじゃない」

 

「待っておかしくね? 俺ら悪魔ですぜ旦那? んで朱乃さんも悪魔。神社っておかしくね? そもそも宗教自体違わねぇ?」

 

「でも兄ちゃん、考えてみなよ。あのザ・大和撫子な朱乃さんがこの神社で巫女服着て楚々とした姿で過ごしてる姿を」

 

「…違和感どころじゃねぇ。ベストマッチだな……」

 

「そう言うことさ」

 

「なるほど…」

 

 うん、我ながらナイスな説明。これ以上しっくり来る説明はできそうもない。パーフェクトだ。

 

 と、納得したにも関わらずなぜかしきりに首を傾げる兄ちゃんと、満足げに頷く僕が階段を登り始めたところで、階段の上に朱乃さんが現れた。

 

「いらっしゃい、ハルトくん、イッセーくん」

 

「―――」

 

 

 ……ああ、ダメだ。

 

 さっき兄ちゃんに答えを貰ったばかりだと言うのに、僕が来たことに嬉しそうに顔を綻ばせるその姿に酷く………酷く胸が、痛い。

 

 

















文句は僕を誘惑するエクステラリンクとモンハンとキンハーとFGOとフェンシングとその他面白いハーメルン作品にいってください(逃避)
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