プロジェクトR!   作:ヒナヒナ

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R-100“CURTAIN CALL”

R-100“CURTAIN CALL”

 

 

目にクマを作った研究員がゾンビの様に犇めき合っていた会議室。

今日はTeam R-TYPEの班長級までの研究員の集まっていた。

R-99の報告、後処理が終わってから暫く経って、

過労でダウンしていた研究員達も復活してきた頃合だ。

突然、班長の中でもお調子者で有名なクアンドが走りこんでくる。

 

 

「皆の物、祭りじゃ!」

 

 

そのテンションに対して、周囲は冷たい。

 

 

「R-99のせいで疲れたんだよな、な?」

「心の病気は恥ずかしいことじゃないぞ。さあ、病院に行こうか」

「脳波とってみるか?」

「とりあえず、もう一回寝ろ」

 

 

彼らは、レホス課長経由でまたも会議室に集められたため、

また無茶振りが飛んでくるのかとと戦々恐々として沙汰を待っている。

 

 

課長から伝言を受け取っていたクアンド(課長は事告げで足る会議はサボることが多い)が、

戻ってくるなり発した電波な言葉に、会議室の全員がまた面倒くさそうな顔をした。

最近は病人が多い。

 

 

しかし、彼に続いて会議室に入ってきたレホスに皆が驚く。

 

 

「はいはい。R-99の研究お疲れ様ぁ」

「レホス課長どうしたんです? 課長が来るなんて何かの天変地異の前触れですか!」

「なんかさぁ。R-99がOp.Last Danceに参加したのは聞いたと思うけど、どうやら成功したらしくてねぇ」

 

 

不用意な発言をした研究員の名前を暗記したあと、

レホスはその研究員を無視して話を続ける。

 

 

「! それで軍部の方が騒いでいたんですか」

「そういえば、俺ら全員研究区画でダウンしてたから知らなかった……」

「俺なんて、2ヶ月くらい研究区画でてないぞ。研究室で寝てるからな」

「研究以外には情弱だな、俺ら」

「だって興味ないもん。重要な事だったら誰か教えてくれるし」

 

 

レホスの言葉に皆が驚く。研究漬けでだれもそんな事を知らなかったのだ。

レホスも人のことを言えないし、別に気にするべきことでもないので続ける。

 

 

「でぇ、バイドが居ないとなると、Team R-TYPEは要らない子って事になるんだけど」

「え……もしかして、解散ですか?」

 

 

 

先ほどの気だるい雰囲気は消えて、皆しょぼんとしている。

Team R-TYPEへは、彼らなりに青春や人生、睡眠時間、健康を捧げてきたのだ。

レホスは何時ものへらへらした態度を改め、少し低い声で話し出す。

普段のレホスの性格を知っているものからしたら少々怖いくらいの態度だ。

 

 

「そう、対バイド兵器の研究が我々の存在意義なら、それが達成されれば解散しなきゃならない。

さっき言った通り、これからは次第にバイドの脅威度は下って、そのうち政府から勝利宣言がでるだろう。

その結果、経済を立て直すために軍需から民需への移行が行われ、大規模な軍縮が行われる。

恐らく、我々も民間技術への移行か、解散を迫られる」

 

 

意外にも真面目に話し始めたレホスに研究員達はよれた襟を正して聞いている。

レホスはそこで少し声の調子を軽くする。

 

 

「でも、バイドの性質からして、将来復活する可能性がないわけでもない

そのときR機の開発技術が無いでは困る」

 

 

Team R-TYPEに限ったことでなく、研究開発には膨大な時間と金が掛かる。

それでも、軍や政府から予算が優先的に割り振られるのは、

一度、足を止めてしまえば、それを復活させるのに、それまでに倍する労力と時間が必要になるからだ。

一度ノウハウが失われれば、もう一度足跡をなぞりながら技術を再発見する必要すらある。

それは軍から柔軟性が失われるということでもある。

 

 

「だからTeam R-TYPEの技術を後世に残すために、我々の技術の粋を集めた究極のR機を作る。

……っていう名目で予算付けたよ。よかったねぇ?」

 

 

「は? 名目って。真面目な課長にちょっと感動したのに、俺の感動を返してください」

「いやぁ、Op.Last Dance が成功したってだけで、これからはバイド殲滅戦になるんだけど。

これに関してはR-99ラストダンサーを量産して当てる事になっているんだよねぇ。

R-99は軍の意向が色々入っていて、Team R-TYPE色出し切れなかったから……ねぇ?」

「ではやはり?」

「僕らはOp.Last Danceの立役者で、今はまだバイドの脅威は健在。だから」

「…新しい機体の予算が付くと?」

 

 

いきなりいつもの調子に戻るレホスに、聞き入っていた研究員たちも一気にだらけ、

そして、新しい研究の匂いに色めきだす。

さらに、レホスがダメ押しの一言をつぶやく。

 

 

「作りたいでしょ? 色々と自重しない機体」

 

 

この一言にTeam R-TYPEは沸き立ち、

軍部とは違ったベクトルでお祭り騒ぎとなった。

 

 

***

 

 

・Team R-TYPE R-100製作記録音声 抜粋1

 

 

『レコーダー、セットしたか?』

『大丈夫、これで音ははいってるはず』

『録音されてるって緊張するな』

『開発段階から一応、資料を残せって話だからしかたがない』

『音声である必要あるのか?』

『誰か、書記でもするか? これ機密だらけだから外部に委託できないぞ』

『面倒。それなら音声を残した方が面倒が無い』

『だよなー。あ、ここら辺まで編集で切っておいてね』

 

 

―無言30秒―

 

 

『あー、じゃあ、おr…私達の班はまず主機から見直そう。R-99からの問題点、改良案は?』

『はい、R-99は小型機という制約があったので、本来性能より主機の出力を絞ってあります。

容積が従来比20%増加しますが、出力はさらに10%程度の増加が見込めます』

『あれって、整備性どうにかしろって軍から突っ込まれたから、オミットした機構があるんだっけ?』

『しー!大きな声で言うな。

R-100のコンセプトは技術の伝達を目的としたワンオフ機なので、整備性の順位は低いはず』

『……行けるな』

『課長も自重しなくていいって言ってたし、最後だし』

 

 

―編集点らしき切断音―

 

 

『他の問題は?』

『主機の出力を上げるとなると、ラジエータの能力が足を引っ張ってな……まあ増強してもらえれば』

『ラジエータは空冷だからな、局地仕様の強制冷却システムはどうだろう』

『イオとかの駐留隊が付けている増設ユニットのやつ?』

『それ。ちょっとゴテゴテするけど、冷却能力は一番だ』

『あれは冷却性能の変わりに、作戦時間を削っているのでは……』

『緊急時のみ作動するようにすれば、かまわないさ』

『これ連続で波動砲を撃つと、廃熱が追いつかなくて、放熱板が赤熱するな』

『おおお、必殺技とか連続で放つと、廃熱板が光るとか、こう胸が熱くなるな!』

『廃熱版を後方にもって着て、こんなデザインに……』

『いいなそれ。カッコいいからその案盛り込もうぜ!』

『ちょ…おまえら』

『お前も…ちょっとレコーダー止めろ……ここをこうして』

『『かっけー!!』』

 

 

―録音終了―

 

 

________________________________________

 

 

・Team R-TYPE R-100製作記録音声 抜粋2

 

 

『レコーダーはいったわ』

『オホン。では波動砲コンダクタについてね』

『R-99では特に問題は無いと軍は言っているけれど、どうせ作るなら改良しない手は無いわね』

『そうね。…なんでこの班女ばっかりなの?』

『男にやらせたら、自分の好きな波動砲の話になって永久に終わらないから』

『男って…まあ、改良案としてはどの方向にする?』

『はいはーい。考えたんだけど小型化はどうかしらー』

『小型化ねぇ、R-99で結構小型化していると思うけど更に小型化するの?』

『うん、それ必要かも。だって絶対他の担当班大型化をしてると思うし』

『でさあ、R-99は究極互換機一号って事もあって、換装機構に少し余裕もたせているでしょう。

あれを最適化すればもっと小さくなるって』

『たしかに、改良型なのに同じ物を乗せる手は無いわ。ちょっと図面もってきて』

 

 

―走り回る足音と何かを広げる音―

 

 

『ココとココ無駄』

『その遊びがないと整備は大変そうね。整備ハッチ増やす?』

『整備ハッチつけると、耐久性が落ちちゃうわー。どうせ整備も専属になるんだから多少の整備性は関係ないわ』

『ああ、この機構オミットしちゃおうよ』

『これ取ると、波動砲の安全抑制効かなくなるよ。普通の波動砲チャージを4ループとかできちゃう』

『それは、操縦プログラムのほうで止めてもらいましょう。ほら、良くあるリミッター解除のやつ。

普段はリミッターかかっているけど、破れかぶれでリミッタープログラムを解除すると、強制過重ループができるの』

『それ、理論的にはループ制限がなくなるけど、大丈夫?

スタンダード波動砲のアタッチメントに、ギガ波動砲クラスのエネルギー入れたら高確率で自爆すると思うの』

『らしいわねー。これ秘密なんだけど、R-99がバイド中枢に乗り込んだじゃない、

バイド中枢に通常の波動砲が効かなかったんだけど…そうそう、そういうこと、

この機構が壊れちゃってて、何ループでも可能になっちゃっててね。……そう、もちろん。

それでバイド中枢を破壊したらしいのよ。もちろんR-99も壊れたらしいけど……

でも……あ、忘れてた、レコーダー止めてね。それでね………』

 

 

―録音終了―

 

 

***

 

 

・Team R-TYPE R-100製作記録音声 抜粋3

 

 

『フォースとビット……』

『正直…なあ』

『改良する場所なくね?』

 

 

―数十秒の沈黙―

 

 

『で、レーザー機構の出力UPでもねらうか?』

『理論値で5%も上がらないけど、容積は25%UPね』

『却下』

『デザインで勝負しようぜ』

『そうだな。でどうする』

『R-100の図面が出来上がらないと』

『じゃあ無理じゃん』

『やること無えー』

 

 

―5分間沈黙後、いびきらしき音声―

 

 

―2時間後、意味不明な寝ごと―

 

 

***

 

 

・Team R-TYPE R-100製作記録音声 抜粋4

 

 

『ふっふっふ、俺達の時代だ』

『そうだな。自重しないR機って俺達も何でもやっていいってことだよな』

『コックピット班に当たって良かったー!』

『R-99は軍から色々イチャモンつけられたからな』

『エンジェルパックはダメだとか、試験管はダメとか、BJ物質はだめだとか……』

『よし、とりあえず、案出そうぜ』

 

 

―ガラガラと何かを引いてくる音、続いて何かのキャップをとる音―

 

 

『エンジェルパックを改良したい』

『BJセンサーもいいな。もちろんパイロットは幼体固定な』

『試験管だろうやっぱり』

『お前らやりたいだけだろう。でも胸が熱くなるな』

『まず、現実的に可能か不可能かで考えよう。試験管は接合部が脆くなるが、一応可能。

エンジェルパックだが、これは可能だ。絶対他の班は機関を大型化してくるから、

メリットになる。幼体固定も同様だ。BJ物質は…究極互換機はバイド装甲機じゃないからな……』

『いや、R-99の装甲その他は一度バイド装甲化してからバイド素子を取り除いている。BJ物質も可能ではないか?』

 

 

―沈黙5秒―

 

 

『そんなにローションプレイが見たいのか?』

『見たい』

『俺も』

『正直だな。……実は俺も』

 

 

―椅子が倒れる音―

 

 

『だって最後かもしれないんだぞ。この夢を捨てろというのか!』

『そんな夢捨ててしまえ』

『だって、男の夢だろう。四肢切断された幼女が粘性のあるローションのなかに、

全裸で沈められて、神経接続の快感に身もだえながら……』

 

 

―検閲終了―

 

 

***

 

 

R-99がラストダンス作戦を成功させてから1年経った後。

 

 

Team R-TYPEの大半が研究用デッキの最奥に集まっていた。

デッキの手前の一般区画の方にはR-99ラストダンサーが並んでいる。

ここ最近は残党バイド討伐にラストダンサーが飛び回り、人類の版図を着実に取り戻している。

基地にいる軍人達も表情が明るい。

 

 

白衣の人々の視線の先には真新しいR機。

コックピットは硬質ながら、B-XダンタリオンやB-3C2 セクシーダイナマイト2に似ている。

機体後部には放熱板やアンテナが後方に向ってせり出しており、針山のようだ。

整備製や生産性を考慮したR-99とは違い、かなり派手なデザインだ。

 

 

今日は完成したR-100 カーテンコール―名称はの初飛行の日だ。

30分前からアイドリングしていたカーテンコールに、

改良型としてバイド素子を抜くことに成功したBJ様物質が充填される。

機体各部の動作テストが終了し、アナウンスが入る。

 

 

『発進まで10秒、9、8、7、6、5、4、3、2、1…Let’s Go!』

 

 

Team R-TYPEの夢を乗せたカーテンコールが宇宙に飛び出していった。

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