リンク・スパーダ   作:キラスト

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                1章

俺のところに1通の通達が来ていた。それは、クエスト名『アベンジャー』と書かれていた。クエストには普通ダンジョンの場所が書かれておらず他にもおかしな点があった。ボスには、『汝、己の愚かさを知ることにより不死の龍が立ちふさがる。』と書かれている。気になる報酬のところには『新たな力』とある。こんなにも不可解なクエストだが、それを送ってきたのはカーディナルシステムだった・・・・

 

『みんな、集まってもらってすまない。今日俺のところにこんなクエストが来たんだが、みんなのところには来てるか?』

『私のところには来てないわよ。』アスナや他の人達も来てないということだった。今この場所にいる人達は俺、アスナ、リーファ、

ユイ、リズ、シリカ、シノンにクラインがいる。

『なんで、キリトだけに来たのかしら?』シノンが不思議そうに聞いてくる。

『それは、俺にも分からない。』そう、なぜ俺だけに来たのかが疑問なのだがそれよりも気になるのそのクエストを送ってきたやつだ。

『ユイ、なんでカーディナルシステムがこんなクエストを送ってきたかわかるか?』

ユイはALOでは、ナビゲーション・ピクシーとして俺たちの戦闘面やALOでのサポートをしてくれる。

『カーディナルシステムが勝手にクエストを送るなんて初めてのことです。それに、パパにだけ送られたというのも分からないです。』

ユイに聞いてもわからないとなるとなにかカーディナルシステムで問題があったと考えるのが妥当だろう...

『キリト、この報酬に書いてある新たな力っていうのはなんだ?』

『なんで、俺に聞くんだよ?』

『お前、心当たりがあるだろう。胸に手を当ててみて考えろ!!』以前SAOでキリトだけが使えるユニークスキルをみんなに公開しなかったことがあったのだ。だが、今回に関しては心当たりはないのだ!!

『さぁ?俺に聞かれても分からないものは分からない。』そう言ってキリトはクラインをそっちのけで話を続けた。

『ボスに関しても、分かることは姿が龍であること。そして不死っていうことだな。』

『不死って死なないってことですよね??』シリカは恐怖に震えながら聞いてきた。

『多分そういう事だろう。』

『ちょっと待てよキリト。そんなのどうやって倒せっていうんだよ!!』

『不死って言ってもなにかしら弱点があるんだと思うよ。よく、ファンタジーでもそんな強敵にはなにかあるはずよ。』シノンは弓の手入れをしながら思い当たるように言ってきた。

『そうだね。不死なのは身体だけとか核を壊せば体は再生されないとか。それにしてもなんでクエスト名がアベンジャーなんだろう?報復者って意味だけどお兄ちゃん何かしたの?』リーファはクエストを覗き込むために隣に来ていた。

『アベンジャーって復讐者だよな?』キリトはリーファに問いかけてみた。

『お兄ちゃん違うよ。復讐者はリベンジャーだよ。アベンジャーは報復者だよ。』

『それってなにか違うのか?』キリトはそんな変わらないだろうと思っていた。

『えっとーーー。それは....』私もそんな詳しいことは知らないのだ。

『復讐者っていうのは、正義に基づく報復する人のことで、報復者っていうのは個人敵に仕返しを考ている人のこと。』リーファの代わりに答えてくれたのはアスナだった。復讐者と報復者に違いとしては、仕返しをした結果が正義として認められたら復讐者。仕返しをした結果が正義として認められなかったら復讐者ということになる。

『なるほど。じゃあ、このクエストは俺に何か復讐があるっていう事なのか?』

『キリト君はところ構わず困っている人を助けているから恨みを買われてもしょうがないわよね!!』アスナは机に頬杖をつきながら周りの人達を見まわしてそんなことを言った。

『まあ、そういう所を好きになったんだけど.....(ボソッ)』

『なんか、俺が見境なく誰でも助け.....』

『助けてるんだよ。ですよ。』キリトが最後まで言い終わる前に集まったメンバーが口をそろえて否定してきた!!

『と、とりあえずみんなこのクエスト受けるか? 俺は受けたいと思っている。何か俺に恨みがあるなら俺が決着をつけないといけないことだから。だが、このクエストは分からないことが多すぎて危険だとは思う。だから、せめて俺だけ.....』と、キリトがクエストを見つめながらそんなことを言っていると

『まさか、キリト一人だけ行くとか言わないでしょうね?』

『キリト君一人で行くと言わないよね!!』

『お兄ちゃん一人で行かないよね?』

『キリト一人で行くとか許さないよ。』

『キリトさん私ついていきますよ。』

『キリト水臭いこと言うなよなぁ。』みんなは立ち上がりながら口を揃えて言ってきた。

『お前ら、こんな戦闘馬鹿についてきても知らねえぞ。』そう言いながらキリトはクエスト受注のボタンを押した・・・

そして、アスナが店の中から消えたのだ・・・・

 

俺たちはしばらく呆然としていた。何が起こったのか・・・・

まるで突如自然災害に襲われて何もできず、なすがままにされてしまった。。

数秒間が何十分にも感じ、過ぎたことは一瞬という言葉がふさわしいほどのあっという間に起こってしまったのだ。

そして、最初に声を挙げたのは・・・・

『ユイ、今何が起きた?』キリトだった。だが、今のキリトはいつも通りではなかった。感情に流されるままの言葉だった。

『パパ、待ってください!!』ユイは、ネットワークにアクセスして今の状況を分析はじめた。その間他のメンバーは何もできなかった・・・・

『状況が分かりました。このクエストパパだけに送られたのではありません。不特定多数のプレイヤーに送られてそれぞれ受注したギルドから急にプレイヤーが消えてるみたいです。』

そう、このクエストにはなぜかプレイヤー名の記入が義務付けられていた。そこからランダムで選ばれていることなんだろうか。ただ、この現象にになんの理由があるんだ。

『とりあえず、早くアスナを助けに行こう!! みんな、早く準備していくぞ。』

『お兄ちゃんまだダンジョンもボスも分かってないのにそんなの無茶だよ。』

『そうですよ。キリトさん!』シリカとリーファが説得するがキリトは周りが見えていなかった。アスナはALO内で一度拉致されているトラウマがある。そんなトラウマはそうそう消え去れるものではない。俺はまたアスナを危険な目にあわせてしまった。なんでいつもアスナばかり....そう思うキリトはいてもたってもいられなかった。

『なら、俺だけでも・・・・』そう言おうとした時、ドタっという音がした。キリトは尻餅をついていた。その理由はクラインがキリトの頬を殴ったのだ。

『目が覚めたかキリト!!お前少しは頭を冷やせアスナが何処かに行ってしまって焦る気持ちは分かる。だが、焦って軽率な行動をしたらみんなが危険な目に合う。それに今回はクエストが関係しているから助けられる可能性だってある。冷静ならそれくらいわかることだろう。』クラインはいつも以上に真剣な様子でキリトに言い聞かせた。

キリトは頬を抑えて俯いていた...

『そうだな。悪いクライン!! ありがとう。』キリトはそう言って両手で自分の頬を叩いて一度頭をリセットさせた。

『みんな、悪い。惨めさ所みせちまったな・・・・』みんなに心配をかけまいとキリトは深呼吸をした。

『はいはい、後悔はあとあと。今はアスナを助けに行かないと。』リズはいつもの調子で場を和ませてくれる。

とりあえず、今起きたことを整理してみよう。クエスト受注した直前にアスナが突然どこかに消えていった。そして、ユイの話によるとこのクエストは俺だけではなくいろんな人に送られていること。ということは、俺だけに恨みがあるわけではなくプレイヤー全体に恨みがあるってことだな。

そうだ。マップでアスナの位置を確認できればダンジョンの場所が特定できる。そう思ったキリトはメニューを開いてアスナの行方を探してみるがUNKNOWNと書かれている。ってなると普通のダンジョンではないってことか。

『とりあえず、今は情報集めだ。みんな、誰にクエストが送られたやどんな人が消えていったかを聞いてきてほしい。』俺はみんなにそう伝えてある人のところに向かった。

 


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