二人目の妹は入学すら出来ませんでした   作:スパイラル大沼

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走り幅跳び

 

 

 

 

次の日の早朝。

 

「おはよう、深雪。今朝は一段と早いな」

 

「おはようございます、お兄様。どうぞ」

 

「ありがとう」

 

いつものやり取りの2人。フレッシュジュースを差し出され、飲む達也。

 

「………美雨はまたゲームか?」

 

「はぁ……申し訳ありません。今、起こしてきます」

 

「ああ。頼むよ」

 

そのまま深雪は、二階にある部屋へと向かっていった。

 

 

*

 

 

外。ローラーブレードを操る深雪におぶられながら美雨は寝ぼけていた。

 

「もっとすぴーど落とせぇ〜……」

 

「ダメです。お兄様のトレーニングになりませんから」

 

隣では達也がジョギングしている。

 

「ていうか、起きてるなら自分で走りなさい」

 

「やー……」

 

「落とすわよ?」

 

「わ、わかったから落とさないで!」

 

仕方なく美雨は降りて自分で走った。達也とほぼ同じペースで。

 

「ほっほっほっほっ……」

 

「美雨、静かに走りなさい」

 

「ぶー」

 

言われて美雨はポケットからウォークマンを取り出し、耳に付けた。

 

「Frying the sky!ー

 

「「うるさい」」

 

「なんでこの兄妹こんなに冷たいんだろう……」

 

そのまま走り続けた。

 

 

*

 

 

「やぁっと着いたぁ〜〜……」

 

「走り終わってからすぐに座り込まないの。少し歩いてからにしなさい」

 

「うるさぁーい。兄ちゃんおんぶ〜疲れたぁ〜……」

 

「嘘をつくな。美雨が疲れるわけないだろ」

 

「まぁね。さて、さっさと行こうか」

 

そのままあたし達は寺へ向かった。

 

 

*

 

 

寺に入った瞬間、殴り掛かってくるハゲ達。あたしは思いっきり地面を踏み付けた。瞬間、半径5m以内の地面が上に膨れ上がり、ドガガガッ‼︎と舞い上がった。足場を取られ、グラりと転びそうになるハゲ。その隙を兄ちゃんが逃すはずない。すぐに距離を詰めて、攻撃している。

兄ちゃんが暴れてる中、当然あたしの方にもくるわけで。殴りかかって来るのをあたしは頭突きで相殺させようとした。が、軽く頭を引いた瞬間、拳を引っ込め、お腹に廻し蹴りしてくるハゲ。それを右膝でガードして、お腹を軽く殴った。その瞬間、後ろから別の手が伸びてくる。それを掴んで背負い投げした。

 

「あっやべっ」

 

地面に叩きつけると、地面が軽く割れてしまった。やり過ぎた……背後を取られるとつい力入っちゃうんだよな。

 

「おいおい困るよ。君に軽くでも本気を出されて生きていられるヒトがいると思ってるの?」

 

「!」

 

後ろから声がした。その瞬間、あたしは振り向きざまに廻し蹴りをした。だが、しゃがんで躱される。………ていうか、パンツ見られてる。

 

「へぇ〜キャラに似合わず白……清楚なの履いてるね」

 

「きゃあぁぁっ!こんの…エロハゲェッ‼︎」

 

本気で拳を振り下ろそうとした。

 

「ダメ!いけないわ美雨!」

 

深雪に体を氷付けにされる。が、そんなもの関係ない。拳を地面に叩き付けた。

 

「むおっ⁉︎」

 

だが、何も起こらない。あぁ、兄ちゃんの再生か。と、思ったらチョップされた。3発。

 

「痛ッ!」

 

「「「アホたれ!」」」

 

「ひうっ!」

 

「寺をぶっ壊すつもりか⁉︎」

 

「あなた、自分の化け物さ加減分かってるの⁉︎」

 

「ついうっかりテロを起こすつもりかー!」

 

「師匠があたしのパンツ見たからでしょー⁉︎」

 

「開き直んな!」

 

うう……まぁ、あたしが悪かったけどさぁ……。

 

「悪かったよ……」

 

「ごめんなさいだろ」

 

「ご、ごめんなさい……」

 

その後、兄ちゃんと師匠が稽古して、ようやく休憩。

 

「もう、体術だけなら2人には敵わないかもねぇ……」

 

「体術で互角なのにあれだけ一方的にボコボコにされるというのも喜べることではありませんが……」

 

「それは当然というものだよ、達也くん。僕は君の師匠で、さっきは僕の得意な土俵で組手していたんだから。君はまだ15歳。半人前の君に後れをとるようでは、弟子に逃げられてしまいそうだ」

 

「そうだそうだー。あたしとタイマン張れるんだから喜びなさいー」

 

「なんで上から目線だ………」

 

言いながらなぜかチョップされた。

 

 

*

 

 

学校。いや、勿論普通科の。帰りのHR中。

 

「はあぁぁぁ………………」

 

退屈過ぎる。つまらない。こんな普通過ぎるせいかつが嫌だったから魔法科高校に行ってみたかったのに。

 

「はあぁぁぁ………………」

 

「どうしたの?美雨」

 

クラスメートが声掛けてくれた。

 

「ツマンネー」

 

「? 何が?」

 

「人生」

 

「はぁ?どうしたの?」

 

「あたし、最近思うんだぁ〜なんで三次元の世界に生まれてきちゃったんだろう……」

 

「? 本当に何言ってんの?」

 

「なんか、わかんないかなぁ……もっとこう、なんての?自在に炎とか雷が出せる世界で……」

 

「出来るじゃん」

 

「見えない攻撃によって敵をやっつけて」

 

「出来るじゃん」

 

「剣と銃で必殺技を出して……」

 

「出せるじゃん」

 

「ちっがぁぁぁう!なんかぁ、もっとこう……わかんないかなぁ!」

 

「いや、美雨の考えてる事なんて常日頃から意味不明なんだけど……」

 

「だぁよねー……もういいや。今日は帰る……」

 

「うん。またねー」

 

「? 帰らないの?」

 

「私は部活あるから」

 

「…………なるほど。いいね!」

 

「? 何が?」

 

「部活だよ!あたしもそこで青春するんだ!」

 

「…………はぁ?」

 

「よし、そうと決まれば!見学に……」

 

黒板のこの漢字が読めますか〜♪

 

…………電話が鳴った。

 

「もしもし兄ちゃん?何?」

 

『お前、また家の鍵を忘れて行っただろう。と、いうかお前の鍵が俺の鞄の中に入ってるのはなんでだ?』

 

げっ。間違えたかも。

 

『俺はこれから友人と一緒に帰らなければならない。だから鍵を取りに来るなら今のうちだぞ』

 

「ごめんごめん。今から取りに行くから。うちの学校から何mくらい?」

 

『1kmはあるな』

 

「じゃあ三回にわけて飛ぶから。20秒くらい掛かる」

 

『わかった。なるべく急いでな』

 

「あーい」

 

で、電話を切った。

 

「ごめん用事。またね」

 

「うん。明日ね」

 

そのまま友達と分かれ、あたしは屋上に上がった。そこから、走り幅跳び三回で一高に向かった。が、その三回目のジャンプの時、

 

「やべっ…飛び過ぎた……」

 

校門からは大きく外れて校舎に直行している。

 

「うわあああっ!兄ちゃん止めて止めて止めて止めて止めて!」

 

「あっ?………ってオイ美雨………」

 

そして、校舎に突撃する寸前、なんか見えない壁みたいなのに止められた。

 

「だっ!」

 

「なんだ?何者だ」

 

見れば、明らかにゴッツイ人が魔法のような物で止めている。

 

「あ、あの…えと……」

 

「俺の魔法に突撃して鼻血で済む……むしろこちらを若干押し出すとは……何者だ?」

 

「や、あの……」

 

「まぁいい。今の威力は攻撃と見なす方が自然か。迎撃する」

 

「ええええっ⁉︎ま、待って待って違うよ!兄ちゃんに家の鍵もらいに来たの!」

 

「お兄ちゃん?」

 

「美雨。何してる」

 

声をかけられ、振り返ると兄ちゃんが立っていた。で、大体事情を把握したのか、言った。

 

「申し訳ありません。彼女は俺の妹です。鍵を取りに来たのですが、なんの手違いが飛んできてしまいました」

 

「いや、どんな手違いがあったらそうなるんだ……まぁいい。済まなかったな」

 

「あ、いえこちらこそ紛らわしいことしてすいませんした」

 

そのままその厳つい人は去っていった。で、チョップ。

 

「痛っ!」

 

「ほら、鍵だ」

 

「もう説教もなしかぁー……」

 

 

 

 

 

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