【手首バラバラ殺人事件】
ピンポーンと、警視庁捜査一課の宇三美が探偵事務所のインターホンを鳴らした。
「やっぱりいないですよ、前、今度旅行に行くって言ってたじゃないですか。聞いてな
かったんですか?」
こう、言ったのは、捜査一課で宇三美と同じ班の坂家だ。すると、
「だいたい、なんで捜査一課が私立探偵に協力してもらわなきゃいけないんだよ。こっ
ちの砦はこっちの砦。自分のことは自分でやんないとだめだっつーの。」
と、上松に謎の敵対心を抱く捜査一課の大和田が言う。
欧米では探偵も実力が認められるが、ここではただの邪魔者。くわえて、上松は人づき
あいが悪いので、ほぼすべての人間を敵に回す。
そこに、ステンデーズというコンビニエンスストアから帰ってきた上松の親友、川杉が
帰ってくる。
「どうしたんですか?何か御用でも?」という、川杉の問いに、宇三美が答える。
「あ、川杉さん・・・ですか?私たち、警視庁捜査一課のものです。あ、私は宇三美で
す。いつも上松さんにはお世話になっています。今日はですね、殺人事件があったの
で、上松さんにいろいろ聞いてみようと思いまして。」
「なんで、東に?」
「いや、あの、いつも、いろいろ協力してもらってるんで・・・」
「あ、、、そ。で?なにか?」
「いや、もう用はない。大体いっつも頼ってちゃいけないんだよ。ほら、帰るぞ。お前
ら。」
ここで、やはり大和田が口をはさむ。
しかし、そこで、新人女性の坂家が反論した。
「だめですよ。協力できる人は、協力する。できることは、やる。捜査に必要なものは
何でも使うって、先輩いつも言ってるじゃないですか。無駄なライバル精神なんて捨て
て、仲良くやりましょうよ。それで一日でも、一秒でも早く事件を解決できればいい
じゃないですか。」
「お、おう・・・」
「すごいですね。坂家さん。先輩黙らせましたよ。」
「じゃあ、川杉さん?も、一緒に車乗って現場に行きましょう。」
坂家は、この時からもう、川杉に好意を寄せていたのかもしれない。もっとも、それは
本人にしかわからないが。
現場である、東京都某所の佐々礼山についた一行は、現場で捜査を続けている本部の人
間と合流した。
「ところで川杉さんは、手足バラバラ事件については知っていますよね?」
「知らん。俺、ニュースとか見ないんだよ。」
「そうすか。」
と、川杉と宇三美が話しているところで坂家がこの事件についての説明を始めた。
「この事件の通報があったのは14日の午前6時10分。通報者が名前を名乗らずに電
話を切ったため、通報者については女性ということしか判明していません。遺体が発見
されたのはこのトイレの裏です。軽く落ち葉がかかっていましたが、鑑識の話による
と、死亡推定時刻はこの日の午前3時から午前6時までなので、おそらく犯人が死体が
見つからないように掛けたものと思われます。そして、被害者は都内で自営業を営んで
いる中村民雄さん、46歳。
近所の人の評判は非常に高かったですが、正義感が強く、先日も煙草を道に捨てた若者
に注意して殴られたそうです。死因は刺殺。刃渡り15センチほどのナイフで、胃の近
くを刺されたとみられます。ほかにも、頭などに石で殴った跡がありましたが、致命傷
ではないとのことです。事件後、このトイレの周辺は封鎖され、出入りしたものは警察
関係者しかいません。そして、この山は山道が3道ありますが、、、ぁ、ダジャレじゃな
いですよ。あ、で、山道が3道ありますが、入り口は1つとのことです。その入り口も午
前5時からしか開いておらず、入り口からこのトイレまでは成人男性が走って行っても
50分はかかるため、死亡推定時刻と合わせると犯行可能な時間は5時50分から6時
ちょうどまでのわずか10分間しかありません。現在、その時間に不審な人物を見なかっ
たかどうかを付近の住民やここの近くで勤めている方々に聞いていますが、今のところ
有力な情報はありません。・・・そして、この事件の一番の特徴は、死体の、足、頭が
ばらばらの状態で発見されたということです。左足と右足以外の場所はこの発見現場
で、右足の発見現場は入り口のゲートの前で、左足はまだ見つかっていません。」
「ほお、、、長かったな。うん、何となくは分かった。 ひとつ質問なんだが、死体の
上には軽くしか落ち葉がかかっていなかったんだよね?」
「はい。」
「おかしくないか?なぜ犯人はそんなしか落ち葉をかけなかったんだ?」
「そりゃ、風が吹いて飛んだとか、かけようとしたけどだれかにみつかってやめたと
か・・・」
その大和田の言葉に、川杉が反論する。
「それもあり得るけど、たしか昨日はほぼ無風だったはずだよ。それに、このトイレ
の裏の構造を見てみて。トイレの裏とは言ってるけど、そこにはいくつかの壁によって
作られた空間がありだろ?。風がもし吹いていたとしても、その風がここに来るとはほ
とんど考えられられないだろ?」
「さっすが、上杉さんのお友達と会って、頭がいいですね。」
「はじめて言われたよ。 あと、もう一つ。発見者の女性は、なぜこんなトイレの裏
に入ったんだろう?」
「あ、ほんとだ・・・」
「確かに…」
坂家と、宇三美がそれぞれ感心する。
「それに、名前を名乗らなかったのも怪しいですよね。ね?川杉さん?」
「え?あ、ああ。」
「じゃあ、さっそくほかの場所にも行ってみましょう。」
「ほかの場所?」
「ええ、ゲートの近くにある事務所です」
ぜひ、次話もご覧ください!