ライダー見ている奴なら何に変身するのかはこれ見れば一目なんで、戦闘シーンはまだ待ってね。
日本最北端、北海道札幌の外れにある古びた洋館
その洋館はもう何年も前から、元々の持ち主が事故死して以降、入居者が次々と消える現象が後を絶たなかった。
だからなのか、建物自体は古び、遠目から見てもボロボロで今にも崩れ去りそうである。
そんな誰も近づこうとしない洋館に一人の男が歩みを進めていた。
男は真っ黒のロングコートに身を包み、顔にはサングラスを掛けている
誰か見れば怪しいと警察に通報しそうな格好だが、生憎不気味な噂が立っている為、子供でも気味悪がって近づかない
ではなぜ……そんなところにこの男は近づくのか
”ガコンッ!”
男は扉の目の前に立つと、木製の扉を蹴り飛ばし、堂々と中に侵入する。
見れば見るほど怪しいうえに、粗暴と勘違いされる行動を気にせず、男は洋館内を土足で歩く。
「……ん、あっちか…」
男は何かを探るように洋館の奥へと歩を進める。
実はこの洋館、広さは一種の境界並みだった。
ある報告書では、夜な夜な怪しげな黒魔術的なことを趣味として開いていたとか
「ここだな……」
男は奥まで来ると、他の部屋に比べ、一回り大きい扉の前に立つと、入り口同様に扉を蹴り壊し中に侵入する
その瞬間、男は顔をしかめる。
部屋から漂う独特な臭い。破壊されている家具にこびり付くような跡
そして、頭上をカサカサと蠢く何かに
「キシャァァァァァ!!!!」
”サッ”
上から奇声とも聞こえる声とともに降ってきた物をに男は余裕でよける。
まだ原型があるテーブルを破壊したそいつは仕留め損ねた男に向き直る。
「シトメソコナッタ。ナマイキナ、ニンゲン」
男の目の前に振ってきたそれは、上半身が美しいポテンシャルを描く半裸の女性だ
しかし、下半身がタランチュラの10倍以上の蜘蛛の化け物であるが
さらに女の口元は腐臭とともに汚れていた。
真っ赤な血だまりに
「はぐれ悪魔、ランクS 女郎蜘蛛のエルティスだな」
「ナニ!?ナゼ!ワタシノナヲ」
「答える必要はない………なぜなら」
男はサングラスを外し、コートの内ポケットにしまうと同時に四角い箱を取り出す。
カードデッキと呼ばれる四角く、ケースの真ん中に特徴的なレリーフが彫ってある箱を
男は前にそのカードデッキを翳す。
するとどうだろうか、男の腰にベルトがどことなく現れる。
「キサマ!オッテノアクマドモカ!!オロカ!ジツニオロカダ!ワタシハ、オッテキタモノヲナンニンモ」
「食い殺したんだろ……だから俺が呼ばれたんだよ」
「ナンダト?ハッハッハッハ!!キサマノヨウナ、ガキガ!ミノホドヲシレ!」
男の挑発に激昂したエルティスは男が何か行動を起こす前に仕留めようと、猛スピードで突っ込んでくる。
しかし男は、その口元に笑みを浮かべ、掲げたカードデッキを腰のベルトのバックルに装填する。
「………変身」
「…………よう、…あぁ、終わった。…ん?怪我?この程度の相手にしていたら俺は3年前に死んでるよ」
俺は今回の依頼人に電話していた。正直依頼に文句の一つも言いたくなる
えり好みをするつもりはないが、どいつもこいつも話にならない。
「殺した?あぁ…とりあえずあんたのご要望通り死ぬ直前で一応生かしているよ」
俺はちらりと目を向ける。
そこには血だまりの中で辛うじて呼吸しているであろう先ほどの化け物、エルティスのみじめな姿があった。
だが、そこにあるのは上半身である女の部分だけである。
では下半身は?と言うとその周りに大小の肉片が細かく刻まれ腐臭を放っていた。
「ほら……今回の依頼人がお前のみじめな声を聴きたいとよ」
エルティスの残骸に向け、俺は自前の携帯を向ける。エルティスは当初の余裕などみじんも感じられず、おびえた表情でこちらをにらみ
「コロセ……化け物」
「化け物に化け物呼ばわりされるのは心外だな……まぁいい、ならてめぇは食われろ…ゴミ」
”キィィィィィィィ!!!”
冷徹な処刑宣告とともに現れたそれは、直径4mにもなる通常ではありえない大きさの蝙蝠、それが一瞬にしてエルティスの残骸を飲み込む。
「キィィィ!キィ」
「あん?まずいだと。文句を言うな…っち、あぁ、悪いこっちの話だ。…あぁ依頼は終了だ。俺はこのまま帰る。北海道くんだりまで寄越したんだ。報酬はそれ相応のものを寄越せ。以上だ」
”カチャ”
折り畳み式の携帯を懐にしまうと、イラついているのか男はそばにあった椅子の残骸を蹴り飛ばす。
正直今回は本当につまらなかった。ただ変身した後に、奴の突撃に合わせてカウンターで奴を刻んだだけだ。
まずは動けなくするために6本の足、そして痛みに絶叫を上げる前に残った下半身と上半身を切り裂き、下半身は4分割に刻んだ。
そして最後に両手と、そのあと首を刎ねようと思ったが、倒したことを依頼者に証明しなくてはいけないのと
ダークウイングのご飯にしようと考え付いたから。
だけど、不完全燃焼だ。ランクSと言うのだけあって、そこそこ遊べると思ったんだが……解体するのに1分もかからなかった。
「明日……は学校…は、サボると煩いのが出てくるから……適当に出れば問題ないか」
そして次の日、俺こと相川蓮(あいかわれん)は自身の通っている駒王学園(くおうがくえん)の新校舎、生徒会室にいた。
「と、まぁ家の事情で北海道まで行っていて、帰りにラーメン食べて、そのままこっちに来たというわけです。……これで宜しいでしょうか蒼那(そうな)生徒会長」
「えぇ、前半はお家の事情と言う事で問題はないです。えぇ問題ないですよ。ですが、行き成りバイクで登校は校則違反です。相川君」
理由は聞かずともわかるだろうが、家に戻らず直接バイクで学園に突撃をかましたからである。
幸い、というか、今頃体育館で始業式が始まって誰もいないだろう時間を狙ったのだが
(なんでいるんだよこの女マジで)
「何か…言いたそうな笑みがあるようですね、ねぇ椿(笑)」
「そうですね会長」
登校してバイクを誰にも見つからないように旧校舎の茂みに隠そうとした所をこの面倒な2人に見つかったのだ。
俺の目の前でこめかみを若干引き攣らしているメガネ+平(貧乳)な女がこの生徒会室の主である支取 蒼那(しとり そうな)
そして、何故か手に持つ書類で顔を隠し、チラチラとこちらを見てくる、これまたロングの黒髪+メガネ+ボン(巨乳)の女が副会長の真羅 椿姫(しんら つばき)
椿の方は、少し押し込めば見逃せてもらえそうだが、蒼那に見つかったのが痛かった。
「まったく……あなたは、毎度毎度バイクでの通学は学生は禁止だと何回言えば聞くんでしょう?えぇ、それに、毎回毎回の遅刻、酷い時は無断欠席。もう何回でしょう。それに最近は聞きませんが、郊外での暴力沙汰、先生たちはあなたの成績を考慮してある程度、見逃しているようでしょうが、これ以上は」
「会長!落ち着いてください!落ち着いて」
肩で息するほど、怒んなよ…と正直うんざりしている。という表情は一切出さずにとりあえず申し訳なさそうな表情をし
「申し訳ありません……今後は気を付けるので」
「あなたはっ!…っ…わかりました。しかし、今度何か違反を起こせば流石に親御さんの」
「俺に(・・)……親はいない(・・・・・)」
”ゾクリッ”という擬音とともに背筋が凍る
相川蓮……目の前の少年から瞬間的に発せられた威圧感に私と椿は体が硬直する。
「では……失礼します」
相川君が後ろの自分たちを顧みず生徒会室から退席する。
それと同時に自分たちは謎の威圧感から何とか解放される。
全身から汗が吹き出し、止まっていた心臓が落ち着きを取り戻し始める。
(今の威圧感は一体何!……本当に彼から発せられたの!)
「椿……どう思った?」
「っ!…はぁはぁ…動けませんでした。それどころか、生きた心地がしませんでした」
自分も椿と同意見だった。あれは17の少年から発せられる物ではない。いや、むしろ悪魔である自分たちを威圧だけでここまで
「少し……調べてみる必要があるようね」
「会長…笑って…」
蒼那は自分でも気づかないうちに笑っていた。
自分でもわからない、今下手したら殺されていたかもしれない
人間であるはずの、たった17歳の少年に
(彼をものにできれば……もしかして眷属に)
「って思われているんじゃないか、本日遅刻して、さらに生徒会長様のお叱りを受けてきた我が親友、蓮」
「前置きは余計だ剣……しかし、不覚だった」
「ハハハ!レン!確かに、彼女は君の事を調べると思うが、調べても大したことは出ないだろ」
「確かにお前の言うとおりだレオ…しかし、万が一があるからな」
俺は生徒会室を後にしたのち、屋上にやってきた。
今日は始業式とのことで生徒は誰もいない
いや…正確には2人ここにいるが
「でどうするんだお仕置き蓮」
「今度変なあだ名で呼んだら迷うことなく殺す」
壁に寄り掛かりニヤニヤしてこちらを見ている男
名前は神代剣(かみしろつるぎ)、自称神に代わって件をふるう男
そしてもう一人、朝黒にΨのマークが描かれたTシャツを中に着込んでいる
名前はレオ・花園、当初は日本語が全く駄目だったらしいが今ではペラペラだ
神代剣(かみしろ つるぎ)とレオ・花園、この二人は俺と同じく、だが違う力を持っている
複数で行う依頼なんかもレオか剣と一緒に行う
「支取 蒼那…いや、本名はソーナ・シトリーだったか…奴にはモンスターをつけてある」
瞬間、二人の表情がふざけたものから険しい表情になる
「レン…それは会長さんを…消すと言う事か」
「最悪の話だレオ、サイガフォンの先をこちらに向けるな」
「……信用しろと」
「安心しろ、仕事の標的でもない限り殺しはしない…付けてあるのも”エビルダイバー”だ」
エビルダイバー…そのモンスターの名前はこの3人の間ではよく出る。
俺が特に信用しているモンスターの1体だからだ
ただでさえ余計なことに、戦力を裂くんだ。しかも、信用があるやつを
「そうだ!蓮、お前今日は時間とれるか…」
「唐突になんだ…正直今日は早い所かえってシャワーを」
「よし!暇だな!実は…」
「話聞けよ…」
それから1時間後、蓮は小さくグチグチ文句を言いながら旧校舎の方へ歩んでいた。
茂みの方にバイクを隠したままだったのを思い出し取りに行く途中
しかし、それだけでグチグチ文句を呟くような男ではない
原因は剣の最後のお願い
『悪いんだけど、今日新入部員向けの相談を主将から相談されてさ…2年全員で午後いっぱい集まるんだわ、だからお店の手伝い変わってくれ!』
そう頼まれたのだ。正直嫌だったが、剣には貸がある為、断りずらかった。
それに剣が言っている店、それはとある喫茶店の事を示している。
剣、レオ、そして蓮の3人はその喫茶店、バカランダの裏にある家の一室に住んで、いわば共同生活を行っている。
しかもこの店の店主は蓮の父親だと言う事から、蓮は余計に店を手伝いたくはなかった。
父親とは……いや、あいつは父親ではない!
あいつは、母さんを……守れなかったんだから
「あの?どうかしましたか?」
突然、背後から声がかけられる。
同時にコートの懐に手を伸ばしいつでもカードデッキを取り出せるようにし振り向く。
そこにいたのは1人の女性
先ほど生徒会室にいた副会長の椿にも劣らず、美しい黒髪を後ろで纏めてポニーテイルにしている。
何よりその顔つきに俺は驚きを禁じ得なかった。
その顔は……幼い自分の目の前で殺された母、天音の姿とよく似ていたから……そして負けず劣らず大きい
「あ…ま…」
「?本当に大丈夫ですか?」
彼女は恥ずかしがらずこちらの顔を覗き込んでくる。行き成りの事に思わず息をのんでしまうも、すぐに後ろに下がり、赤面する顔を背け
「ごっごめんなさい……ボーっとしていたから…あの…本当に何もないんで!」
それだけ言うと振り返らず一目散に蓮は駆け出す。
その瞳には、一滴の涙が流れていたことは…誰も知らない
1人を除いて
私は思わず佇んでしまった。
部室に向かう途中で茂みの中にたたずんでいる一人の男性に声をかけた。
本来なら無視しても良かったんだけど、その子が駒王学園《くおうがくえん》の制服を着ていた事、そして俯き、ただ黙って佇んでいる姿に何かあったのかと気になってしまった。
背後から近づき、声をかけると、男性は此方を警戒したのか、後ろに飛びのきそのコートに手を入れる。
その姿はテレビドラマの刑事が懐から拳銃を取り出す姿に見えなくもない。
だが男性は私の姿を目にすると、目を開き驚きのあまり硬直してしまい、そのあと声をかけると、表情を赤面させ、自分から逃げるように茂みにかけていった
私は思わず”待って”と声を掛けようとするが、男性はその前に茂みの奥に消えてしまう。
そのあとでバイクのエンジンの音が響くが、私は別の事が気になってしまう。
男性が私の顔を見た瞬間、一瞬だが確かに
(泣いていましたわ)
「朱乃?どうしたの…そんなところで立ち尽くして」
「えっ…あぁ…ごめんなさい、何でもないわ…行きましょうかリアス」
次回【堕天使の断末魔】