憎悪の瞳,渇望する愛   作:伊佐那岐

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ハイやってまいりました!第5話、前回の話でミラーモンスター”ディスパイダー”を出したんで今度は何を出すかか迷いますね~


ッてなことで堕天使編もいよいよ最終章間近を迎えようとしています。


果たしてどうなる事やら



追伸:最近仮面ライダーBJッてのにはまり出したんだけど、仮面ライダーの絵がいいね!でもあんまり勝てないのがネックかな~


では、はじまります


第5話 奪還シスター、暴力の祭

辺りを見渡せばひどい状況だった。

 

 

 

ビルからは硝子の破片が飛び散り、車は無残にも破壊され、ガソリンに引火した炎で黒い煙が辺りを包んでいる。

 

 

だが中でも酷いのは路上や車、道路際に寄り掛かって死んでいる人の死体

 

 

大人から子供、男から女まで多くの死体が数えきれないほどに広がっている。

 

 

そんな中、破壊された一角、炎上する車の目の前で立ち尽くす”当時の俺”は目の前、胸に受けた致命傷ともいえる傷からどことなく流れ出している男を唖然として表情で見つめた。

 

 

男な体からは絶え間なく血が流れ出て、だがそいつは口から吐血しながらも蓮を見上げる形げで…ただ…笑っていた。

 

 

 

「は…はは…蓮、大丈夫か?どっか怪我は無いかよ」

 

 

 

”どうして”と当時の俺は思った。何故赤の他人を自分の命を犠牲にしてまで助ける?

 

 

必要以上に干渉し、利用されていることにも気づいていたはずだ。なのに

 

 

 

「なんで……なんで、あんたは…そうまで俺を助けるんだ…城戸」

 

 

 

「城戸さん…だろ。全く…目上の人に対する。言葉使いだけは結局治せなかったな~」

 

 

 

「そんな事聞いている!「蓮…お前は生きろ」えっ!?」

 

 

 

城戸は蓮の頭にそっと手をのせ”わしゃわしゃ”と髪を撫で、慈しむ様な瞳で蓮を見つめ

 

 

 

「お前は生きて…これからなんだからさ、俺なんかより・・・・もっと・・・たのし・・い」

 

 

 

だが城戸の命のタイムリミットはここまでだった。最後に俺に笑みを向けたまま必死の力で開いていた瞼は閉じ、頭にのせていた手は静かに地面へと落ちた。

 

 

こと切れた人形の様だった。そして、当時の蓮はこのような人間を何度も見てきた。故に信じたくなかった。

 

 

自分の目の前で、糸の切れた人形のように動かない城戸を

 

 

 

 

「城戸…ねぇ、城戸!城戸……城戸!城戸!!城戸!!!…もう俺を…1人にしないでよ……」

 

 

 

 

必死にその体を揺らす。目には大粒の涙を浮かべ、その動かない体を大きく揺さぶり。きっと寝ているだけだと、これは何時ものこいつの俺を笑わせたりするためのジョークだと。

 

 

必死に、必死に自分に訴えるように、言い聞かせるように

 

 

だけどこの時の俺は気づいていた。もうこの体に魂は、城戸はもう生きていないと

 

 

 

 

だけど…それでもこの時の俺は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もういいだろ……いることはわかっているんだ。姿を見せろよ・・・・・・・・・・・・トリシューラ」

 

 

 

蓮の感情のない声を静かに発する。その瞬間、目の前で移されていた悲劇の空間が暗転する。映画の映写機の様に、光が一瞬でブラックアウトする。そして、遂にそいつは現れた。

 

 

 

全身が漆黒の鎧で覆われていた巨体と深紅の瞳、全身の至る所には赤く輝く宝石の様な物が埋め込まれている。

 

 

そしてその姿に値する、絶対的な覇者の、破壊のオーラを身にまとっている。

 

 

思わず後ずさりしてしまう

 

 

「ふっふっふ!楽しませて頂きましたよ。あなたの力の根底、復讐だけではない。ただ自分の大切なものを守りたいと願う純粋な思い」

 

 

 

お前は何者で何故こんな所、俺の夢に現れる!何者なんだ

 

 

 

「私はあなたの力の一部。既にあなたも気づいているのでしょう?私が今どこにいるのかを」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・ある程度の予測は立てた。と言うより”これ”以外に理由は考えられなかった。

 

 

 

俺の体内に宿る神器(セイクリッド・ギア)

 

 

 

 

「そうだ…私は大昔、この世界に絶望した私は”聖書の神”に自らの肉体と魂を封印させ、神器(セイクリッド・ギア)として今を存在してきた。この神器(セイクリッド・ギア)の名は『深淵と永劫の鍵(アビシャルエタニティ―)』」

 

 

 

やはりと納得できた。こいつが俺の夢に現れるのも納得できる。なぜならこいつは俺の中にいたのだから

 

 

 

「私は私を宿した人間、またはその他の者を多く見てきたが…ククク…実に面白い、ここまで複雑な肉体をした主に宿ったのは初めてだ。あぁ悪い意味ではないよ、私の力、もとい神器(セイクリッド・ギア)の力は特殊でね。どんなに力があろうと、誰も使いこなすことは無理だったんだ。それ故にこの神器(セイクリッド・ギア)は誰も知らない。失われた神器(セイクリッド・ギア)として誰の記憶にも残っていないんだ」

 

 

 

嘲笑を浮かべるトリシューラ。そして蓮はそんなトリシューラを見ていてどこか自分の姿を重ねる。似ているのだ

 

 

方や人ではない異形にして大切なものを失い、復讐のため、常に孤独を纏いを生きてきた男

 

 

方やその強い力が原因で誰も使い手がおらず、常に孤独を貫いてきたドラゴン

 

 

しかし、とドラゴンの瞳に力がこもる

 

 

「しかしあなたは使いこなせそうだ。私に宿りし永劫の力を。故に教えて差し上げましょう、この神器(セイクリッド・ギア)の使い方を」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日、蓮は夢から目覚めた。そして目覚めた瞬間、声を抑えきれずに笑ってしまった。

 

 

 

「フフハハハハハハ!!!なんだよ…これ、もう一人の人間、いや一人の存在が持てる力を超えている!」

 

 

 

 

トリシューラが話した神器(セイクリッド・ギア)の力は異常だった。俺の周りの世は何処かぶっ飛んでいると思っていたが、まさかここまでぶっ飛んでいるとは思っていなかった。

 

 

俺はその日は始終笑みを絶やすことを辞められなかった。周りからは何時もぶっきらぼうな俺が不気味な笑みを始終浮かべていると言う事で若干引かれていたが関係ない

 

 

 

トリシューラの、この神器はそれほどまでに恐ろしく、そして神をも恐れないほど強力なものだったのだ。

 

 

トリシューラは語ったのだ。この神器(セイクリッド・ギア)の力を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神器(セイクリッド・ギア)深淵と永劫の鍵(アビシャルエタニティ―)…その能力の一つは一言でいえば”死者蘇生”」

 

 

 

”死者蘇生”それはどんなに力を求めても手に入れられない力の1つ

 

 

 

『しかし、この力には避けようもない”制約”と、何よりも強大な代償が求められる。まずは”制約”だが

 ①蘇生者の強い思念(この世に残した強い未練など)が染みついている物が必要

 ②①同様に術者側も蘇生させる者に強い印象を抱いていなくてはいけない

 ③蘇生者と直に対面したことがある事(写真などで見ただけではダメ)』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして次に代償を話すトリシューラだが、その代償は自分が想像しているよりも遙かに大きかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『代償はただ一つ、術者の生命力。蘇らせる者にも由るが、通常の人間一人で、ざっと人間一人の寿命、100年分の生命力』

 

 

 

 

馬鹿げていた。正直甘く見ていたかもしれない。死者蘇生なんて荒唐無稽、神をも恐れる行為だ。その程度の代償と言うやつはいるかもしれない、だがこれでは自分の命をそのまま他人に分け与えるものだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『そして同時に、術者が死ねば、蘇った死者は砂へと変える。つまり自らの命を犠牲にしても結局は無意味なんだ』

 

 

 

 

 

実際に過去の宿主は、言っているにもかかわらず自分の愛する人を、自分の命を犠牲にして復活させたものもいると聞く。しかし再会できたのは一瞬、出会った二人は物の数秒で砂に還ったと聞く

 

 

 

 

 

だが俺は違う。俺は普通の人間ではない化け物である。それに俺はトリシューラからもう一つ、方法を聞いていた。

 

 

 

 

自らの命を代償とせずに、”死者蘇生”を行える方法を。

 

 

それは”外道”の手法。

 

 

 

 

 

だがだからどうした?俺には関係ない。既にこの手は血で汚れている。今更全身が染まろうと関係ない。

 

 

 

俺は俺の目的の為ならどんな汚い事にも手を染めてやる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてその日の放課後、少々だるそうに蓮は旧校舎の部室に足を運ぶ。

 

 

 

「どうも失礼しま「バン!」す?」

 

 

蓮は部屋に入る。部室に入ると同時に乾いたいい平手打ちの音がこだました。

 

 

一誠がリアスに平手打ちでたたかれたのだ。

 

 

「あの…何かあったんですか?」

 

 

「それがですね」

 

 

俺は近くに困った表情を浮かべた朱乃に訳を聞く。どうやらレイナーレの奴がアーシアという名前のシスターの神器(セイクリッド・ギア)を狙い拉致、更に今夜あたりにでも神器(セイクリッド・ギア)をアーシアから抜き取ろうとしていると

 

 

 

聞けば聞くほど3流の屑野郎だな。しかし、この街に(ナイト)が居る事を理解したまままだそんなことを行おうとしていたとは

 

 

やはり殺さないと分からないようだな

 

 

 

「あっあの、蓮君」

 

 

「何で…あぁ、すみません。なんか聞けば聞くほど胸糞悪くて」

 

 

無意識に殺気が漏れてしまっていたのか、いつの間にか注目の的になっていた。一誠をきつく叱っていたリアスも、どうしても譲れないことを訴えていた一誠も殺気に充てられてこっちを注目していた。

 

 

「いい一誠よく聞きなさい!あなたの行動が私やほかの部員にも多大な影響を及ぼすのよ!あなたはグレモリー眷属の悪魔なの!」

 

 

 

「では俺を眷属から外してください。俺個人であの教会へ乗り込みます」

 

 

 

一誠の目は譲れないといった決意ある物の瞳だ。正直一誠が一人で行けば一誠は確実に死ぬ。正直俺から見れば無謀で何の得にもならない。

 

 

ここで一誠をはぐれとして対処するか、それとも黙って行かせて殺すか、それとも別の選択肢を選ぶか

 

 

(あの時の言葉……こいつの人生をお前はどう左右する?)

 

 

 

リアスの主としての、一誠をどう思っているかがこの選択肢で判断できる。故に、蓮はその言葉に注目する。

 

 

 

「一誠あなたは『兵士』の駒を弱いと思っているけどそれは違うわ。『兵士』にはプロモーションという他の駒にはない特殊な力があるわ」

 

 

 

「プロモーション?何ですか?それは」

 

 

 

「プロモーション、実際のチェスでは、『兵士』の駒は相手の最深部陣地へ駒を進めた時に、他の『王』以外の駒、通常は『女王』にその能力を変化させることが多いが、実質は他の全て、好きな駒へと能力を昇華させることを言う。俺の予想だが、悪魔でいう『兵士』は敵陣地と認識された場所に足を踏み入れた際、その能力を『戦車』『騎士』『僧侶』『女王』の4つのいずれかの能力に変化させることを言うのでは?」

 

 

 

「・・・・・へぇ~流石ね、蓮。少ない情報でその洞察力、やっぱり眷属として欲しいわね」

 

 

 

リアスは妖艶な瞳でじっくりなめまわすようにこちらを見つめるが直ぐに一誠に向き直り

 

 

「今蓮の言った通りよ。正確には『王』が敵陣地と認めた所に踏み入れた際だけど……例えば、『教会』とか」

 

 

 

なるほど、と思わず笑みを浮かべてしまう。リアスはそっちの選択肢を選んだ。一誠を助ける選択肢を

 

 

彼女の言葉を一誠は理解できていないようだが、なら俺もするべき事をやろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大事なようが出来たわ。私と朱乃はこれから少し外へ出かけます。あぁそうだ、蓮、悪いけど今日の部活は…あら?」

 

 

朱乃の報告を受けたリアスは眷属全員を見渡すように外に出ることを伝え、蓮に今日の部活はなしと伝えようとするが先ほどまで近くにあった蓮の姿は既にこの校舎には無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後

 

 

 

 

蓮はリアスたちの話が終わる前に部室を出た。そして現在、ミラーワールドを通り、その姿は先ほど話で出ていた教会の茂みにいた。

 

 

件の教会からは多くの人の気配、そして1体の堕天使の気配が感じる。そして教会から発せられる心地よい殺気も

 

 

 

”発動”

 

 

蓮は胎内に宿りし神器(セイクリッド・ギア)を発動させる。一瞬で腕が黒い禍々しいものへと変貌する。

 

 

だが一つだけ何時もと違うことが

 

 

『ほぅ…中々の殺気が満ち溢れているな。蓮よ。本当にいいのだな?』

 

 

「そうだ”シェーラ”お前の言葉を疑っているわけではないが”死者蘇生”。実際に目の当たりにしない限りは信じられない」

 

 

 

違う事。右腕から声が、女の声で右腕が語り掛けてくる。正確には右腕に宿りし深淵と永劫の鍵(アビシャルエタニティ―)からだが、因みに”トリシューラ”の名前は呼ぶのが面倒なんで、以前気に入っていた女性だとかの名前で”シェーラ”と呼んでいる。

 

 

 

 

蓮は懐からカードデッキ、しかしナイトの物ではない、ナイトは黒かったが、そのカードデッキは色がこげ茶色であり、真ん中のライダーの象徴であるレリーフも違う

 

 

そのカードデッキを地面に置き、右手の手の甲に全身の意識を集中させる。

 

 

「うっ!グググググ」

 

 

全身の力が右の手の甲に吸い込まれる感覚に思わず地面に膝をつく。

 

 

『蓮!「いいから・・・・・うぐっ!・・・・・続けろ」しかし・・・・「命令に従え!!」わかった』

 

 

 

ウグゥゥゥ!全身の力と言う力が吸い取られる。意識をしっかり保っていなければ、気絶してしまうほどに

 

 

だが徐々にこちらの生命力を吸い取り始めて数秒、右手の甲が闇色の閃光を放つ。そして蓮はその”目”を地面に置いたカードデッキに向ける

 

 

 

【Revive】

 

 

音声が響くと同時に、闇の閃光が俺から掻き集めた命の本流をカードデッキに注ぎ始める。それはほんの数秒だった。

 

 

黒い閃光が徐々におさまっていく。閃光の余波で起こった土煙で視界が悪かったが、土煙の向こうに誰かが立っている影が映し出される。

 

 

 

 

「う~ん~…あれ……ここは…どこ?」

 

 

 

暢気な声が上がった方向に俺は歩みを進めた。そいつはいきなりだったからか、森の中を見渡していた。

 

 

 

「ん?あれー?君どこかで見たことあるね?どっかであったかな?」

 

 

 

「蘇って記憶が飛んでいるのか?おい、俺だ。相川蓮だ」

 

 

 

「相川・・・・・・相川、って旦那!どどどどど、どうしてこんな所に!俺とやろうってんですか!!!」

 

 

「落ち着け…もうライダーバトルはとっくに終わっている。お前とやり合う意味はねえよ」

 

 

 

呆れてものが言えない。どうやらこいつは自分が死んだことすら忘れているらしい。

 

 

こいつは佐野 満(さの みつる)、2年まえライダーであることを職業とし自分を売り込んできた男だ。俺はこいつに株で儲けた金を掴ませ、利用するだけ利用していたんだが王蛇に敗れデッキを破壊され、俺に助けてくれと懇願しながら死んでいった。

 

 

「そうだ…俺、あの王蛇ってやつにデッキを破壊されて・・・・・なんで生きてんの俺?」

 

 

『それはお前を主が命を削って蘇らせたんだ』

 

 

「ん…なんだ、頭の中に声が・・・・って旦那!その右腕どうしたんですかい!?って気持ちわりぃ」

 

 

 

『気持ち…悪い…だと』

 

 

シェーラの奴・・・・・・どうやら気にいしていたようだな、落ち込んで手の甲の”目”まで悲しそうに泣いちゃっているし

 

 

 

それにしても・・・・っち、これは予想以上の疲れだな。体が思うように動かない。

 

 

 

通常の7割……動ければいい方か。

 

 

 

 

「旦那なんか辛そうな表情していますけど・・・てか旦那が命を削って俺をよみがえらせたってどういう」

 

 

 

「それは・・・・「こんな所に人間~」っちこんな時に」

 

 

 

俺たちの頭上、黒いカラスの様な羽を羽ばたかせている女が此方を見下ろしていた。近づかれたことにも気づかないなんて

 

 

「だだだ旦那っ!あれなんですか!?ゴスロリ幼女に羽が!」

 

 

「誰が幼女だ!人間のくせに!」

 

 

堕天使は地上に降り立つと優雅にお辞儀し、殺意をのせた笑みをこちらに見せる

 

 

 

「私、人呼んで堕天使のミッテルトと申します。レイナーレ様に言われて渋々見に来ればまぁなんてことでしょう。脆弱で弱ったらしい人間が2匹も」

 

 

 

幸い奴は此方が雑魚だと思っているようだ。完全に油断している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(佐野…聞こえているな)

 

 

 

(えっ何で頭の中に旦那の声が!)

 

 

(驚いたそぶりを見せるなあの女に気取られる、黙って俺の声を聴け)

 

 

佐野は何が起こっているのかわからない様子だが、黙ってこちらの指示に従うかのように小さく頷く

 

 

 

(いいか状況を説明する。お前の懐に”インペラ―”のカードデッキがあるのは解るな)

 

 

ごそごそっと佐野は自らのズボンのポケットをあさる。目的の物を確かめたのか、頷く

 

 

内心では驚いているだろう。何故ならそのカードデッキは破壊され粉々に砕け散ったはずなのだから

 

だが今は驚いてもらっている余裕も、話している余裕もない

 

 

(目の前にいる女は”堕天使”、神話なんかで存在する堕ちた天使だ。恐らく奴は俺を、俺の中にあるある物を狙ってくる)

 

 

(ある物…ですかい?あぁすいません。で・・・俺はどうすればいいっすか?)

 

 

本当に物分かりがいい、と言うより扱いやすいな

 

 

 

(現在俺はその体力の殆どをお前の蘇生に使っちまったから正直あまり動きたくない)

 

 

だから

 

 

 

(お前はあの女を戦闘不能に追い込んで、俺の目の前まで連れてこい)

 

 

 

(殺すんじゃなくてですか?)

 

 

思わず疑問に思う佐野。蓮と組んでいたころは、目の前の敵は生かすな、殺せといつも言ってきただけに不思議に思った。だが蓮の言葉を疑いはしない

 

 

 

蓮の指示はいつも適格だったから

 

 

 

「ってことで~何でこんな所にいるのかは解らないんですけど~残念ですけど、死ねや!!」

 

 

 

お淑やかだった外面を脱ぎ捨て暴力的な本性をむき出しにしたミッテルトはその手に光の槍を作り出すと問答無用でこちらを的確に殺しに来た。

 

 

投げつけられた槍を、地面に転がることで避ける。奴は攻撃したことで動きを止めている

 

 

(佐野!今だ!!)

 

 

 

佐野は小さく頷き。懐からこげ茶色のカードデッキを構え

 

 

 

「行きますよぉ!『変身!』」

 

 

Vバックルにカードデッキを装填した瞬間、その姿が変わる。

 

 

 

「あん?・・・・・お前まさか!レイナーレ様が言っていた!でも聞いていたのと姿が違う!?」

 

 

 

黒いライダースーツに皮のジャケットを着こみ、両肩と頭には鹿の角の様な装飾

 

 

かつて、ライダー同士の戦いにおいて、王蛇に敗れたものの、ナイトのアシストをしていた仮面ライダー

 

 

「仮面ライダーインペラ―、久しぶりのお仕事!張り切っていきますよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちぃ、仮面ライダーだか何だか知らないけど、人間が生意気なんだよ!」

 

 

ミッテルトが両手に光の槍を作り出し、作り出した槍をインペラ―に向かって勢いよく投げつける

 

 

ブゥン。と高速で投げつけられた槍は吸い込まれるようにインペラ―に向かうが

 

 

 

「オラッ!」

 

 

バキン!

 

 

インペラ―は飛来する槍を体を捻り放った回転蹴りで粉々に砕く。

 

 

自慢の光が硝子の様に粉々に砕ける。それを人間に砕かれた。その事実はミッテルトにとってレイナーレが語った妄想を現実のものへと変える。

 

 

「い、いやだ!来るなよ!来るなぁぁぁ!!!」

 

 

錯乱したミッテルトは自分の生成し続けられる最大量の槍を生成するたびに恐怖を振り払うかのようにインペラ―に放つ

 

 

「オラッ!ハッ!セイヤッ!」

 

 

だがインペラ―は飛来する槍を蹴りや拳で薙ぎ払い、腰を深く沈めるのが見えた瞬間だった。

 

 

「えっ?ギャァァァ!」

 

 

ミッテルトの目の前に、まるで瞬間移動したかのようにインペラ―の仮面が目の前に現れたと思ったら、自分のお腹に激痛が走り、思わずため込んでいた息をすべて吐き出してしまう。

 

 

激痛に悶えながらも自らのお腹に目を向けたミッテルトに映ったのは深々と突き刺さっているインペラーの膝だった。

 

 

ただの膝蹴りで、戦車の砲弾をま間近で食らったような衝撃、ミッテルトは目の前のそれが自分の良く知る人間では無い事をようやく理解するがすべては後の祭りだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「旦那~!捕らえましたよ!てかどうなってるんすか!体超軽いし。まるで羽が生えた感じなんすけど!」

 

 

 

「あぁわかった。…わかったからその右手に掴んでるのを寄越せ」

 

 

 

いい年下男がピョンピョン跳ねるなと言いたくなるが、インペラ―の戦闘はそれほどまでに見事だった。

 

以前とは比べ物にもならないほどの脚力、以前の倍はあるのではないかと思えるほどだった。

 

 

 

ほいっと右手に掴んでいる金髪、未だに深々と突き刺さった膝の形が無残にも残っている。

 

 

「あっ・・・・・あが・・・・」

 

もはや意識が朦朧としているのか、まあ暴れられないだけ丁度いい

 

 

蓮はミッテルトの首を右手で強く握りしめる

 

 

「がはっ!・・・・ぐるじい!たすけ」

 

 

目に涙を浮かべ必死に助けを懇願している姿は当初の余裕は欠片も残っておらず、見ている側としてもとても滑稽で思わず笑ってしまう

 

 

「あぁ・・・・・・助けてやる」

 

 

「あぁ・・・・ありが」

 

 

「というと思うか?残念だが俺はそこまで善人ではないのよ!」

 

 

【Drain】

 

 

「あ~いいね~癖になりそうだ」

 

 

「あっ・……あがが・・・・ぁぁぁ・・・・ぁ・・・・」

 

 

 

右腕を伝ってミッテルトの生命力が流れ込んでくるのがわかる。蓮は失った生命力が体中に広がるのを心地よく感じ、逆に吸い取られるミッテルトの方は吸い取られるたびに目から光が消え発する声も消えていく

 

 

そしてすべての生命力を1滴残らず吸い尽くされたミッテルトは

 

 

”ドサッ!ザアアアアアアアアアア”

 

 

砂となって消えた。

 

 

 

「相変わらずえげつないっすね。一瞬の希望を持たせた上で、絶望に叩き落とすその手口」

 

 

「うるさい・・・・うん!回復した。どれくらい補充できた。シェーラ」

 

 

『ふむ…堕天使1体分だと3人くらい分の生命エネルギーのストックだ。本来は4つくらい搾り取れたが、先ほど佐野の復活に使ったからな』

 

 

 

「へへへ…いやすいませんね~って、旦那!邪魔者もいなくなったしそろそろどうなっているのか教えてくださいよ!」

 

 

急かすインペラ―に蓮はどうするかと悩んでいた。正直言って、時間もあまりない。

 

先ほどの戦闘で数分ロスしてしまい、何時一誠やリアスたちが来るかもわからない。

 

 

『蓮、もしよかったら、私があなたの記憶から必要なことだけを抽出して佐野の脳に直接情報を送ることもできるが』

 

 

「どの位だ?」

 

 

『5分もかからないわ。佐野 満。先ほどは挨拶も出来なかったわね。私はこの神器(セイクリッド・ギア)、深淵と永劫の鍵(アビシャルエタニティ―)に封印されている魂で”トリシューラ”蓮からシェーラと呼んでもらっているし、あなたもそう呼んでくれるかしら』

 

 

「おぉ!これはこれは、神器(セイクリッド・ギア)?まぁなんだかわからないけどあんたが教えてくれるのかい?」

 

 

 

「えぇ、ただし……ちょこっと痛いわよ(ニコ)」

 

 

 

キラン!と右手の目が一瞬輝いたような。一方佐野も”え?なんかいやな予感”と額に汗を浮かべる。

 

 

 

「えっ!おぉ!!急に頭に色々なことが…ってあっあったたたたたたたたたたたた!!痛い!!!痛いですよ!!ちょ!」

 

 

急に頭を抑え込み地面を転げまわるインペラ―に唖然としてしまう。一体何がと右腕を見ると

 

 

 

『ふっふっふ……気持ち悪いって言った罰よ!オホホホホホホホ!!!』

 

 

 

どこのお嬢様だお前は、てかやっぱり気にしていたんだ。気持ち悪いって言われたこと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5分後、出来の悪いコントが終わるとすぐに俺たちは教会に突入した。しかし正面からではない。もちろんミラーワールドを景夕してだ。表では白髪おかっぱのはぐれ悪魔狩り(エクソシスト)が侵入者を待ち構えていたが残念ながらそんなものに構っている余裕はない

 

 

 

「旦那~!ありましたよ!」

 

 

分かれて入り口を探していたところインペラ―が祭壇の下、地下へと続く階段を見つける。

 

 

階段を地下に続く通路を降りきると、奥へと続く一本の道があった。その道を急ぐようにかけていく。時折扉が見られるが1つ1つ確かめながら奥へと進んでいく。

 

 

そうして行く内に、ナイトとインペラ―は最後の扉に行きつく。

 

 

扉の向こうの空間は広く、奥には祭壇があるのが見える。表の世界ではその空間を埋め尽くすほどの悪魔狩り(エクソシスト)や神父が、そして祭壇の十字架付近には今回の首謀堕天使レイナーレの姿が見える。

 

 

そして、その祭壇には、まるで生贄に奉げられるかのように挑発の幼さを残した少女があられもない姿で鎖につながれていた。

 

 

「ひでぇ・・・・・・あんな年の女の子を・・・・旦那」

 

 

「あぁ・・・・・・・佐野、悪魔狩り(エクソシスト)共はお前に任せる。2,3人寄越せ。その命を吸い尽くしてやる!」

 

 

久しぶりに血が冷たくなるのを感じる。それほどに怒っていると言う事か

 

 

 

 

「行くぞ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?何だ?鏡が「死ね」」

 

 

グサッ!ドサッ!

 

 

近くにいた男の脳天が翼召剣ダークバイザーにより真っ二つに切り取られる。男の体が倒れることでようやく周りの連中は気づきだす。

 

 

 

「しっ侵入者だぁぁ!【Drain】アガァァァァ!」

 

 

次に、叫び声をあげる男の生命エネルギーをすべて吸い尽くし、ミッテルト同様に砂に還る。

 

 

「どこから現れた!?」

 

 

「鏡から急に!?」

 

 

「良くも仲間を!!」

 

 

「こっちにもいるぞ!!」

 

 

 

「っち予想通りの数の多さか!ならば数には数だ!!インペラー!!!」

 

 

インペラ―はナイトの声に頷くと腰から1枚のカードを抜だし、自らの契約モンスターの顔を模した召喚機ガゼルバイザーにベントインする

 

 

【アドベント】

 

 

「ヘァッ!」「ギキィィ!」「グルォ!」

 

 

「何だ!また鏡から!今度は化け物が!」

 

 

鏡から現れた2足歩行のミラーモンスターたち、ギガゼール、メガゼール、マガゼール

 

インペラ―の支配しているすべてのレイヨウ型モンスターが多数現れる。

 

 

そのモンスターの数が自分たちの数を超えてしまうことに萎縮してしまっている

 

 

「お前らぁ!!今回は旦那のお墨付きが出ている!!一人残らず食い散らかせぇぇぇ!」

 

 

「ヘァァァァ!!!」「ギキィィ!!!」「グルォォォ!!!」

 

 

現支配者であるインペラ―の許しが出た途端、ギガゼール率いるレイヨウ型モンスターが悪魔狩り(エクソシスト)を襲い始める

 

 

 

「ウワァァァアァァ!!!来るな化け物ォォォ!!」

 

 

「俺は!!俺はもっと悪魔どもをォォォ!!」

 

 

 

もはや広い空間はレイヨウ型モンスターで溢れ帰り、実力的にも劣る悪魔狩り(エクソシスト)の断末魔が絶えず飛び交う

 

 

 

 

「ギャァァァ・・・ァァ・・・ァ」

 

 

生きながら生命エネルギーを吸収すること5人。もうそろそろいいだろう

 

 

 

 

 

 

「早く!早く!早く!!「何を?そんなに急いでいるんだ?レイナーレ?」ヒィッ!」

 

 

ナイトは祭壇の上まで跳躍し、レイナーレを見下ろす形で背後に立つ。一方レイナーレもこの間、一方的な力で殺されかけた為、恐怖心が体に刻み付けられてしまい足がすくんでしまう

 

 

視線を前にすると、十字架に拘束されたあられもない金髪の少女が。周りにそれらしい人物がいないことから見てもアーシアで間違いないだろう

 

 

 

ザンッ!

 

 

「ああ!拘束を!儀式が・・・至高の堕天使への道が」

 

 

 

翼召剣ダークバイザーを一振り、アーシアを拘束していた鎖を砕く。後ろで鼠が騒いでいるが今はどうでもいい

 

 

「おーい…お嬢さん。起きろ。助けにきてやったぞ」

 

 

アーシアの幼い頬をぺちぺちと軽くたたく。その柔らかい瞳が次第に開いていき、最後にきょとんとした表情を浮かべている

 

 

「ええっと・・・騎士様?」

 

 

まぁ・・・騎士であることには変わりないが

 

 

「立てるかい?」

 

 

「えっ!は、はい。ここは、・・・私は確かレイナーレ様に」

 

 

「ああ、そのレイナーレに君は神器(セイクリッド・ギア)を抜かれかかったんだ。そこを俺が助け「バサァァァ!!」ん?っておいテメェ!!逃げるな!」

 

 

「逃げるわよ!!私はこんな所で死ぬわけにはいかないのよ!!」

 

 

逃がすかよ!

 

 

レイナーレを逃がすまいと追いかけようとするが、ふとその手が誰かに掴まれている。

 

 

アーシアの小さい手が、震えながらこちらの左手をしっかりと握りしめているのだ

 

 

しかも、彼女はその華奢な体を小さく震わせている。まぁ殺されかけたのだから、仕方ないか

 

 

『蓮・・・その子はいいとしてレイナーレはどうする?』

 

 

「あぁ・・・まぁ大丈夫だろう。上に一誠たちグレモリー眷属の気配が感じられるし、後はあいつらの方で始末するだろうさ」

 

 

それよりも、まずはこの子をどうするべきか

 

 

「あ・・・あの」

 

 

「ん?何だ?あぁ自己紹介がまだだったな。俺はナイト。仮面ライダーナイト」

 

 

「仮面?ライダー?」

 

 

「仮面ライダーっていうのは・・・・・まぁ、簡単な種族だと思っておけばいいよ」

 

 

本来ならば正義の味方とか言っておきたいけど、俺らの行ってきたことを”正義”とは呼べないし

 

 

『妥当よね・・・間違っても復讐を望みとしている者を正義の味方とは呼ばないわよ』

 

 

 

うるさい

 

 

「で・・ではナイトさんで・・・ナイトさんは一誠さんの」

 

 

「あぁ・・・一応知り合い?てか顔見知り?どうやらあいつ等も上に来てるみたいだし。ちょっと待ってな」

 

 

俺はそういうと、辺りを見渡し、適当な服を探すが見当たらないな。てか血の付いた悪魔祓い(エクソシスト)のローブしかないし

 

 

仕方ない

 

 

「ダークウイング!」

 

 

『キキィィィ!』

 

 

「えっ!コウモリ・・・さん?でもおっきです」

 

 

「ダークウイング!俺の部屋から適当なコートとってきてくれ!」

 

 

『キィィ!』

 

 

了解と再びミラーワールドに消えていくダークウイング。ミラーモンスターを雑用に使うなんて

 

 

他の連中が知ったら驚くどころか、呆れるだろうよ

 

 

『キキィィィィ』

 

 

ダークウイングが持ってきた俺の黒のコートをアーシアに羽織らせる。薄着だと体に悪いし、寧ろ俺の下半身にも悪い

 

 

「旦那!こっちは全て終わりましたよ~」

 

 

インペラ―の陽気な声が耳に入る。そういえば途中から悪魔祓い(エクソシスト)共の断末魔が聞こえなくなっていた

 

 

この部屋にもどうやら俺らを除いて生きている者はいないようだし

 

 

「あの・・・ナイトさん。この方は?」

 

 

あぁ・・・そういえば言い忘れてたな。佐野

 

 

「はいはい。俺、この人と一緒でさ・・じゃなかった、仮面ライダーインペラ―、インペラ―って呼んで。いや~それにしても間に合ってよかった」

 

 

「はい!ナイトさん、インペラ―さん。助けてくださり、ありがとうございました。」

 

 

アーシアが頭を下げてくる。正直レイナーレを殺す為に来たのだからお礼を言われることは無いのだが

 

 

「いや~俺初めてですわ。なんか、こうやって闘ってお礼言われたの初めてですよ旦那」

 

 

インペラ―は完全にうれしくて舞い上がってる。まぁ考えてみれば、闘ってお礼を言われることは無かったしな

 

 

『ん?…どうやら上でも決着がついたようよ。蓮」

 

 

確かに、ふと上の気配を探ってみると、堕天使の気配が消えていた。どうやら倒したか

 

 

既にこんな所にいる必要はないしな

 

 

「ここを出るぞ。こんな所にいたところで既に意味がないしな」

 

 

「「了解です。/はいっ!」」

 

 

 

アーシアは俺がお姫様抱っこの形で抱きかかえ警戒の為、インペラ―が前方を先行する形で地上に向かう。

 

 

「イッセーさん…大丈夫でしょうか。」

 

 

不安そうに表情を曇らせるアーシア。まぁ無傷とは言えないだろうが大丈夫だろう

 

 

 

 

 

 

キィィィィィィィィン!キィィィィィィィィン!

 

 

 

「「!?」」

 

 

 

それは何時も突然だ。カードデッキを持っている者だけが感じ取れるミラーモンスターの出現予告

 

 

 

どこだ・・・・・どこから・・・!?上か!!

 

 

「旦那!!」

 

 

「先行しろインペラー!アーシアちょっとスピードを上げるが我慢してくれ」

 

 

「えっ!あ、はい!わかりました」

 

 

ぎゅっと俺の体に抱き付くアーシアを抱え込むようにして階段を蹴り上げる

 

 

毎度毎度面倒なタイミングで現れるよ本当に!

 

 

 

そして地上、表の教会ではすでに戦闘が始まっていた。

 

 

「セイッ!ハァァァァ!!」

 

 

 

『シェァァァァ!!』

 

 

インペラ―が闘っている敵は、この間倒した『ディスパイダー』に人型の化け物がくっついた様な姿、『ディスパイダー・リボーン』

 

 

『ディスパイダー』の糸に更に毒針を連射する能力を備えていたな

 

 

 

「イッセーさん!」

 

 

アーシアの叫びの方向を見れば、そこにはレイナーレにやられた後に、襲われたんだろう、傷ついた一誠、小猫や木場も傷を負っている。

 

 

 

俺はインペラ―に奴の注意が向いている間に、一誠たちの近くにアーシアを下す。

 

 

「アーシア!?無事だったのか!」

 

 

「はいっ!ナイトさんが助けてくださったんです」

 

 

「互いの無事を確かめあっているとこ悪いが、まだ戦闘は続いている。良いかお前たちはアーシアを含めた自分の身だけを守れ!」

 

 

「でっでも」

 

 

「お前たちの実力ではまだミラーモンスターには勝てない!ここは俺らに任せろ」

 

 

 

「うおっ!?旦那!こいつめんどくさいっす!加勢してもらえますか!」

 

 

インペラ―が苦戦する。正直言って相性が悪い。『ディスパイダー・リボーン』の吐き出す糸を回避しつつ、蹴りをぶち込もうとすれば、上半身の腹から毒針が放たれる。

 

 

確かに面倒な相手だが!

 

 

【ナスティベント】

 

 

『キキィィィィィ!!』

 

 

 

『シュォッシュォォォ!?』

 

 

ダークウイングから放たれる超音波が一瞬だが、奴の動きを止められる

 

 

インペラ―もその一瞬だが隙を見逃さず、腰のデッキから1枚のカードを抜きだすと、右膝のガゼルバイザーにベントインする。

 

 

【スピンベント】

 

 

インペラ―の腕にギガゼールの角、螺旋状のドリルの様な武器、ガゼルスタッブが装着される。

 

 

「おっしゃあ!行くぜオラァ!!」

 

 

ガゼルスタッブがインペラ―の方向に合わせて高速回転するドリルを『ディスパイダー・リボーン』に叩きつける!

 

 

ダイヤモンドも平気で砕く高速回転するドリルが『ディスパイダー・リボーン』のメタリックな装甲を削る。

 

 

『ジェアァァ!!?』

 

 

「オラッ!セィ!ハァァァ!!」

 

 

右腕の重さを物ともしない動きで徐々に、しかし確実にその装甲を削っていく。だが『ディスパイダー・リボーン』も遣られっ放しとはいかない

 

 

奴も苦し紛れだが毒針を上半身から連射してくる。インペラ―はガゼルトルネードを発動し、腕を勢いよく振り払ってしまったために防御が間に合わない

 

 

ドドドドドドドドドド!!

 

 

「うぉぉぉ!!ちょっとたんま」

 

一瞬まずいと思い、衝撃に覚悟するインペラ―。だが、容赦なく襲い掛かる毒針

 

 

「ハァッ!セイッ!!」

 

 

ガン!ギン!

 

 

だが翼召剣ダークバイザーの剣先がすべての毒針を切り落とす。

 

 

「いくぞ!」

 

 

「わっかりましたー!」

 

 

「ジェァァ!?」

 

 

ナイトの翼召剣ダークバイザー、インペラ―のガゼルスタッブが交互に繰り出され、ただでさえ相性の有利さでようやく互角だった『ディスパイダー・リボーン』は2人になったことで戦力差が一気に逆転する

 

 

その野太くなった上半身の腕も、ガゼルトルネードの高速回転の前に削り取られ、自慢の胸の毒針も発射口を潰されて攻撃方法まで失う

 

 

何よりインペラ―の隙をナイトが、ナイトの小さな隙をインペラ―が互いに補うようにし、隙のないコンビネーションと合間のない連続的な攻撃が、圧倒的な実力差を更に広げる。

 

 

 

「すごい!なんて隙のない連撃なんだ」

 

 

「・・・・・スゴイ・・」

 

 

遠くからその光景を見ていた木場や小猫はその圧倒的な戦い方に尊敬の念を向けていた。一誠とアーシアに関しては動きが速すぎて何が起こっているのかすらわからないでいる。

 

 

 

「さて…そろそろ決めるか!」

 

 

そういってナイトは翼召剣ダークバイザーにカードをベントインする。

 

 

【ファイナルベント】

 

 

『キキィィィィィ!!』

 

 

翼召剣ダークバイザーから発せられた電子音声と共に現れたダークウイングがナイトの背なかに合体しマント状になる。同時に空中から現れた大型ランス、ウイングランサーを手に取り大きく飛翔する。それをぎこちなく追う『ディスパイダー・リボーン』だが本能的に危険を察知したのか。重い足取りで必死にミラーワールドへと逃げようとする。

 

 

 

「ところがぎっちょん!」

 

 

『ジェッジェァァ!?』

 

 

だがインペラ―もそれを見逃すほど頭が緩いわけではない。遠心力を利用した反動で振り上げたガゼルスタッブが一本また一本とその野太い足を削る。そこへ最高点に達しナイトが空中から急降下してくる

 

 

「ハアァァァァァァ!!」

 

 

ナイトの”ファイナルベント”『飛翔斬(ひしょうざん)』が容赦なく『ディスパイダー・リボーン』の体を串刺しにする。

 

 

『ギヤァァァァァァァ!!!』

 

 

最後に、断末魔を上げると同時に、ミラーモンスター『ディスパイダー・リボーン』は爆炎に包まれその存在を消滅させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で?なんであなたが此処にいるのか?教えてもらえるのかしら」

 

 

「レイナーレを追っていた。偶然とはいえこの教会に見つけたからな、とりあえず始末しておこうと考えての事だ」

 

 

「本当なんです。ナイトさんは私を、レイナーレ様から助けてくれました。」

 

 

あの後、『ディスパイダー・リボーン』を潰した後、やってきたリアス達にナイトとインペラ―は詰問されていた。

 

 

まあ地下室から出てきたんだ。仕方ないと言えば仕方ないが

 

 

 

(どうするんです?旦那の友達でしょ。始末するわけにはいかないですよね~)

 

 

(あぁ…こいつらは繋がりを持っておいた方が情報が入るしな・・・)

 

 

しかし正直このまま帰すって顔してないよな・・・特にリアスは

 

 

「まぁまぁ部長…ここは一誠君たちを助けてくれたわけですし」

 

 

朱乃がまぁまぁとしかめっ面で睨めつけてくるリアスをなだめる。最早他の部員はどうすればいいのか苦笑いを浮かべている。

 

一誠なんかはアーシアと一緒におろおろしてるし

 

 

 

「はぁ・・・まあ今回私たちはほとんど何もしていない訳だし・・・今回だけは見逃してあげる」

 

 

言い方に棘はあるがまぁ良いだろう

 

 

ふと気づかなかったが、そこに転がっている派手な女はどうするのか気になってしまう

 

 

「レイナーレはどうするんだ?」

 

 

「あの女堕天使はここで消すわ。それともあなたが持って帰る?」

 

 

 

「冗談・・・あんな雑魚、餌にしかならんよ」

 

 

そのまま振り向かず、堂々とリアスの横をナイトとインペラ―は通り過ぎ出口に向かう。

 

 

「あのっ!今回はアーシアを助けてくれて、ありがとうございました。」

 

 

「私も、これでまたイッセーさんとお話ができます。ありがとうございます」

 

 

一誠とアーシアの2人が思いきり頭を下げてくる。互いに本当にうれしかったのだろう

 

 

ふっと仮面で解らないが自然に笑みを浮かべてしまう

 

 

「兵藤一誠!・・・今回は偶々だ。偶々俺らがいたから助けられた。だがこんな偶然は2度も起きない。だから強くなれ。もう二度と奪われないように」

 

 

俺の様に…ならないように

 

 

「はっはい!俺…もっともっと強くなります!アーシアや部長たちを守れるように!」

 

 

「イッセーさん」

 

 

「イッセー」

 

 

一誠は力強い言葉と共に左腕の赤く輝くドラゴンの籠手を前に突き出す。彼の言葉に思わずリアスやアーシアはほほを赤らめてしまっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「その言葉・・・忘れるなよ!」

 

 

俺はそれだけ返すとインペラ―と共にミラーワールドへ消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?アーシアそんな男物のコートなんて持っていたか?」

 

 

一誠はアーシアが何時ものシスターの格好ではなく、下着に男物のコートを着込んだ姿に気づく

 

 

「これですか?このコートはナイトさんが目に毒だとかでかけてくれたんです」

 

 

リアスは考える。ナイトのコートは明らかに男物、と言う事は彼の正体は男性と言う事になる

 

 

「アーシア、ちょっとそのコート貸してもらってもいいかしら?」

 

 

「え!あっ!はい・・・どうぞ」

 

 

アーシアは恐る恐る恥ずかしそうに頬を赤く染めながらコートを外し、リアスにそれを渡す。

 

と言う事はアーシアの格好は今

 

 

「イッセー先輩・・・・・あっち向いていてください」

 

 

「はっはいぃぃぃ!すみません!」

 

 

小猫ちゃんにばれた。っていうかその拳をこっちに向けないで!

 

 

一方のコートを受け取ったリアスはコートに何かないかと物色し、右のポケットからある物を見つける。

 

 

「これは・・・・・懐中時計?かしら?」

 

 

「えぇ…そうにしか見えませんけど」

 

 

出てきたのは古びた懐中時計、折り畳み式ではあるが内側からカチカチと音が鳴っていることから間違いはないだろう

 

 

恐る恐る時計のふたを開くリアス

 

 

「これは・・・・・写真?」

 

 

懐中時計のふたの裏にはある家族の写真が映し出されていた。

 

母親と父親・・・そして小さな少年の写真が

 

 

しかも母親の容姿は

 

 

「これ・・・朱乃?」

 

 

小さい男の子を抱いてる母親。その容姿は朱乃そっくりだった。全員の視線が朱乃の方へと向くが当の本人も小さく口を開けて驚いていた。

 

 

「あらあら・・・でも私こんな男の人は知りませんし、私の母とも関係は無いと思います、ほらここ」

 

 

朱乃が指をさす方向。そこには写真の撮られた日付が記されていた。それも14年前の日付が

 

 

「確かに、14年前の日付では朱乃の記憶に残らない訳でもないし・・・やはり別人でしょうか」

 

 

わからない・・・としか答えようが無かった。しかしこれは明らかな手掛かりになる。

 

 

「この写真の家族は確実にナイトと関わりがあるわ・・・また改めて、時間があるときに調べてみましょう」

 

 

「「「「はい!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、リアスたちは2つの手がかりを見つけた

 

 

 

 

 

 

1つはナイトが男だと言う事

 

 

 

 

そして

 

 

2つ目は写真に映し出されていた家族が何らかの形で、ナイトと関係があるであろうことだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回【動き出す闇 渇望する愛】



前の小説だとインペラ―じゃなくて王蛇だったけど王蛇だったらだったで、今後の選択がめんどくさい事になるんでインペラ―に変更しました。


他、皆さん色々なご意見ありがとうございました。

文章が読みにくくて申し訳ないがどうかよろしく頼みますわ。
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