ループなハイスクール。二番煎じですね、はい。   作:あるく天然記念物

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駄作でもお気に入りだから更新です。
前回一年前やん(笑
リアルが落ち着いたため、昔のノリを思い出しながら暫く執筆します。


シーン36

 コカビエルを蹴り飛ばしてから数日が経過し、季節は春から夏へと移り変わっていた。

 夏の日差しに負けることなく、俺は陸上へ精を出していた。

 ドライグさんとアルビオンさんから熱烈な殺害予告を受けた訳なのだが、今のところは無事に生きています。

 コカビエルのオッサンをしばいた次の日は、ドライグさんを保有する兵藤から襲われるのではないかとビクビクしていた。がしかし、そうしかしだ。よくよく考えれば兵藤程度であれば蹴り一発で退散させることができることに気づいたため、比較的オレの精神は安定していた。

 そんな落ち着いた学校生活を送っていたが、事件と言うヤツはいつも唐突に来るものだった。

 事の起こりは兵藤が日課の悪魔稼業を行っていた際、お得意先ができたと喜んでいたら、それがまさかの堕天使達の長、アザゼルであったのが発覚。

 コカビエルの一件から悪魔、天使、堕天使は会合を開くことを決めたようで、知らぬ間にトップ陣がこの街に集まりつつあるようだ。

 この事にグレモリー先輩が「自分のテリトリーを侵された!!」と怒っていたのは記憶に新しい。

 痴女やオッサンが好き放題してたからアザゼルとやらが来ていても気づけないのは仕方ないのでは? とは思ったが、指摘するのは止めた。中間管理職と言うのは辛いのだ。俺、なったことねぇけど。でも通算二百年以上一緒に過ごした父さんが言っていたから間違いない。

 またアザゼルは根っからの神器のマニアとのことで、兵藤の持つ赤龍帝の籠手が狙われているのでは? とリアス先輩たちは危機感を募らせていた。

 俺? 心配どころか話題にすらならなかったよ…………別に悲しくなんかないやい!! ちくしょう、俺の刹那の懐中時計だって強いんだぞ!! 使えない場面ではとことん使えないが、刺さるときは刺さる性能なんだぞ!! アザゼルやグレモリー先輩が見向きをしなくても、俺だけはお前の良さを理解しているからな!!

 そんなわけで、現在この街は昔(当社比)よりも危険が一杯である。不足の事態に備え、地道ながらも鍛えていくのは必須だった。

 くそ暑い夏の中、グレモリー先輩たちがプール開きをするという魅惑の誘いを断腸の思いで断り、俺はより実践的な陸上の練習に励んでいるのであった。

 また嬉しいことに、そう考えているのは俺だけではなかった。

 木場ちゃんと、コカビエル事件のあと何でか悪魔に転生していたゼノヴィアの二人が参加してくれたのだ。

 二人ともグレモリー先輩の眷属では『剣士』を担っているため、足腰を本格的に鍛えたいと申し出があったのだ。

 どのような理由であれ、陸上へ興味を持ってくれるのはスゴく嬉しい。木場ちゃんが最初に頼み込み、その直ぐ後にすごい勢いで私もと表明してくれたゼノヴィア。

 そこまでして陸上へ興味を示してくれた二人。俺も日々精進する立場であるが、本気で指導をしなければ無作法というものだ。特にゼノヴィア、同じ陸上魂を宿すものとしてこれからはイヌころとは呼べないな。

 そして現在、俺と木場ちゃんとゼノヴィアの三人は近くの河川敷にやってきていた。

 ここは俺がトレーニングしている場所の一つだ。

 さぁ、共にどんな変態や痴女が現れようとも闘い抜き、最悪逃げ切れるように練習を始めよう、木場ちゃんにゼノヴィア!! 先ずは全力疾走でフルマラソン。それが終われば腿上げ5000回だ!!

 

「フルマラッ?!」

「5000?!」

 

 アップメニューを伝えたら、二人して目を見開いて驚く。

 あれ、少なすぎたか? そっか、人間の俺でもこなせるメニューだから、悪魔の二人には物足りなかったか。

 なら、それぞれ2倍の数こなすとしよう!!

 さぁ、アップメニューも決まったことだし、夏の暑さに負けないように走ろうか。では、俺についてこい!!

 二人を先導するように、俺はマラソン(2倍)を開始した。

 無限の彼方へ、さぁ行くぞ!!

 

「木場、日本の陸上選手と言うのはこんなにも自分を追い込む狂人なのか?」

「あははは──────絶対に違う」

「そうか。となれば、そんなメニューをこなす彼は特別なのだな。ますます彼との子供が欲しくなる」

「……………抜け駆けは許さないよ?」

「許さない? 木場よ、アーシアの持つ少女漫画に描いてあったが、恋とは出し抜いてなんぼ、だそうだぞ。無論、私は正々堂々と直球で掴みとるがな」

「なら僕は最速で行かせてもらうかな。彼との出会いも早ければ、単純な速度も僕の方が上だ。負ける気がしないね」

「なっ、出会いの早さはズルいぞ!! それを言うなら彼と本気で勝負をしたのは私が最初だ!! つまり、彼の初めてを貰ったと言っても過言ではない!!」

「はぁ?! それなら僕は彼と最初に共闘だってしたんだから!! 私が彼の初めてを貰ったんだ!!」

「何を!!」

「そっちこそ!!」

「「ぐぬぬぬぬぬぬぬ────あれ、彼(心君)は? …………走ろう(走る)か」」

 

 

 

…………時間が進みます……あれ? 妨害がない、だと?………

 

 

 

 …………二人とも遅いな~。これはひょっとしてやってしまったか?

 フルマラソン(2倍の距離+全力疾走)を始めて十数分。

 走るのに夢中になってしまていたようで、木場ちゃんとゼノヴィアの二人とはぐれてしまった。

 現在地点は川を越え谷を越え、僕らの町にやってきている。

 いかんいかん。教える立場の俺が舞い上がってしまった。

 戻るべきか、それとも待つべきか。そもそも二人は俺が日常的に走るルートを知らない。戻っても探しても、どちらを選ぼうとも無駄骨になってしまう可能性はある。故にどちらの選択肢を選ぶべきか、そこが問題だ。

 

「私は空から探しつつ戻るのがオススメかな」

 

 ほほぉ、その心は?

 

「二人は君が走るルートを知らないんでしょ? なら街中をうろうろするよりは空から全体を見渡した方が見つけやすいよ。実際私もよくするから」

 

 なるほど、実績ありとな。それは実践してみる価値があるな。ならば早速翔るとしよう。

 ありがとな。んじゃ俺、行くわ!!

 勢いよく翔だそうとしたところで、肩に手が置かれた。

 

「まてまてまて。少しは突っ込んだらどうだい。話に乗った私が言うのもあれだけど」

 

 やだぁ、突っ込むだなんてハレンチ~。などと兵藤が喜びそうな返しなどすることなく、俺は肩に手を置いた人物へ振り向く。

 先日コカビエルを担いで俺に殺害予告をした一人(正確には彼女の神器が行った)、アルビオンさんがいた。

 なんでこんな場所にいるんですかい。アルビオンさん?

 

「今日は下見。アザゼルが会議が開かれる学校を視察している間に、私も興味深い君を見に来たってわけ」

 

 やだぁ~興味深いだなんて、俺ちょっと…………照れねぇわ。ホント、あの時の殺害予告が無かったらどれだけ嬉しかった言葉だろうか。

 今の俺には母さんが「今日は生姜焼きにしようかしら、それともハンバーグ────どの獲物にしようかしら」といいながらスーパーのお肉コーナーを見つめているのと同じものを感じていた。

 あれは捕食者の目だ。無論、獲物は俺。

 ここでやり合うのでれば、まな板の上に置かれた鮮魚のように跳ねて抵抗するぞ、俺。

 それはもう活がいい魚になってみせるぜ。

 駒王学園の魚王とは俺の事よ!!

 

「なんで魚限定なのよ。てか、魚王って………安心して、流石に昼間からやり合いつもりはないから」

 

 だろうな。そのつもりだったら既に俺の腹に大きな大穴が空いていた筈だ。

 少なくとも、あの痴女供はしていた。それと比べたら殺害予告をしてきたアルビオンさんは遥かにマシである。

 問答無用で来ない分、俺からの好感度は割と高い。まあ、比べる対象が低すぎるだけであるが。

 

「あの痴女? あぁ、堕天使たちね。マシとはいえ、アイツらと比べられるのは、それはそれとして少し複雑かな」

 

 それはしゃーない。だって100歩ぐらいは譲歩した結果だ。殺害予告をしてきた己を恨みたまえ。

 てか、そろそろ探しに行っていいか? もう十二分に俺を見ただろ。これ以上は金とるぞ、金。

 

「なんでちょっと偉そうなのさ。あっ、せっかくだし私も同行していいかな? 君の脚の鍛え方に興味が──「本当かッ!!」──うっ、うん」

 

 思わず大きな声を出してしまった。

 なんと言うことだ。アルビオンさんも陸上に興味を持ってくれたのか!!

 俺的好感度が上がったぜ。具体的には木場ちゃんとゼノヴィアの二人と同じレベルだ。

 こうしちゃいられない。急いで陸上に必要な道具と服、ついでに刺繍まで終わらせなければ。

 アルビオンさん、君の名前は!! 流石に神器と同じ名前じゃないよね!!

 

「えっ、ヴァーリだけど」

 

 ヴァーリちゃんね、おっけ。んじゃ、早速ジャージと靴を買いに行くぜ!!

 

「ちゃん?! てかえっ、ちょっ?!」

 

 善は急げ。思い立ったが吉日。俺は有無を言わさずにヴァーリの手をとると、急いでスポーツ専門店へと向かう。

 木場ちゃんとゼノヴィアの捜索? バカやろう!! 新入部員の勧誘が最優先だろうが!! 陸上に興味を持ってくれた人を逃がすわけにはいかんぜよ!!

 

「あっ、やっと見つけた。もお、心くん速す───ッ!!」

「木場よ、私を置いて行く───っ、貴様は」

 

 おっ、木場ちゃんとゼノヴィアではないか。

 ヴァーリちゃんと共にスポーツ専門店へと向かう道中、偶然にも木場ちゃんとゼノヴィアの二人と合流できた。

 なんか凄い怖い顔してるけど、どしたん? あれか、俺が置いて行ったのが悪いのか? うん、悪いわ。マジですまなかった。

 てか、それよりも見てみて~。はい、新しい新入部員のヴァーリちゃんです。みんな、仲良くしてくれなッ!!

 俺は二人のまえにヴァーリちゃんを押し出して紹介する。

 ささ、みんなで自己紹介といこうじゃないか。

 祝え!! 新たな陸上仲間の誕生を!!

 

「全く君は強引なんだから………はぁ、だそうだよ。今代の白龍皇のヴァーリだ。よろしくね、お二人さん」

「…………本当に何もするつもりはないの?」

「しないさ。彼にも言ったが、今日は闘いに来た訳じゃないよ。彼に少し興味が湧いてね、会いに来たのさ。もっとも、陸上に巻き込まれたのは予想外だったけど」

「……………心くんが言うなら信じるよ。僕は木場だ」

「私はゼノヴィアだ。ヴァーリ、もし変なことをするようなら、私はこの場で貴様を切り捨てるつもりだ」

「おぉ、怖いねぇ。するつもりはないけど、助言はしておこう。あからさまな虚言は控えた方が身のためだよ。私は気にしないが、無駄にプライドが高い老害たちは冗談なんて通じない。長生きしたければ覚えておくといいよ」

「…………忠告として受け取っておく」

「そうしたほうがいい。君は獣じゃないんだから、賢く生きないと」

 

 龍と虎二匹のにらみ合い。

 そんな例えができそうな雰囲気を醸し出しながら、三人は自己紹介をしていた。

 なんでこうなるんだよ。

 俺は思わず手で顔を覆いたい気分になるが、よくよく考えればコカビエルの件からヴァーリちゃんは堕天使の関係者と思われる。そして悪魔と堕天使は険悪な関係。

 残りは言わなくても分かるよな。要は水と油だ。

 しかし、そんな水と油でも宇宙であれば混ざり合うことができる。

 そうだ。今の俺たちは陸上というスポーツの宇宙に存在している。だから仲良くできるはすだ!!

 

「陸上が宇宙って………君の中で陸上はどんな評価をしているのさ」

「………ははっ、違いない。なんか、心くんの様子みてたら睨み合うのが馬鹿らしくなってきた。これからよろしくね、ヴァーリさん。ほら、ゼノヴィアも」

「あぁ、木場の言う通りだな。ゼノヴィアだ。これから陸上を嗜む仲として、よろしく頼む」

「うん、長いが短いかは分からないが、二人ともよろしく」

 

 うんうん。

 仲良きことは良きこと。と言うわけで、早速ヴァーリちゃんの道具を買いに行こう!! そして共に青春の汗を流そうか!!

 新たな仲間に喜びながら、改めて俺は三人をつれてお世話になっているスポーツ専門店へと向かう。

 歩くこと数分。

 スポーツ専門店へと到着した。

 元気よく店内へと入る。

 ちわーす。おばちゃん、邪魔するでー。

 

「邪魔するなら死んでくれー」

 

 あいよー…………ってぇ、死んでくれは無いだろ!?

 店から出ようとしたが、勢いよく戻る。様式美というのを知らんのか。

 

「冗談や。坊主の反応がおもろくてなぁ」

 

 喧しいわ。

 とりあえずおばちゃん、この三人にピッタリな陸上道具を揃えてくれ。金の心配ならいらねぇぜ。これでも副業で色々と儲かってんだよ。

 

「ほぉ、べっぴんさんばかりやな。坊主のコレか?」

 

 小指たてんなや。セクハラで訴えられるぞおばちゃん。

 つか、どっからどう見ても陸上部員だろうが。

 見ろ、木場ちゃんの細くて美しい脚を!! しなやかでありながらも、その内部には爆発的な力強さを感じる。競走馬にも引けをとらないトモだぞ!! これを見ておばちゃんは素晴らしいとは思わないのかねっ!! 木場ちゃん、お前からも言ってやれ。失礼だってな!!

 

「おう、坊主。その辺にしてやれ。その木場ちゃんとやらの顔がリンゴを通り越して信号機になっとるぞ」

 

 んだと? おばちゃん、話を逸らそうたってそうは………ありゃー。

 

「────プシュー」

 

 マジでおばちゃんが言うように、赤信号と言っても過言ではないくらいに真っ赤な顔をしてらっしゃる!? そして目は虚空を写してボーッとしてるー!?

 というかさ、この状況ってさ、よく考えたらセクハラで訴えられるの俺じゃね?

 えっ、ヤバくね。なあ、そこんところどう思うゼノヴィア?

 

「心よ、私はどうだ?! どうなのだ?!」

 

 うん。役に立ちそうにねぇや。とりあえず俺に向けて脚を押し付けるんじゃない。近い、近いがな。そんなに近づけなくても講評はしてやるから。

 そうさなぁ………お前はしなやかというよりはがっしりだな。力強さが目に見えて分かる良いトモだ。潜在力も素晴らしいものを感じられる。良いセンスだ。

 

「おう、そのゼノヴィアちゃんにもその辺にしてやれ。お嬢ちゃんが熟れたパプリカになっとるぞー」

 

 んだよ、そんな二番煎じみたい………なっとるー。

 

「………プシュー」

 

 まるで茹で蛸と言わんばかりに顔を真っ赤にしたゼノヴィアが床に倒れていた。

 えっ、衛生兵ー!!!! ついでに俺がセクハラで訴えられても大丈夫なように凄腕弁護士もお願いします!!

 ととと、とりあえず証拠隠滅でもした方がいいのか? あかん、こんな状況初めてだからわかんねぇ!! 埋めればいいのか?

 

「埋めてどうするんだい!! たく……落ち着けあんぽんたん。とりあえず二人はその辺に寝かせときな」

 

 分かった!!

 おばちゃんのアドバイス通りに、二人を店のスミへと寝かせる。これでよし。二人とも、ゆっくり休むんだーよ(伯爵風)。

 さて……よおおばちゃん。道具を買いにきたぜー。んだよ、そのバカを見るような目をしやがって。失礼だろうが。

 

「おう。現在進行形、かついろんな意味でオメェがな」

「ところで心君。そろそろこの方について説明してもらってもいいかい?」

 

 紹介もなにも、この店のオーナーのおばちゃんだよ、ソイツは。

 

「この娘さんが?」

 

 ヴァーリちゃんから嘘だろ? という視線を受ける。

 何か間違ったことを言っただろうか。

 というかおばちゃんに対して娘さんだって? うーん…………あぁ!! 見た目の話ね!!

 そうだよ。俺は慣れてるし、当たり前だと思ってるからあれだけど。初対面の人からしたら、マジでそう思うよな。改めて考えたら、気持ちはスッゲー分かるわ。

 おばちゃんの容姿について、とある物語のモノローグ風に言えばこうだからなぁ。

 

 それは、おばちゃんと言うにはあまりにも見た目が若すぎだ。

 ハリ、艶、童顔、そして低身長すぎた。

 世間一般で言えば、幼女(可愛い)と呼べる存在だった。

 

 そんな幼女に対して、どうして俺がおばちゃんって言うかだって? 仕方ねぇだろ。俺が小さいガキの頃からこの姿なんだから。

 ついでに言えば、自分から自身をおばちゃんと呼べと強要してくる始末だぞ。なぁ、おばちゃん。

 

「まぁねぇ~。そんな訳だからあんたも、私のことはおばちゃんと呼びな」

「は、はぁ……………しかしこの龍の気配………赤? …………まさか、な」

 

 何やらおばちゃんを見てヴァーリちゃんが考え込んでしまった。

 まあ俺も小学生の頃、初めて見たときは同級生と思っていたなぁ。

 そんで「お手伝いして偉いじゃん」って話しかけたら「子供扱いするんじゃねぇッ!!」とブチギレられ、ついでに殴られたのは記憶に新しいぜ。

 よくまぁ、そこから通うようになったものだ。物は良いからなぁ、物は。

 とりあえず三人にピッタリなウェアと靴を見繕ってくれよ、おばちゃん。

 

「相変わらずいきなり話を変える坊主だね。待ってな、今持ってくるよ」

 

 おう、頼むわ。

 それから何やらモジモジしながら復活した木場ちゃんとゼノヴィア、そしてヴァーリのトレーニングウェアと靴を購入した。

 木場ちゃんは黄色を基調としたヤツ。ゼノヴィアは青を基調としたヤツ。ヴァーリは白を基調としたヤツだ。

 ここに兵藤がいれば鼻の下を思い切り伸ばすレベルで、三人にピッタリだ。写真を撮ればスポーツ雑誌の表紙だって余裕だろう。もはや似合っているを越えて一体化していると言っても過言ではない。

 さて皆様、そんなトレーニングウェアと靴。お値段も気になりますよね?

 三人分のトレーニングウェアと靴。そのお値段合計、驚異の10万強。高っ!! さすがは質とデザインを重視するおばちゃんセレクションだと褒めてやりてぇ。…………グレモリー先輩からコカビエルの件で金一封を貰っていなければ即死だったぜ。

 

 こうして新たなコスチュームを身に纏った三人と共にトレーニングを再開。

 新入部員にテンションが上がった俺は当初の予定を大幅に越えて(当初の3倍)練習をしてしまった。

 いやー、我ながら浮かれてしまったぜ。

 

「「「……………(息も絶え絶えな状態)」」」

 

 んだよ、三人とも化物を見るような目をして。これぐらい普通だろ?

 えっ、あり得ない?

 いやいや、せいぜいフルマラソン×三本を全力疾走して、その後に腿上げ15000回しただけじゃん。人間の俺が余裕なんだから、悪魔の三人はもっと余裕だろ?

 余裕じゃない? マジで? ………そっか。まっ、まあ人の成長速度は十人十色だし、大丈夫だって。お前たちも努力すれば俺みたいに空も翔るようになるから!!

 なぁ、俺の心の修造さんもそう思うだろ?

『挑戦、チャレンジ、いいねぇ!!』

 だろぉ? それにさぁ、ここまできたら俺も音速を目指したいぐらいだぜ。

 よっしゃ、なんか燃えてきたぜ!! 木場ちゃん、ゼノヴィア、ヴァーリちゃん、俺はもう少し走ってくるわ!!

 

「「「まだ走るの(か)ッ?!」」」

 

 当然だ。陸上は一日にして成らず、だからな。

 んじゃ、お前らは必ず整理運動してから帰るように。では!!

 三人にクールダウンを忘れずに行うように伝え、俺は再び走り出した。

 いやー、これからの陸上部の活動に期待が高まるなー!!

 

………場面が切り替わるぜ☆……

 

 心が走り去った後、残された三人は自然と会話に花が咲いた。

「…………今回の練習で、心君がコカビエルを倒せた片鱗が伺えたね」

「…………だな。少なくとも、アップ程度は余裕でこなせることを目標とするか」

「私も賛成。実力に驕ってた訳じゃないけど、彼のソレは別次元だったね。これから追いかけるのが楽しみだよ。アルビオンもそう思うでしょ?」

『確かにな。しかし、ヤツに追い付くとなれば気を抜かぬことだヴァーリ。アレに見入られたヤツは文字通り“次元”が違うからな』

「次元が違う? すみません、アルビオンさん。一つ質問してもいいですか?」

『別に構わんぞ。何が聞きたい』

「兵藤君のドライグも言ってたのですが、心君が見入られたアレって誰のことですか?」

「確かに、私も気になるな」

「せっかくだから教えてよ、アルビオン。私もあれから色々調べたけど、それらしいものは見つからなかったし」

『ふーむ………』

 

 木場だけではなく、ゼノヴィアや宿主であるヴァーリから訪ねられ、アルビオンは少し考え込む。

 ヴァーリの現状を考えれば、グレモリー陣営に情報を多く伝えたくはない。

 だが、ヴァーリ自身も気にしないだろうし、二人とヴァーリの関係は現状は良好だ。

 少しは宿主のために行動するか、と判断したアルビオンは話し始めた。

 

『ふむ………まあ、ヴァーリの部活仲間となる貴様ら二人ならば構わんだろう』

「ありがとうございます」

『気にするな。ヴァーリも気になっている事柄だからな。それとヴァーリ、ヤツについてはどこにも情報はないぞ。現状、アレは私とドライグのみが見た存在だ』

「なるほど。だからあの人たちも知らなかったんだ」

「ん、あの人たち?」

 ヴァーリの言葉に疑問を持ったゼノヴィア。そんなゼノヴィアに対し、ヴァーリは何でもないよと口にする。

 

「こっちの話。つづけてよ、アルビオン」

『あぁ。私とドライグのみが見ることができた、ヤツが見入られたアレ。それは………』

「「「それは?」」」

 

 一瞬の静寂。

 三人が次にアルビオンが口にする言葉に耳を傾け、アルビオンは少し間を持った後、その存在について口にした。

 

『私とドライグが神滅具に封印される間際に観測した─────“外”の神だ』

「「「…………は?」」」

 

 心含め、この世界の誰も知らない真実を知った三人は、心のハードトレーニング以上の衝撃を受けるのだった。

 

 

 

……………(キング・クリムゾン!! 時間は吹き飛ぶ!!)……………

 

 

 

 さーて、新生陸上部の練習から数日が経ったある日。

 学園の授業参観も終えたこの頃。俺は何故か兵藤と共に姫島先輩から呼び出しを受けた。

 んで、二人揃って呼び出された場所へと向かっていた。

 しかし、一体何のようだろうか。兵藤は知ってる………わけねぇか。すまん、忘れてくれ。俺が悪かった。

 

「どういうことだよ?!」

 

 そこはほら、お前を過小評…………ゲフン、ゲフン。ところで兵藤、お前最近調子どうよ?

 

「露骨に話題変えるの止めろよ!! …………まあ、調子はいいな。ギャスパーの特訓──あぁ、心はギャスパー知らなかったか。部長の『僧侶』なんだけど、最近は先輩としてソイツの特訓に付き合ってるんだぜ、俺」

 

 ほぉ、兵藤にしては頑張ってるんだな。これからもしっかり励むように。

 

「誰目線?!」

 

 保護者? いや、監視員だな。主にお前の変態行為被害者の。

 しかし、ギャスパー。ここにきて新たな部員か。最近は陸上しかしてなかったし、挨拶がてら一度部室に行くか。

 もしかしたら陸上に興味を持ってくれるかもしれないし。

 んだよ、兵藤。なんか言いたそうな顔をして。

 俺の新入部員獲得計画に何かあるのか? なに? ギャスパーは引きこもりだから部屋から出すのすら難しい? …………ほほーん。

 とまあ、兵藤と他愛ない話をしながら歩くこと数分。

 ようやく姫先輩が指定した場所についた。

 石段がずーっと続いており、赤い門が俺たちを出迎えてくれた。

 神社だな。どこからどう見ても神社だ。

 悪魔の兵藤としては行きたくない場所なのでは? だよな。だよねぇ。帰る? 行く? そっか。

 兵藤が行くと決めたのなら、俺も着いていくとする。

 石段を越え、境内へとたどり着くと、そこには巫女服に身を包んだ姫島先輩がいた。

 お疲れさまでーす。

 兵藤と共に姫島先輩の元へと向かう。

 しっかし、悪魔の兵藤や姫島先輩も神社大丈夫なんですか?  ほー、特別な契約で大丈夫と。なんかご都合主義ッスねー。

 ところで、今日は何で俺と兵藤を呼んだです? 俺と兵藤に会いたい人がいる? なんてもの好きな人だ。

 そうして姫島先輩の案内により本殿へと向かう俺たち。

 本殿に行くと、そこには一人の青年がいた。

 

「はじめまして赤龍帝、兵藤一誠くん。そしてコカビエルを倒した英雄、新月心くん」

 

 挨拶と共に、青年から物凄い白色のオーラと6対の羽が広がった。

 この羽の質感、痴女か?!

 俺は咄嗟に臨戦態勢をとろうとしたが、羽の色が黒ではなく白なのに気づいた。

 待てよ。黒色ではないと言うことは、痴女ではない? 恐る恐る青年へと訪ねると、青年は少し複雑そうな表情で説明してくれた。

 自身は天使であり、高位のミカエルであるとのこと。なるほど、青年が正しい天使姿なのか。まさか生きている内に天使に会うことになろうとは。人生、分からないものである。

 んで、そんなお偉いさんのミカエルさんが俺と兵藤に何のようで?

 俺が訪ねると、ミカエルさんは申し訳なさそうに話しかけてきた。

 

「新月心くん。君が聖剣を改造したスパイクなんだけど、一度天界に返してもらえないだろうか?」

 

 えっ、嫌でござる。

 即答で返事してしまった。

 えー………マジで返さなきゃダメ? つか、兵藤の幼馴染みさんが刀身が無くてもクリスタルさえ無事ならエクスカリバーは復活できるって聞いたんだけど?

 俺はどうしても返したくないと話したら、ミカエルさんがもの凄く申し訳なさそうに説明してくれた。

 なんでも、エクスカリバーの復元は無事に終わったらしい。しかし、元には戻らなかったとのこと。具体的には性能が半減以下にまで低下してしまったようだ。

 にもかかわらず、元エクスカリバーのスパイクが元気よく空を翔る状況に天界や協会メンバーがてんやわんやになっちゃてる様子とのこと。

 んで、原因を探るためにも、俺とおばちゃんが無断加工した天翔のスパイクを調べたいらしい。

 無論タダというわけではないようだ。

 ミカエルさん言うには調べるのは1ヶ月程度で、その後は俺に返却した上で元々盗難品であるエクスカリバーの所有権を正式に俺にくれるそうだ。ついでにクリスタルもくれるらしい。

 えー、別にクリスタルいらないし、1ヶ月もお預けはイヤだー。と俺がごねていたら、ミカエルさんは「でしたら、仕方ありません」と言いながらある紙を俺に差し出してきた。

 なんじゃ、これ。

 差し出された紙を受けとる。

 その紙にはこう書かれていた。

 

 『被害届』と。

 

 あかんやん。

 

「どうしても渡してくれないのであれば、日本の司法制度に則って警察に行くしかありませんね」

 

 すみませんでした!!

 俺は急いで天翔のスパイクをミカエルさんに差し出した。コカビエルや変態神父をぼこぼこにできる俺でも、流石に公的機関に対しては無力である。

 そうだよね。変態神父も盗んでたし、俺も無許可だ。普通に考えたらそう(被害届)なるよね!!

 とにかく、警察のお世話になるのだけは勘弁だ。変態行為の常習犯である兵藤よりも先に捕まるなど末代までの恥だ。

 

「ちょっ?!」

 

 兵藤の心外だという反応を無視しながら、俺はミカエルさんに対してヘコヘコと頭を下げた。

 どうぞ持っていって下さい。2ヶ月でも3ヶ月でも存分に調べてくだせぇ。

 

「賢い子は嫌いではありませんよ。では、お預かりしますね」

 

 ミカエルさんはスパイクを受けとると、そのまま懐にしまった。

 ふぅ………なんとか前科一犯にならずに済んだぜ。

 それからミカエルさんは手ぶらで帰るのも申し訳ないとのことで、自身の羽を1枚くれた。

 リアル天使の羽である。何に使えるかはさっぱり分からんが、くれるというのだからありがたく受けとるか。ありがとうございます。

 それからミカエルさんは兵藤へと話を移し、兵藤にはアスカロンと呼ばれる聖剣をプレゼントしていた。

 いいなー、聖剣。俺は被害届貰いかけたのに、兵藤は聖剣が貰えんのかよ。俺と兵藤にある謎の格差に涙が出そうだぜ。

 渡すものを渡したら用は済んだとのことで、ミカエルさんは天界へと帰っていった。

 兵藤は姫島先輩と少し話してから帰るとのことであったため、俺は一人で帰ることにした。

 帰り道では天使の羽の使い道を考えたが、結局家に着くまで思い付くことはなかった。

 最悪羽ペンにでもするか。

 

………時間が進みます………邪魔が来ない、だと? …………

 

 ミカエルさんとの一件から特にイベントや命が狙われることなく、陸上の練習に精を出しながらも穏やかに日々は過ぎていった。

 そうして向かえた悪魔、天使、堕天使の三大勢力会議当日。

 俺はコカビエルの一件から悪魔、天使、堕天使の長たちに名指しされ会合に参加することとなった。

 場所は母校である駒王学園新校舎の職員会議室。

 時間は悪魔似合わせた深夜。

 眠り眼を擦りつつ、俺は時間に余裕をもって出席。

 既に堕天使陣営とヴァーリちゃんがいたため、軽く挨拶をして回りながら時間を潰すこと数分。続々とメンバーが集まり、最後にグレモリー先輩たちがやってきた。

 それに合わせて悪魔の長であるサーゼクス(グレモリー先輩のお兄さん)が会合の始まりを宣言。

 それから和平へ向けて話し合いが行われた。

 和平について兵藤がしょーもない事を話したりしながらも、比較的和やかな雰囲気で会合が終盤へと差し掛かった頃だ。

 突如として、俺の目の前が真っ暗になった。

 

 は?

 

享年17歳 死因 ?




主人公に関係する人物

『妹』
ポテトフライが好物。今後もメインで出てくることはない。

『スポーツ店のおばちゃん』
主人公が小学生の頃から幼女。かわいい。赤い髪の女の子だ。ヴァーリちゃんが何やら引っ掛かってる様子だが、主人公は気づいてないぞ!! おばちゃんではなく子供扱いするとグーで来るぞ!!

『アレ(外の神)』
主人公に関係する存在。多分原作の7巻辺りで付箋を回収するぞ!!

『ミカエル』
いつでも主人公に対して必殺アイテム『被害届』を出せる最強の天使だ!!

『兵藤一誠』
変態。最近は見直してきたが変態。この作品では彼は変態の汚名は消えない。

『グレモリー先輩』
中間管理職。主人公から同情されてる。

『姫島先輩』
特になし。

『小猫』
特になし2号。

『木場ちゃん』
新入部員1号。原作よりも脚が速いぞ!! 恋路は知らん!!

『ゼノヴィア』
旧犬ころ。新入部員2号。原作よりも脚が速いぞ!! 脳筋なのは変わんないぞ!!

『ヴァーリちゃん』
新入部員3号。原作なんざ知らねぇ!! の精神で生まれたぜ!!

『アルビオン』
この作品ではマトモ枠に落ち着く予定。相方が女の子になったから救われた。ドライグ? 君の宿主が悪いのだよ。

『変態神父』
ある意味で友達。サッカーしようぜ!! お前ボールな!!
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