数分前まで騒がしかったバーが水を打ったように静かになっている、床には炎の蛇が人間に絡みついている。
「や、やっちまった、へ、へへ」
実際に人を殺した事が無かったのか炎の蛇を生み出した男本人も、ライターを持ちながら半ば呆然としている。
「う、うわーぁ!」「た、助けてくれ!」「命だけはぁ!」「キャシー、ヘェルプ!」「人が燃えちまったぁ」
焼死体を見た事により人々が恐怖に震え始め、先ほど前とは打って変わり店のなかはパニックに近い状況になった。
「お、おら!金!金出せよ!お前らもアイツみたいに焼いちまうぞ!」
客の悲鳴を聞き自分が何をしに来たのかを、思い出した強盗は再び要求を始める。
殆どの客が恐怖に屈しようとしていた、しかし…
「おい、おまえなんでオッサンを殺した!」
酔っ払いと一緒にいた少年と、同じような修羅場をくぐってきたプールは別だった。
(参ったわね、あの強盗半分ヤケになってる、ああいう輩は何をするかわからないからやっかいね、強盗だけならまだしも…)
「お前だけは絶対に許せない!」
(この自称ヒーローがいるからね…せめて片方だけなら…)
「なんだよお前、怖がれよ!ほら!ほら!火だぞ!」
強盗が炎の蛇を少年の方に向ける。
「怖いさ、すごく、マジに怖い、けどなぁ!楽しい時間や笑顔を壊す奴だけは、絶対に許しちゃいけないんだよ!」
「なら、お前も燃えろ!」
酔っ払いに絡みついてた蛇が飛び上がり、少年に食らいつこうとする。
「遅い!」
驚異的なスピードを以て、少年は襲いくる蛇を躱し強盗に肉薄する。
「なぁ!いつの間に…」
「ふん!」
そして同じく目にも留まらないスピードで腰の剣の1本を抜き、峰の部分で強盗の腕を叩いた。
「痛ぅ…」
腕の骨が折れたのか強盗はライターを床に落とす、それと同時に炎の蛇も空中で霧散した。
「俺はアンタを殺しはしない、ここのルールに裁いてもらいな」
少年は強盗の鼻先に剣の切っ先を突きつける。
「俺は、俺は捕まるのはごめんだぁ!」
強盗は折れてない方の腕でライターをつかみ、バーの酒樽の方に投げつけた、先ほどまでの騒ぎで大量の酒が零れており、そこにライターの火が引火した、あっという間に店の3分の1近くの大きさの炎が上がる。
「お前っ!まだやるのかよ!」
「うるせえ!こうなったらここにいるやつ等、全員俺の炎で焼き殺してやる!!ほら!燃えろ燃えちまえ、ヒヒヒ!こんなデケェ炎初めてだ、1Stの俺でも操りきれねぇ!ほら!景気よく燃えろ!」
半分正気を保ってない強盗がケタケタと笑い出すしかし…
「ねぇ、知ってる?火は水をかけると消えるのよ?」
プールが杖の蛇口を捻ると、そこから大量の水が津波のように押し寄せ火を簡単に消してしまった。
「な、なんで俺の炎が…」
強盗が呆然とする。
「スキルストーンを持っているのが、自分だけだと思ったの?私の杖アクアスタッフは水を生み出す創造の2St、そして私自体が水を操る支配の1St、相性の問題ね。
あなたは最初から私には勝てないの、おわかり?」
「何をいって、むぐぅ!ごぼぉ!」
強盗の顔に水の球がくっ付く、しばらく悶えた強盗は窒息し意識を失った。
「はーもう最悪、何とか真世界政府のメンバーを捕えたけど…どう見てもはずれよねー、コレ」
プールは世界政府のメンバーのウィビエス支部に、捕獲した強盗を連れて来ていた。
世界統一の政府はそれぞれの街に自分の組織のメンバーのための支部を制作している、その支部の目的は、その町の平和維持であり同時にその町のスキルストーン全体の管理である。
「あ、プールさん、例の男の意識回復しました」
ウィビエス支部のメンバーの1人が声をかける。
「ふーん、で?状況は?」
「あ、はい、やっぱりあの男も真世界政府の人からスキルストーンをもらったばっかりらしいです、はい」
「チッ!やっぱり真世界政府がらみか、ストーンを貰う方も貰う方よ!いつか絶対奴らを潰してやるんだから!」
プールが苛立つ
真世界政府とは、いくつか存在する反政府組織の1つである、もともとスキルストーンは入手すれば、生活の補助だけでなくそれそのものが、十分に武器となり得るものである、実際500年前ではスキルストーンを巡り大きな争いが起こっている、より多くより力の強いスキルストーンを求め世界全体を巻き込んだ戦争となった、当時スキルストーンのタイプは2つあり、1つ目は特定の物質を操り自由自在に操作する支配の力のファースト、2つ目は特定の物質を作り出す創造のセカンド、今ではそれぞれストーンタイプ(通称St)とされている、もし同じ物を操るストーンがあった場合よりストーンの力の強い方に操られるため、必然的にスキルストーンの所有者たちは徒党を組むようになった。
スキルストーンを奪い合い、能力が混沌と渦巻く戦争時代を人は能力混沌戦争(スキルカオス)と呼んだ。
現在は11人の能力者が作った組織が世界を掌握し、表面的な平和が保たれているが陰では政府転覆と世界の覇権を握ろうとしている組織が多数蠢いているのである。
何とか今日中に投稿できました、今回はこのストーリーで重要なキーワードを多数説明することが出来ました、何か疑問のある人は意見のところに気軽に書き込んでください
ネタバレにならない程度にお答えします。