「おい!メスガキ!俺はこう見えても偉大なる真世界政府のメンバーだ!たとえ何されようとも口を割る気は一切ねぇ!」
プールによって捕獲された強盗が檻の中でわめく、ウィビエスの世界政府支部では町の風紀の悪さから多数の檻が用意されている。
「黙りなさい!あなたのした事は立派な国家反逆罪です!犯行の規模からしてウコギナーグへの収監も妥当です」
「なぁ!ウ、ウコギナーグ!?それはあんまりだぜ!俺は今日ストーンを貰ったばっかりなんだ、はじめてのストーンでよぉ、つい調子に乗っちまっただけなんだよ!ゆるしてくれよぉ~」
プールの「ウコギナーグ」という単語を耳にした途端に男は態度を180度かえ震え始める。
ウコギナーグとは旧時代の遺跡を使用した監獄であり、そこには世界中から集められたスキルストーン犯罪者が収容されている。
「ハイハイ、ならおとなしく真世界政府について知ってる事を話してくれない?」
「あ、ああ、わかったよ、といっても俺もさっき言った通り今日初めてストーンを貰ったばっかなんだ、朝起きたらうちのポストにライターと手紙が入ってたんだ」
「手紙?証拠はあるの?」
「ほらこれだよ、そのまんま持ってたんだ」
強盗が自分のポケットから手紙を差し出す、その手紙にはただ一言
「己の欲を満たせ」とだけ書かれていた。
「いったい何を考えているのかしら?混乱が目的?にしてはずいぶんやり方が杜撰ね、ならもう一つ質問するわ」
プールがいったん言葉を区切る。
「ストーン狩りについては何か知らないの?」
ストーン狩りこそプールがウィビエスに派遣された最も大きな理由である、ここウィベエスでは最近何者かによってスキルストーンが強奪される事件が起こっている、被害者は全く決まっておらず、一般市民、出稼ぎ、さらにはこの男の様な真世界政府のメンバーや世界政府のメンバーまでもがその被害にあっている。
「いや知らない、噂では聞いたことがあるが…」
「そう、ならもういいわ」
プールが監獄を後にする。
(今回のヤマは大きいわ、きっと何らかの大きな組織がかかわっているはず、絶対つきとめてやるんだから)
プールがアクアスタッフを強く握る。
「ねえ、この町のデータをくれない?」
プールはウィビエスの職員に話しかける
「は、はい!データですね!これになります」
ちょうどデータの整理をしていたのか、持っていた資料を渡した。
プールがぱらぱらと、ページをめくっていく
「あら?」
「どーしました?プールさん?」
「ほらこれ、ストーン狩りが始まってから犯罪が減少している」
「そりゃそうですよ!なんか悪人とか目立ってストーンを使っている人ほど、狙われてますもん」
「え?悪人や目立つ人が?」
「そうですよー?ここ治安が悪いから前まで旅人が街中で暴れてるー、とかありましたもん、けど半年前に市長が変わってひと月前からストーン狩りが起きてずいぶんこの町も平和になりましたよ?あ、プールさん知ってます?今の市長すごいイケメンなんですよー!もう細い体に知的な視線!もともとはストーンの研究者だったらしいんですけど!あー!私も研究されたい!」
職員がくねくねとおかしな動きを始めた。
「市長が研究員?初耳なんだけど?私もいったん市長に会ってみる必要がありそうね」
「やっぱりプールさんもイケメン気になりますか?エージェントでも女の子ですものね!」
「あー、はいはい、そうですね、そんなことより電話を一本入れてくれない?」
「お出かけですか?」
「現市長宅よ」
プールは資料を返すと市長宅に向かい歩き始めた。
「うわー、大きな家」
砂埃が多いこの地方では珍しく、一面が白く塗られた屋敷が市長宅である、前までの市長はあまり家に関心がなく荒れ放題だったのだが現市長の意向で、リフォームされ現在のような形となっている。
「いらっしゃいませ、急な訪問ですね」
屋敷の中から線の細い男が出てきた。
「どうも、力及ばずながらウィビエスを治めさせていただいてる、ルクスです」
どこかの民族衣装なのか、袖が大きく手の先が見えずさらにコートのように裾が開いている。
「こちらにどうぞ、何分だらしない性分なもので、部屋が散らかり放題なのですよ、これでも少しはかたずけたんですがね?」
プールの市長の第一印象は「ペラペラとよくしゃべる男」だった聞いてもいないことをしゃべるこの男を見ていると、自分の知り合いを思い出し気分が悪くなった。
「まあ、せっかくいらしてくださったんですから…」
「ルクスさーん!紅茶入りましたよー!」
ルクスの部屋に紅茶を持った少年が入ってきた。
「おや、レイジさんありがとうございます」
にっこり笑ってルクスが応対する。
「あ、あなた」
「あー、さっきぶり!」
それはさっきの酒場で出会った2本の剣を持った少年のだった。
「おや、お2人さんはお知り合いですか?」
「ええ、先ほど酒場で…」
「そうなんだよ!こいつその杖で、店の火事を一瞬で消しちまったんだぜ!いやースキルストーン好きのルクスさんにも見せたかったなー!」
レイジがうれしそうに話す。
「ところで、ルクスさんに何の用なんだ?」
「ああ、そうね、本題に移りましょうか」
プールがルクスの前のソファーに腰を下ろす。
「いくつか、聞きたいことがあるの」
「なんなりと、私の知り得る事なら何でもお答えしますよ?」
ルクスが紅茶に手を付けながらニコリと笑う。
「一つ目、ここ一か月多発してるストーン狩りについてです、スキルストーンを奪われた人の共通点、わかりますか?」
「共通点?痛ましい事件ですが被害者に何か共通点が?解りかねますね」
「それは強力なスキルストーンを持っている事、名前が有名であることです、ルクス市長あなたもスキルストーン持っていますよね?」
プールが鋭い視線を向ける。
「私ですか?残念ながら持っていませんよ、どうもスキルストーンとは折り合いが悪くて、研究自体はしてますが?」
「そう、あなたは研究用の強力なストーンを多数持っているハズです、そのことは誰にも明らかですし、名前自体も有名ですよね?この町では特に」
「おい、ちょっと待てよ!ルクスさんを疑ってんのか?ルクスさんは誰にも優しくて町のことを、誰より真剣に考えてくれてるんだぜ?」
レイジが声を荒げる。
「かまいませんよ、レイジさんこれは彼女のお仕事なんですから」
あくまでにこやかに応答するルクスしかし
「ちょうど新しい、ストーンが欲しかったところですから」
ルクスが右手を天井に向ける、袖の中から鎖が飛び出し天井の照明に巻きつく。
「さよならお二人さんククク」
ルクスが指を鳴らすと部屋全体の床が突如崩れ落ちる。
「なぁ!」
「ウソでしょ!」
レイジとプールは床下へと落ちて行った。
どうもみなさんお待たせしました。
今回やっと、やっと主人公の名前を出すことが出来ました、名前を出すだけでこんなに引っ張るとは…まだまだ自分の未熟さを感じます。
これからも努力していくので最後までお付き合いしていただけたら幸いです。