スキルカオス   作:ホワイト・ラム

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時を刻む2針

ルクスの研究所が大きく揺れる。

「な、何事ですか!」

ルクスが先ほどまでと変わり、動揺をあらわにする。

「ルクス様!侵入者です!現在屋敷を破壊しながら地下に向かってきます!」

屋敷の者と思われる白衣の男が、あわてて駆けつける。

「チッ!ついに世界政府のメンバーが、ここを嗅ぎ付けましたか!レイジさんわたくし少しばかり用が出来ましたので、これで失礼させてもらいます」

ルクスがレイジに後ろを向ける。

「逃がすか!」

レイジが剣を抜きつつルクスに迫る、酒場で見せたような高速移動で近づく。

「そういえば、あなたもスキルストーン使いでしたね、その剣自体がストーンですか?追ってこられると厄介なのでここで潰すべきですね、ご安心くださいあなたを殺すつもりはありませんから」

クルリとルクスが振り返り、裾の中から鎖を飛ばす、空中で鎖は輪のように変化しレイジを拘束しようとする。

「ゆっくり研究してあげます」

「悪いけど、捕まるつもりはないんだ」

剣を使い鎖を叩き落とす。

「ふむ、?」

違和感を感じたルクスが次はと言わんばかりに、鎖の一部を弾丸のように飛ばす。

「おおっと!」

その弾丸すらレイジはあっさりとかわす。

「おかしいですね?今の攻撃、簡単には見切れるはずはないのですが、レイジさんあなたのストーンはなんですか?」

ルクスはレイジの力を何度も目にしている、偶然駅で財布を無くし困っているのを見かけて以来、屋敷に住まわせ仕事を与えかくまっているが、特に能力によって何かを操る様子もなく本人の移動速度が上がることから、筋力の1Stだとルクスは思っていた、しかし先ほどの攻撃では、あちらが早くなったのではなく、こちらの攻撃が遅くなったのを感じた、一度は興味を失いかけたレイジに対しルクスは再び興味がわいた。

「あれ?言ってなかったけ?俺の力は時間の1St!高速移動と減速が得意!」

レイジが自分の能力を初めて言った、その瞬間からルクスに変化が見られた。

「時間?時間の1St?つまり時間を支配する力?素晴らしい!エクセレント!まさか!まさか!!まさか!!!ふひひひひひひ!!!すばらしぃ!!!!すばらしすぎるぅぅぅぅぅ!こんな奇想天外な力が存在するなんて!!あああああああ!スキルストーンはなんて素晴らしいんだぁ!炎や鉄でもない!人が不可侵を貫いた時間さえ支配してしまうのか!!!ウヒヒヒヒヒヒ!今日の事が夢でないことを祈るばかりです!レイジさん!!あなたに興味がわきました!!私はあなたを研究したい!!研究し尽くしたい!!」

何かのタガが外れたようにルクスが笑い出す。

「ですが、まだ完全に時間を支配していないようですね?あくまで加速のみで、時間停止を使っての瞬間移動や、時間を巻き戻すことは出来ないみたいですね?」

すぐに冷静さを取り戻しレイジのストーンの考察を考える。

「ここでは少しばかり、狭いですね」

ルクスが鎖を使いプールと廊下を隔てた壁を破壊する。

 

「きゃ!なんなのいったい!」

実験を受けていたプールが壁の破壊音に驚く。

「これはプールさんごきげんよう、今急な実験予定が入りましてね?ああご安心ください、あなたのお相手は私が兼任させていただきますから」

破壊した壁からルクスとレイジが、鎖と剣を打ち合わせながら侵入してくる。

「あなたたちには侵入者の撃退をお願いします!」

ルクスはプールを攻撃していた職員たちに指示を飛ばす。

 

「あなたがここのボスなの?」

プールがルクスに問いかける。

「その通りです、バラしてしまいますと私は、真世界政府の中の4人いる最高幹部の1人です、スキルストーンの研究と入手が私の使命」

「じゃあ、ここでストーン狩りが起きたのは…」

「ええ、私が命令してストーンを回収させていました、同時にここで製造された人工のストーンの実験場もかねていましてね、新しく制作したスキルストーンをばらまき性能のテストをしました。

この街の鉱山は完全に枯れてしまいましたがなかなかいいデータが集まりました、さて大事になってきたのであなたたちのストーンを回収して、ここから離脱させていただきます」

袖の中からイカのように、多数の鎖を這わせながらルクスがとびかかってくる。

「さて、鎖単体は減速されましたが…これはどうですかな?」

鎖を巻きつけた拳でレイジに殴りかかる。

「うおぅ!スゲー威力だな!」

拳の当たった壁に蜘蛛の巣状のヒビが入る。

「素晴らしでしょう?私は鉄の1Stですが使用する鉄の形状を鎖だけに絞った結果、自分の体よりも早く、力強く使えるようになったんです、私はプログラミングすると呼んでいますがね、もっとも水や炎など形を持たない1Stにはあまり意味がありませんがね」

ルクスがプールの方をみる。

「プログラミング位知ってるわよ!けどね!変幻自在!それこそが水の神髄なのよ!」

プールはアクアスタッフの水を鞭のようにしならせルクスにふるう、しかし空中で鎖によってはじかれてしまう。

「水と鉄どちらが強度があるか、子供でもしってますよ?」

ルクスがレイジの剣を鎖で受け止めながらいう。

「そろそろかたづけましょうかね?」

ルクスが大量の鎖を展開し、所構わずあたりを攻撃し始める。

壁や天井にヒビが入ってくる。

「まさか!」

「そうです、あなたたちを生き埋めにするんです、私はチェーンで体を守れますが…さて貧相な水や、加速で部屋全体の崩落から逃げられますかね?」

ミシリと大きな音がして天井が落ちてくる。

が空中で大きく減速する。

「あんな大きさの物も、減速できるのですね驚きです」

「悪いがあんたは、うえばかり気にし過ぎた!」

レイジが指を鳴らした瞬間ルクスが目を大きく見開く、ルクスの腹から剣が生えていた。

「ごぶぅ!いつの間に?」

「途中からずっとさ、剣の一本を時間を出来る限り停止してあんたの後ろに配置した、あんたがさんざんぶっ叩いてくれたおかげで、ここまで剣が加速したみたいだな」

「驚きですね…ここまでとは…」

ルクスがよろよろと起き上がる。

「ルクス!やめなさい!あなたにもう勝ち目はないわ!おとなしく投降しなさい!」

プールがアクアスタッフを構える。

「ふん、青二才がいきがって…私は捕まるくらいなら…喜んで死を選ぶ!」

ルクスは自分の腹に刺さった剣を引き抜き床を鎖で破壊し、その中に飛び込んだ。

「ああ、くそ、もう限界だ!」

同時にレイジの時間減速が切れ天井が崩落する。

「閉じ込められたわ!」

プールが焦る。

「水で何とかならないのかよ!」

「この部屋自体からは抜けれるけど…」

殆ど崩壊した実験室を抜け出し、レイジとプールが脱出方法を探す。

「よう!お二人さん!奇遇だな!」

廊下の向こうから烈火が近づいてくる。

「あー!昼間の酔っ払い!」

「あなた!死んだんじゃないの?」

ふたりが駆け寄る。

「何言ってんだよ?あんな火マッチ位の火力しかないぞ?」

ガハハと豪快に烈火が笑う。

「ところでどっちから来たの?脱出経路は知らない?」

プールが言い寄る。

「なんだ、脱出したいのか?通路は潰れちまってるし…ちょっと待ってな」

烈火がななめ上に烈火凶儘を向ける。

「今回は強火だぜ?」

引き金がひかれた瞬間壁が破壊され、かすかだが地上が見えた。

「これを繰り返していけば上のフロアにいけるな…まだ熱いから気をつけろよ?」

「脱出するわよ!、二人とも早く!」

プールが足場を水で冷やしながら二人とともに逃げ出した。

 

 

 

「ええ、そうですウィビエスの市長邸は真世界政府のストーン制作の基地だったようです、はい、自分を最高幹部の一人と言ってました」

プールが自分の上司に充てて連絡を入れる

「ふーん、ウィビエスがねー、しかも最高幹部と交戦かー今回は頑張ったねー」

どこか間延びした声が電話の向こうから聞こえる

「ん、でさー、もいいっこの仕事は?」

「はい、何とかなりそうです!」

プールが答える。

「うん、うんじゃ!あとよろしくー」

電話が切れた。

 

「おい、いつまで俺様を待たせるんだよ!いい加減帰りてーんだが」

「おれも、おれもー」

レイジと烈火が椅子に座って居心地悪そうにしている。

「ねえ、二人とも旅人よね?」

「ああ、そうさ!世界を見て回りたいんだよ」

「俺様もそんなところかな?地酒と美女との出会いの旅さ!」

「二人とも世界政府の職員にならない?」

プールのもう一つに仕事それは各地を回り、スキルストーンの使い手をスカウトすることがある。

「職員?悪いけど興味ないね」

「俺様もだ、縛られるのは好きじゃない」

二人が断る。

「レイジ、あんたはこれからどうすんの?」

プールが聞く。

「モチろん旅をつづけるさ、世界は広いからな!」

「旅費は?さっきの騒動で燃えたんじゃなかったけ?」

「あ…」

「どう?一時的に同行するなら給料出るけど?っていうかあんた今日寝るとこ自体ないわよね?」

プールがレイジを見ながらいう。

「ああもう、わかったよ!しばらくあんたについていくよ」

レイジが観念したようにいう。

 

「よう、一振!待たせたな」

烈火が白いスーツを来た男に話しかける。

「ずいぶんかかったな、さて帰るか」

白いスーツの男が歩き出す。

「なー、悪いんだけどさー、ちいとばかり俺様に休暇をくれないか?働き過ぎで死にそうなんだ」

ふざけたような調子で烈火がいう

「また、面白いものでも見つけたのか?まあ、いいだろう」

「俺様たちが動くのはまだ先だろ?」

「ああ、しばらく休暇を許可する」

「やったーやりー!」

烈火がわざとらしく喜ぶ。

「始動までには戻ってこいよ、何せお前は…」

「わーかってるって!反政府組織「死娯宿御」(しごじゅくご)の一人さ」

 

 

「さて、レイジ!次の街へ向かうわよ!」

「へいへいボース!」

「よお!お二人さん!俺様も雇ってくれないか?地酒が飲みたいんだよ!」

三人がエネルライナーに乗り込む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルクスの研究所の廃墟…地下の偶然できた空間に男が一人倒れている

「………起き…」

「ラージェスですか?ええひどくやられました、しばらく私は戦闘不能です、サロメとシュアイズに伝えてください、しかし面白いものが見れました、次ぎは彼らがターゲットです」

ルクスが意識を失うと鏡から手が現れルクスを鏡の中に引きずり込んだ、その後にはただ廃墟が広がっていた。

 




どうもホワイト・ラムです、やっと第1章が終わりました。
今までのお付き合いありがとうございました。
読み返してみるとずいぶん反省点があります、次は第2章でお会いすることになりそうです。
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