スキルカオス   作:ホワイト・ラム

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今回から第2部になります。
前回では、3人で旅を続ける事になったレイジ達。
さて、今回の舞台は?


夜闇に駆ける怪人達
蠢く影


眠らない町「ヨークトゥシティ」

この世界で、現在もっとも発展している街の一つである。

多くの者が野望や夢を求め集まり、またそれに伴い多くの物品が、行き来する商業の街。

田舎ではまず見られない、巨大なビルの数々、一説では旧文明に匹敵するのでは?とさえ言われている発展の街。

その街も今は深夜、夜の帳が辺りを包み、また夕方から降り始めた雨が、熱気渦巻く昼間の空気をクールダウンさせている。

「お疲れ様でしたー」

路地の奥にあるさびれた店から、派手な服を着た一人の女性が姿を現す、この女性は店で接客業を営んでいる。

派手な服をまとい化粧をし、男に酒を注ぎ金銭を手にする、決して楽ではないが彼女は憧れの街で働くことができ、幸せだった。

しかしその日は何かがおかしかった、すごくあたり前の事が間違っているような、奇妙な違和感わ感じていた。

女性が違和感の正体を考えながら路地の角を曲がったとき、おかしな男が目に付いた。

雨だというのに傘も差さず、暗い路地でただ何をするでなく立っていた、それだけでも異常だがもっとおかしな点はその格好にある、黒いスーツに内側の赤いマント、シルクハットに片メガネ(モノクル)一言で言ってしまえば、まるで小説や漫画の中の「怪盗」と呼ぶべき姿をしていた。

「こんばんはレディ?」

バカに芝居がかった口調でおかしな男が話しかける。

「はいはい、こんばんはー、怪盗さん私に何か御用?」

女性は平然とした様子で答える、女性の仕事柄多くの男性の相手をすることがあるため、多少おかしな人がいてもあわてず、対応することができた、またこの女性自体がスキルストーンを所持しているため、ある程度の荒事に対応する自信があった。

「レディー、貴女スキルストーンの所有者では?それもなかなかの?」

「あら、泥棒さんお耳がいいのね、けど私のストーンが欲しいのなら残念ね、私は融合型なの、あげられないわ」

融合型とはスキルストーンのタイプの一つである。

その名の通り、人体に融合した状態で存在するストーンである。

スキルストーンが使用され始めてから現れた人種で、生まれつきストーンなしで生身のままスキルが使用可能である、突然発現することも有り逆に遺伝で発現することもある、いうなれば生まれつきスキルを持った人種、スキルストーンと共存した新種ともいえる。

しかしスキルの性能は本人の体調や健康状態に左右されるし、ほかのストーンとの兼ね合いが悪いと、道具のストーンが反応しなくなり、最悪の場合自分ひとりでは生活することが出来なくなる、またスキルは凶器にもなりうるため、人種の差別も存在し一時期は融合型は施設に収容すべき、との考えも持たれたが、現在ではだいぶ収まっている。

「ふふふふ、吾輩を侮ってもらっては困るな?吾輩が欲しいのはそんな石ころではない、血沸き肉躍る興奮!吾輩は狩人(ハンター)!刈り取る者よ!今宵の獲物は女!お前だ!」

怪盗がマントの下から、銀色のナイフを取り出し切りかかる。

「ふざけないでちょうだい!」

ハイヒールを脱ぐ。

女性の足や手、さらには顔までが黒と黄色の毛皮に覆われてゆく、さらに骨格まで変化し、その姿は人と獣の中間のような姿に変化した。

「素晴らしいな、それは…豹の2Stかな?」

「ええ、その通りよ、素早く動いてこの爪と牙であなたを引き裂くわ!それが嫌なら今すぐ帰りなさい!」

女性はあえて威嚇して見せた。

「ノンノン!言ったであろう?吾輩は狩人(ハンター)だと!逃げるのはそちらの仕事、追うのは吾輩である」

「もう、知らないわよ!」

女が爪を立て、怪盗に近づくそのその爪が怪盗のタキシードを切り裂こうと迫る、怪盗は抵抗もせず静かにつぶやいた。

「そうではない、戦うのでは無いのだ、吾輩は逃げろと言ったのに…こちらに向かってくるとは…愚かな獲物だ…」

パチンと怪盗が指を鳴らす、その瞬間音もなく女性が後ろに、吹き飛んだ。

「まだ、気を失うなよ?ここまで来たのだからな、せめてもう少し楽しませてもらわねばな」

怪盗が悠然とした足取りで女性に近づく。

女性が立ち上がろうとする。

謎の力で吹き飛ばされはしたが、まだ豹の脚力がある、女性にとってただの人間から逃げおおせるのは、本来簡単な事だった。

「む?にげるのか?残念だがその行為はもはや遅い、先ほどまでならばもう少し意味があったろうが…」

怪盗の持つナイフの塚の石が鈍い光を放つ。

「ああッ!」

その瞬間に女性は酷い頭痛襲われた、立っていることが出来ない、その間も怪盗はゆっくりとした足取りで近づく。

「チェックメイトだ」

ヨークトゥシティの夜の闇に、女性の悲鳴と男の笑い声と雨音が融けて消えて行った。

 

 

「うーい、おねーちゃーん!このシヴィビールってのハコごとちょうだい!」

ヨークトゥシティに向かうエネルライナーその中でもVIP専用車両から声がする。

「ちょっとオッサン飲みすぎ…うえ!サケクセ!」

「ちょっと!静かにさなさいよ!ああもう!最悪」

「あいじょーぶらって!」

烈火が呂律の回らない口調で言う。

「はあ、もう、なんでこんなやつ雇ったんだろ…」

プールが頭を抱える。

「まあまあ、ところでヨークトゥシティでの用事は?」

レイジが尋ねる。

「怪盗退治」

きっぱりとプールが言った。

 




第2部スタートです、ここからこの物語が大きく動く予定です。
最後までお付き合いいただけたら幸いです。
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