残酷なところが有るので注意してください。
「吾輩の勝ちだ!」
ハンターがサイロスに言い放つ。
「むう、確かに…まともに立つことも出来ん…しかしお前相手に立つ必要すらないわ!」
サイロスが腕を振るう。
「狭い路地で戦ったのが命取りだ!」
路地の左右の入り口に竜巻が形成される。
「気をつけろ、かなり切れるぞ…」
サイロスがニヤリとして竜巻の壁がハンターに向かう。
「バカな!これほどの力を!しかし!お前を気絶させれば問題はない!再び音の塊を食らえ!」
先ほどと同じく音の塊がサイロスを襲う。
「我慢比べだ!」
サイロスが叫ぶとともにハンターが竜巻に巻き込まれる。
「望むところ!」
竜巻に呼吸を奪われながらもハンターが答える。
数分後、路地は再び静かになった。
「はっ!」
サイロスが目を覚ます。
辺りを見回し、ぽつりとつぶやく。
「逃げられたか……何たる未熟…」
壁に己の拳をぶつける。
所変わりリリィズ工場付近
「ほらどうした!早く捕まえんと逃げられるぞ?捕まえてみろ!」
「っくそ!やりずらい…」
レイジは苦戦していた。
レイジは自身の時間に干渉することで高速での戦闘を得意とするが、敵は壁や地面など様々なところに口を作り出し、その中に自分自身を入れて移動しているのだ。
「どうだ?美食家の私にふさわしい力だろ?」
マウスイートが笑いながら話す。
「ただの趣味の悪い能力だろ!?」
(っくそ!烈火のオッサンとプールが来るまで待たないと…)
しかし敵はそれを読んだように…
「さて!仲間が来ないうちに離脱させてもらおうか!」
地面にぺろりと口を開けそこに飛び込む。
「またか…どこだ?あんまり離れてないはずだ!」
レイジが再び自分を加速し、周りを捜索する。
「おう、レイ公!見つけたか?」
烈火が遅れて合流する。
「烈火のオッサン…悪いのがしたっぽい…」
「まだだ!探すぞ!」
烈火がしょぼくれるレイジを激励する。
「おやおや~頑張ってるね~」
二人を馬鹿にした様な声が壁から聞こえる。
マウスイートが壁に自分の口を作り話しかけてきたのだ。
「今夜は失敗したが…次こそは成功させて見せる!覚悟したまえ!はははは!」
高笑いを始める。
「お、こいつはチャンスだ、レイ公!」
「わかってるって、コレだろ?」
レイジは植誘がプールに渡した切り札を取り出した。
「ほらよっと」
ひょいっと高笑いを続ける口に放り込む。
「うげごあぇ!」
マウスイートの口が悲鳴を上げる。
「よし、もう一回倒れている奴を探すぞ」
「しばらくはおきねーよな?」
レイジと烈火が再び捜索しほどなくしてマウスイートはお縄となった。
「おお、ありがとうございます」
リリィズの社長が捕獲したマウスイートを見て三人にお礼を言う。
「いやー今回は大変だったなー」
レイジがつぶやく。
「まだ油断しないでよ?ちゃんと明け渡すまで、仕事中なんだからね!」
プールが釘をさす。
「わかってるって!な!烈火のおっさ…アレ?」
レイジが烈火を探す。
「あの方なら、先に帰りましたよ?」
リリィズの社長が教える。
「何なのよ!アイツ!油断も隙もないわ!最悪よ!はあ、まあしょうがないわ…
さあ、とりあえず一緒に来てもらうわよ?」
2人がマウスイートを連れリリィズを後にする。
「私はどうなるんだ?」
マウスイートがプールに聞く。
「とりあえず、そのストーンの調査ね、その後あなたの処遇が決まります…もっともこれだけ派手に暴れたんだから、しばらくは出てこれないと思うわ」
「そんな!ではスイーツは?美食は!?」
マウスイートがあわてる。
「そんなものあるわけないじゃない!」
「そんな…いやだ!助けてくれ!いやだ!」
マウスイートが暴れる。
「コラ暴れんな!」
レイジがマウスイートの縄を押さえる。
「た、助けえくれ!誰か!」
なおも激しく暴れる。
「あらあら、助けて差し上げましょうか?」
おっとりとした声が響いた。
「あんた、だれ?」
いつの間にか街中に妙齢の女性が佇んでいた。
「あら、すみません紹介がまだでしたね、わたくしはサロメ以後お見知りおきを」
柔らかな雰囲気で優雅に笑う。
「はあ、なんなのいったい、今仕事中です!一般人の方ならおさがりください」
イラついた口調でプールが説明する。
「あらあら、すみませんね。でもこちらもお仕事なんですよ、マウスイートさん?真世界政府にスカウトされませんか?」
あくまで雰囲気を変えずに言う。
「あ、あんた真世界政府のメンバーなの!?」
プールがアクアスタッフを構える。
「ええ、一週間前はルクスがお世話になりましたね、わたくしこう見えてもルクスと同じく最高幹部の一人なんですよ?」
「レイ!構えて!来るわ!」
プールが叫ぶが…
「おい、プール…あれ…」
レイジは空中を見たまま震えている。
「あらあら、気づきました?そう、あれはわたくしのコレクションですわ」
ニコリと笑う。
レイジにつられプールも上を見る。
「うっ!な、なん…で」
「かわいいでしょう?私の能力なんです」
空中に五つの人の首がふわふわと浮いていた。
「そちらのマウスイートさんみたいにわたくしも人体の1Stなんです、ちょっと特殊ですけどね」
「おい!プールこいつヤバイぞ!」
レイジが叫ぶ。
「あら、あなたなかなか美しいお顔してますわね?わたくしのコレクションになりません?」
サロメがそばに立てかけてあった布の塊を引きよせる。
「ああ、なじみますわ…」
布の中身は一メートルほどの巨大な鋏だった。
レイジのすぐ近くに鋏が刺さる。
「行きますわよ?」
レイジの首を切ろうと鋏が勢いよく閉じられる。
「あら、なんですの?」
鋏が途中で止まっている。
「針金?」
「私の仕事道具ですよ!レイさん!」
「な!お前は…」
「ハーイ!いとしいカウスですよー!」
ニコリとカウスが笑う。
「邪魔な小娘ですわ!」
サロメは鋏を引き抜きカウスに叩きつける。
「効きませんよ」
鋏が空中で止まっている。
「不思議ですよね?コレ音の塊なんですよ、カウンター限定ですけど」
カウスが石の埋め込まれたナイフを構える。
「おもしろいですわ、あなたはズタズタに…」
サロメが嗜虐的な顔を浮かべるが
「何をしてい居るんだ?いちいち」
いつの間にかサロメの隣にはルクスが立っていた。
「ルクス!あなた!」
「お前の趣味はよく知っている、しかし今はスカウトが大事だろう?」
「しかし…」
サロメがなおもごねる。
「ならば仕方ない…」
ルクスが腕をレイジに向ける。
「痛!」
レイジの頬に痛みが走る。
「ああ!顔に傷が!ルクス!よくも!」
サロメが殺気立つ。
「今見逃せは、傷はいずれ治る見逃せば…な」
「う、ぎぎ…わかりましたわ!あなた!私たち真世界政府は3週間後にウコギナーグを襲います!ぜひとも来てくださいね?」
ルクスとサロメ、そしてマウスイートが暗闇に消えて行った。
「でな?俺様大活躍なんだよ!スゲーだろ?」
烈火は再び、植誘の焼き鳥屋に来ていた。
「むぐ…むげん…」
「ほう、なかなか楽しんでるようだな」
植誘がニヤリとする。
「ああ、にしてもなんだいったい、お前が俺様に接触するなんて…」
「近いうちに、私たちが動く必要がありそうだ…他のメンバーも集まって…」
植誘が口を開くが。
「ふうむ!ここにも強者の気配がするな…今日あたりでここともおさらばだしな、吾輩と勝負だ!」
サイロスとの戦いから生還したハンターが、勝負を仕掛ける。
「うえ!俺様熱血って嫌いなんだよな~パスで」
「牙龍頼むぞ」
植誘が牙龍に言う。
「…了解」
すくっと立ち上がる。
「ほう、お前が相手か」
「うん…」
牙龍が布を取る。
「なんだそれは?」
「私の友達…」
布の中にあったのは、仰々しく龍のデザインが掘り込まれた紫の大剣だった。
「武器にしてはサイズが大きいな…剣というより美術品の様だな…」
ハンターが品定めをする。
牙龍がその場で素振りをする。
「見る限り素人だな?なんなんだ?」
「これで、私の勝ち…牙龍転生…」
牙龍が地面の石を剣ではじく。
「ふん、こけおどしがあぁあ!」
ハンターが何かに押しつぶされる。
「そんな…俺が…」
ハンターが意識を失う。
「いいこね…」
牙龍がハンターを押しつぶした生き物をなでる。
その生き物はうれしそうに眼を細めた後スーッと消えて行った、残ったのは先ほどはじかれた石だった。
「おお!こいつは!さっきの!」
タイミングよくサイロスが現れた。
「ん?知り合いなら連れて帰って…」
牙龍が引き渡す。
「うむ!なぜか得したな!」
ニヤリとサイロスがしたり顔でいう。
サロメとルクスが去った路地で…
「ウコギナーグ襲撃なんて…ホントかしら…」
プールが一人つぶやく。
「アイツらなら、やりかねないぞ」
レイジがのろのろと立ち上がる。
「やるしかないだろ」
「あなた…震えてるわよ?」
レイジの足は確かに震えている。
「見逃せないんだ…とにかくそんな気分なんだよ…」
頬の痛みを感じながらレイジが言い聞かせるように言った。
はい、今回で第2章は終了です。
第1章では世界感の説明とキャラクター紹介がメインですが
第2章では、敵について書いたつもりです。
次の3章では戦いがメインになる予定です。