申し訳ありません。
三人が解散した日の夕方、再びメンバーが安宿に集まった。
「みんなどうするか決めたの?」
重苦しい空気の中、初めに口を開いたのはプールだった。
「ああ、決めた」
一番最初にレイジが頷く、その顔にはもう怯えは無かった。
「俺様はもともと決まってるがな」
レイジとは対照的にどこまでも普段通りで、我関せずといった感じで烈火が答える、
「そう、後悔や迷いがならいいわ。で?みんなどうするの?」
プールが改めて二人に視線を投げかける。
「俺はウコギナーグに行く!真世界政府にオドオド怯えて暮らすのは真っ平ごめんだ!俺は誰よりも自由に生きたい!その邪魔をするなら誰だろうと戦う!」
腰かけていた椅子から、立ち上がりながら力強くレイジが宣言する。
「本当にいいの?相手はただのチンピラじゃないわ、場合によっては殺人すら平気で行う本物の犯罪者よ?」
プールがレイジの言葉が強がりや虚勢ではないか確認する。
「ああ、わかってる」
レイジはただ一言そう返した、その瞳にはサロメに会った日に宿っていた恐怖は無かった、ただ強い決心が有るのが読み取れた。
「そう、わかった。ならレイは私に付いて来て、で?烈火もついてくるの?」
今度は烈火に聞く。
「ああ、もちろんだ。命のやり取りについては気にするな、俺様はお前たちより確実に強いからな」
いつも通りのあっけらかんとした態度で、手にしていた酒を飲み干す。
その行動にはやはり恐怖は無かった、烈火自身滅多に恐怖することは無いのだが、その態度にはプールやレイジには無い経験から得た自信が満ちていた。
「解ったわ、私もアンタたちに付いて来てほしい、今回の件は正直私だけじゃ力不足よ、アンタたちの力が今回は必要になるわ」
敵は世界政府が最も厳重に警備している施設を狙ってくる、戦力が大きすぎる事は無いだろう、プールは自分の実力を正確に測ったつもりだった。
「旅の準備が必要ですよね!」
突然扉の向こうから明るい声がした。
「そろそろ、来る頃だと思ってた……」
レイジがため息交じりに扉を開ける。
「ハーイ!こんばんは!レイさん!愛しのカウスですよー」
「ああ、この展開自体はとっくに読めてた」
レイジは諦めが付いているようだ。
「もう、驚かないわ……」
カウスの奇行をレイジを通して聴いていたプールも最早カウスを止める気自体なかった。
「あなたついてくるつもりなの?」
「当たり前ですよ、私の居場所はレイさんの隣だけです!」
うれしそうにカウスがレイジの腕に抱き着く。
「あなたを説得するのは難しそうね……力もある程度あるようだし……いいわ、付いて来て」
プールが許可をだす。
「さて、もう一人くらい来る気がしているんだけど……気のせいかしら?」
カウスが入ってきた扉から外を見ながらプールがつぶやく。
「気のせいでは無いな!我が不詳の妹よ!」
窓の外からサイロスの声がした。
「あ、やっぱいたんだ……ってか素直にドアから入れないの?」
窓を開けながら室内に侵入する、自身の兄を冷めた目で見ながら言う。
「こちらの方が目立つ!」
ニヤリと決め顔を作る。
「えーサイロスかよ……プール俺達だけじゃだめなのかよ?」
レイジがめんどくさそうにプールに聞く。
「性格こんなのでも、かなり強いのよねーそこが厄介なんだけど……」
プールも同じくめんどくさそうに答える。
「喜べ!私がいれば百人力だ!」
ドカッと椅子に座りながら、尊大な態度で話す。
「さて!3週間以内にウコギナーグが有るバスティアに向かうわ!」
プールがほかのメンバーの音頭を取る。
「あー……プール?悪いんだけど……途中でフォルジュロンに寄ってくれないか?」
おずおずとレイジが手を挙げる。
「フォルジュロン?あそこ何にもないわよ?」
「自然はキレーなんですけどね」
プールとカウスが話す。
「いや、実は昼ごろ……」
レイジがぽろぽろと話し出した。
「はあ!?剣が折れた!?」
プールが声を荒げる。
「その……いろいろあって」
「私と組手したのだ!迷いが有るときは体を動かすに限る!」
申し訳なさそうにするレイジを押しのけて、サイロスが話す。
「割と本気で攻撃したら!折れた!それだけだ!」
誇らしげに話す。
「」
プールはもはや絶句していた。
「直すために、フォルジュロンの職人に会いに行くぞ!」
動かないプールの代わりにサイロスが宣言する。
翌日
「最悪、最悪よ……ただでさえ時間無いのに……このタイミングで戦力低下って……」
ライナー内の客室内でプールがブツブツ言っている、その眼には光が宿っていない。
「レイさーん!ほら!新しい街ですよ!」
「ああ、そうだな……」
プールの対面にはカウスとレイジが話している。
否、正確にはカウスが一方的にレイジに話しかけ、それに反応していると言った方が正しい。
「おおう……お前ら、イチャつくのは良いがもう少し静かにしてくれ……頭が痛い」
プールの横では烈火が頭を押さえてダウンしている。
サイロスは……
「正直言って!フォルジュロンに興味はない!三週間後にバスティアで会おう!」
と言って出て行ったきり戻ってこなかった。
「こんなメンバーでホントにいいの!?」
プールが頭をかきむしりながら立ち上がった。
「あ!見えましたよ!フォルジュロンです!」
カウスのお気楽な声が響いた。
書いても書いても……これがスランプ?