フォルジュロンを一言で表せば森といえる。
人口が少なく、代わりに野生の動植物が多い、レイジ達一行はその森の中をさまよっている。
「あれ~ここ何処だ?」
自分の頭を掻きながらレイジがつぶやく。
「何処だ?じゃないでしょ!あんたが道知ってるし近道になるからってワザワザ森の中に入ったのよ!?最悪よ!」
感情的に声を荒げるプール。
「レイさ~ん、なんだか怖いです~」
猫なで声を上げながらレイジに抱き着くのはカウス。
「あ~クソ!木が鬱陶しい!燃やすしていいか?」
烈火が自身の腰のホルスターに手を掛ける。
「やめなさい!私たちまで焼け死ぬわ!」
プールが烈火を制止する。
「あ~こりゃ完全に迷ったな……ははは!」
レイジが笑い出す。
「笑い事じゃないわ!どうするの!?最悪このまま森で野宿よ!?」
プールがレイジに詰め寄る。
「ここで?別に俺はそれでもいいけど?」
あっけらかんとレイジが言い放つ。
「さっすがレイさん!ワイルドですね!」
カウスが明るく話す。
「だろ~」
それに対してレイジは自信ありげに腕を組む。
(はあ、ホントに大丈夫なのかしら……)
プールが頭を抱える。
「ん?こんな所で何をしているんです?」
森の奥から木をかき分けながら、若い男が現れた。
「おお!ラッキー!悪いんだけどこの辺に住んでるマクラベって鍛冶屋知らない?」
レイジが現れた男に警戒心なく話しかける、誰とでも気軽に話せるのはレイジの特技なのかもしれない。
「なんだ、あなたたち師匠に用ですか?なら付いて来てください」
男が背を向けて歩き出す、その背には大きなカゴが有り歩くたびに音がした。
「またまたラッキー!みんな行こうぜ!!」
レイジが男の後をついて行く。
(師匠?それに背中のカゴ……この男レイジが言ってた鍛冶屋の弟子?)
プールが疑問を持つ。
男は大きな煙突のある古い大きな家に付いた。
「親方ー今帰りましたよー」
男が家の扉を開ける。
「遅い!どこで油売ってやがった!」
中から怒鳴り声が帰ってきた、レイジ達がいる位置からでもかなりのボリュームなので、相当声の大きな人物だと予測できる。
「いや、師匠が鉄を採掘してこいって!」
「確かに頼んだ、しかし!!遅すぎるだろう!!」
中から再び怒鳴り声が聞こえた。
「ひぃぃぃい!すみません!」
遂に男が扉の前で頭をさげた。
そのやり取りを見てプールは心配になる。
「ちょっとレイジ大丈夫なの?」
プールがレイジに耳打ちする。
「あはは、師匠も相変わらずだな~」
レイジが怒鳴り声も気にせず家に向かう。
「師匠~元気にしてた~?」
レイジが扉に近づく。
「その脱力したしゃべり方……レイジじゃねーか!久しぶりだな!!」
それが素なのか大きな声で話す。
扉から身長が2メートル近い大男が現れた。
「師匠は相変わらずデカいな~」
レイジが懐かしむように言う。
「まぁな!それよりどうしたいきなり?……わかったぞ!クランが目的だな!?今呼んでやる、お~い!クラン!お客さんだ!」
自信の家の中に向かい叫ぶ。
「は~い!」
家の中から10歳前後の少女が現れた。
「あ!お兄ちゃん!久しぶり!クランに会いに来てくれたの!?」
クランと呼ばれた子が笑顔でレイジに抱き着く。
「「えええええええ!?」」
プールとカウスの声が辺りに響いた。
「ちょっと!!どういう事よ!用事って刀直すことでしょ!?」
「レイさんロリコンですか!?事案発生!?」
二人の言葉など気にしないといった風にレイジがクランの頭をなでる。
「お!久しぶりだな、実はこれぽっきりいちゃって、なんとか直せないかな?」
自身の折れた剣を見せる。
「あ~あ、派手に折れてるね、何とかやってみる」
クランがレイジの剣を受け取る。
「ねえ、レイこの子たちはいったいなんなの?」
プールが疑問をぶつける。
「こいつはクラン、俺の剣の製作者、んであっちが親方剣術の師匠」
レイジが二人について説明する。
「俺がヤオウだ、よろしく頼む」
ヤオウが傷だらけの手を差し出す。
「ここからは俺が説明しよう、まず俺の名前はマクラベ ヤオウだ」
「その名前のイントネーションってヒノモト出身ですか?」
名前を聞いた瞬間にカウスが反応する。
「お!良く知ってんな?ヒノモトは東極の小さな島国だ、ちなみに自分の国で俺の名前を書くと……」
ヤオウが枝を拾って地面に字を書く。
「磨蔵部 八桜な、んでクランは九蘭だ」
「へーずいぶん複雑な字ですね」
カウスが興味部深そうに覗き込む。
「ハッハッハッハ!こっちに出てきて以来だから俺も面倒に感じるな」
ヤオウが笑う。
「な~プールヒノモトってどんなところだ?俺行ったことないんだよ」
レイジがプールに尋ねる。
「ヒノモトってのは東の果てに有る小さな島国、何年も他国と交流が無いから謎の国なのよ、ってかレイジの武器ってヒノモトの剣だったのね」
「まあ、偏屈な奴が多いのは確かだがな」
ヤオウが笑う。
「あの!師匠、鉄……」
レイジ達をここまで案内した男がおずおずと話しかける。
「ん?ああ、何時ものように素振りしとけ!」
「は、はい!!」
男が走っていく。
「師匠アレって新しい弟子か?」
レイジが走っていく男を指さす。
「ああ、あらしい弟子のジェッソだ」
「また、あの修行か、大変だな」
ぼそりとレイジがつぶやく。
「あの修行って?」
プールがレイジに尋ねる。
「師匠から剣を貰うための修行だよ」
「俺達ヒノモトの男には剣ってのは魂も同じ、その魂を適当な奴にはやれないからな、チョットばかし根性見せてもらってるんだ、ま!この剣はその免許皆伝の証ってとこだ」
ヤオウが言う。
「へー大変なんですね、けど剣って鉄の1Stで作っちゃダメなんですか?」
カウスが尋ねる。
「ああ、ダメだなそれじゃあ他の石に簡単に変形されられちまう、だが丹精込めた俺の剣は簡単には曲がらない!俺のプライドさ、さて!3日も有れば完璧にあの剣は直して見せるさ」
ヤオウが自身の腕を叩く。
「お父さん、刀直すの私だよ?」
戻ってきたクランが話す。
「ん?最近はクランが剣を作ってるのか?」
レイジが聴く。
「ああ、2年くらい前からクランに仕事は譲った、場合によっては俺でも目を見張るものを作るぞ?」
楽しそうにヤオウが笑った。