スキルカオス   作:ホワイト・ラム

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鉄と蟹

「さあ、鉄ども!俺の僕になれ!」

灰色に染まった右手の指をパチンと鳴らす、その途端ジェッソの持って来たカゴの鉄がぐにゃりと粘土の様に変形する。

「さあ!立ち上がれ!」

ジェッソの掛け声に応じて、鉄の塊が棒人間の様な形となり立ち上がる、それも1体ではなく2体も。

「そんな!?人間の様な複雑な形を2体も作れるなんて!?」

カウスが驚きに目を見開く。

1Stのスキルストーンを使う人間の常識だが、能力のプログラミングというのが有る、自身の使う物の形を限定することで能力を上げるというものだ。(例としては真世界政府のルクスの鎖などが有る)これは本来すぐに精製できる単純な形の物が多い、しかし目の前のジェッソは人型という非常に複雑な形を2体同時に作り操っている、その事からジェッソ自体が非常にレベルの高い能力者であることがわかる。

「ふぅん、まだ2体が限度か、まあいい!行け!」

2体の鉄人形が走りだしレイジを狙う!

「うわ!嘘だろ!」

レイジが自分自身の能力を発動させ、自身のスピードを上げて回避する。

「すごい能力だ!だけどお前を直接狙えば関係ないよな!」

2体の鉄人形の間を高速でくぐり抜け、ジェッソに切りかかる!

「そのくらい!読める!」

ジェッソは背負っていた鉄の塊を棒状から、矛の様な形に変化させレイジの一撃を受け止める。

「ならもう一撃!」

再び攻撃を加えようとするが……

「レイさん!後ろです!」

先ほど回避した鉄人形が戻ってきている、レイジは挟み撃ちの形に持ち込まれた!

「クソ!マジか!」

ピンチに焦るレイジ、それを救ったのはカウスだった。

鉄人形が突然地面に倒れる!

「女!何をした!」

ジェッソが睨みつける。

「あのお人形の下を見てください」

カウスの視線の先には四角を描くかのように、カウスの持つピッキング用の針が刺さっていた。

「この針は私の音のスキルストーンと反応します、針で囲んだ中の敵を集中攻撃できるんです!」

トラップの様なカウスの能力の使い方にレイジとジェッソが驚く。

「糞が!まだだ!俺にはこれが有る!」

鉄の矛を高く掲げた。

 

 

 

「グハッ!」

烈火がキャンサーの鋏で殴り飛ばされる。

「あらあら、もう終わりかしら?」

さらに烈火に鋏を叩きつける。

烈火の服はあちこち破れ、体からは血が滲み出ている。

「はぁ、はぁはぁ。予想以上に固いな」

再び烈火狂儘を撃つがキャンサーの甲羅には殆ど効果が無い。

「もう一発……ぐあ!」

烈火狂儘を構えた烈火の腕がキャンサーの鋏に掴まれ持ち上げられる。

「もぅ諦めなさいな、あなたかわいいから特別に許してあげるわよ?ンフフフフ!」

余裕の笑みでキャンサーがあざ笑う。

「お前らのその人体に……融合するスキルストーン……発案者は誰だ?」

ほうほうの体で烈火が聴く。

「ん~ナイショ!って言うより私興味が無いから知らないのよね~」

興味無さげな様子で笑う。

「じゃあ、最後に一つ……プルトガリオスって言う単語に聞き覚えは?個人名、組織名、計画名なんでもかまわない」

「ないわね」

キャンサーがとどめを刺そうと鋏に力を入れる。

「そうか、ならすまない人違いだったみたいだ」

珍しく謝る烈火。

「人違いですって?そんなもの乙女の柔肌に向けておいて、人違い?アナタ私をバカにしてるの?私はキャンサー!W・I・Mの幹部の一人よ!?」

激高し烈火を睨みつける。

「W・I・M?興味無いな。俺様の狙いはプルトガリオスだけだ!」

腕を掴まれながらも不敵に笑う。

「きぃ!バカにして!!気が変わったわ!アナタは八つ裂きよ!」

キャンサーがもう一方の手も蟹の鋏に変化させる。

「死になさい!」

蟹の鋏が烈火に迫る!

「ヘッ!おせぇよ!」

掴まれている右手から烈火狂儘を落とす、すると重力に従い烈火狂儘は地面に向かい落ちていく、しかし烈火は左手でそれをキャッチし引き金を引く!

「ぎゃあああ!な、なんで!?」

烈火を狙っていた右手の鋏が砕ける。

「なんでかだって?簡単な事だ。烈火狂儘には威力をセーブする力が有る、煙草を吸う時のライターが一番気を使うんだが……お前の甲羅はは中火程度で砕けるらしいな?」

ニヤリと笑う烈火、烈火狂儘は能力を引き出すための道具ではない、クイーンランクという圧倒的な力をセーブするための道具なのだ、そのため出力ならまだまだ上げる事が可能なのだ。

「強がってるんじゃないわよ!!私の本気見せてあげるわ!」

キャンサーの体が人の形を失いつつ巨大化していく!大きな体全身を覆う甲羅、両手の巨大な鋏、まさに巨大な蟹というべき姿!その姿には人間だった頃の面影はすでにない!

「おいおい……マジに化け物じゃねーか……」

流石の烈火も冷や汗を流す。

「コレがW・I・Mの……成長するスキルストーンのレベル3!!アナタ如き!簡単に引き裂いてあげるわ!」

巨大な蟹の化け物になったキャンサーが烈火を引き裂こうととびかかった。

 

 

「戻ってこい!!鉄ども!!」

ジェッソの声に応え再び鉄の兵士たちがドロリと溶ける。

ジェッソの持つ矛に絡みついていき、変化する。

「重いな……だが扱えないほどではない!」

ジェッソの矛は鉈と鋸を組み合わせたような巨大な大剣ともいえる武器に変化した。

「なんなんですかアレ!?」

ジェッソ本人よりも巨大な武器を見てカウスが震える。

「コイツは……やばいかもな……」

レイジも怯んでいる。

「クハハ、何だこりゃ?ソードブレイカーか?どうやら俺はよっぽど剣てのが嫌いらしいな!」

ジェッソがソードブレイカーを構え走りこんでくる!

「良いぜ!これで剣なんて全部へし折ってやる!」

ジェッソのソードブレイカーがレイジに振り下ろされる。

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