スキルカオス   作:ホワイト・ラム

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話せる連中

『あの……J……軍……?』

『………い……それ……現……チガ……ども……か?』

野営地に停まっている車両を見つけてから、無線でメドヴェーチ共が何かを話している。

(珍しいな……こいつ等なら見つけた奴は即射殺位の考えしか無いと思ったが……何を話しているんだ?アレは友軍か何かなのか?)

烈火はジッと無線で話している男たちの様子を観察していた。

戦場ではむやみに動かない事が得策なのはすでに初めの1日で理解しているつもりだ。

(さて。今回はどう出る?)

男たちが下す決断を待つ。

「……メドヴェーチ3から各員へ。鎧___というより、強化外骨格かな___を纏った兵士が4人。全員、私達を補足したみたいだよ」

少女の言葉に他のメンバーが反応する。

(強化外骨格ね……そんなモンまで此処にはあんのかよ……)

最早映画や漫画の中の道具の登場に、驚きを通り越して呆れるレベルに達した烈火。

「補足しただけで、トリガーには指を掛けてないみたいだけどね。……おそらく私達を投降させる気かな?後、一般兵が多数」

少女が再び言葉を紡ぐ。

(ほう、うれしいね。戦場には他人を見つけ次第、撃ってくる奴らばかりだと思っていたぜ……)

再びメドヴェーチたちに意識を向けると、何やら再び無線で話している。

「……メドヴェーチ7、120%位の方がいいよ」

無線で少女が誰かとそう話す。

(120%?何の事だ?まあいい。どうせこいつ等が『友好度120%で行こう』なんて言うわけねぇ……殲滅度120%ならいくらでも言いそうだが……とにかく準備はしておくか……)

自身の持って来た銃を構え直す。

 

その時何処からともなく合成音声が響いた。

「武装勢力に告ぐ。我々は日本国の自衛隊です。我々に貴君と敵対する意志はありません。即時武装解除して投降するか、立ち去りなさい。繰り返します____」

無機質な声、日本国も自衛隊も烈火は知らないが重要なのはその後の部分。

『我々に貴君と敵対する意志はありません』の一文だ。

(ここにいる奴らはドイツもコイツも人間ぶっ殺す事しか考えてない訳じゃねーんだな、少し安心した。殺りあう必要が無いならそれに越した事はねェ……けどこいつ等がドウすっかだよな?)

烈火としても戦闘は避けたいもの。相手が自ら退いてくれるならこちらも退く、それが理想であった。

「おいおい……投降か、帰れだとよ」

わざと相手に戦闘の意志が無い事を強調して言う。

少女が「また馬鹿な事言ってる……」と言いたげな視線をよこし、無線に何か言っている。

「…………子供が数人、軍人はいないね」

相手の陣地を見ながら無線にそう話す。

(マジかよ……この嬢ちゃんここから相手の様子見れんのか!!どーりでアンだけ弾が当たる訳だ……)

常人に不可能な行為をいとも簡単にやってのける少女に驚く。

相手方から再び無線が入ったようだ、再び少女が二、三言話す。

「撤収だよ。オジサン」

どうやら撤収の命令が出たようだ。

ひとまず強化外骨格と戦う必要はなさそうなので安心する。

「了解だ。どうせ俺様に拒否権はねぇだろうし」

せっかくのある程度話ができる相手に別れを惜しむ。

メドヴェーチ達が手早く輸送車に戻っていく。

車に戻った少女が、手早くガンポートの機関銃の銃身を交換し始める。

(うーん。切り替えの早さはピカイチだな……)

無駄のないメンバーの動きを車のエンジンの振動を感じながら見る。

(あーあ。気を張っちまったな……せめてリラックスする時間が欲しいぜ……)

「メドヴェーチ3から各員へ。11時方向、約3マイル先に敵部隊。構成は音響判断から主力戦車2個中隊、凡用ヘリ12機、例のロボットが10機、後は兵員輸送車多数」

少女が他のメンバーに報告する。

内容を掻い摘むとこうだ「向こうから敵さんが団体で来た。殺れ」

各員が戦闘の用意を始めようとする。

 

ここで再び無線。

 

「《AA/SA-PSL》が対戦車ロケットが10発、対装甲/対空ミサイルは5発、22mm弾が各60発ずつ、85mm対戦車ロケット12発、40mm弾各100~225発ぐらいかな。後は……力業ならば、カクテルも大丈夫だけど……それは歩兵用に使いたいよね」

少女がすらすらと大量の武器の名前を羅列する。

「おいおい……どんだけ持ってんだよ嬢ちゃん」

人間火薬庫という言葉が烈火の脳裏をよぎる。

(まぁた、ドンパチやる事になりますか……)

烈火が自身の持って来た銃を再び握る。

しかし……

敵の様子が少しおかしい。

こちらに一直線という訳ではないのだ。

(さっきの演説してたやつ等狙ってんのか?どっちのせよこっちに全員が来ないのはうれしいがよ……)

烈火の考えを裏付けるように少女が話す。

「わざわざ、ご演説するような人達だからね。体の良い餌になってもらおうよ。不意打ちならば、弾薬も節約しやすいしね♪」

楽しそうにそう話す。

(マジかよ……さっき俺達を見逃してくれた奴らだぞ?わざわざ警告までしてくれて……それを餌だと!?弾薬の節約!?そのために見殺すのか?)

この一言は烈火の心に重くのしかかった。

此処は戦場。生き残る事だけを考える場所……

利用できるものは利用する。

死体も他人の優しさも、正義という大義名分さえも……

 

烈火は自分の拳を強く握っていた。

烈火は旅人、自分の気ままに生きる人種。

ここで相手を見殺す事は烈火自身の矜持に反する。

しかし……

(どうした……なんで跳び降りれない!!)

無駄とわかっていても車から飛び降り、野営地に向かうべきなのだ。

自身の中の正義を執行するべきなのだ。

(なんで!!足が……動かねぇ!!)

烈火はただ呆然と離れていく敵を見送った。

 

数分後車が停止する。

「なんで止めるんだ?敵襲なんだろ、もっと離れた方がいいぜ?」

「確かに、足を止めない方が、攪乱にはなるよ。……でも、そうするとオジサン弾薬の浪費しかしないから」

何処までも合理的な答え。

烈火が望んだ「イザとなったら恩を返すため」とは言ってくれない。

「そっか……そうだよな……」

向こうから上がる黒煙を眺めてつぶやく。

現場は丁度ヘリが一機墜落したようだった。

「こっちも始めますか……」

カチリと心の中に有るスイッチを入れる。

(感情的になるな……これは良く有る事だ。躊躇すれば次の死体は俺様だ!)

少女を始め他のメンバーがそれぞれの武器を構える。

「よっと……」

今回は簡単に車から降りる事に成功した。

 

少女がランチャーを使いロボットを破壊する、流れるような動きでリロードと敵の破壊を繰り返す。

「貰うよ、オジサン♪」

少女が烈火の背負っていたランチャーと2発分のミサイルを奪う。

「な、おいっ!?」

手早くミサイルをセットし敵に向けて撃つ!

「メドヴェーチ3から各員へ。次で対空ミサイルは最後になる。次の奴は…………」

有効的な武装を使い果たしたのか。各メンバーが

車に再び帰っていく。

「オジサン、急いで輸送車に乗って!」

少女がこちらに言う。

「分かってるよ!人使いの荒すぎる嬢ちゃん!!そんなんじゃ、モテないぜ?」

気分を変えるため軽口を言う。

その言葉の後、前を走っていた少女がスピードを落として烈火に近づく。

「軽口叩く余裕があるんだ……」

こちらをジッと見る。

(ヤベ。地雷踏んだか?)

素早く少女が烈火の腕を背負う。

「おい、嬢ちゃん?何のつも____」

突然の浮遊感が烈火を襲う。

(え!?飛ん?で?)

「メドヴェーチ8。悪いけど____」

景色が反転する!

「オジサンのキャッチを頼むよ!!」

身体にかかるG!流れる景色!

「そりゃねぇよぉっ!?」

その言葉を吐きながら烈火は、車の荷台に投げられた。

ゴギャ!!(おい!今俺様の腰からヤバめの音がしたぞ!!)

『……全員の搭乗を確認した。移動するぞ!』

何事もなかったように発進する車。

「……おい?……おまえら……もうちょ……痛てて!!」

烈火の悲鳴と抗議はすぐに始まった銃撃音で打ち消されてしまった。

 

 

数十分後……

「大量、大量♪」

ホクホク顔でミサイルを漁る少女達。

烈火も腰の痛みを堪えて、敵から物を剥ぎ取る。

「くそ……誰か湿布とか持って無いか?あと煙草……ん?」

少女が一点を見ているのを見つける。

その視線の先には……

 

 

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