旅人の夢
人間の生活が大きく変わるパターンはいくつかに分けられると思う。
一つは変化する本人自身が自らの行動で何かを変えていく場合、その行動自体がプラスの行為かマイナスの行為かはさておき、やはり客観的に見た場合では社会などの大きなグループに影響を与えることはあまりないと思われる。
そしてもう一つはその当人のあずかり知らぬ理由で環境そのものが変化した場合、世論にせよ法律の制定にしろ戦争の始まりにせよ、前者に比べ大きな影響があることが考えられる。
かつて機械と電気と情報と発明により繁栄を極めた文明が存在した。
その文明は鳥よりも高く早く空を飛び、魚よりも長く優雅に海を渡ることができ、万能とも呼べる力で世界のすべてを思うままに支配した。
しかしその文明は唐突に終焉を迎えることになる。
遠く高く空に輝く星が地上に落ちてきたのだ、その星々によりその世界大きな打撃を受けその文明の誇る機械の世界は文字どおり崩壊した、あとに残ったのは機械文明により犠牲にされ、瘦せ衰えた不毛の大地と機能を失った大量の鉄くず、そして世界を崩壊に導いた巨大な星々の残骸だけだった、そのほかにも強いてあげるなら人々の絶望だろう。
しかし皮肉なことに星々の残骸は希望も残した、星々の残骸には自然を操る力があった。
一度は絶望に染まった人々は新たな力を手に入れた、人々がその力を手に入れて以来500年人は良くも悪くも進化していった。
枯れ果てた木と砂と埃の舞う茶色一色の景色が車窓から流れていく。
「次はーウィビエスー、次はウィビエスー、お客さんチケット拝見」
車掌が席に座っていた少年に話しかける。
「んあ?あー外の景色ががあんまりにも茶色一色で暇だったから寝てたわ、あーねむぅ」
あくびをしながら青いジャケットの少年が目を覚ます。
「えっと、チケットチケットっと、あれ?どこ行った?あ!あったあった!ほい!チケット!」
車掌にチケットを差し出す。
「はい、確かにお客さん観光それとも…」
車掌が少年に話しかける。
「そ!旅人さ!」
少年が鞘に収まった2本の剣を見せ二ッと笑う。
「ほう、そうですか、ならば旅の無事を祈ってますね」
ビジネスライクではない気さくな笑みを浮かべ車掌が去っていく。
「旅人」それはこの世界に多く存在する一定の場所に住まず世界を回り旅する者達。
あるものは財宝を求め深山霊峰を回り、またある者は自分の理想とする町を探し、少数派ではあるが自分の運命の相手を探す者もいる、一か所にとどまらず冒険を望む者それが旅人である。
この少年もその一人、世界の美しさ広さ優しさ残酷さ悲しさなど世界のすべてを回り己の両目に焼き付けようと思い立ち世界を回っている。
「おー!あれがウィビエスか!なんかテンションあがってきたぁー」
広大な不毛の大地に突如現れるオアシスと旧文明の遺跡と商業の街ウィビエス。
その町で少年は新たなる出会いと冒険に胸を躍らせる。
「オッツシャー!!気合い入れていくぜー!!」
少年が寝ている隙に財布をスられた事に気が付き頭を抱える事になるのはもう少し先の話。
これは私が高校生の頃制作した作品です、ノートに書いた所謂黒歴史的なものなのですが、とても思い入れが深くこうして日の目を見ることが出来たことをうれしく思います、ベタな内容と下手な作者の作品ですが温かく見守っていただけると嬉しく思います。
感想をいただけると幸いです。