元々その世界に居る横島も居れば別の世界から転移して来た横島も居ます。
『前回は酷い目に遭いましたね』
『まったくや。ちょっとしたおちゃめやったっちゅーに』
『さてと、横島さんが見つかりましたよ』
『どれどれ』
・・・・・・・
その世界は暗雲に囲まれ雷鳴が轟いていた。
三つの塔で出来ているクリスタルの城の中で横島と三人の少女は向かい合って話をしていた。
その内の赤い髪で長いお下げをしている少女は横島に泣きながら抱きついた。
「嫌だ!そんなの嫌だよ、忠夫!」
「光……」
横島は抱きついて来た少女、光を優しく抱き止めその頭を撫でる。
「酷いよ、こんなのってないよーーーっ!……何で、何で忠夫が柱なんだよ、私は嫌だよーー!」
「そうよ、何で横島さんが柱なんかにならなきゃいけないのよ!」
「私も納得できませんわ、何で横島さんばかりがこの様な目に……」
「海、風……」
まるで自分の事の様に怒りを露にする海と風。
そして胸の中で泣きじゃくる光の頭を撫でながら横島は語りかける。
「心配するな、何とかなる!」
「何とかなるって……どうするつもりなんですか?」
「忘れたのか、俺は不可能を可能にする男!ワイルドジョーカーなんだぞ。セフィーロの一つや二つ、柱なんかにならずに救ってやるさ。そして……」
泣きながら見上げて来る光に優しく微笑むと話しかける。
「光達と一緒に地球に帰るって約束したしな」
「うんっ!約束したよね。忠夫は約束した事はきちんと守ってくれるもん」
ようやく笑顔になった光は横島の胸にじゃれつく様に頬を擦りつける。
「そうよね、横島さんなら何とかしてくれるわよね」
「ええ、その為にもまずはデボネアを倒さなくては」
海と風の瞳からも涙は消え、輝きが戻って来た。
「それに…」
「それに、何?忠夫」
横島の呟きに光は小首を傾げる。
「地球には美神さんやおキヌちゃん、冥子ちゃんに魔鈴さん。小竜姫さま、エミさん、ワルキューレ、刹那ちゃんに小鳩ちゃん達が待ってるんじゃーーー!帰らずにいられるかーーーー!」
だああああああああーーーーーーーっ!!
それまでのシリアスを吹き飛ばす横島のセリフを聞いた海と風、そして立ち聞きしていたクレフ達も全員ずっこけていた。
「よ、横島さん、あなたねーー!」
「ま、まあ、これでこそ横島さんと言うべきなのでしょうが……」
(まったく、あの男は)
(はははは、まあ、風の言うとおりあれでこそ横島さ。俺達は横島と光達、マジックナイトを信じるまでさ)
(そうですね)
通路の影から覗き見…見守っていたクレフ、フェリオ、プレセアであった。
そんな中、光は……
「ぶ~~~~~!」
涙目で頬を膨らませ、顔を真っ赤にしていた。
「お、おい……光?」
嫌な予感がした横島が光から離れようとしたが、
「忠夫のバカーーーーー!」
光が一瞬早く横島の足を思いっきり踏みつけていた。
「いでぇーーーーーーーーー!」
「あはははは、罰が当たったわね横島さん」
「浮気はいけませんわよ」
「ぷうぷう♪」
「浮気って何やーーー!」
・・・・・・・
『世界の要である存在を失い、消滅寸前の世界の様ですね』
『そして新しい要として横っちが選ばれたっちゅー訳か』
『でもまあ』
『せやな』
『『横島さん(横っち)なら何とかするでしょう(やろな)』』
『それに、聞き慣れん女の子の名前があったから、この横っちも別人やな』
『せめて、何かの手助けになる様に僅かながら加護を与えておきましょう』
『あっ、一柱だけズルイでキーやん。ワイもや』
『頑張って下さい、横島さん』
『横っち、頑張りーや』
まる
(`・ω・)ちなみに、光だけでは無く、海と風も落ちてます。
刹那ちゃんは誰かと言うまでもありませんね。