こんな、横島忠夫はどうでショー!   作:乱A

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更新が途絶えてかなり経つので過去にエタらせた作品を晒しておきます。

ドラゴンクエスト~ダイの大冒険~とGS美神極楽大作戦!!のクロス。

ダイが横島に転生したらという謎設定。


「横島、ダイ爆発!」(前編)

 

 

太陽の光で魔界を照らし出す為に地上を消し去ろうとした大魔王バーンであったが、彼は勇者ダイによって倒され、そして世界に再び平和が舞い戻った。

仲間達は歓喜の雄たけびを上げ、勇者の凱旋を心の底から喜び、祝い、そしてこれから過ごす事の出来る平穏な日々を思い浮かべながら大声で笑いあう。

 

そう、長い闘いは終わりを告げ、これからは平和な日常を過ごせる……

 

     ……筈だった。

 

 

 

使い魔ピロロとしてその正体を偽っていた真のキルバーンは勝利の余韻に浸っていたダイ達の前に現れ、キルバーン・ドールの顔面に仕込んでいた黒の核晶を起動させたのだ。

 

真のキルバーン、ピロロはアバンやマァム達の手で倒されたが、キルバーン・ドールはダイとポップによって上空へと運ばれる。

爆発直前の黒の核晶と共に……

 

 

 

――けっ…結局こうなっちまったか……

  だが…もう手放している時間はねぇ!!

 …お前となら……悪かねぇけどな、ダイ…

 

――……ごめん…

  ポップ…!!!

 

――えっ!?

 

 

 

ダイはポップを巻き込まない為に彼の体を蹴り飛ばしてキルバーン・ドールから離れさせ、余りに突然のダイの行動に呆然としていたポップはゆっくりと地上へと落ちて行く。

その逆にダイはキルバーン・ドールを抱えたまま遥か上空へと昇って行く。

ポップを置き去りにして……

 

 

 

――なっ……、

  何故なんだよォォッ

  ダイィーーーーーーッ!?

 

 

 

ポップの、仲間達の、愛しき者達のダイを呼ぶ声も虚しく勇者ダイは………

 

  まるで太陽の様な………

 

    眩い閃光の彼方へと………

 

      消えて行った………

 

 

 

そしてその青空には

 

――バッカヤロオォォォーーーーッ!!!!

 

 

ポップの叫びが木霊していた。

 

 

そして時は流れ……

 

 

 

―◇◆◇―

 

 

大魔王バーンとの闘いが終わって百有余年、此処パプニカの岬にかつて勇者ダイと共にバーンと闘った仲間達が集まっていた。

 

クロコダイン・チウ・ヒム・ロン=ベルク・そして……

 

「よう、ヒュンケル」

「久しぶりだな皆。元気そうで何よりだ」

 

ヒュンケルと呼ばれた男、それはかつて竜騎衆としてバラン、ダイの二人の(ドラゴン)の騎士に仕えた陸戦騎・ラーハルトであった。

 

ヒュンケルは結局子を残さなかった。

そして最後まで旅を共にし、その最期を看取ったラーハルトがヒュンケルの名を受け継いだのだった。

何時か帰って来るであろうダイの為に。

 

「ダイ様…」

 

ヒュンケル(ラーハルト)は岬の突端に立つダイの剣の前に片膝をつき主の名を呼んだ。

剣の宝玉にはもはや光は灯っておらず、勇者ダイの名は伝説となっていた。

 

「ダイ、世界は平和だぞ。お前が守った平和は未だ続いている、いや、これからも続くだろう」

「ダイ君、ボクは今デルムリン島で暮らしているんだ。獣王としてモンスター達はボクが守っているよ。ブラスさんは死んじゃったけど朝日が一番綺麗に見える岬で眠っているからね」

「信じられるかダイ。デルムリン島は今、モンスターと人間が共存してるんだぞ」

 

クロコダインはロモスの森で暮らし、チウとヒムはデルムリン島で暮らしている。

チウも今では獣王の名に相応しいほどの巨体に成長していたが、ダイへと語り掛けるその言葉は嘗てまだ小さかった頃の口調に戻っている。

 

「ダイよ、見てくれ。俺の腕も完治してこれでようやくノヴァが完成させてくれた星皇剣を振るう事が出来る。出来ればお前と模擬戦がしたかったんだがな」

「ダイ様、私はまだ諦めてはいません。たとえ生まれ変わりであろうとも、もう一度貴方様に仕える日が来る事を」

 

完成した星皇剣を掲げるロン、ダイを主と仰ぎ続けるヒュンケル、彼らの瞳からも希望の光は失われてはいない。

 

 

 

「これはこれは、皆さんおそろいで」

「ポップ!」

 

其処にやって来た一人の少年、彼はダイの無二の親友ポップの子孫であり、その受け継いだ名前の通りに見た目もかつてのポップと瓜二つである。

彼は剣の前に立つと何やら懐かしそうに剣を見ながら語り始める。

 

「俺ってさ、勇者ダイと一緒に闘った魔法使いにそっくりなんだよな」

「ああ、見た目も口調も、その類まれな才能もな」

 

そう、ポップは子供の頃より魔法の才能に長け、攻撃呪文だけではなく治癒呪文をも操っていた。

極大消滅呪文(メドローア)はさすがに使えないでいたが、今ではほとんどの呪文を使いこなしている。

 

「たまに夢に見るんだ、ツンツン頭のクセっ毛のチビと世界中を冒険する夢を。泣いて笑って、時たま喧嘩して、ドンドン強くなるアイツの背中を追いかける夢をさ。そしてまるで太陽の様な光の中に消えて行く姿を見送るところで目が覚めるんだ」

 

皆は空を見上げながら話を聞いていた。

それはまさにあの時の出来事。地上を、仲間を、ポップを守る為に黒の核晶を上空へと運び一人閃光の彼方へと消えた勇者の姿。

そして確信した。この男は間違いなくポップの生まれ変わりであると。

 

「そういえば夢の中じゃチウのおっさんはこーーんなにチビだったな」

 

ポップは腰のあたりに手をやりケラケラ笑いながらそう言った。

 

「なんだと!ポップの方こそドジでスケベでどうしようもないお調子者だったぞ!」

「……やるか?」

「少しもんでやろう。獣王直々の稽古だ、有り難く思え」

 

チウは指をボキボキ鳴らしながら歩いて来る。

 

「へっ上等だ、相手してやるぜ!」

 

ポップは手の中に徐々に大きくなる光の玉を作り出しながら迎え撃つ。

 

「窮鼠、怒豪拳!」

 

チウもまた、闘気を込めた拳を振り下ろす。

ポップはそれをかわし、反撃に出る。

 

「甘い甘い!喰らえ、圧縮三段爆発呪文(イオズ)!」

 

 

『イオズ』、それはポップのオリジナル呪文。

イオを三段階に重ねて圧縮し、有爆による相乗効果で威力をはね上げたのだ。

もっとも成功したのは「イオ」だけで、『メラ』や『ヒャド』、『ギラ』などは大きくなるだけで重ねる事は出来なかった。

 

「オーラバリアー!」

 

それに対しチウは気合を込めて体を強化し、オーラを最大限に放出することで体に受ける衝撃を弱めていた。

だが、そんな二人の乱闘に耐えかねたクロコダインが声を荒げて止めに入る。

 

「二人ともいいかげんにせんか!岬がボロボロになるぞ!」

「す、すまん、クロコダインさん」

「わりい。少し調子にのっちまった」

「そんな事だからお調子者とからかわれるんだ」

「けっ、悪かったな!」

 

クロコダインに叱られ、ヒュンケルに窘められてふてくされるポップを見て、皆は笑っていた。

 

 

その頃、ある世界では………

 

 

 

―◇◆◇―

 

 

辺り一帯に轟く爆発音。

此処、妙神山において闘いが繰り広げられていた。

 

『ヒャアーハハハハハハハハハハハ!どうしたどうした、もうお終いか?』

『遊ぶのもいいかげんにしろベルゼブル!貴様が邪魔で攻撃できん。止めを刺すなら早くしろ』

『いいじゃねえか、どうせこいつ等を殺す事に変わりはねえんだ。もっと遊ばせろ!』

「チッ、なめるんじゃねえーーっ!」

 

美神を狙い、妙神山を襲撃して来た魔族「ベルゼブル」と「デミアン」を雪之丞と美神は猿神との修行で進化した魔装術とパワーアップした「神通鞭」で闘っている。

しかし、横島は確かに霊力は増しているがこれと言ったパワーアップは見られなかった。

 

『姉上、大丈夫ですか?』

『バカ者!私なんかに構う暇があるなら奴らを倒す事だけに集中しろ!』

『り、了解っ!』

 

元からの怪我に加え、デミアンの攻撃で更に深手を負ったワルキューレを心配するジークだが、彼女はそんな弟を叱責する。

そして小竜姫達神族はいくら妙神山での出来事とはいえ、行われているのは魔族同士の争いの為に手出しが出来ずにいた。

 

『老師、横島さんは目立ったパワーアップが無いようですが大丈夫でしょうか?』

『心配はいらん、大人しく見ておれ』

『は、はい』

《しかし驚いたわい。あの小僧にあのような前世があるとはな》

 

 

「くそおー!何で俺だけパワーアップしてないんだ!」

「老師との修行を終えて生きてるって事はパワーアップはしてる筈だ。この闘いの中で目覚めさせるしかねえぞ!」

「二人共!無駄口叩いてる暇があったら手を動かしなさい!」

 

『一頻り遊んだ事だしそろそろトドメと行くか。どけ、ベルゼブル!』

 

デミアンは体の一部を砲身に変化させると、美神に向かって巨大な魔力砲を撃った。

 

「ち、ちょっと、ウソでしょ」

「美神のダンナ!」

「美神さーーん!」

 

二人は美神の前に出て盾になろうとしたがどう見ても半端な威力ではなく守れ切れないのは歴然だった。

 

『横島さん、美神さん!』

《何をボヤボヤしておる小僧。早く力を覚醒させんか!》

『くっ、こんな傷さえ負って無ければ…』

『横島くん!』

 

 

 

「くそっ!此処までなのか…」

「人生、諦めが肝心かもね…」

(ダメなのか?守れないのか?…)

 

眼前に迫った魔力砲を見ながら諦めかけたその時、横島の脳裏に見た筈のない映像がフラッシュバックして来た。

 

 

優しげな笑顔で見下ろして来る一人の男。

 

《修行で得た力というのはやはり人の為に使うものだと私は思います》

 

そして爆発の中に消えていくその姿。

 

《―バ―先生ーーー!》

 

(…何だ今のは?)

 

 

顔を涙と鼻水でグシャグシャにしながらも笑顔で語り掛けて来る男。

 

《俺がくたばる所を見てもまだそんなとぼけた顔をしてたら…恨むぜ。……あばよ―イ、お前と旅が出来て楽しかった。でも、俺の冒険は此処までだ》

 

彼もまた、爆発の中に消えていく。

 

《ごめんよポ――、俺のせいでお前を…ごめん、ごめんよポッ―っ、――プーー!》

 

(何なんだ、この胸の痛みは?)

 

 

瞳からは既に光は消え失せ、倒れ付している男。

 

《ダ―、とてもいい名だ。だが、私達が付けたディ――という名も覚えておいてくれ。強き竜、―――ノという名を》

 

ボロボロの体で腕の中で息を引きとる男。

 

《と―さん……、――さぁーーーんっ!》

 

 

(駄目だこんなのは。こんなのはもう見たくない、諦めてたまるか!!)

 

横島は体の中に今まで感じた事のない力が湧き上がって来るのを感じ、そしてその瞬間、彼の額に眩い光が輝いた。

 

「ウオオオオオオオオーーーーーーーッ!」

 

 

『横島さーーん!美神さーーん!雪之丞さーーん!』

 

小竜姫の叫びの中、三人は爆発の中に飲み込まれていった。

 

『ハハハハハハハッ!ようやく片付いたか、後は美神の魂を持って行くだけだな』

『チッ、物足りねえな』

 

その時、爆煙を凄まじい光の闘気が吹き飛ばした。

それを成したのは…

 

 

『ふっ、小僧め。ようやく目覚めたか』

『ろ、老師…。何故横島さんの体から竜気が?』

『よ、横島?』

『姉上、これは一体?』

 

その光景を呆然としながら見つめる小竜姫達。

 

『な、何なんだこの威圧感は…!?』

『デミアン、何なんだこりゃ?』

 

デミアンとベルゼブルも横島から感じる得体の知れない力に唖然としている。

 

「よ、横島クン?」

「へへへ、面白れえじゃねえか。見せてみろ横島、お前の力を!」

「奪われてたまるか、誰も傷つけさせない、俺が守るんだーー!」

 

横島のその叫びと共に額の光は紋章を形作る…

 

それは正に…『(ドラゴン)の紋章』

 

 

 

 

―◇◆◇―

 

 

再びパプニカの岬。

 

ポップが用意していた食事を皆が食べ、食事が出来ないヒムが一人岬を眺めている時、当然「ソレ」は起こった。

 

「お、おい皆、あれを見ろーーー!」

 

ヒムの叫びにポップ達がその指さす方を見てみると、其処にはダイの剣の宝玉が眩い光を放っていた。

 

「何だと!おい、ロン!あ、あれは…」

「ダイの剣の宝玉に…光が灯っている…」

「ダイ様…ダイ様なのか…?」

「宝玉に光が……、ダ…、ダ……イ?」

 

徐々に強くなっていく宝玉の光を見つめながらポップの瞳からは涙が零れてくる。

そして彼の脳裏にはかつての冒険の日々が、前世での“ポップ”としての記憶が蘇って来た。

 

「はは…ははは…、ダ…イ、ダイなんだな?…ダイ、ダーーーイ!」

 

その叫びに応えたのか、眩いばかりの光を放ちダイの剣は空へ飛び立ち、記念碑に納められていた鞘もその後を追う様に空へと消えて行った。

 

「ロン、これは」

「ああ、おそらくダイの魂を受け継ぐ者が闘っているのだろう。ダイの剣はその魂に応え、新たなる主の元へと飛んで行ったに違いない」

「ダイ様、私も必ず私も馳せ参じて見せます。必ずや!」

「俺もだ、ダイ!何があろうとも絶対にな!」

 

仲間達は新たなる目標に向かって立ち上がる。

 

 

―◇◆◇―

 

『くそっ、小賢しい真似をしやがって!』

『待て!ベルゼブル』

 

迫って来る無数のベルゼブル・クローンに横島は右手をかざし呪文を唱えた。

 

「ベギラマ!」

『ギャアアアアーーーッ!』

 

その呪文の閃熱はクローン達の約半数を焼き尽くす。

 

「な、何なのよ横島クン、この力は!?」

「何が何だか良く分からないけど闘い方が頭の中に浮かんでくるんですよ」

「はははは、面白れえじゃねえか横島!後でたっぷりと相手をしてもらうぜ」

「ええい、うっとおしいわこのバトルジャンキーが!」

 

その時、空の一点が光ったと思ったら其処から一振りの剣が飛来し、横島の足元に突き刺さった。

 

「この剣は……。そうか、来てくれたんだな」

『くっ次から次へと…一体何なんだ!』

 

横島はその剣を手に取ると、剣先をデミアン達に向け、その姿を猿神達は見守っていた。

 

『さあ、横島よ見せてみよ!"竜の騎士"とやらの力をな』

『竜の…騎士?』

 

横島はダイの剣を構えると、デミアンに向かって走り出した。

 

「久しぶりに行こうか、『相棒!』」

 

 

後編に続く

 

 




(`・ω・)ポップならともかくダイの生まれ変わりがこんなに煩悩まみれな筈が無い!
そう言う方もいるでしょう。しかし、ダイの魂の力は《純粋》
そう、父親である大樹の影響を"純粋"に受けて育ったのが横島なのです。

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