と言う訳で、同じくエタらしたままの「横島ダイ爆発!」本編の一話目をうpっておきましゅ。
妙神山修行場。
猿神の造り出した加速空間において横島達の修行は続いていた。
『そらそら、どうした横島よ!』
横島は巨大猿の姿になった老師の攻撃をかわしつつ攻撃の隙をうかがう。
横島は前世での記憶を頼りにダイの時には未契約だった呪文を幾つか新たに契約していた。
攻撃呪文ではイオ系を契約し、それぞれ中級呪文まで使えるようになっていた。
魔法剣も幾つかの組み合わせを完成させていて、特にストラッシュの軌跡で飛んでくるイオナズンは凶悪その物だった。
剣術においてもアバン流刀殺法も空裂斬以外は完全に体得していた。
それだけではなく、竜闘気と霊力を組み合わせた竜波刀(ドラゴニックブレード)をも作り出していた。
「ドラゴニックブレード!」
横島は竜波刀・ドラゴニックブレードで斬りかかるが老師は如意棒で防御する。
『そんな見え見えの攻撃が通用すると思っておるのか!』
「おわっと!トベルーラ!」
攻撃を弾き返し、振り下ろされて来る如意棒を横島はトベルーラで空に飛び上がる。
「コイツならどうだ!ライデイン!」
だが猿神はあせる事無く、地面に突き刺した如意棒を避雷針にして雷撃をかわす。
『タイミングは良かったがまだまだじゃな』
《もっとも、ワシが本気を出しておるからこその力の差なのじゃがな。中級魔族が相手ならもはや敵無しじゃな》
そんな横島の闘いを雪之丞と小竜姫の二人は見ていた。
「横島の奴、竜の紋章の力を随分と使いこなせるようになって来たじゃねえか」
『そうですね、剣術の方ももう私が教える事もありませんし』
小竜姫は少し寂しそうにそう呟く。
横島は猿神達との修行によって竜の騎士の力をほぼ完全に使いこなせるようになっており、そしてそれは横島の修行の終わりを意味していたのだから。
「俺も魔装体に翼を加える事が出来て空中戦も出来る様になったしな、これでようやく下界に帰れるぜ」
『そうですね……』
「……横島が帰るのがそんなに寂しいのか?」
『なっ!何の事ですか!?』
小竜姫は突然確信をついた雪之丞の言葉に顔を真っ赤に染めながらも反論しようとした。
「……まさか、気付かれて無いとでも思っていたのか?気付いてないのは横島本人くらいのもんだぞ」
『そ、そそそそそうなんですか?』
「食事の時だって横島のおかずだけ何気に一品多いし、飯は何時も大盛り、茶を出すタイミングだって長年連れ添った女房みたいだと猿の師匠も感心してたぞ」
「は、はあ…」
ようやく修行が終わったのか、大の字に寝転んで休んでいる横島を小竜姫は耳まで赤くしながら見つめていた。
『私はおかしいんでしょうか?』
「はぁ、何が?」
『だって私は神族で横島さんは人間なんですよ、神族が人間を好きになるなんて』
「それはあれか?人間なんかを好きになるのは変だという上から目線か」
『違います、私は貴方達を見下してなんかいません!』
「だったら好きなら好きで良いじゃねえか。モタモタしてたら他の誰かに取られちまうぞ。俺達は明日にでも下山するんだからな」
『…そうでしたね……』
加速空間の中ではすでに半年が経過しており、横島達も十分に力を付けたという事で下山する事は決まっていた。
『寂しくなります…』
辛そうな小竜姫の顔を見ながら雪之丞は横島の方に目をやると、
「何で気付かねえんだあの馬鹿は」
そう呟いた。
―◇◆◇―
翌日、加速空間から出た横島と雪之丞は小竜姫と猿神に別れを告げていた。
「小竜姫様、別れるのは辛いです。小竜姫様の手料理、美味しゅうございました。また何時か食べに来たいです」
横島は小竜姫の両手を握りしめて語りかける。
『そ、そうですか。また何時でも来て下さい!ま、待ってますから』
「は、はい?で、ではまたいずれ」
また来たいという横島の言葉を聞いた小竜姫は満面の笑みで答えるが、仏罰という名のお仕置きを覚悟していた横島は何処か拍子抜けだった。
そんな横島を
『「だから、何でお前は…」』
雪之丞と猿神は呆れた顔で見つめていた。
『右の……ワシ等の出番は?』
『何も言うな左の。…虚しくなるだけじゃ』
―◇◆◇―
横島と雪之丞が帰った夜、小竜姫は一人で庭に立っていた。
『昨日まであんなに賑やかだったのに…やはり貴方がいないと寂しいです。横島さん』
そう呟いていると何処からともなく人の気配がして来た。
『誰ですか、其処に居るのは!?』
小竜姫は神剣を構えながら振り返り叫ぶと、青白い光と共に人の影が現れて来た。
その影の正体は……
『そういきり立つな竜の姫よ。私は敵ではない、私の名はバラン』
その男は真の竜の騎士にしてダイの父、バランであった。
そしてその額には竜の紋章が光っていた。
『そ、それは竜の紋章!? 何故貴方に』
『私が真の、そして最後の竜の騎士だからだ。私と人間の女性ソアラとの間に生まれたのが我が息子ディーノ…いや、ダイ。そしてダイの生まれ変わりがお前の知っている男、タダオだ』
『なら、今の貴方は?』
『竜の紋章に宿っていた残留思念の様なものだ』
『残留思念…、その貴方が何故此処に?』
『お前に聞きたい事があるからだ』
『聞きたい事?』
『お前はタダオの事をどう想っている?』
『な、何をいきなり…』
いきなりの質問に戸惑いながらもその顔は赤くなっていた。
『悪いが真面目な話だ。真剣に答えてくれ』
小竜姫はその気迫に押されながらも答えた。
『私は…横島さんが好きです。愛しています!』
『そうか…だが、その想いは叶わぬかもしれん』
『なっ…何故ですか!? 神族と人間だからですか?』
バランは睨みつけてくるその瞳を見据えながら語りかける。
『竜の騎士は…愛した女を幸せには出来ない…。私が愛した女性ソアラも、ダイが愛した女性、パプニカの姫も幸せにはなれなかった』
『えっ……?』
『ソアラはアルキードと言う国の王女だった。冥竜王ヴェルザーとの闘いで傷ついた私と彼女は出会い、そして何時しか愛し合う様になった。二人で国を離れ、ダイも生まれ、一時は幸せな日々が続いた。だが、そんな日々は突然終わりを迎えた…』
『それは一体どのような?……』
『私は王女を奪った魔物としてアルキードの王に追われ、遂には隠れ住んでいた住処に王国の軍隊が押し寄せて来た』
『そんな……』
『私はソアラとダイの無事を条件に投降した。そして処刑される所だった私をソアラが盾となって殺された…、あろう事か自分の城の兵士にな……。父親でもある国王はそんな娘にこう言ったよ…『恥知らず』と…』
『……』
小竜姫は言葉が出てこなかった。
『そして、ダイにも愛し愛される女性がいた。ダイは世界を滅ぼさんとする大魔王と闘い、そして仲間達と協力しあい遂に大魔王をも倒した。だが、最後の最後に「黒の核晶(コア)」と呼ばれる超爆弾を持ち出した敵がいた。ダイは地上を守る為に黒の核晶を上空へと運び……そして消え去った。レオナと呼ばれたその女性はダイと添い遂げる事すら出来なかった』
『何が…言いたいんですか?』
『竜の騎士として紋章の力に目覚めたタダオにも同じ宿命が付きまとうかもしれない。お前の想いは届かぬかもしれぬし、例え叶ったとしても我等の様に死に別れるかもしれない。竜の姫よ、お前の覚悟はどうだ?』
『私は……』
小竜姫は自分を見据えるバランの目を見つめ返し答えた。
『私はそれでも横島さんの傍に居たい。共に歩きたい!』
『ならばお前に我が力を貸そう 』
その瞳にはっきりとした力を感じたバランは優しく微笑み、背に背負っていた一振りの剣を少竜姫に差し出す。
『そ、その剣は?』
『これこそ竜の騎士の正統なる武器、「真魔剛竜剣」。竜の力を持つお前ならば使いこなせるであろう』
『真魔剛竜剣……』
小竜姫が剣に触れると柄にある竜の瞳が光り、力が流れ込んでくる様に感じられた。
『す、凄い。これなら、これなら横島さんと…』
小竜姫は剣を受け取り喜んだ、これで横島の力になれると。
『だがくれぐれも忘れるなよ。我等の宿命を…』
『ええ、忘れません。そしてそんな哀しい宿命なんか断ち切って見せます!』
使命を終え、ゆっくりと消えていくバランを見据えて小竜姫は宣言した。
『信じよう、その瞳に宿る光を…これでようやく休む事が出来る。さらばだ、竜の姫よ』
そう言うとバランの体は光の粒となって空へと消えていった。
『そうです、断ち切って見せます。そんな哀しい宿命なんて』
いつの間にか夜が明け、昇って来る朝日を見ながら小竜姫は誓った。
『じゃがその宿命はたやすく断ち切れるのもではないぞ、小竜姫よ…』
そんな小竜姫を木陰に隠れて見ていた猿神は小さな声で呟いた。
今ここに、新たな物語は始まろうとしていた。
ドラゴンクエストGS~蘇る邪竜と復活の竜の騎士~
Level1「継承される
=冒険の書の記録に失敗しました=
(`・ω・)という訳で横島は半年間の修行で竜の紋章をほぼ使いこなせるようになり、雪之丞も魔装術を進化させて空中戦が出来るようにしました。(空戦騎フラグ)
(・ω・)最終回の構想だけは出来ているんですが其処に行き着くまでの物語が中々書けなひ。