こんな、横島忠夫はどうでショー!   作:乱A

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第六話「対決!お兄ちゃん対お兄ちゃん・前編なの」

 

「アルバイト?」

「はい。学費や生活費は何とかなるんですけど、こづかいなどはやっぱり自分で稼がないと」

 

横島は耕介にバイト先の相談をしていた。

生活費などはキーやんとサっちゃんが肩代わりしているが(どうやって人間界の金を得ているのかは不明)自分自身が使うこづかいなどは自分で稼ごうという訳だ。

元来横島はそう言う所は結構気真面目だった。

 

ちなみに今はさざなみ寮の中なので女性の姿である。

 

 

「そう言えば翠屋がバイトを募集してたな」

「翠屋?」

「高町さんのお母さんが経営している喫茶店です。ケーキやシュークリームなどの洋菓子が大人気のお店です」

 

横島の隣に座っていた那美が耕介の代わりに答える。

 

「お揚げのお菓子は無いの?」

「!! コンコンッ!!」

「…ある訳ないでしょ」

「ぶ~~」

「コン……」

 

ソファーに横たわり横島の膝にじゃれ付いていたタマモはそう言いながらむくれ、横島の頭に乗っていた久遠も不満そうに項垂れていた。

どうやら厳密な話し合いの結果、膝と頭を交替で甘える事にした様だ。

 

「とにかく、翠屋は男手が少ないらしいから君には丁度いいんじゃないかな。男の姿で働ける訳だし」

「ありがとうございます、耕介さん!」

 

横島は滝の様な涙を流しながら耕介の手を握りしめる。

寮内と学校では必然的に女性の姿で過ごさなくてはならないので男として働けるのは願ったり叶ったりの様だ。

 

「じゃあ、私が案内しますね」

「うん、お願いね那美ちゃん」

 

そうして那美の案内で横島とオマケに付いて来るタマモと久遠は翠屋へと歩いて行く。

 

そこで起こる騒動を知る由も無く。

 

 

 

 

―◇◆◇―

 

 

「ここが翠屋です」

「へー、雰囲気のいい店だな」

 

男の姿に戻った横島は那美の案内で翠屋までやって来た。

タマモと久遠はと言うと…

 

「油揚げが無いなら別にどうでもいい」

「コン」

 

拘るなーと、苦笑いを浮かべながらも横島達は店の中に入って行く。

 

「こんにちはー」

「ちわっス」

「はーい。あら、那美ちゃんじゃない。いらっしゃい」

「こんにちは、桃子さん」

 

出迎えて来たのは翠屋のオーナー、高町桃子。

見た目も若く、美人なのだが体から溢れる様な母親オーラにさすがの横島も飛びかかる様な事はしなかった。

 

那美も恭也となのはには出会ったばかりだが、さざなみ寮の皆とよく食べに来ていて桃子とは顔見知りだった。

 

「あら那美ちゃん、その人は?…もしかして良い人?」

 

桃子はニヤニヤしながら那美に聞いて来る。

 

「ち、違いますよ。横島忠夫さん、最近知り合った人です。バイトを捜していると言うので案内して来たんです。たしか男手が欲しいと言ってましたよね」

「よろしく頼みます」

「う~ん」

 

桃子は値踏みをするように横島を見つめる。

 

「確かに男手は欲しいけど…、横島君だっけ、どんな事が出来る?」

「自分で言うのも何ですけど、手先は結構器用な方だから大抵の事は出来るつもりっス」

「ふ~ん。そっちの娘は?」

「私の名前はタマモ、ヨコシマの付き添いよ。まあ、簡単な手伝い位なら出来るけど」

「コン、コーン!」

 

自分も手伝いがしたいのか久遠はタマモの頭の上で鳴くがそれを見た桃子は申し訳なさそうに語りかける。

 

「ごめんね。タマモちゃんはいいけどさすがに動物をお店に出す訳には……」

「こ~~ん……」

 

そう言われ、久遠は残念そうに項垂れる。

人間形態にはなれるのだが、それは那美達に固く禁じられているので余計に残念そうだった。

 

そんな久遠の頭を優しく撫でてやると桃子は横島に向き直る。

 

「じゃあ、試しにこれらのデコレーションを真似して見てくれる?」

 

桃子は商品棚から取り出したエクレアやケーキを並べてその通りにやって見せてくれと言う。

 

「了解っス」

 

横島はそれらを色んな角度から観察してからエクレアやケーキにデコレートションを施して行く。

 

……それを桃子やアシスタントコックの松尾達は呆然としながら見つめている。

 

何しろ行き成りやらせたにも拘らず見事なまでの完成度の上、明らかに横島のやった方が美味しそうに見えるのだから。

 

「お、驚いたわね」

「凄いわ、横島君……」

「じゃあ、OKっスか?」

「そうね、此処まで出来るのなら逆にお願いしたいほどだわ」

 

そんな時、店の中に一人の女の子が元気そうに駆けこんで来た。

 

「お母さーーん、ただいまーー」

「あら、なのは。お帰りなさい」

 

駆けこんで来たのは学校帰りの高町なのは、桃子の娘である。

 

「あれ?確かなのはちゃんだっけ」

「こんにちはなのはちゃん」

「あ、那美お姉さんに…、忠夫お兄ちゃんだ」

 

横島と那美の姿を見たなのはは、笑顔で駆け寄って行く、

 

「く~~ん♪」

「あっ、くーちゃんも居たんだ」

 

久遠はタマモの頭の上からなのはの腕の中に飛び移り甘えている

 

「あら?なのはは横島くんと知り合いなの」

「うん、忠夫お兄ちゃんのおかげでくーちゃんと仲良しになれたんだよ」

 

実際にあれからなのはは何度も久遠に会いに八束神社に行き、今ではすっかり仲良しなのである。

 

「そうだったの。じゃあ、横島くんには何かお礼をしなくちゃね」

「お礼……、ですか?」

「ええ、私はお店が忙しいし、兄の恭也と姉の美由希も何かと用事があって中々なのはの相手が出来ないでいたの。この所なのはが嬉しそうにしていたのはこんな可愛いお友達が出来たからなのね」

 

桃子はそう言うと久遠の頭を優しく撫でた。

 

「うん、くーちゃんはとても素敵なお友達だよ♪」

「こーーん♪」

「だから横島くんにはとても感謝してるのよ。そうだ、今日お夕飯を御馳走してあげるというのはどうかしら?」

「ナイスアイデアだよ、お母さん。なのはもお手伝いするね」

「お願いね、なのは。那美ちゃんと…、タマモちゃんだったわね、貴女達もいらっしゃい」

「いいんですか?」

「お揚げはある?」

「こん、こーん」

「お前達はまた……」

 

横島は呆れかえる様に頭を掻くが桃子はそんなタマモと久遠を微笑ましそうに見つめる。

 

「じゃあ、お稲荷さんにお揚げを使ったお料理をたくさん作りましょうね」

「ほんと?ありがとう桃子♪」

「こーん、こーーん♪」

 

横島と那美はそんな二人を窘めようとするが肝心の桃子が何も気にしてない様なのであえて黙っていた。

 

そして横島達は夕食を高町家で御馳走になると寮に連絡し、桃子も店を早終いして横島達を連れて家へと帰った。

 

 

 

―◇◆◇―

 

「このおさるーーーっ!」

「何だと、このカメがっ!」

 

高町家の中庭では二人の少女達が恒例の対決(大ゲンカ)をしていた。

 

城島晶と鳳蓮飛、通称レン。

自分を師匠と呼ぶ二人の対決を高町恭也は盆栽の世話をしながら眺めている。

盆栽が並んでいる棚には一つだけ隙間があり、恭也はその隙間を見ると「はぁ~~」と重い溜息を吐くのだった。

 

「…お師匠、また溜息吐いとるで」

「仕方ないだろ、師匠があれだけ楽しみにしていた松の盆栽が買えなくなったんだから」

 

楽しみにしていた松の盆栽、それは恭也が金を貯めてようやく買えるかと思ってた矢先に学校で見知らぬ女性に言い寄られた事で恋人の忍の怒りを買い、機嫌を直す為に彼女の趣味である機械関係の部品などを買わされた事で目当てだった盆栽が買えなくなったのだった。

 

「ただいまーーっ」

「お、なのちゃん帰って来たで」

「なら勝負は食後に持ち越しだな」

 

そして二人はなのはを出迎えに玄関に行くが其処にはなのはの他に、桃子と見知らぬ顔があった。

 

「桃子さん、今日は早いんですね」

「ええ、今日はお客さんを連れて来たから」

「お客って…、その人達?」

 

晶とレンの目線の先に居るのは横島と那美にタマモ、そして久遠。

 

「そうだよ、忠夫お兄ちゃんに那美お姉さん、タマモお姉ちゃん、そしてお友達のくーちゃん」

「ども、お邪魔しまーす」

「お邪魔します」

「こんばんは」

「こーーん」

 

挨拶していく横島達だが、其処に恭也もやって来た。

 

「なのは、お客さんか?……お前は…」

 

恭也は横島を見ると途端に怪訝な表情になる。

そして傍にはあの殺気を放っていたタマモも居るのだから余計に怪しんでいる。

 

「何をしに来た?」

「もー、お兄ちゃん。そんな事言っちゃダメだよ」

「そうよ恭也。忠夫君のおかげでなのはにお友達が出来たんだからそのお礼に食事に招待したのよ」

 

そんな時、恭也を見ていたタマモが口を開いた。

 

「結構強そうだけどヨコシマ程じゃないわね」

「こらタマモ、余計な事は言うな」

「な、何だと!?」

「お師匠がこんなのほほんとした兄ちゃんより弱い言うんかい!」

「ええ、そうよ」

 

そう言われて黙っていられないのか、弟子の二人は攻める様に聞き返すがタマモはあっさりと言い返す。

 

「そいつは聞き捨てならないな。ならどれだけ強いのか試させてもらおうか」

「恭ちゃん、止めといた方が。ほら、なのはのお客さんだし…」

 

親指で道場の方を指差し、横島を挑発する恭也を美由希は止めさせようとする。

もっともこれは恭也を心配しての事では無く、なのはの客でもある横島に怪我をさせまいとしての事だ。

彼女も横島より恭也の方が強いと信じて疑って無い。

 

「ほら見ろ、コイツも妙にその気になってるやないか」

 

横島はそう言いながら勝負を無効にするように仕向けようとするが、恭也が放った言葉が逆に火を付けた。

 

「ふっ、まあ止めておこう。御神の剣は護る為にある剣だ。そんな逃げ腰の臆病者の相手をしても時間の無駄だからな」

 

ピクッ!

 

“逃げ腰の臆病者”

そう言われた横島の目に怒りの炎か灯った、だがそれだけならまだ我慢も出来た。確かにあの時まではそうだったのだから。

 

だが、次の言葉が起爆剤になった。

 

「そんな事じゃ誰も護る事なんか出来ないだろ」

 

横島はズカズカと歩き出し、恭也の前に出ると

 

「何処で闘(や)る?」

「面白い。ついて来い、こっちだ」

 

恭也を凍るような視線で射ぬき、恭也もまた同じような視線で見返す。

 

「あわわ、お兄ちゃんも忠夫お兄ちゃんもどうしちゃったの?二人とも何だか怖いよ」

 

場の雰囲気に怯えるなのはにタマモも凍りつく様な目で答える。

 

「あの恭也って奴はヨコシマの決して触れちゃいけない傷に触れちゃったのよ」

 

那美や美由希達はその目を見て何も言えずにいた。

 

「じゃあ私は食事の準備をするけど皆はどうする?」

 

桃子はそんな空気をどこ吹く風と言う様に吹き流し、自分は食事の準備をすると言って来た。

 

「うちはお師匠の勝負を見たいです」

「俺も」

「じゃあ、私がお手伝いするよ」

「うん、なのはお願いね。貴女達は恭也達の勝負を見学して来なさい」

「す、すみません。御馳走になるのにお手伝いしなけりゃいけない筈なんですけど、横島さんの闘い方に興味があって」

「いいのよ、誘ったのはこっちなんだから。じゃあなのは、行きましょう」

「うん」

 

桃子となのはが食事の準備の為に台所へと向かう一方で、横島と恭也はお互いに殺気を発しながら道場へと向かうのであった。

 

=続く=

 




(`・ω・)盛り上がってますが、ストックは次回の後編で切れてしまします。
その次からは同じくエタったままのネギまクロスを投稿しようかと思います。
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