こんな、横島忠夫はどうでショー!   作:乱A

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二時間目「結婚とかまだ早いやん、まずは友達になろ by木乃香」

 

「もういい加減に諦めたらどうだい」

 

見合い会場に向かうタクシーの中で横島は未だ膨れていた。

 

「ワイは、ワイは、ロリじゃ……」

「中学生といっても2年生だし、すぐに高校生になってお前の守備範囲に入るじゃないか」

「中学生と見合いをするというのが問題なんじゃ!!」

「とにかくあたしの顔を潰したらどうなるか解ってるよね?」

「…やればいーんじゃろが、やれば…」

「解ればいいんだよ」(堪忍な、忠夫。あんたの為なんや) 

 

 

 

 

「来た様じゃな」

 

近づいて来るタクシーを会場の窓から眺めていた近右衛門は傍に控えていた刹那に声をかけた。

 

「大丈夫とは思うが一応護衛は頼むゾイ」

「はっ。お任せください」

 

刹那はそう言い、姿を消した。

 

「刹那の……、あの娘の事も何とかしてくれるといいんじゃがな。のう、忠夫君や」

 

近右衛門はタクシーを降り、会場に入って来る横島を見ながら呟いた。

 

 

 

二時間目

「結婚とかまだ早いやん、まずは友達になろ by木乃香」

 

 

 

『こちらフォックス。目標は戦場に到着した模様』

『ウルフでござる。予定のポイントにたどり着いたでござる』

『ゴースト、潜入に成功しました』

『こちらリーダー了解。別命あるまで待機せよ』

『『『ラジャー!!』』』

 

 

 

美神除霊事務所の面々は、密かに横島を見張る為に見合い会場に潜入して居たのだった。

 

「あのオバハンめ!この私がそう簡単に引き下がると思ったら…」

 

♪ターラッタラタラッタラッタタッター、ターラタラッタラタッタッタッー、タラターラーラー♪

 

いきなり携帯が鳴り、着歴を見ると人工幽霊壱号からだった。

 

「何、どうしたのよ?急ぎの用事じゃなかったら後に…」

『大変です美神オーナー!隠し帳簿の一部のデーターが漏れています!』

「……何ですってーー!!」

『どういたしましょう?』

「すぐに戻るわ。あなたはそれ以上の流出を何とか食い止めて!!」

『了解しました』

「何だってこんな事に、冗談じゃないわよーー!!」

 

美神はおキヌ達の事は忘却の彼方へと追いやりコブラに乗り込むとすぐに走り去った。

 

 

 

 

パタン

 

百合子は携帯を折りたたむとニヤリとほくそ笑んだ。

 

「誰がオバハンよ、誰が」

「何か言ったか?」

「何でもないわよ。それよりいよいよよ、覚悟はいい?」

「もう出来とるわい」

「じゃあ行きましょう」

 

そして、木乃香達の待つ部屋へと入って行った。

 

『ああ…リーダー、リーダー!こちらゴースト、目標見合い会場に…リーダー?…美神さん、どうしたんですか?美神さーーん!!』

 

 

 

ー◇◆◇ー

 

「どうも遅くなりました。忠夫の母の横島百合子でございます。そしてこちらが息子の忠夫です」

「横島忠夫です」

 

席の向かい側に座っていた二人も立ち上がり挨拶をした。

 

「初めまして、ウチは近衛木乃香です」

「ワシは木乃香の祖父の近右衛門ですじゃ」

 

「・・・・・・・・・」

 

横島はその姿を見てボーゼンとしていた。

 

「どうしたんだい忠夫?」

「ワシの顔に何か付いておるのかの?」

(まあ、何時もの事なんじゃがな)

 

近右衛門はそうため息をついたが横島の反応はその斜め上をいっていた。

 

「ル…」

「ル?」

「ルチ将軍が何故此処に!?」

 

 

ドカン!!

 

 

近右衛門は前に倒れ、頭を思いっきり机にぶつけた。

 

「あはははははははははははっ!!た、確かにそうだ、言われてみればルチ将軍だ。あははははははははは!!」

 

百合子は腹を抱えて笑い転げていた。

 

「ルチ将軍って誰や?」

 

木乃香は頭の周りに?マークを浮かべながら首をかしげ、近右衛門は部屋の隅で

『ぬらりひょんや寿老人など色々言われてたがさすがにルチ将軍は初めてじゃ』

と、のの字を書きながらすねていた。

 

刹那はと言うと、反対側の部屋の隅で肩を震わせながら笑いを堪えていたそうな。

 

「まあ、それはともかく始めましょうか」

「ともかくで済ませてほしくないんじゃがな…」

 

そして四人はそれぞれの席に着いた。

 

 

『リーダー、リーダー、お見合いが始まっちゃいますよ、どうするんですか?……美神さん、美神さーーん!』

『おキヌちゃん!どうやらリー…、美神は帰ったみたいよ』

『そんなーー!何で?』

『私にもわからないわよ』

『どうしたらいいんでござるか、おキヌ殿?』

『私に言われたってーー!!』

『見張ってるしかないようね…』

『美神さん…帰ったラオシオキデス…』

『『・・・・・・・・・』』

 

 

 

「どうやらあいつ等は放っておいてもいいようだな」

 

刹那はおキヌ達を監視の必要なしと判断したようだ。しかし……

 

 

『横島さんのお見合い。覗かない手はないのね~』

 

神界のパパラッチと、

 

「木乃香のお見合い、こんなスクープ見逃せますか!!」

 

麻帆良のパパラッチには気付かなかったようだ。

 

 

 

ー◇◆◇ー

 

見合いはと言うと、食事を済ませた後横島と木乃香は何かと話が弾んでいた。

 

「へ~、霊能力って色んな事が出来るんやな~」

「まあね、俺の場合はこんな風に」

 

そう言って、霊波刀を出して見せる。

 

「うわ~、綺麗なもんやな~」

「後は、サイキックソーサーと言って盾を出したりもできるよ」

「魔法みたいやな~」

 

木乃香は目をキラキラさせながら霊波刀やサイキックソーサーに見入っていた。

 

「随分と打ち解けた様じゃないか。少し二人で散歩でもしてきたらどうだい?」

「そうやな~。行こか、横島さん」

「うん、じゃあ行こう」

 

何だかんだと言いながらすっかり木乃香と和んでいる横島である。

そして、二人が出て行ったのを確認した近右衛門がスイッチを押すと天井からモニターが降りて来た。

どうやら覗く気まんまんのようだ。

 

 

 

 

 

ー◇◆◇ー

 

海沿いの道を歩きながら二人は話をしていた。

 

「なあ、横島さん。GSって幽霊やおばけなんかみんな退治するん?」

「ううん。どうしようもない悪霊や妖怪なんかは退治するしかないけど無害な幽霊や妖怪とは仲良くしたいよ」

「えへへ、良かった」

「何が?」

「やっぱり横島さんはいい人や」

「……俺は…そんなにいい人じゃないよ…助けたいと思った女(ひと)を助ける事も出来なかったろくでなしだよ…」

「…横島さん?」

 

紅く染まり出した空を見ながら呟く横島を見ていると木乃香は何か胸に痛みを感じた。

 

「横島さん、ウチら結婚するんかな?」

「…俺にはそんな資格ないよ。女の子を好きになる資格なんか……」

 

横島はそう言いながら左手のブレスレットを握りしめる。

 

「…横島さん……」

「先生…」

「横島…まだ…」

『…やっぱりまだ乗り越えられてないのね~……』

(あの人は何故あれほどに辛そうな顔を?)

 

少女達はそれぞれの想いで二人を見ていた。

 

「愁いを帯びた男の横顔。いいね~」

 

……例外は居るが………

 

 

「そんな事はあらへん!!」

「木乃香ちゃん?」

「ウチにだって、横島さんがいい人か悪い人かぐらいの区別はつく!横島さんはいい人や、幸せになったらアカンやなんてそんな事はあらへん!!」

 

いきなりまくしたてる木乃香に呆然としながらも頬を赤くしながら見つめて来るその顔を見ながら横島は笑顔に戻る。

 

「それとも、やっぱりウチが相手やとアカンのかな?」

「へ?い、いや、木乃香ちゃんがダメというわけじゃ…」

「なんてな♪」

 

木乃香はペロッと舌を出しながら照れている。

 

「たしかにウチはまだ中学生やし結婚とかは早いと思うねん。…だからな」

 

右手を出しながら木乃香は言う。

 

「まずは、友達になろ。ほんでもって、ウチが大人になって横島さんの事がむっちゃ好きになって、横島さんもウチを好きになってくれたらそしたら結婚すればいいやん」

「木乃香ちゃん……ははっ、そうだね。じゃあ、友達からということで」

 

そして横島は木乃香と握手しながら微笑む。

 

「よろしく、木乃香ちゃん」

 

その心からの笑顔は夕陽の紅に染まっていた。

 

 

 

「よ、横島さん…」

「せ、せんせえ~…」

「ぐっ…何よ、あの笑顔は…」

 

その笑顔に魅せられたおキヌとシロタマ、三人の顔は真っ赤であった。

 

 

妙神山では…

 

『ヒャクメ!何をしてるんですか?さてはまた覗きですね。…ヒャクメ?どうしたんですか?』

 

小竜姫が肩をゆするとヒャクメはパタリと倒れ、ヒクヒクと痙攣している。

 

『ヒャクメ!大丈夫ですかヒャクメ!』

 

ヒャクメは真っ赤な顔で目を回していた。

遠距離の覗きの為とはいえ、心眼であの笑顔の直視はきつかった様だ。

 

朝倉は朝倉で、

 

「…すごく綺麗な笑顔…ヤバイ!心臓がドキドキしてる」

 

フラグが立ったらしい。

 

 

「ふわ~(な、何かどっかで見たような笑顔やな~)」

(あの笑顔、確かにどこかで…)

 

木乃香と刹那の二人は、顔を耳まで赤くしながらも何かを思いだそうとしていた。

 

「木乃香ちゃん?」

《そうや(だ)、あの時!!》

 

 

 

それはまだ二人が幼い頃、仲良く友達として遊んでいた時の事。

川辺で遊んでいると木乃香が足を滑らせ川に落ち、助けようとした刹那も溺れてしまった。

 

『ごぼっ…こ、このちゃん…このちゃーん!ごぼごぼ…』

『せっ…ごぼごぼ、せっちゃ~ん!ごぼっ…』

 

刹那は木乃香に近づこうとしても川の流れに翻弄され、どうしようもなかった。

その時、

 

『うおお~~!!』

 

バシャバシャッ

 

一人の男の子が泳いで来て、二人を助けた。

それは幼い頃の横島忠夫だった。

 

 

『もう大丈夫やで、しっかりするんや!』

『はあはあ、こ、このちゃんは?』

『安心し、ちゃんと助けたで』

『せっちゃ~ん』

『こ、このちゃん…ごめん、ごめんなさい』

『なんで謝るん?せっちゃんはウチを助けようとしてくれたやん』

『でも、でも……』

『あ~、もう!でもはなしや!』

 

そう言って二人の頭を乱暴に撫でる。

 

『ふわ、ふわっ』

『はわわ~~』

『みんな、助かったんや。それでええやんか、なっ!』

 

そしてニコッと笑う。

 

『う、うん』

『ありがとな~』

 

子供ながらにその笑顔に見とれて顔を赤くする。

 

 

其処に木乃香達が溺れたと知らせを受けた木乃香の父親の詠春、祖父の近右衛門、そして横島の母親の百合子が駆け付けて来た。

 

『木乃香~』

『木乃香や~』

『忠夫~』

 

『あ、お父さま~、お爺さま~』

『おかん』

 

『よかったよかった』

『このお兄ちゃんが助けてくれたんや』

『よーやったな忠夫』

『女の子を守るんは男の役目や』

『刹那も無事でよかったのう』

『…も、もうしわけありません』

『だから、無事やったんやからええじゃないか』

『で、でも…ううう、うわああ~~ん』

『せっちゃん、泣いたらアカン』

『忠夫!何女の子を泣かしとんねん!』

『いてっ!何で殴るんや、理不尽や~』

 

 

 

幼い日の出来事、

あの時から刹那は木乃香と距離を置き、護衛に徹するようになった。

 

《あの時の人やったんや(だったんだ)》

 

「どうしたんだい、木乃香ちゃん?」

「な、何でもないんや。さ、もう帰ろ」

「そうだね、そろそろ暗くなってきたからね」

 

歩き出した横島の手を木乃香は掴んだ。

 

「こ、木乃香ちゃん?」

「えへへ~」

 

苦笑しながらも横島はそのまま進む。

 

(そっか~、横島さん、ウチの初恋の人やったんや~)

(お嬢様の相手があの時の人…私の初恋の相手…)

 

 

 

 

 

「な、何だかいい雰囲気じゃない?ちょっとヤバイわよ」

「うう~、せんせえ~~」

「……二人とも、帰りますよ…」

「おキヌちゃん、いいの?」

「…美神さんとO・HA・NA・SIがありますから急ぎマスヨ?」

「「サーー!イエッサーー!!」」

 

病キヌに進化した彼女に逆らえないシロタマであった。

 

 

 

見合い会場では……

 

「いい感じの様じゃのう」

「ええ、では予定通りに事を進めると言う事で」

「では、お互いの書類にサインを」

「はい……。勝手な事をして堪忍な忠夫。でも今のお前には支えになる娘が必要なんよ、木乃香ちゃんならきっとお前を……」

「そして木乃香にも忠夫くんは必要なんじゃ、忠夫くんならきっと木乃香を守ってくれるじゃろう」

 

 

 

二人の知らない所で婚約は成立した。

 

 

続く。

 




オマケ


「ふう、何とかこれ以上の流出は止められたけど……大出費よーーー!!」

そう、美神が嘆いていると…

『み、みみみ、美神オーナー、お、おキヌさんがお帰りです!!』
「……え?…しまったぁーーー!忘れてたーー!!」

コツコツコツコツ…

「ど、どうしよう?」

オロオロしていると、台所から何かが飛んで来て美神の頭をかすめて階段の方に飛んで行くと小さな声で「卍解」と聞こえて来た。

「あわわわわ」

そしておキヌが姿を現すとその手には大太刀の姿になったシメサバ丸が握られていた。

「ご、ゴメンなさいおキヌちゃん!仕方なかったのよ、裏帳簿のデータ―が流出してて…」

おキヌは黙ったまま左手を顔の前に出すとそのまま横に動かす。

すると其処には黒い仮面が……

「いーーーーやーーーーー!!」


注・オマケはあくまでもオマケです。本編とは関係ありません。


たぶん…
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