こんな、横島忠夫はどうでショー!   作:乱A

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四時間目「何だこの血は!?まるで極上のワインの様じゃないか! byエヴァ」

ネギとエヴァの二人が追いかけっこをしてる時、麻帆良にある男がやって来た。

木乃香から吸血鬼が現われたらしいと相談を受けた横島であった。

 

「やっと着いたか。まったく、シロタマとおキヌちゃんを誤魔化すのには苦労したよ」

 

すぐに麻帆良に向かおうとした横島だが前記の三人はくっついて離れようとしなかったのだ。

一番肝心の筈の美神は”何故か”意気消沈で上の空での了承を貰ったので取りあえずは大丈夫であろう。

 

「その分、帰った時にどう説明するかだがな……」

 

とりあえず横島は詳しい話を聞く為にルチ将軍の所へ向かおうとしたが、

 

「待ちなさいエヴァンジェリンさん、何でこんな事をするんですか?先生は許しませんよーー!!」

 

「ん、何だ?」

 

突如、頭上から子供の声と争う音が聞こえて来た。

 

「はははは、なら私を捕まえてみろ。そしたら何でも話してやるさ。奴の事もな」

「なら、捕まえて見せます」

 

「な、何じゃ?子供が二人…男の方は魔法使いの様だが女の方は……あの魔力の波動はピートに似てるな。吸血鬼か…?」

 

ネギが精霊召喚による分身で追いつめるとエヴァンジェリンは魔法薬による障壁でそれを遮る、二人の闘いは終盤を迎えていた。

 

ネギの武装解除で蝙蝠のマントを吹き飛ばされたエヴァンジェリンは校舎の屋根に降り立ち、ネギもその後を追った。

 

 

 

「何かヤバそうだな」

 

横島は胸のポケットから『飛』の文字が書かれたカードの様な物を取り出し発動させると横島の体は空へと舞い上がり、ネギ達と同じ屋根の上に気付かれない様に降り立つ。

 

 

 

 

 

四時間目

「何だこの血は!?まるで極上のワインの様じゃないか! byエヴァ」

 

 

 

ネギとエヴァが降り立った屋根の上では二人が向かい合っていて、蝙蝠で作ったマントを失い下着姿になったエヴァンジェリンにネギは話しかける。

 

「…こ、これで僕の勝ちですね。約束どうり教えてもらいますよ、何でこんな事をしたのか。そして、父さんの事も」

「お前の父親、すなわち『サウザンドマスター』の事か?ふふふ…」

「(何故それを?)と、ともかく魔力も無く、マントも触媒も無くなった貴女に勝ち目はありませんよ。大人しく捕まって下さい!!」

 

エヴァンジェリンを追い詰めようとしたネギだが、その前に一人の女性が彼女を護る様に立ちはだかる。

 

「申し訳ありませんネギ先生。マスターに手出しをさせる訳にはまいりません」

「え…?君はウチのクラスの……」

「紹介しよう、彼女は3-A出席番号10番「絡繰 茶々丸」”魔法使いの従者(ミニステル・マギ)“、つまりは私のパートナーだ」

「えええええ~~~!!」

「形勢逆転だな。パートナーのいない坊やでは”私達”は倒せんぞ」

「そ、そんな事、やってみなくちゃ」

「なら、やってみるのだな」

「言われなくても、『風の精霊11…へぷっ!!」

 

呪文の詠唱途中に茶々丸がネギにデコピンで邪魔をする。

 

「何をするんですか!?呪文が唱えられないじゃないですか!!」

「……当たり前だろう。それが”魔法使いの従者”の役目なんだから」

「え……?」

「我々魔法使いは呪文の詠唱中は無防備だ。そこを剣と盾になって主を守るのが”魔法使いの従者”の役目、つまり”魔法使いの従者”がいない坊やにはどう転んでも勝ち目はないのさ」

「そんな~~!!」

「茶々丸」

「はい、マスター。申し訳ありませんネギ先生、マスターの命令ですので」

 

茶々丸はネギを捕まえ、体を拘束する。

 

「やめて下さい、何をする気ですか?」

「坊やの父親、”サウザンドマスター”に掛けられた呪いを解くには血族者である坊やの血が必要なんだよ」

「と、父さんに掛けられた呪い?」

「そうだ……、私はな、貴様の父サウザンドマスターに敗れて以来魔力を極限まで封印され、も~~15年間あの教室でノー天気な女生徒共と一緒に勉強させられているんだ」

「そ、それで僕の血を…?」

「そう言う事だ、目いっぱい吸わせてもらうからな。まあ、多分駄目だと思うが運が良ければ死なないで済むんじゃないかと思ったり思わなかったり、万が一の可能性にすがろうとしてもカルネアデスの船板は腐ってて浮かない様だしここは諦めるのも一興かと」

「結局死ぬって事じゃないですか~~!!」

「そうとも言う」

「い~~や~~だ~~!!」

「では、いただk…」

「はい、其処まで!!」

「何?」

 

ネギに噛み付こうとした瞬間、エヴァンジェリンはいきなり何者かに後ろから担ぎ上げられた。

 

それは、隠れながら事態を見守っていた横島忠夫であった。

 

「マスター!!」

「だ、誰だ!?」

「俺か、俺は横島忠夫だ」

 

横島はエヴァンジェリンを抱き抱えながら答えた。

 

「横島さんて言えば確か…このかさんのお見合いの相手の?」

「ま、まあな…」

「横島さんと言いましたか。マスターを放してください」

「ん?君はアンドロイ『ガイノイドです』…ガイノイドか。だったら君の方もその子供を放してくれないか」

「マスターの命令ですのでそれは出来ません」

「ならこっちもこの子を放せないな」

「う~~、このっ、放さんか!!」

「痛てっ!」

 

エヴァンジェリンは自分を抱えていた横島の手に噛み付きその血を吸った。

 

「!!な、何だこの血は…?」

 

エヴァンジェリンは横島の血の味に驚いて一旦は腕から口を放したが、もう一度血を飲む為に噛み付こうとする。

 

「そう何度も噛みつかれてたまるか」

 

すかさず、横島はエヴァンジェリンを放すが、エヴァンジェリンは横島の方に振り返り叫ぶ。

 

「おかわり!!」

「却下だ、却下。おかわり禁止!!」

「ケチケチするな。しかし何という血だ、甘く豊潤でそれでいて喉越しは爽やか。まるで極上のワインの様だ……さして濃厚な!!」

「血が美味いと言われてもあまり嬉しくないぞ」

「はははは、だがいくら逆らおうともお前はすでに私の下僕だ。さあ、こっちに来い」

「だが、断る!!」

「何だと!? 何故逆らえる、私は真祖の吸血鬼だぞ。確かに血を吸うと同時に魔力は送り込んでいたのに…」

「ああ、それはな、俺は以前ある事件で吸血鬼化された事があってな、その時俺を吸血鬼化させていた魔力の根源でもある真祖も別の吸血鬼に噛まれ支配秩序の崩壊で人間に戻ったんだ。つまり俺は吸血鬼化への耐性があるんだ」

「そ、そんな…」

「しかし困ったな。木乃香ちゃんに頼まれて調査に来たのはいいけど……まさか、噂の吸血鬼がこんなに可愛い女の子だったなんて」

 

横島はエヴァの頭を撫でながら優しく微笑む。

 

「なっ!! な、ななななな……」

 

とたんにエヴァの顔は真っ赤に染まる。

 

人外キラースキル&ニコポ発動。

 

「マスター?」

「茶、茶々丸……」

「はい」

「一旦引くぞーー!!」

「了解しました」

 

茶々丸はエヴァを抱えるとすぐさま飛び去って行く。

 

「ふう、引いてくれたか。大丈夫か坊主?」

「は、はひ…あじがとうごじゃいまふ……」

 

ネギの顔は涙と鼻水でぐしゃぐしゃだった。

 

「まあ、改めて自己紹介だ。俺は横島忠夫、よろしく」

「は、はい。僕の名前はネギ=スプリングフィールドです」

 

 

 

かつての「魔神大戦」において、本人は決して望まないが英雄と呼ばれた男、横島忠夫と、サウザンドマスターと呼ばれた英雄、ナギ=スプリングフィールドの息子、ネギ=スプリングフィールドとの、これが初めての出会いだった。

 

続く

 

 




(`・ω・)横島が使った「カードの様な物」とはカードに霊力を貯めて作った文珠の簡易版みたいな物で文珠ほどの力は無く文字の書き換えも出来ないがその分、量産が効くという設定。、
まあ、ぶっちゃけ「陰陽大戦記」の「闘神符」です。

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