全部の話を知らないと分かり辛いかな?
チュンチュン……
今日も朝が来た、さわやかな朝だ。
だが、俺はそんな気にはなれない。何故ならば……
「せんせ~~!」
シロの奴、今日も来やがった。
朝になると俺の都合などこれっぽっちも考えずにシロは俺を散歩に誘いに来る。
普通の散歩なら別にかまわない。だが、それが数十キロにも及ぶ全力疾走となると話は別だ。
寝たふりでやり過ごそうとしたがシロは扉をドンドン叩き、俺を起こそうとする。
解っていた事だが、諦める気は無い様だ。
「先生!さあ、散歩に出かけるでござる。新しい朝が来たでござるよ、希望の朝でござる」
「それでは散歩ではなく体操になってしまうでござるよ」
ん?……こ、この声は。
「お、お主は楓殿。一体、先生に何の用事でござるか!」
「勿論、忠夫殿に勝負を挑みに来たでござるよ」
「何を言ってるでござる!先生はこれから拙者と散歩に行くんでござるよ!」
あいつ等は……
今、部屋の外でシロと言い争っているのは長瀬楓。
麻帆良学園都市にある女子中等部の三年生だ。
仕事がらみで知り合った女の子だが、俺の闘い方に思う事があったのか、それ以来何度も勝負を挑まれている。
麻帆良学園女子中等部、あそこは正に地獄だった。
通っている娘は皆、ナイスバディだが中学生、中学生なのにナイスバディ。
手を出せばロリペド一直線なのだ、よく耐えた、偉いぞ俺。
特にあのルチ将軍!
木乃香ちゃんの爺ちゃんは俺を木乃香ちゃんの婿にしようと躍起になってたからな。
「此処に来たのは楓殿だけでござるか?刹那殿や古菲殿は?」
「皆には内緒で来たでござるよ、今頃悔しがっている頃でござるな」
ともかくこれ以上騒がれてはたまらない、後で文句を言われるのは俺なのだ。
「おい、お前らいい加減にしろよ。少しは俺と近所の迷惑を考えろ!」
「先生、お早うでござる!」
「ようやく目覚められたでござるか。さあ、さっそく勝負でござる!」
そう言いながら二人は扉を開いた俺の所に駆け寄って来る。
「まあまあ、二人共。忠夫殿の迷惑も少しは考えるでござるよ、ニンニン」
「……そう言うお前は此処で何をしとる……」
「朝の挨拶のついでにでぇとの誘いに来たでござるよ」
この何時の間にか部屋の中で逆さまにぶら下がっている娘は川端綾女、乙女学院の生徒だ。
乙女学院、それはデタントのテストケースとして創立された神族、魔族、妖怪、そして人間が集められた学校の事で何故か女子校だ。
そして今、何故か俺はその乙女学院に交換留学生として通わされていてこの綾女という忍者オタクの少女はクラスメイトの一人である。
中々の美女ぞろいだが創立にキーやんとサっちゃんが絡んでいる事、学院長がノストラダマスというあからさまに怪しいぢぢいなのでもし女生徒に手を出したらどうなるか分からないのでナンパは控えている。
つまり、あの学校も俺には地獄に等しい。
後、乙女学院には神界からモビィ・モ・ラールと言う奴と魔界からヤクト・ヤン・キーと言う奴も通っている。
この二人、何故か妙に俺と気があう。
「おのれ綾女!何時の間に先生の部屋の中に?」
「勿論、何時の間にやらでござるよ」
「油断のならない女でござるな」
何か嫌な予感がするな。こいつ等が言い争っている間に逃げるか。
そうして、そ~と気付かれない様に歩いて行き、もう少しで道路に出ようとした時…
「師匠、其処に居るのは師匠ではござらぬか!」
この日本には居ない筈の女性が現れた。
「師匠ーー、会いたかったでござるよーー!びふてき、やっと師匠に会えたでござるよ」
『もー、もー♪』
この娘は千影流忍一族の二女でしのぶという名前だ。
“びふてき”とは彼女のペットというか友達で、二足歩行する小さな牛である。
以前、海上での除霊の際に俺一人だけ遭難した事があり、その後俺は藍蘭島という女性だけが住んでいる島に流れ着いた。
その島は12年前の“漢だらけの大船釣り大会”の大会中に起こった100年に一度級の大波に巻き込まれた為に男が一人もいない女性だけの島だった。
女性だけ……俺は今度こそ本物のハーレムじゃーー!……と浮かれていたんだが其処に居る女の子は殆んどが12歳未満の年齢対象外、こんなこったろーと思ったよ、チクショーーー!
たまに年齢的にOKだと思ったら想い人がいたり(その相手がペンギンだと知った時は思わず呪いをかけそうになったが)見るからに幼児体型だったり……
12年ぶりに現れた男と言う事で「こと」という婆さんには婿殿よばわりされるし女の子達には追いかけ回されるしで大変だった。
何しろ男に免疫がないせいか風呂に入っていても平気で裸で入って来るし、もし一人だけでも手を出したりしたらあの婆さんの事だ、島の女性全員と関係を持たされる事だったに違いない。
いや、それはともかくとして……
「何でお前が此処に居る?藍蘭島の周りには大渦が渦巻いていて外には出れない筈だが」
「師匠を捜して彷徨い歩いていたら何時の間にか此処にたどり着いていたでござるよ」
「何処の響良牙だお前は!……皆は元気だったか?」
「まあ、皆それなりに元気でやってるでござるよ。……すず殿は少し寂しそうでござったが」
「そっか……」
思えば彼女には可哀想な事をしたな、今度会いに行ってやるか。
「ところで忠夫殿、その女性は誰でござるかな?」
「ずいぶんと親しそうでござるな、ニンニン」
「先生?……師匠とは一体どういう事でござる?詳しい説明を求めるでござるよーー!」
しまった、こいつ等の事を忘れていた。
「拙者の名はしのぶと申すでござる。忠夫師匠の弟子でござるよ」
「何を申す!先生の弟子は拙者でござる!」
「ふ~む、この際拙者も忠夫殿に弟子入りするでござるかな?」
「それは“ないすあいであ”でござるな。ニンニン」
「こら其処っ!何物騒な相談をしとる!」
「先生!話をはぐらかさないでほしいでござる」
「師匠! 拙者は苦労して此処まで来たのでござるからご褒美になでなでしてほしいでござるよ」
「なでなで?何とも甘美な響きでござるな」
「忠夫殿、スクナとの闘いの時は拙者も頑張ったでござるよ」
ござるござるござるござるござるござるござるござるござるござるござる
「ええーーーいっ!ござるござるうるさいわーーーーーーっ!」
その後、横島忠夫は「ござるフェチ」と噂され、彼の周りの女性陣の間ではござるが流行したとかしなかったとか。
『ヨコチマ、一緒にゲームをするでござるでちゅ』
「横島さん、クッキーを作ったから食べてほしいでござるえ」
「忠夫クン、一緒に走ろうよ…でござる」
「忠夫様、この藁人形で一緒にあやねを呪わない?でござるわ」
「もう勘弁してくれーーーーー!」
終ってみよう。
(`・ω・)と、言う訳で思いついたまま書いたらこうなった。
何故か横島ってござるっ娘と相性がいいよね。
ネギま!にハイスクール・オブ・ブリッツ、さらに藍蘭島とごちゃまぜにしてかなりのカオスになってしまった。
(・ω・)ノシ <では、そういう事で。