こんな、横島忠夫はどうでショー!   作:乱A

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第五話「勝仁との語らい」

 

此処は高位次元空間にある訪希深(ときみ)謁見の間。

キーやんとサっちゃんの前には天地世界の次元管理者、D3が居た。

 

 

突如横島の存在が世界から消えた為、GS世界はまさに混乱の中にあった。

神魔正規軍は反デタント派が何かをしたのかと思い、反デタント派は神魔正規軍が横島を何処かに隠したと思い、睨み合いが続いていた。

 

ぶっちゃけハルマゲドン突入寸前だったのである。

 

そんな時、GS世界の次元管理者であるG5から最高指導者(ちゅうかんかんりしょく)の二柱に召喚命令が下りこの場所へとやって来た。

其処で聞かされたのは横島がとある事故で次元を隔てたD3の管轄である天地世界へと転移したという事であった。

 

『そうですか、横島さんはこの世界にいるんですか』

『何にせよ、居場所が解って何よりやわ』

『ええ、これでハルマゲドンは回避できますね』

『そうやな。なら、さっそく誰かを迎えに寄越しますわ』

 

『いや、それは少し待て』

 

『何ででっか、D3はん』

 

『彼の者は暫く我が次元に滞在させよとの訪希深様の仰せだ』

 

『訪希深様が…ですか?』

『ほらまた何で?』

 

『盟主様のお考えをお前達が知る必要はない』

 

『なっ!? それはあんまりやないか』

『…解りました。では横島さんの事、よろしくお願いします』

 

 

D3のぞんざいな言い方にサっちゃんは憤るが、キーやんはそんなサっちゃんの前に手をやり言葉を続ける。

 

 

『何で止めるんや、キーやん?』

『(ここは私に免じて大人しくしていてください)では我等はこれで失礼します』

 

『うむ』

 

そしてD3は謁見の間から消えて行き、後に残ったのはキーやんとサっちゃんの二柱だけである。

 

『おい、キーやん。何であっさり引き下がったんや!!』

『仕方ないでしょう、我々に訪希深様の意思に逆らう事は出来ません。それと、試しに横島さんが居る場所を覗いて見たんですがどうやら三神の内、二神があそこに居るようなんです。それに……』

『それに……?』

『訪希深様も女性神なんですよ』

『………まさか!? いくら横っちでも…』

『そのまさかをするのが横島さんでしょう』

『やなあ…』

『見ごたえがあると思いませんか?』

『見ごたえがあるな』

 

二柱は真剣な顔で向かい合うと横島が居る次元の方角を向いて呟いた。

 

『横島さん、応援してますよ』

『横っち、期待してるで』

 

 

其処には悪魔達(キーやんとサっちゃん)の薄ら笑いが何時までも響いていたといふ。

 

 

 

ー◇◆◇ー

 

砂沙美が持って来た昼食を皆で分けて食べ、一息ついた所で天地は話を持ち出した。

 

「忠夫君、とりあえず俺のじっちゃんの所に行かないか?じっちゃんなら多分力になれると思うし」

「そうだね。お兄様なら大丈夫だと思うよ」

 

その言葉を聞き、横島は首をかしげた。

 

「砂沙美ちゃんのお兄さんで…」

『天地殿の祖父殿?』

 

「まあ、そこの所は本人が居る所で話をするよ」

 

そして、天地は横島を社務所へと連れて行った。

 

 

 

         第

         五

       勝 話

       仁

       と

     語 の

     ら

     い

 

 

 

長い階段を上り、社務所に着くと勝仁はすでにお茶の用意をして天地達が来るのを待っていた。

 

「遅いぞ天地、何をしておった」

「何だ、じっちゃんは気付いていたんだ」

「当たり前じゃ、ワシを誰だと思うておる」

「そうだよね…そういう人だよねじっちゃんは」

 

そんな会話をしていると天地の祖父、柾木勝仁は横島に向き合い語りかける。

 

「ワシは柾木勝仁。で、そなた達は如何なる次元から来られたのかな?」

「如何なる次元って……心眼」

『うむ、やはり此処は我等が居た次元とは異なる平行世界の様だな』

「平行世界?…忠夫君、平行世界ってどう言う事?」

 

天地が聞き返して来ると心眼が答える。

 

『この世界にGS(ゴーストスイーパー)という職業は在るか?』

「GSか…、言葉から察するに退魔士の様な者かの?この世界にはそのような職業は無いぞ」

「忠夫君、そのGSってどんな仕事なんだい?」

『文字通り、悪霊や妖怪、果ては魔族などといった人に災いをもたらすモノから人々を守る仕事だ』

 

横島の代わりに心眼が答える。

 

「それって、幽霊やオバケなんかもみんなやっつけるの?」

 

砂沙美は不安そうに横島に聞くが、横島はそんな砂沙美に優しく笑いながら答えてやる。

 

「いや、妖怪や幽霊、魔族にもいい奴等は一杯居るしね、むやみやたらに退治したりはしないよ。…どうしようもない悪い奴等は別だけどな」

「そうなんだ、忠夫兄ちゃんは優しいんだね」

「ミャーン、ミャーン」

「いや、俺は別に……」

「ところであの不思議な珠は何だったの?」

 

そう言いながら茶請けの煎餅に手を伸ばすと横から出て来た手に横取りされ、その手の持ち主である鷲羽は、煎餅を法張りながら聞く。

 

「どわっ!! な、何じゃいきなり!?」

『け、気配なぞまったく感じなかったぞ!?』

「初めまして、私は白眉鷲羽、宇宙一の天才科学者よ。私の事は「鷲羽ちゃん」って呼んでね♪」

「『は、はあ……』」

 

両頬に指を当て、“ニッコリ”と微笑みながら自己紹介をする鷲羽に驚きながらも横島と心眼は何とか答える。

 

そして天地は……

 

(ああ、やっぱり見られてたんだ…)

 

頭を抱えながら一人、横島の不運を嘆いていた。

 

「けっ!何が「鷲羽ちゃん」だ。2万歳のババアのくせに」

「だ~れがババアですって?」

 

魎呼はそう小声で悪態をつくが、何時の間にか後ろに居た鷲羽が悪魔の頬笑みを浮かべていた。

 

「ひいっ!い、いやだな~。ババロアが食べたいな~と言っただけだよ。何時までも若くて綺麗なママ(ニコリ)」

 

魎呼は引きつった笑い顔に冷や汗をかきながら言い訳をするが、もちろんそれを許す鷲羽ではない。

 

「まあいいわ。とりあえず魎呼ちゃんは後で研究室に来てね、親娘水入らずでゆっくりとO・HA・NA・SI・しましょ♪」

「とほほ~~」

 

じょ~と、目の幅涙を流しながら泣いている魎呼の事は横に置いた鷲羽は改めて横島に話しかける。

 

「とりあえず自己紹介からしてくれる」

「う、うん。俺は横島忠夫。そしてこのバンダナが相棒の心眼だ」

『我は竜神であられる小竜姫様の竜気によって生み出された存在だ。それより先ほど魎呼殿が言っていた2万歳というのは?』

「女に歳の事を聞くのは失礼よ。まあ、貴方達の世界はどうかは知らないけど此方では生体強化で寿命を延ばすのはどうという事でもないのよ。阿重霞殿達だって700歳を超えてるんだからね」

 

鷲羽はそう言うが、横島はどこ吹く風と言う様に、「ふ~~ん」と煎餅を法張りながら聞き流していた。

 

「あ、あんまり驚かないんだね」

「別に驚く事じゃないだろ。俺の知り合いには1000歳を超える錬金術師の爺さんが居るし、ピートの奴はバンパイア・ハーフで700歳を超えてると言ってたな。愛子は机が妖怪化した九十九神だし、…なあ心眼、小竜姫様は何歳なのかな?」

『さあな、竜神である小竜姫様には寿命などあってないようなものだし、神魔の最高指導者様達に至ってはまさに永遠の存在だしな』

 

そんな横島と心眼の会話を聞いていた天地はただ、唖然としていた。

 

「り、竜神に神魔の最高指導者って……忠夫君…君って本当に何者なの?」

『それはそうと、先ほどの勝仁殿が天地殿の祖父で砂沙美殿の兄上というのは』

「うむ、それはワシが地球で過ごした700年の間、阿重霞と砂沙美は時間凍結で時を止めておったからじゃ」

『なるほど、それで其々の間に時間の差異が出来たという訳か』

 

それから天地達と横島はお互いの情報を交換して行く。

 

阿重霞と砂沙美、勝仁が銀河でも最大規模を誇る樹雷星の皇族である事。

魎呼がかつて宇宙中を荒らし回った宇宙海賊である事。

神我人との死闘の事などを。

(もっとも神我人との戦闘の際に死にかけた事などは聞いてて気持ちのいいものではないだろうと秘密にしておいたが)

 

横島も自分の事を話して行く。

元々は何の力も無い平凡な一高校生で、時給255円で丁稚生活をしていた事。

その後、とある事情で霊能力に目覚めた事。

(横島もまた、ルシオラの事などもある為、魔神大戦や死にかけた事は秘密にしておいた)

 

そして天地は横島が孫悟空の弟子であるという事に頭を抱えていた。

 

 

=続劇=

 




(`・ω・)次元管理者のG5とはOVA三期の最終話で『次元振確認』とか言っていた何処か女性っぽいあの方です。

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