こんな、横島忠夫はどうでショー!   作:乱A

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破壊神ビルス様は言いました、宇宙は12個あると。
これはたぶん、5番目くらいの宇宙の物語かもしれない。

とりあえず、「GS美神」と「おと×まほ」のクロスでごぜえます。


「魔法少女?タダオキュート」

 

時間は深夜、誰もが眠りに就いているであろう時間帯。

今、人知れず一つの闘いが行われていた。

 

ガオオオーーーーンッ!

 

「くっ……このおーーーっ!」

 

異形の姿をした巨鳥の攻撃を少女は何とか、躱わして行く。

 

ガオオオオーーーッ!

 

再び襲いかかる巨鳥の爪に少女のコスチュームの一部が切り裂かれ、その肌が少し晒される。

少女は照れからなのか、顔を赤くしながら巨鳥から距離を置く。

 

「わっ、わわわ……な、何をするんだよーーー」

 

ゲッゲゲゲゲゲゲゲ

 

巨鳥はその姿を見ていやらしそうに笑う。

 

「よっしゃーーっ!ナイスだノイズ、もう一声!」

 

そんな少女と巨鳥の闘いを屋根の上からビデオカメラで撮影している小さな動物がいた。

 

「こらーーーっラル!何してるんだよーーっ!」

「いやーー、せっかくだがら記録映像を」

「そんな物撮るなーー!」

 

彼の名はラル、オコジョの姿をした少女のパートナーである。

 

「そんな事より早くトドメを」

「分かってるよ、行っけーー、グローリー・フェザー!"紅い羽根乱舞"」

 

少女の持っている杖(オリジン・キー)、グローリー・フェザーに付いている片翼が羽ばたく様に開くと、幾重もの紅い羽根が巨鳥に襲いかかる。

 

ギョワワアアアーーーーーーーー!!

 

巨鳥は断末魔の悲鳴と共に光となって砕け散る。

 

「ふう、やっと終わった」

 

少女は安堵のため息を吐くが、ラルはそんな少女の姿をローアングルで撮影していた。

 

「うひひひひ、今日もいい絵が撮れた。さあ、早く帰って編集を…ふぎゃっ!」

 

少女はラルを思いっきり踏みつけ、ビデオカメラを取り上げる。

 

「没収!」

「そ、そんな…酷いよタダたん」

「酷くない、それからタダたんって呼ぶな!それに大体……」

 

少女?はビデオカメラからDVDを取り出し其処に書かれていたタイトルを確認する。

 

「何なんだよ、この恥ずかしいタイトルは!?」

「何って?…見た通り『魔法少女・タダオk…ぶげらっ!」

 

少女?はラルの頭を力一杯に踏みつける。

 

「少女じゃないっ!ボクは、ボクは……」

 

「ボクは男だーー!」

 

少年の心からの叫びは夜空へと消えて行く。

彼の名は横島忠緒、いわゆる世間一般で言う『男の娘』である。

 

 

 

 

      「魔法少女?タダオキュート」

 

 

 

カーーン、カーーン、カーーン!

 

「タダたん、朝だよ。早く起きないと遅刻するよ」

 

ラルは料理帽を被り、フライパンとお玉を打ちならして忠緒を起こす。

 

「うう~、まだ眠いよ~」

「ダメダメ。さあ、朝食の用意は済んでるから早く来てね」

「解ったよ、起きればいいんだろ」

 

部屋を出て行くラルを見つめつつ、忠緒は着替えを始める。

勿論ラルが出て行く時にこっそりと少しだけ開いて行った扉を閉めるのは忘れない。

 

チッ

 

廊下から舌打ちが聞こえたがとりあえず後で一発殴っておこうと思う。

 

 

 

横島忠緒。

彼の身長は145㎝ほどで長い黒髪は膝裏まで伸びており、家訓という事で切らせてはもらえない。

 

母親と父親は海外出張で今は母親の妹である横島百合花と暮らしていたが、百合花は友人と「世界各国ぶらり旅」に出てしまい今はラルと二人暮らしである。

 

その際に百合花は魔法少女、"チューナー"の役目を忠緒に押し付けて行ったのだった。

聞けばその友人の子供も魔法少女を押しつけられたらしい。

(接触がない為、その子供もまた男の娘だという事を忠緒は知らない)

 

 

―◇◆◇―

 

その後、学校に登校して机に突っ伏していると後ろから声が掛けられて来た。

 

「よう、どうしたんだ忠緒。えらく疲れてるみたいじゃねえか」

「あ、雪之丞。おはよ」

 

コイツの名前は伊達雪之丞、一応ボクの親友だ。

 

まあ、出会いは何と言うか最悪だった。

何しろ入学式の時に、いきなり「ママに似ているーー!」と叫びながら飛びかかって来たんだから。

それからは何となく気があって、今では親友と呼んでもいい位の関係にはなっている。

……それでも時々思い出したかのように「ママーっ!」と飛びかかって来るのだが。

 

「よぉ!忠緒、雪之丞、お早う」

「お早うメガネくん」

「何だ、やけに機嫌がいいなメガネ」

 

彼もまた、僕のクラスメイト。

名前はサトシと言うらしいが(cv・千葉繁)皆は当然の様にメガネと呼ぶ。

 

「いや~~、昨夜良い物を見ちまってな。驚くなよ、魔法少女だよ、魔法少女」

「ぶっ!」

 

ガツンッ

 

メガネが言った言葉に、脱力した忠緒は机に頭をぶつけて小気味の良い音が立つ。

 

「どうしたんだ忠緒?」

「い、いや別に……」

「ならいいんだが、それにしても魔法少女だと?。メガネ、お前頭大丈夫か」

「ふっ、何とでも言うがいい。俺は今猛烈に感激している、凄いぞ、時空管理局は本当にあったんだ!」

(うう、見られてたなんて…ん?)

 

忠緒が頭を抱えていると机の横に吊るしてある鞄がもぞもぞと動いているのに気がついた。

 

(ひょっとしてラル?)

 

ボクは鞄を掴むと廊下へと駆け出した。

 

「おい、何処に行くんだ忠緒」

「ち、ちょっとね」

 

鞄を抱えたまま廊下の角を曲がると、其処にはよく知っている顔があった。

 

「忠緒じゃない、どうしたのよ?」

「あ、令子先輩」

 

この人は家の近所に住む美神令子さん。

子供の頃からの知り合いでお姉さんぶっている、普段は優しいんだけどその分怒るとものすごく怖い。

ちなみに、学校では先輩と呼ばせてるけどふだんはお姉ちゃんと呼ばないと怒る。

 

「鞄なんか抱えて…、もしかしてサボるつもりじゃ」

「ないないない、ありません!」

「そう、ならいいんだけど」

「え~~と、令子先輩がいるって事は…」

「勿論いるわよ」

 

令子先輩はそう言いながらボクの後ろを指さす。

 

「えへへ~~、タダちゃん~見~つけた♪」

「うわっ!」

 

後ろからボクを抱きしめてくるのは六道冥子さん。

近所にある大きなお屋敷に住んでいるいわゆるお嬢様。

一人っ子な分ボクを弟として可愛がってくれる、それはいいんだけど若干行き過ぎな感じもする。

 

「冥子先輩、離してください」

「ぶ~~、先輩なんて~他人行儀な~呼び方したら~いや~~。お姉ちゃんって~呼んで~」

「ちょっと急いでるんですよ、離してよ…お姉ちゃん」

「うん、えへへ~~」

 

お姉ちゃんと呼ばれて気分を直したのか、素直に離してくれる。

 

「何かあったの?」

「うん、ちょっとね」

「…無理やり聞こうとはしないけど話せる事は話しなさいよ。アンタの事は百合花さんに頼まれてるんだからね」

「うん、ありがとう令子お姉ちゃん」

 

ニッコリ

 

笑顔でそう言うと令子お姉ちゃんは顔を真っ赤にして、うろたえながら怒る。

う~~ん、何で令子お姉ちゃんは何時も笑っただけで顔を赤くするのかな?

 

「ば、馬鹿!学校では先輩と呼びなさい」

「は、はい。令子先輩」

「ホントは~お姉ちゃんて~呼ばれたい~くせに~」

 

ボクはその場を離れるとトイレの個室に駆け込み、鞄の中に隠れていたラルを掴み出した。

 

「何やってるんだよラル」

「い、いや。タダたんがかなり疲れているみたい何で心配になって」

「本音は?」

「学校ならではのお宝映像を」

 

ギュ~~~~~ッ

 

「ご、ゴメンなさい!絞らないで、中身とか色々と出ちゃう…」

「そんな事より、どう言う事なんだよ!ボクの姿見られちゃってるじゃないか、認識障害の魔法がかかってるんじゃないの!?」

「あのねタダたん。認識障害の魔法はね、姿が見えなくなるんじゃ無くて本人と認識出来なくなる魔法なんだ。つまり知り合いに見られたとしても正体がタダたんとばれないんだよ」

「そんな話聞いてな…っ」

 

チリッ…チリッ…

 

その時、耳の奥を突っつく様な"雑音"が聞こえて来た。

 

「ラル、これって」

「どうやら出たみたいだね。"ノイズ"が」

 

忠緒は慌てて廊下に出る。

 

ザザザザザザザ…

 

"雑音"は更に大きくなり、黒い影が徐々に異形な姿をとって来た。

 

「タダたん、魔法少女の出番だよ」

「で、でも、ここは学校だよ。皆に見られちゃう」

「でも闘わないと皆が傷ついちゃうよ。令子ちゃんとか冥子ちゃんとか」

「……分かった…」

「さあ、タダたん!"意味在る言葉"を」

「まったくもう!《グローリー・フェザー!》」

 

忠緒がオリジン・キーの名を呼ぶとグローリー・フェザーは呼びかけに応じて手の中に現れる。

そして変身のキーワードである"意味在る言葉"を叫ぶ。

 

「昼と夜とを紡ぐ(あか)!」

 

その言葉と共に忠緒の足元には光の魔法陣が描かれ、其処から光の粒が螺旋状に舞い上がり、忠緒の服は光になって消えて行く。

 

「むほぉーーーーっ!さあ、いよいよ始まりました!」

 

ラルは興奮しながらビデオカメラで撮影を開始すると…

 

「少しは懲りろーー!」

 

忠緒はグローリー・フェザーを振りかぶって、ラルのビデオカメラを粉砕する。

 

「あーーっ!僕の3万9千8百円が!」

「ふんっ、いい気味」

 

そして、服がほぼ消え去った時…

 

「何の騒ぎ?」

 

廊下の角から令子が現れた。

 

「れ、令子お姉ちゃん!?」

「ひゃっ!な、何これ?…って、何をやってるのよ忠緒!?」

「ラルーーー!認識障害はどうしたんだよ。ボクって解らないんじゃないの?」

「いや、さすがに変身前に見られちゃ認識障害は関係ないよ」

「見ちゃダメーー!見ないで令子お姉ちゃん!」

 

忠緒は瞳を涙でうるませながら両手で下半身を隠し後ろを向く。

しかし、彼は男ゆえに胸は無く、ささやかながらの(涙)男性としての象徴はあるがそれ以外は女性の様な完璧なまでのプロポーションを持っていた。

だからこそ、

 

「そ、そんな事言ったって」

 

令子は目を反らせずにその光景を見つめている。

 

「そうだよね、こんな素晴らしい光景から目を反らすことなんてできないよね」

「へ……ラルが喋ってるーーーー!?」

 

そうこう言ってるうちに忠緒の服は完全に消える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

        さあ野郎共!覚悟はいいか?

           ここからが本番だ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

光の粒は螺旋を描く様に空へと昇り、長い黒髪も巻き上がる。

そして光の粒が体を包むと白スクみたいなボディースーツに変わる。

ボディースーツの上にはメイド風味の入ったセーラー服に際どいミニスカ。

足を包んだ光はハイソックスに膝まであるブーツに変わる。(つまりは絶対領域!!)

両手首には赤いリボン、長い黒髪は右側8と左側2のアンバランスなツインテール。(だが、それがいい)

 

 

 

魔法少女タダオキュート、変身完了!

 

 

 

 

「うう~~、れ、令子お姉ちゃん…見た?」

 

忠緒は顔を真っ赤に染め、瞳を潤ませながら令子に聞く。

 

「ひゃ、ひゃひゃほ…あんひゃいっひゃい……」

 

令子もまた、真っ赤な顔で鼻を押さえながらそう応える。

 

(令子お姉ちゃんの手の隙間から零れてくる赤い何かは気のせいだと思いたい)

 

忠緒が赤い顔で俯いていると。

 

「タダたん、早くノイズをやっつけないと」

「……そうだよね…みぃーーんなあのノイズが悪いんだよね…フフフフフ」

 

体から黒い何かを噴き出す忠緒を見てラルは少し後ずさる。

 

「こ、これは…これが噂の病化」

 

その後、ノイズは無事退治されたがそのやられっぷりはラルが涙を流しながら同情するほどの物だったといふ。

 

 

―◇◆◇―

 

「なるほど、そう言う訳だったのね」

 

放課後、学校帰りの公園で知られた以上隠しきれないと忠緒とラルは令子に全てを説明した。

 

「うん、黙っててごめんね、令子お姉ちゃん」

「仕方ないわよ、事情が事情だし。それよりそうね……よし、決めたわ!」

「何を?」

「私があなたのサポートをしてあげる」

「そんな、ダメだよ。令子お姉ちゃんを危ない目に合わせたくないよ」

「それは私も同じよ。忠緒がこんな危ない目に合ってるって解かった以上は知らんぷりなんて出来ないわよ」

「ラル~~」

「令子ちゃんが一度決めた事を変えないって事は知ってるだろ、諦めるしかないよ」

「そう言う事。大丈夫よ、お姉ちゃんが守ってあげるから♪」

 

こうして、魔法少女タダオキュートの闘いは新たなるパートナー、美神令子を加え新たなる局面を迎える事になった。

 

「ところでさラル、忠緒の魔法少女としての写真とか無い?」

「任せときな(あね)さん!姐さんには特別に俺っちのお宝映像集を分けてやるぜ!」

「あら、話せるわね」

 

二人が怪しい笑いをしていると忠緒が食ってかかる。

 

「令子お姉ちゃん何してるのさ!? ラルも何か憑いちゃいけない物(アルベール・カモミール)が憑いてるよ!」

 

「ほら、これなんか」

「ぶはっ!こ、これだけでご飯は三杯は食べられるわ」

「お姉ちゃんのバカーーーー!」

 

これはまた、遠い遠い何処か別の世界の物語。

 

 

無理やり終わる。

 




(`・ω・)……、何故にオイラはこんな話を思いついちゃったんだろう?
それは永遠の謎である。
ちなみに横島の名前が忠夫じゃなくて忠緒なのは男の娘なのでそれっぽくした為でしゅ。

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