なんか、遠山の金さんっぽい人が出てきたっぽい。詳しくは第一話を見るよろし。
【南町奉行所】
役宅の一室では一人の刀鍛冶が南町奉行に刀を納めていた。
「太刀よりも短く脇差しよりも長い、防御に特化した刀、小太刀に御座います」
漆塗りのそれは美しい赤黒い鞘に舞散る花が描かれている。花は椿。首から落ちる為、武士としてはあまり縁起のいい花ではないが、この奉行は何よりも椿の花が好きだった。
「素晴らしいわ。私の注文通りね」
南町奉行、アリア・ツバキ。神速の居合とまで言われた剣速を持つ名奉行。
「
音も無く刀を抜き、さっと一振り。
ヒュン!
刹那、空になった湯飲みが中心から真っ二つに割れた。その切り口の滑らかな事、この上なし。刀身には美しい椿の花が彫られており、椿づくしの刀をアリアは愛でるように見つめる。
「して、この小太刀の名前は?」
「まだつけておりません」
「こんな素晴らしい業物なのに無名なの!?」
「いえ、ツバキ様はそういった『名付け』がお好きだと耳にしたもので…」
「…っく!あっはっはっはっ!」
突然笑い出すアリア。
「気に入ったわ。これからも我が奉行所の刀を作りなさい」
「は、ははぁ!有り難く」
「…名前は、どうしようかしら?」
抜き身の刀を鞘にしまい考えるアリア。やがて閃いたのかそっとその口を開いた。
「…瞳の瞬きのように刹那に斬れるこの切れ味。…決めたわ。『瞬瞳的刹那』この刀はそう呼ぶことにするわ」
「しゅんどうてきせつな?ですか?」
「えぇそうよ。椿なんとかなんていかにもくさい名前など私が付けるとでも?」
「いえ…」
瞬瞳的刹那、これから幾重にも蔓延る悪党が恐れる事になる刀の名前になる事など、今の時点でアリアは知る由も無かった。
「素晴らしい物を有り難う。これからも精進なさい」
「はっ、畏まりました。ではこれにて失礼します」
「えぇ、お金は表に居る与力から受け取りなさい」
刀鍛冶はまた礼を言うと部屋を後にした。
表にはボーッと空を見上げる与力が居た。それを見付けるなり刀鍛冶が与力に近付き声をかける。
「与力様、ツバキ様から」
「あ~、お金ね。はいどうぞ」
包みを受け取り中を確認する刀鍛冶。
「こ、こんなに沢山!いいのですか!?こんなに貰ってしまっては」
「あ~いいんだよ。アリアさんがそう言ってたんだ。それに私の脇差しもあんたがこさえたんだろう?」
与力はそう言って鞘に入ったままの脇差しを刀鍛冶に見せる。
「いい物を正当な金額で買う、当たり前の話だよ。さ、帰って酒でも飲みな」
「分かりました。此度は誠に有り難う御座います」
与力は刀鍛冶が門から出て行くのを見ると、ため息をつきながら縁側へと腰掛けた。
「…あれ?金平糖が無いや」
色々な所を探るがお目当ての金平糖が出てこない。この与力こそ、日中は
「また買ってこないとなぁ」
突き抜けるように青い空を見上げながらそんな事を口にする。そこへ先程受け取ったばかりの刀を
「…ジュリエッタ、仕事を蔑ろにするのは感心しないわよ」
「アリアさん、いや金平糖が無くなりまして」
「……あなたは給金全てを金平糖にしているのかしら…」
「いえいえ、半分で我慢してますよ」
「は、半分も……どれだけ食べてるのよ…」
と、二人でほのぼのとしていると、息を切らせた同心が勢いよくやって来た。
「はぁはぁはぁ!長屋の通りで、殺しです!また侍がやられました!」
「なんですって!?すぐ行くわ!ジュリエッタ、あなたもよ」
「えぇ~、私は留守番してますよ」
「いいから来なさい!…はぁ、何でこんな性格になったのかしら…」
「あ、なら途中で金平糖」
「行・く・わ・よ!」
「は、はい…」
やる気のないジュリエッタを引きずるように連れていくアリア。奉行と与力というよりも、親と子だ…。だが身長が小さい二人は
「何か言ったかしら」
…い、いえ何にも言ってませんよ…。
「ツバキ様、誰とお話しに?」
「大人の事情というものよ、深くは追究しないでちょうだい」
「は、はぁ…」
「金平糖…」
……とにかく3人は殺しの現場へと向かったのだった。
どうも、柊憂です。
無事第二話目を投稿できました。使い方はまだイマイチな状態です…。次の第三話はいつになることやら…。所で、昔の事を調べるのは楽しいですね。時間を忘れそうです。