こちらはミリオンライブの二次創作短編となっております。
キャラ崩壊・・・とまでは行っていないと思いますが、多少荒っぽいノリになってしまったのでドンチャン騒ぎが苦手な方はご注意を。
呼称など、一応抜けが無いとは思いますが万が一あった場合ご容赦を。もしよろしければご指摘を頂けると幸いです。
納得いかないわ!!」
穏やかな休日の昼下がりを破ったのは、そんな静香の一言だった。
次の公演の準備で集まっていた劇場のアイドル数名はいきなりブチギレた静香に面倒臭そうな視線を向ける。
―――また、いつもの奴が始まった・・・。
いつものことなのだ、静香がキレるのは。
なにせ彼女ときたら事務所に来てからというもの、手始めにプロデューサーに噛み付き、あろうことか事務所の先輩達にすら噛み付き、いつの間にかすっかり劇場所属のアイドル達の中でも狂犬扱いされてしまう始末。
救いがあるとするならば765プロが上下関係に関して寛容な事務所であることと・・・
「まあまあ静香ちゃんそうキレないで・・・ほら飴ちゃん! 飴ちゃんあるよ?」
「未来ぃ、それじゃあ子供扱いしすぎだってばぁ。静香はほら、うどんでも食べてればすぐに満足しちゃうって」
「それもそっか! 流石翼!」
「それほどでもあるけど」
「ちょっと、聞き捨てならないわ・・・『うどんでも』ってうどんを下に見るとはどういう量見よ!?」
「え、そこ?」
「静香は沸点低いくせに沸騰する理由がよくわかんないなぁ」
・・・劇場に、未来と翼のような臆せず静香をからかえるアイドルがいたことだろう。
「それで、今日は何が気に入らなかったの?」
「それは・・・」
と、未来に問われた静香が口を開いた瞬間だった。
「よし、『静香は何が気に入らなかったのか当てよう選手権』!」
「どんどんぱふぱふ!!」
翼主導でいきなり何かが始まった!
「正解者は次に静香が大声を出したときに『黙って饂飩でも食ってろ! きしめんみたいな前髪しやがって!』って罵倒する権利をプレゼント!」
「ちょっと、やめ・・・っていうか未来は聞いたんなら最後まで聞きなさいよ! それとそのプレゼント一方的に私が損するだけじゃない! そういうこと始めるならせめて優勝賞品は自分で出しなさいよ・・・ぜぇぜぇ」
「すごいです静香さん。律義に雑なボケを全部拾いました!」
遠巻きに様子を見ていた星梨花がそういいながらトテトテ寄ってきた。先ほどまで星梨花と一緒にお茶をしていた朋花も、
「というか、大会の開催を認めてる辺り、とんだドMさんですねぇ~」
それとなく毒を吐く。
「あ? 朋花さん。ひょっとして喧嘩売ってます?」
ギロリといつにも増した三白眼を表面上ニコニコしている朋花に向ける。
「いえ、私も参加しますね~? ・・・静香ちゃん、当てられるのが嫌だからって嘘つくなんて日和った真似はよしてくださいね?」
「いいじゃない、上等よ! 当てられるもんなら当ててみなさい!」
熱く視線をぶつける二人。
「あれ? 二人ってこんなに仲悪かったっけ」
「静香がこの間、朋花さんの『宗教』を『怪しい新興宗教』って言ってマジ喧嘩になってぇ」
「げ・・・よく生きてたね、それ」
「通りかかった歩さんに被害が全部行ったんだもん」
「それで歩さん、一昨日くらいまでお腹に包帯巻いてたんですね! 『おっと傷口が開く』なんてセリフ、現実で言う人、久しぶりにみました!」
星梨花の報告に顔が引きつる未来。
「だって、普通あんな所からいきなり歩さんが出てくるなんて思わないじゃない!? ・・・ねぇ朋花さん?」
気まずそうに視線を逸らす静香に同意を求められた朋花は静かに目を伏せ一言。
「尊い犠牲でした」
「いや、死んでないから! 歩さん元気だから!」
「そうですよ! もう包帯とれたって言ってましたよ!」
「え、あんなに深く刺したのに?」
「あらあら・・・」
静香のぽつりと漏らした自供に固まる一同。
「・・・・・・刺し、た?」
「刃物は禁止にしよ? ルール作ってもらわないと駄目っぽいね」
「『刃物禁止』なんて書かれてるアイドルプロダクション、きっと業界初よ?!」
「黙れ元凶」
「・・・・・・はい」
「・・・さて、参加はこのメンバーだけでいいの?」
翼が辺りを見回し、会話に混ざってこなかったメンバーの確認をとる。すると、
「待って、私も出るわ」
今まで隅でスマホを弄っていた志保が意外にも参加を表明した。
「志保!? 貴女、どうしてこういう時に限ってやる気を出しちゃうのよ!?」
「合法的に、かつ確実に、貴女を黙らせる権利が貰えると聞いたから」
「出たよ、なんの悪気も無くセメント発言」
「?」
「いや、いいわ。貴女ってそういう人だもの」
「なんとなく今のはイラッとしたわ、覚悟しておくことね」
スッと目を細める志保に笑顔が引きつる一同。
「見事に好戦的なメンバーが揃った・・・いや、好戦的だから揃ったのかなぁ?」
「どっちでもいいですけど、これ・・・大丈夫ですか?」
「危なくなったら逃げましょうね~」
「・・・あれ、朋花さんはこっち側?」
「なにか問題でも?」
「いえ、なんでもいいです!」
「星梨花ってたまにダイナミックに考えるのやめるよね」
「でも翼ちゃん、どうやって公平性を保つつもりなんですか」
「そうね、静香が嘘をついているかどうか見抜けるのなんて・・・いや、貴女の場合誰でもわかるでしょうけど一応、ガキみたいにキャンキャン吠えられても仕方がないし」
容赦なく毒を吐く志保に、若干顔が引きつってきた静香は怒りを抑え、震えた声で、
「貴女達が普段私をどう見てるのかよくわかったわ」
「っていうか、これ割と一般論じゃないかしら」
「そうなの、未来!?」
「え、うーん・・・どーだろーねぇ翼」
「・・・未来ぃ、嘘つくならもうちょっとちゃんと付こうよ。静香もだけどさ?」
「ぐぬぬ」
そこで翼が柏手を一つパチンとすると、
「瑞希ちゃん、例のものちょうだい?」
「瑞希ちゃん? 今日はまだ来ていないんじゃ」
「こんなこともあろうかと」
当然のようにテーブルの下から瑞希が現れた!
「あらあら、瑞希さんは本当にどこからでも現れますねぇ」
「・・・えへへ、褒められたぞ瑞希」
「たぶん褒められてるんじゃないと思うなぁ・・・」
「いつから待っていたんですか?」
「みなさんが、来る前から・・・ずっと」
「怖いよ!? ていうかこれまたどうして!?」
机の下から現れた瑞希が差し出したのは、フリップとマッ○ーペン。
「最上さんのアルパカ、商品化したいそうなのでチャンスをうかがっていました」
「・・・瑞希さんは誰の回し者ですか」
「エージェントは依頼主の名前を口にしないものだと、茜さんが言っていました」
「そう、茜さんなのね」
「・・・はっ、謀りましたね最上さん」
「勝手にゲロっておいてそれはどうなのよ・・・」
「茜さんを責めないでください。・・・店舗経営、観光シーズンから外れるこの時期は厳しいって最近日に日にやつれていて」
「いいのよ、あの人構ってほしいだけだから」
「ひゅー、さすがクレッシエンドブルーのリーダー。うちのポンコツとはわけが違うね」
「む、翼? それどういう意味?」
「・・・春日さん、今月ユニット練習に遅刻した回数、言ってみな」
「えっと瑞希ちゃん、実は結構ご立腹?」
「未来、その話今初めて聞いたのだけど? ・・・これはリーダー会議で取り上げないとね」
「・・・あっれ、おかしいなぁ私どうしてこんなに敵が多いんだろ?」
「生き方が雑」
かしげる未来を笑顔で朋花がえぐる。
「う・・・」
「落ち着きがない」
「ほっしーに宿題見てもらって、その上テストで赤点取る」
「・・・・・・ごめんなさい」
「反省しても大体、次の日には忘れる」
「・・・・・・ごふっ」
頭からテーブルに突っ伏す未来。
「あ、心が折れた」
「つんつん、つんつん・・・死亡確認。ご愁傷様です」
「ふん、最近たるんでるからいい気味よ・・・で、瑞希さん。このフリップをどう使えと?」
「・・・アルパカを」
「それはいいので」
「天丼は基本だと、天海さんに習いました」
「あの人は、後輩にヘンなことばっかり仕込んで・・・!」
「目指せ、トップバラドル」
「瑞希さんはそれでいいんですか!?」
「・・・・・・・・・このホワイトボードに最上さんが何にたいして怒っていたのか最初に書いて、翼さんがそれを見て正解不正解をジャッチすればいいと思います」
「あ、誤魔化した」
「そういえばさ未来?」
「なあに・・・私いま心が壊れそうだよ」
「大丈夫大丈夫、未来にはマリオネットなんて悲壮感は皆無だもん」
「酷いよ!」
「じゃなくて! 最近乙女ストームの仕事、バラエティの割合多くない?」
「・・・そういえば、そうかも。リコッタの次位・・・かな?」
「これはこれは、陰謀の匂いがしますねぇ・・・瑞希ちゃん?」
ちらりと視線だけを向ける翼に背を向ける瑞希。
「感のいいガキは嫌いだよ」
「貴女たちって基本的にいつも喰い合いしてるわね」
「殴り合い前提のクレブルには言われたくないかなぁ」
「あれは・・・星梨花以外、強調する気がないだけよ」
「「「なに断言してんだ!」」」
「私に失礼よ、志保。頑張ってまとめているでしょう?」
「・・・ハッ」
鼻で笑った志保に無言の静香が間髪いれずに拳を振り上げる。
「駄目です静香さん! ここは私たちのラウンジじゃないんですから、拳で語り合うのは、駄目ですっ!!」
そして取り押さえる星梨花。
「・・・・・・グーパンが反射で出てきましたねぇ」
「これがクレブルの、日常」
「この間だって着替えてる時にデザインナイフが静香の私服から落ちて、ひと悶着あったのよ」
「志保! 貴女何被害者ぶってんのよ! この間箒の柄で鳩尾本気でド付いてきたくせに!!」
「避けられない貴女が悪いのよ。私は・・・そう、箒を持って歩いていただけ」
「言質、取ったわよ」
これからひと騒動ありそうな二人を尻目に翼が星梨花に言いよる。
「・・・ほっしー、もしよかったら乙女ストームに来る? 一人くらいだったら、ねぇ未来」
「辛かったら辛いって言っていいんだよ、星梨花? 相談には乗るから」
「駄目、うちから唯一の良心を取らないで!!」
「そうよ、星梨花がいなかったら大変なことになるわよ!! いえ、大変なことを起こしてやる!!」
取り乱す静香と志保。
「うわー、必死すぎて引くわー。てか志保ってそんなキャラだっけ?」
「あらあら、これでは私の子豚ちゃん達と変わりありませんねぇ・・・」
「いいんです未来さん。私がいないと、その日のうちに刃物が出てきちゃいますから」
「なんて屈託のない笑みで物騒なことを・・・」
「やはり、刃物禁止は明文化しないといけませんね。確実に」
「これが内部告発の現場か・・・・・・劇場の闇は深いな」
「きっとこれもほんの一部なんですけどねぇ」
「「「「「「・・・・・・」」」」」」」
黙る一同。
「よ、よし静香ちゃん! 何に怒ってのかフリップに書いてよ!」
「え、ええわかったわ・・・・・・ってあれ?」
「どうしたの静香」
「・・・・・・まさか、貴女・・・散々未来のことを馬鹿にしておいて、忘れたとか言わないでしょうね」
「あらあら」
「ち、違うの!!」
「若年性の痴呆症ですか?」
心底心配した表情で首をかしげる星梨花。
「これで悪気がないって言うからほっしーは卑怯だよね」
「私たちが言ったらどこまでも追ってくるくせに・・・」
「これは、解散ですかね」
「チッ、時間を無駄にしたわ」
「あ,そうだ未来、瑞希ちゃん、レッスンの後みんなでご飯行かない?」
「じゃあまた杏奈の家で鍋パーティしようよ!」
「えーもう熱くない?」
「杏奈の家、いつも寒いからちょうどいいんじゃない?」
興味を失いスーッとその場から解散していく一同。
「静香さん」
「星梨花、貴女は私を置いていかないのね」
「さっきの問題、答えてもいいですか?」
「・・・ええ、でも私なんで怒ってたのか忘れちゃったんだけど」
「えーっと、多分こういう扱いに怒ってたんじゃないですか?」
「そうよ!! なんでこう私はいつも巻き込まれるだけ巻き込まれた挙げ句、こんな感じの扱いされなきゃいけないのよ!!」
「納得いかないわ!!」