今日も俺は素晴らしい提督だ。
窓の空を見ながら、俺は自画自賛してしまう。
提督業を始め、一ヶ月しか経っていないのにこのエリートっぷりはヤバイ。それほどに俺はパーフェクトスーパー天才提督、もしくはエリートハイパー司令官と艦娘達に噂されてしまっている程の有能な提督だ。
おまけに艦娘達も俺に好意を向けてやまない。まさしくモテる男。
そこらの凡な提督とはレベルが違う、最強の提督といえる。
「司令官、失礼します!」
そんな余韻にひたっていると、後ろ髪をちょこんと結んだ艦娘、駆逐艦の吹雪が入ってきた。今日も真面目な奴である。
「どうした吹雪、また俺に求婚する艦娘でも来たか?」
「そんなのいたこと無いと思いますけど……それよりも、今日の演習なんですが、その……」
「演習? ああ、俺の選んだよりすぐりの艦娘が相手を殲滅したか?」
そうだとすれば演習相手の提督には悪いことをした、これが普通の提督と俺と言う最強の提督の差。悲観することは皆無だ。
「いえ……むしろダメージを与えられず敗北したみたいです」
「な、なにぃっ!」
馬鹿な、俺の選んだ最強の編成でそのザマだと!? 相手の提督が化け物か……!
「くっ、相手の編成データも得て戦ったというのに……! 勿論夜戦も突入したんだろうな!?」
俺の艦隊には夜戦が得意な奴を多く入れた、雷撃能力の高さが夜戦では生きる。
「むしろその夜戦が追い討ちをかけたみたいです……」
ば、馬鹿な……夜戦まで突入して敗北!? 一体どんな化け物が相手にはいたんだ……!
あれか、噂の大和型って奴か! 大型建造とか言う、あの資源を大量に使うアレで出来る連中か!
ちっ、恐らく俺がデータを取っていたことがバレて急に編成を変えて来たんだろう。したたかな提督だぜ……。
「あ、あのー、多分提督が考えてる理由じゃなくて本当の理由は――」
吹雪が言いかけていた途中――ドアを蹴って誰かが入ってきた。
「おい、誰だ! ……なんだ、摩耶か」
ノースリーブのセーラー服をつけた艦娘、重巡洋艦の摩耶。コイツはおてんばで俺も扱いに困っているほどのやんちゃ娘だ。俺のようなエリート提督で無ければコイツを手なずけることは――って、何故胸倉を掴むぅ!
「な、なんだなんだなんだ! 勝負するか! 俺は強いぜ!」
「おう、やってやってもいいぜぇ提督……!」
ヤバイ、顔が羅刹ってる。能面をつけてる訳でもないのに。
「……ま、まあ冗談だ冗談。で、なぜお前は怒っているんだ」
「あったりまえだろこのクソ提督! 潜水艦3隻相手になんでアタシら重巡洋艦だけに行かせたよおいっ! 相手の提督がポカンとしてたぞおらぁぁぁっ!」
「ぎゃああああっ! 待て、胸倉掴んで揺らすな! 吐く! 吐く!」
俺がそう言うと、摩耶は手を離す。こ、コイツ、やっぱ無茶苦茶だ……。
「わかった、理由を教えよう」
「おーしっ、納得行く理由を話してもらおうじゃないか」
摩耶の睨みつける視線から目を逸らしたい。だが俺はウルトラスーパー提督、スーパー北上よりも強い男だ。
「そうだな……まず、一つ。潜水艦ってなんだ? アレ、俺に対するただのサービス衣装だったんじゃないのか?」
ブチッ。
……まずい、なんか堪忍袋的な緒が切れた音がしっかりと聞こえた。
「ほおおぉぉ……そうかよ、いいぜ、この摩耶様が教えてやるよ。――撃てなかった分を提督に発散してなぁっ!」
「な、なにぃっ! 待て、忘れてると思うが俺は生身のにんげ――!」
ドォーーーーーーンッ。
○ガツ×ニチ。摩耶の火力が今日も今日とて俺に炸裂した。恐るべし。