「今回、何故私がここを担当する事になったのかといいますと、まぁ簡単に言えば、今回のこの話に出ているからです。一応主役として。まぁ、主役はもう一人いますが。」
「今回の話は、私と、そのもう一人の主役のデュエルと言った感じです。まぁ、実は私のデッキ、作者さんは回した事がないらしく、もしかしたら少々プレミなどをしているかもしれない、とのことです。ですので、その辺りを配慮したうえで、温かい目で見ていただけると、幸いです。」
「それでは皆さん、番外篇ではありますが、どうぞゆっくりしていってくださいね。」
幻想郷の遥か上空に存在する『天界』という所には、『有頂天』と呼ばれる場所がある。
今宵、その有頂天にて、世紀の一戦が幕を開けようとしていた――
◇≡
ここは、幻想郷内の『天界』にある、『有頂天』。
そこで今、二人の少女が向かい合い、互いに静かな闘志を燃やしていた。
一人は足元まで届きそうなほど長い薄紫の髪の上からウサギの耳を頭に生やしており、服はいわゆる女子高生の制服のようなもの(というかそれ)を着て、左手に三日月のマークが描かれた薄紫色のデュエルディスクを付けている。そして目は引きこまれるほどきれいな赤眼で、彼女の存在をより一層引き立てている。
そしてもう一人は、こちらも腰まで届くぐらい長い青髪に桃の実と葉が付いた黒色の丸帽子をかぶっている。服装は半袖でエプロンのような物が付いたロングスカートを着てブーツをはいており、服のエプロン部分には虹色の飾りが付いている。因みにこちらもすでに左腕にデュエルディスクを付けており、色はライトブルーのものを付けているようだ。
互いに向かい合い、いつまでも続くかに思われた沈黙を先に破ったのは、青髪の少女だった。
「逃げずにちゃんと来たようね。フッ、そこは褒めてあげるわ。」
「…別に、あなたに褒められても嬉しくないんだけど。」
「酷い言いようね。それがライバルに対する言い方?」
「ライバルって、そっちが勝手に決めてるだけじゃない。だいたい仕事中に勝手にデュエルを挑んできたりして、こっちも迷惑してるの。」
そう、彼女達がここで向かい合っている理由。まぁデュエルディスクを付けている時点でお察しだとは思うが、当然彼女達は、デュエルをするためにここにいるのだ。
このデュエルは元々ウサギ耳の少女、鈴仙・優曇華院・イナバが、青髪の少女、比那名居天子のあまりにしつこいデュエルの申し出に折れて、鈴仙の師匠である八意永林に無理を言って日を開けてもらい、その日ならいけると伝え、約束したものなのである。
正直に言ってしまえば、鈴仙としてはこんなデュエル、受ける気もないのだが、放置していてはいずれ彼女の住んでいる『永遠亭』にまで乗り込んできかねないと判断し、今の状況に至っているという事である。
まぁ彼女としても、その時は天子に彼女の相棒とも言えるモンスターの事をバカにされ、頭に血が上ってしまっていたというのもあったのだが。
ともかくそんな理由もあり、鈴仙としてはさっさとこのデュエルを終わらせて帰るつもりでいるのだ。長々と会話するつもりは端からない。故にデュエルディスクを構えて起動させ、こう告げた。
「さぁ、さっさと始めましょう。」
「…それもそうね。さぁ、今日こそ雌雄を決しましょう!!」
鈴仙の言葉を受けてか、天子もテンションを上げ、デュエルディスクを構えて起動させた。そして二人とも同時に、アクションデュエル開始の合図を告げた。
「「
鈴仙・優曇華院・イナバ
LP 8000
デッキ枚数 40枚
手札 5枚
場、Pゾーン、伏せ 全て無し
比那名居天子
LP 8000
デッキ枚数 35枚
手札 5枚
場、Pゾーン、伏せ 全て無し
◇≡
「先攻は私からね。私のターン!!」
ふぅ、ようやくこのわがまま天人とのデュエルを始める事ができた。こんな不毛なデュエルさっさと終わらせて、師匠の所に早く帰らないと。幸い、この手札ならあのコンボがいける。アイツの次のターンも含めて、3ターンで決着をつける!!
「まずはこれね。手札から
鈴仙・優曇華院・イナバ
手札 3→5枚
「いくわよ!! 私は手札から魔法カード、『
「へぇ、いきなりどえらいの使ってくるじゃないの。ちょっと余裕ないんじゃな~い?」
「煩いわね、黙ってて!! 私は、エクストラデッキの『メテオ・ブラック・ドラゴン』の融合素材に指定されている『
メテオ・ブラック・ドラゴン
☆8
炎属性,ドラゴン族/融合
ATK 3500
「いきなり攻撃力3500のモンスターを呼び出すとはね。さすがは我がライバルよ!」
「だから、ライバルじゃないって!! …もういいわ。突っ込む気も失せたし。続けるわ。まずは挨拶代わりよ!! 魔法カード、『黒炎弾』を発動!!」
「『黒炎弾』ですって? バカなの? アンタのフィールド上にレッドアイズなんて――」
「効果をちゃんと読みなさいよ! 『真紅眼融合』で呼び出したモンスターのカード名は、『真紅眼の黒竜』としても扱うのよ!!」
「えっ、ちょっ、ハァ?! じゃあまさか――」
「そのまさかよ!! 喰らいなさい、3500のダメージを!! 『黒炎弾』!!」
『メテオ・ブラック・ドラゴン』が口に黒色の火球を溜めこみ、それをあのわがまま天人に向かって発射した。火球はアイツの足元辺りに着弾し、爆風を伴ってアイツを吹き飛ばした。
比那名居天子
LP 8000-3500=4500
「うわあぁぁぁぁぁ!!」
吹き飛ばされた天人はそのまま頭から地面にぶつかる寸前に受け身を上手く取り、すぐに体勢を立て直した。ただ、『黒炎弾』をぶつけた時の爆風がきつかったからか、少々せき込んでいた。
「ゲホッ、ゲホッ!! くぅ、普段は座薬みたいな弾幕しか飛ばしてこないくせに、やってくれるじゃない。」
「座薬言うな!!」
もう、コイツ私の事を認めてるのか、それとも貶してるのか、どっちなの? ホント判断に困るヤツねぇ。まぁこれ以上、このターンできそうな事はないから、最後にこれだけやって終わっとこうかな。
「私はカードを1枚伏せ、手札の『
メテオ・ブラック・ドラゴン(真紅眼の黒竜)
ATK 3500+600=4100
「これでターンエンドよ!!」
鈴仙・優曇華院・イナバ
LP 8000
デッキ枚数 38枚
手札 1枚
場
メテオ・ブラック・ドラゴン
(カード名:真紅眼の黒竜、装備カード:黒鋼竜、ATK+600)
黒鋼竜(装備対象:メテオ・ブラック・ドラゴン)
Pゾーン 無し
伏せ 1枚
◇≡
くぅぅ、いきなりからやってくれるわね。でもまぁ、それぐらいやってくれなきゃ、ライバルと認めた意味がないもんね。さぁ、ここから巻き返させてもらおうかしら。
「私のターン、ドロー!!」
比那名居天子
手札 5→6枚
「・・・フフフ、まさか先攻1ターン目でここまでのダメージを負わされるとは思わなかったわ。流石だと言いたいけど――、甘いわよ鈴仙!!」
「っ?!」
「速攻魔法発動!!『エネミーコントローラー』!!」
「なっ?! もうそのカードを手札に。」
「何度か使ってるから分かってると思うけど、このカードは相手モンスター1体を対象に指定し、このコントローラのプラグに接続させるの。そしてコントローラーにコマンド入力を行う事で、アンタのモンスター1体を操る事ができる。アンタの場にいる『メテオ・ブラック・ドラゴン』に、コントローラーのプラグを接続するわ!!」
私の場に現れた『エネミーコントローラー』から延びたプラグ(って言うのを早苗から教えてもらった)が鈴仙の場にいる『メテオ・ブラック・ドラゴン』に接続され、さっきまで荒々しく身体を震わせていた巨体の龍はその動きを止めた。
「さぁ、コマンド入力の時間よ!! コマンドをコントローラーに入力!!『↓、←、A、C』!! このコマンドによって、アンタの『メテオ・ブラック・ドラゴン』を、攻撃表示から守備表示に変更するわ!!」
メテオ・ブラック・ドラゴン
ATK 4100→DEF 2000
「くっ、面倒な事を。というか毎回思うんだけど、そのコマンド入力意味あるの?」
「分かってないわねぇ。ノリよノリ。何となくほら、言ってみたいヤツとかってあるじゃないの?」
「…そういうものなの?」
「そういうもんなの。さぁ、続けるわよ。私は手札から魔法カード、『トレード・イン』を発動!! 手札の我が切り札、『
比那名居天子
手札 4→3→5枚
「そしてここで速攻魔法、『銀龍の轟咆』を発動!! 自分の墓地の通常ドラゴン族モンスター1体を、特殊召喚する事ができるわ!! さぁ、我が最強の僕の登場よ!! 闘いの儀の始まりより存在せし伝説の竜よ!! 今こそ我が願いに応え、ここに降臨せよ!! これこそが、我が戦いの原点にして、僕の頂点に君臨する存在!! 出でよ!!『青眼の白龍』!!」
青眼の白龍
☆8
光属性,ドラゴン族
ATK 3000
『グオォォァァァァ!!!』
私の前にまばゆい光が現れ、その中から宝石のような美しい青い目を持った巨大な竜が姿を現し、目の前の『メテオ・ブラック・ドラゴン』を威嚇するように咆哮した。その姿は正しく、伝説の名を体で表しており、まさに私のパートナーと呼ぶにふさわしいと、いつもながら思った。そして光が消え、その姿が完全に現れる頃には、私は高笑いを上げていた。
「フフフフフ、アーッハッハッハッハッハッハッハ!!! この私の場にブルーアイズが現れたからには、もう向かうところ敵なしよ!!」
「ハァ、相変わらず頭に響く笑い声ね。後、それフラグって言うんじゃないの? あんまり調子に乗ってデカい口叩いてると、後で恥かくことになるわよ。」
「フハハハハ、確かにそうかもね!! だけど残念! 負けフラグや死亡フラグなんてものは、この私とブルーアイズの前では『粉砕!! 玉砕!! 大喝采!!』される運命なのよ!! 何本立とうが、そんなものへし折ってやるわ!!」
「…大した自信ね。どこからそんなものが出て来るのやら。」
「さぁ、どこからでしょうね。さて、ブルーアイズも出た事だし、次はコイツよ!! 魔法カード、『調和の宝札』を発動!! 手札のレベル1チューナーモンスター、『
比那名居天子
手札 1→3枚
「『伝説の白石』…、てことは――」
「そうよ!! 『伝説の白石』は墓地へ送られた時、デッキから『青眼の白龍』を手札に加える事ができるの!! この効果で私は、2枚目の『青眼の白龍』を手札に加えるわ!!」
比那名居天子
手札 3→4枚
おっ、面白いカードが来てるわね。この前入れたばかりのヤツだけど、ちょっと1回試してみますか!!
「さぁ、次はこれよ!! 手札の『暴風竜の防人』の効果発動!! 自分のメインフェイズ時に、手札か自分フィールド上のこのモンスターを、装備カード扱いとして自分の場の通常ドラゴン族に装備する事ができる!! 私はこの効果で、さっき特殊召喚した『青眼の白龍』にこのカードを装備するわ!!」
銀髪の青年がブルーアイズの背に乗っかった。本当なら、私が乗りたいところだけど、アイツの面白い効果を使うためには、今は譲ってやるしかないわね。
「さぁ、バトルよ!! 『暴風竜の防人』を装備した『青眼の白龍』で、『メテオ・ブラック・ドラゴン』に攻撃!! さらにこの瞬間、ブルーアイズに装備されている『暴風竜の防人』の効果が発動!! 防人を装備したモンスターが守備モンスターを攻撃した場合、攻撃力が守備力を上回った分だけ貫通ダメージを与えるわ!!」
「なっ?! ステータスが変わらないからおかしいと思ったら、貫通効果を付与するヤツだったなんて。面倒ね。」
鈴仙がそう言いながら、悔しそうに少し顔を歪めていた。まぁこんな事されたら、防御に徹しようとしても貫通ダメージを喰らうんだから、たまったもんじゃないでしょうね。さぁ、雑魚潰しタイムの始まりよ!!
「さぁブルーアイズ!! あの紫の巨竜を吹き飛ばしてやりなさい!!『スパイラル・バーストストリーム』!!」
『暴風竜の防人』の乗ったブルーアイズが飛翔し、蹲って防御している『メテオ・ブラック・ドラゴン』に向かって、普段とは違う、高速回転した光の奔流を口から放った。それはメテオ・ブラックの巨体をいとも簡単に貫き、爆発四散させた、ように私には見えた。
――ドカーンッ――
「フハハハハハ、アッハハハハハハハ!!! この防人ブルーアイズの前には、壁モンスターもただの塵に等しいのよ!! 今回こそは私の――」
「――何勘違いしてんのよ。」
「ひょっ?」
「まだアンタのブルーアイズの攻撃は終了してないわよ!!」
そう言いながら、爆発で起こった煙の中から出てきたのは、爆風を喰らって少し肌などに煤汚れが付いた鈴仙と、無傷の『メテオ・ブラック・ドラゴン』、そして――
真紅眼の黒炎竜
☆7
闇属性,ドラゴン族/デュアル
ATK 2400
「えっ、何で?! 何でさっきまで墓地にいたそいつが、今アンタの場にいるのよ?!」
「悪いわね、私はアンタのブルーアイズが攻撃してきたタイミングで、永続罠、『
「なるほどね。味な真似をしてくれるじゃない。だけど、逃がすつもりはないわ。攻撃続行よ、ブルーアイズ!! 『スパイラル・バーストストリーム』!!」
私の指示を受け、青き眼の私のパートナーはもう一度光の奔流を放った。そしてそれを受けた『メテオ・ブラック・ドラゴン』は、今度こそ爆発四散した。
青眼の白龍
ATK 3000
メテオ・ブラック・ドラゴン
DEF 2000
鈴仙・優曇華院・イナバ
LP 8000-(3000-2000)=7000
「くっ! だけどここで、メテオ・ブラックに装備していた『黒鋼竜』の効果が発動するわ!! デッキから『レッドアイズ』と名のついたカード1枚を手札に加えられる。再び『真紅眼融合』を手札に!!」
鈴仙・優曇華院・イナバ
手札 1→2枚
「またそれ?! めんどくさいわね。ならメインフェイズ2に入って、私は『青き眼の乙女』を召喚!!」
青き眼の乙女
☆1
光属性,魔法使い族/チューナー/効果
ATK 0
「そしてカードを2枚伏せ、ターンエンドよ!!」
比那名居天子
LP 4500
デッキ枚数 31枚
手札 1枚
場
青眼の白龍(装備:暴風竜の防人)
青き眼の乙女
暴風竜の防人(装備先:青眼の白龍)
Pゾーン 無し
伏せ 2枚
◇≡
ふぅ。取りあえず場にモンスターを残すことはできた。問題はあのブルーアイズ、それとあの『青き眼の乙女』。さっきはフラグだの何だのって言っちゃったけど、実際問題私のデッキでアイツを突破しようとした場合、融合体以外でだと正直キツイ。おそらく、トップデック次第ではかなり厳しい勝負を強いられるかもしれない。・・・ここは運にかけるしかないわね。ええい、ままよ!!
「いくわよ、私のターン!!」
鈴仙・優曇華院・イナバ
手札 2→3枚
――引いたカードは、よし! これならまだ何とか。だけど、まずは先にこっちね。
「魔法カード、『真紅眼融合』を再び発動!! 効果の説明はもう不要ね。私は『悪魔竜ブラック・デーモンズ・ドラゴン』の素材に指定されてる『真紅眼の黒竜』と『デーモンの召喚』を墓地へ送り、融合!! 黒竜と悪魔、今こそその魂を重なり合わせ、新たな力を解放せよ!! 融合召喚!! 現れよ!! レベル9、『悪魔竜ブラック・デーモンズ・ドラゴン』!!」
悪魔竜ブラック・デーモンズ・ドラゴン
☆9
闇属性,ドラゴン族/融合/効果
ATK 3200
「『ブラック・デーモンズ・ドラゴン』のリメイク体ね。うーん、やっぱり元と似ても似つかない気がするの、私だけかしら。」
「そんな事、どうでもいいでしょ? どうせあなた、このターンで終わるんだから。『悪魔竜ブラック・デーモンズ・ドラゴン』が戦闘を行う場合、相手はダメステ終了時まで魔法・罠・効果モンスターの効果を使えない。つまり、アンタの場の乙女をコイツで攻撃すれば、3200ポイントの戦闘ダメージに加え、バトルフェイズ終了時のバーン効果で2400のダメージを受けて終了ってことよ。」
そう、このターンで確実に終わらせられる。幾ら伏せが2枚あっても、この『悪魔竜ブラック・デーモンズ・ドラゴン』の前じゃ――
「あら、誰がそいつに攻撃を許す、なんて言ったかしら。」
「えっ?」
「フッ、見事にフラグを立ててくれたわね、鈴仙! そんなあなたにプレゼントを上げるわ!! 永続罠、『デモンズ・チェーン』を『悪魔竜ブラック・デーモンズ・ドラゴン』を対象に発動!!」
「なっ、『デモンズ・チェーン』ですって?! アンタ、そんなカードいつの間に!」
天人の発動させた『デモンズ・チェーン』が悪魔竜に絡みつき、私の場に先ほど現れた悪魔の竜は力を失ったかのように項垂れてしまった。
「霊夢や他のヤツらはやたらと効果モンスターのエースが多いからね。それ対策で入れてたのがここで役に立ってくれたわ。残念だったわね!!」
「くっ!!」
くそ、やってくれたわね。これはまずい展開よ。悪魔竜が止められたとなると、もうブラックフレアでブルーアイズを攻撃する以外ないか。まぁ幸い引いたカードもあるし、これなら何とかなるけど。
「魔法カード、『フォース』を発動!! 自分フィールド上のモンスター1体と、相手フィールド上のモンスター1体を対象に指定し、指定した相手モンスターの攻撃力を半分にして、その数値分、指定した自分のモンスターの攻撃力をアップさせる!! 対象に指定するのは当然『真紅眼の黒炎竜』と、アンタの場の『青眼の白龍』よ!!」
「させないわ!! 罠発動!!『シフトチェンジ』!! 自分のモンスターが相手の魔法・罠カードの効果対象、もしくは相手モンスターの攻撃対象になった時に発動できる!! その対象を、自分フィールド上の他のモンスターに移し替える事が出来るわ!! その効果で、私は『フォース』の効果対象を『青き眼の乙女』に変更!!」
「っ、しまった!!」
『シフトチェンジ』ですって?! なんてマイナーなカードを。しかも、アレは確か対象を――
「そして!! このカードはちゃんと明記されてないから分かりにくいけど、対象を移し替える効果は、同時に効果対象を移し替えられたモンスターを『対象にとる』効果でもあるのよ。よってこれにより、乙女の効果が発動!! 効果の対象になった時、自分のデッキ・手札・墓地から、我が僕である『青眼の白龍』を特殊召喚出来る!! その効果により、デッキより出でよ!! 2体目の我が僕よ!!」
青眼の白龍
☆8
光属性,ドラゴン族
ATK 3000
アイツの場に、2体目のブルーアイズが姿を現した。くっ、しまった、『フォース』を不発にされた揚句、2体目を呼びださせちゃうなんて。
「そしてチェーン処理で『シフトチェンジ』の効果が処理され、アンタの『フォース』の対象は『青き眼の乙女』になる。でもあいにく乙女の攻撃力は0。よってアンタのブラックフレアも攻撃力は上がらないわよ。」
「…くっ。でも、これであなたは乙女の効果をこのターンは使えない。攻撃対象にしても問題はないわ!! バトル!! いきなさい、ブラックフレア!! 『青き眼の乙女』を攻撃!!『ダーク・メガ・サラマンダー』」
ブラックフレアが翼を開いて、高熱の炎の翼を発生させた。そして、翼から発生した炎がブラックフレアの全身を包みこみ、その炎を纏ったまま『青き眼の乙女』に突撃した。青い瞳の美少女は、そのまま炎にのまれて焼滅した。
真紅眼の黒炎竜
ATK 2400
青き眼の乙女
ATK 0
比那名居天子
LP 4500-(2400-0)=2100
「くっ!! そろそろ、ヤバいかしら。」
「今更気付いたのね。先攻1ターン目であれだけ食らってるんだから気付いてるものだと思ってたんだけど。」
「そうね。だけど、やっぱりこれぐらいギリギリの方が、私的には好きかな。」
「まさか、さっきの一撃わざと食らったの?」
「さぁ、どうかしらね?」
…あやしい。そう言えばさっきまで気にも留めなかったけど、あの『シフトチェンジ』はあそこじゃなくて、本来攻撃タイミングで発動して、乙女の攻撃対象担になった時の効果を使うべきだったはず。なのになぜ、あそこでうったのかしら。もし、わざと食らうためだとしたら。でも何の目的で? 『巨大化』ならもうとっくに条件を満たしているし、エアー・ネオスみたいなカードはアイツのデッキにはない。そもそも、ブルーアイズと相性のいカードで、そんなカードは無かったはず。だとしたら、何のために?
考えても仕方ないわ。ここはターンを進めて、様子を見るしかない。
「私はこのまま、ターンエンドよ。」
鈴仙・優曇華院・イナバ
LP 7000
デッキ枚数 35枚
手札 2枚
場
真紅眼の黒炎竜(通常モンスター扱い)
悪魔竜ブラック・デーモンズ・ドラゴン
真紅眼の鎧旋
Pゾーン 無し
伏せ 無し
◇≡
「フフフ、ならいくわよ! 私のターン!!」
比那名居天子
手札 1→2枚
よし、これでデッキから3体とも出てきたわね。手札にもちょうどこれがあるし、上手くいけば『アレ』まで繋げられるわね。さぁ、運命の女神さまはどっちに微笑むかしらね、鈴仙!!
「まずはこれよ。手札から『トレード・イン』を発動。手札のブルーアイズをコストに2枚ドロー。」
比那名居天子
手札 0→2枚
「フッ、次はこれよ!『アドバンスドロー』を2枚発動!! 自分の場のレベル7以上のモンスター1体をリリースして、デッキから2枚ドローするわ!! この効果で私は、自分フィールド上の『青眼の白龍』2体をリリースして、合計4枚ドローするわ!!」
比那名居天子
手札 0→4枚
「アンタ、『我が僕』とか言う割には、そいつをコストとして使ってるわよね、特にドローソースの。そんなのでいいの?」
鈴仙が少し呆れた目で私を見ていた。まぁ確かに、私はブルーアイズの扱いがたまに少々雑だったりするけど、でもそれはこの子達を、『真の姿』へと変えるための布石。さぁ鈴仙、その発言がいかに間違っているのか、その眼に焼きつけてあげるわ!!
「いいのよ。これはこの子達を、『真の姿』へと変えるための布石なんだから。」
「『真の姿』? ハッ?! まさか、今まであんなにドローをしたのは――」
「フフッ、ようやく気付いたみたいね。でももう遅いわ!! 見た感じ、アンタはこっちの動きを阻害出来ないみたいだしね!! さぁ、見せてあげるわ。我が僕達の真の姿を!! 魔法発動!!『
「やっぱり…。という事は、来る!?」
「いくわよ鈴仙!! これが我が僕達の、真の姿!! 私は『龍の鏡』の効果で、墓地のブルーアイズ3体を除外し、融合召喚!! 光り輝く3つの青き眼、今こそ原初の渦で一つとなり、究極の力をもたらし給え!! 融合召喚!! 顕現せよ、『究極』の名を持ちし、闘いの原初より頂点に君臨する存在!! 『
青眼の究極竜
☆12
光属性,ドラゴン族/融合
ATK 4500
『『『グギャオォォァァァァ!!!』』』
ブルーアイズ3体が渦を巻いて一つになると、その光の中から、その3体が合体したかのような巨大な竜が、その姿を現し、それぞれの顔が同時に咆哮した。その姿を見て、鈴仙が少し険しい表情をしていた。
「…ついに出てきたわね、アルティメット。というか、いつもよりハイペースじゃない?」
「アンタがあんな事してこなかったら、こんなハイペースにならずに済んだんだけどね。でもまだよ。これはまだ第1段階。ホントの進化はこれからよ!!」
「えっ、まっ、ま・さ・か!!」
「そのまさかよ!! 私は、今召喚した『青眼の究極竜』を『リリース』し、特殊召喚!! 『究極』の名を持つ原初の頂きよ!! 今こそその地位を捨て去り、光り輝く真の姿へと、昇華せよ!!! これこそが、我が僕の真の姿、最後の進化態!! 唯一無二、強靭・無敵にして、最強の巨竜!!『
青眼の光龍
☆10
光属性,ドラゴン族/効果
ATK 3000
『ギャオォォォァァアアアン!!!!』
私の場にいた究極竜が、その姿をひび割らせ、その罅から強烈な光を迸らせて弾けた。そしてその、太陽にも似た眩しい光の中から、機械的な姿になった、青き瞳の巨龍が光を纏いながら、咆哮と共にその姿を現した。
「『青眼の光龍』…。こんな早くにコイツを出してくるなんて。」
「アンタが先攻1ターン目でメテオ・ブラックを出してくれたタイミングで、こうなればいいなとは思ってたんだけどね。」
「あら、今度はさっきみたいに高笑いしないのね?」
「…高笑いなんてする必要ないわ。この美しい姿を見れるだけで、もう満足よ。」
「そのまま、勝ちを譲っては、くれないわよね?」
「当たり前でしょ? ここまでやっておいて負けたら、それは応えてくれたデッキに対する侮辱だからね。手加減はしないわよ!!」
そう。ここまでこの子達が、ブルーアイズ達が応えてくれたんだから、主である私がそれに応えないわけにはいかない!! この勝負、この『青眼の光龍』と共に勝ってみせるわ!!
「『青眼の光龍』の攻撃力は、自分の墓地のドラゴン族1体につき300ポイントアップする。ただし、今のままだと墓地のドラゴン族が究極竜、白石、防人の3体だけだから、出し損になっちゃうわ。」
「…当然、その対策もしてるんでしょうね。」
「当然! 速攻魔法、『異次元からの埋葬』を発動!! 除外されている『青眼の白龍』3体を墓地へ戻すわ。これにより、『青眼の光龍』の攻撃力は――」
青眼の光龍
ATK 3000+300×6=4800
「攻撃力、4800。これは、かなりきついかしら?」
鈴仙が少しだけ、『青眼の光龍』の攻撃力に眉をひそめた。まぁあの子のデッキだと、この攻撃力を超えられるのはたぶん、同じような特殊召喚条件を持つ『
「バトルよ!!『青眼の光龍』で、『悪魔竜ブラック・デーモンズ・ドラゴン』に攻撃!! 『シャイニングバースト』!!」
『青眼の光龍』が猛烈な光を溢れんばかりに口に溜めこんで、それを放出した。鈴仙の場にいた悪魔竜は、その光の奔流に浄化されるように消滅した。
青眼の光龍
ATK 4800
悪魔竜ブラック・デーモンズ・ドラゴン
ATK 3200
鈴仙・優曇華院・イナバ
LP 7000-(4800-3200)=5400
「くぅぅぅ!!」
「『悪魔竜ブラック・デーモンズ・ドラゴン』、粉砕!! これでアンタの場には、デュアルのレッドアイズが1体のみ。エビルデーモンだったらちょっと怖かったけど、そいつだけならなんら怖くはないわ。私はカードを1枚伏せて、ターンエンドよ!!」
比那名居天子
LP 2100
デッキ枚数 23枚
手札 無し
場
青眼の光龍(ATK+1600)
Pゾーン 無し
伏せ 1枚
◇≡
くぅ、まさか1ターンでシャイニングにまで繋いでくるなんて。これが、アイツの本気って訳? とんでもないわね、あのわがまま天人。
でも、その我を通すだけの力は持ち合わせてるっていうのは分かった。なるほど、衣玖達じゃ止められないわけね。まぁ、衣玖はもしかしたらわざと放置してる可能性もあるけど。
「私のターン、ドロー!!」
鈴仙・優曇華院・イナバ
手札 1→2枚
っ、このカードは。違う、今欲しいのはこれじゃない。でもまだ、私の場には『真紅眼の鎧旋』がある。心が痛むけど、次ターン以降も何とか、レッドアイズ達を守備にして何とか耐える事は出来る。でも、それだけじゃダメな気がする。ならここは!
「私は、『真紅眼の鎧旋』の効果を発動!! 自分フィールド上に『レッドアイズ』モンスターがいれば、墓地から通常モンスター1体を特殊召喚出来る。私のフィールドには『真紅眼の黒炎竜』がいるわ。よって条件は満たしてるから、墓地の『真紅眼の黒竜』を蘇生させるわ。真紅に燃え盛る、紅き瞳よ。月の光に導かれ、古の時より今目覚めよ!!『真紅眼の黒竜』!!」
真紅眼の黒竜
☆7
闇属性,ドラゴン族
DEF 2000
「そして、私は今蘇生させたレベル7の『真紅眼の黒竜』と、『真紅眼の黒炎竜』でオーバーレイ!! 2体のモンスターで、オーバーレイ・ネットワークを構築!! 黒き身に宿りし業火の力、鋼の鎧を身に纏い、真紅の瞳を輝かせ舞い上がれ!! エクシーズ召喚!! 現れよ!! ランク7、『
真紅眼の鋼炎竜
★7
闇属性,ドラゴン族/エクシーズ/効果
DEF 2400
ORU 2つ
「ここでエクシーズ? 何のつもり?」
「さぁ、何のつもりかしらね。言っておくけど、ハッタリで出した訳じゃないわよ。」
「…まぁ、それはそうよね。で、まだ続ける?」
「いいえ。もうやる事もないから、私はこれでターンエンドよ。」
鈴仙・優曇華院・イナバ
LP 5400
デッキ枚数 34枚
手札 2枚
場
真紅眼の鋼炎竜
真紅眼の鎧旋
Pゾーン 無し
伏せ 無し
◇≡
「私のターン!!」
比那名居天子
手札 0→1枚
…鈴仙がさっき場に出した、あのエクシーズのレッドアイズ。何を目的で呼び出したものなのかちょっと分からないんだけど。でも、アイツ別に戦闘で死なない訳じゃなさそうなのよね。誘われてる気もするけど、やるしかないか。
「バトルよ!! 『青眼の光龍』!!『真紅眼の鋼炎竜』を攻撃よ!!『シャイニング・バースト』!!」
「フレアメタルの効果発動!! 1ターンに1度、ORUを一つ使うことで、墓地の『レッドアイズ』モンスター1体を特殊召喚出来る!! 蘇れ、2体目の『真紅眼の黒竜』!!」
真紅眼の黒竜
☆7
闇属性,ドラゴン族
DEF 2000
「そんな壁増やした所で何になるのよ。攻撃を続行しなさい、ブルーアイズ!!」
「おっと、そうはいかないわ。『真紅眼の鎧旋』の効果も発動よ!! さっきフレアメタルの素材として墓地へ送った『真紅眼の黒炎竜』を特殊召喚!!」
真紅眼の黒炎竜
☆7
闇属性,ドラゴン族/デュアル
DEF 2000
「だから、壁増やしたって私の攻撃対象は変わらないって言ってるでしょ?! 構わずフレアメタルをつぶしなさい、『青眼の光龍』!!『シャイニングバースト』!!」
私の指示を受け、さっきからブレスを放てなかった『青眼の光龍』はここぞとばかりに光の奔流を『真紅眼の鋼炎竜』に向けて放った。その光の奔流をまともに食らったフレアメタルは、そのまま爆散した。
「くっ…。」
「全く、何のために並べたのか知らないけど、まぁいいわ。取りあえず、私はこのカードを伏せてターンエンドよ。」
この最後に来て、まさか壁並べをし出すとは思わなかったけど、でも、あのフレアメタルを出したのは何の意味があったのかしら。『真紅眼の鎧旋』で呼び出すにも、まずアレを破壊しないといけないし。まさか、もう手札にダークネスを?
いや、だったら蘇生させるのは『真紅眼の黒竜』だけでいいはず。2体を並べた訳、ちょっと気になるわね。全ては相手のドロー次第、って感じね。…脳内説明は今しない方がいいわね。
比那名居天子
LP 2100
デッキ枚数 22枚
手札 無し
場
青眼の光龍(ATK+1600)
Pゾーン 無し
伏せ 2枚
◇≡
よし、取りあえずお膳立ては済んだかな。この2体を並べる事も出来たし、後はあのカードを引くだけ。
…本当はフレアメタルで相手が効果を使ってくれるのを待ってたんだけど、上手くいかないものね。まぁいいか。あのカードが引けたら、もう一度同じ事をすればいいだけなんだから。
「私のターン、…ドロー!!」
鈴仙・優曇華院・イナバ
手札 2→3枚
…っ、来た!! これならいける!!
「私は、2体のレッドアイズを攻撃表示に変更。そして、自分フィールド上の『真紅眼の黒炎竜』を再度召喚して、効果モンスターにするわ!!」
真紅眼の黒炎竜
DEF 2000→ATK 2400
真紅眼の黒竜
DEF 2000→ATK 2400
「再度召喚してきた。という事は――」
「そうよ! これによりブラックフレアは、自身が戦闘を行ったバトルフェイズ終了時に、2400のバーンダメージを与える効果を得るわ。」
「…ふぅ、何かと思えば、まさかそれをするためだけにそいつを出したんじゃないでしょうね? アンタの場のモンスターは2体とも、攻撃力はシャイニングの足元にも及んでいないじゃない。そんな状態でどうするって言うのよ?」
そう、確かにこのままじゃ、アイツの言う通り打点で負けてしまう。でもね――
「打点で負けててもいいのよ。重要なのは、『同じ攻撃力のモンスターが、私の場に2体いる』という事よ!」
「同じ攻撃力の、モンスターが?」
「えぇ!! いくわよ、比那名居天子!! 魔法カード、『クロス・アタック』を発動!!」
「『クロス・アタック』ですって?!」
「そう!! このカードは、自分フィールド上に同じ攻撃力のモンスターが2体攻撃表示で存在する場合、その2体を対象にして発動し、片方の攻撃を封じる事で、もう片方の攻撃を、プレイヤーへの直接攻撃にする事が出来る!!」
そう、これが私が待っていたカード。アイツの切り札であるブルーアイズの攻撃力を、越えようと思えば出来るけど、それ以外にも何か突破口がないかと思って見つけたのがこれ。私のデッキのレッドアイズ達は、基本的に全て攻撃力が2400。そして、『黒炎弾』等を使って攻撃不能になる事もままある。でもこの『クロス・アタック』を使えば、たとえどれだけ大型のモンスターを出されたとしても気にせず攻撃できる。おまけに、デュアルしたブラックフレアなら、攻撃するだけで実質2体で直接攻撃しただけのダメージを与えられる。この必勝コンボなら!!
でも、念には念を、ね。
「まだいくわよ。私はさらに、『真紅眼の鎧旋』の効果を発動!! 当然条件は満たしているから、墓地から『真紅眼の黒竜』を特殊召喚よ!!」
真紅眼の黒竜
☆7
闇属性,ドラゴン族
ATK 2400
「そして私は、レベル7の『真紅眼の黒竜』2体でオーバーレイ!! 2体のモンスターで、オーバーレイネットワークを構築!! エクシーズ召喚!! もう一度羽ばたいて!!『真紅眼の鋼炎竜』!!」
真紅眼の鋼炎竜
★7
闇属性,ドラゴン族/エクシーズ/効果
ATK 2800
ORU 2つ
「これで決めるわ!! いけ!!『真紅眼の黒炎竜』!! プレイヤーにダイレクトアタックよ!!『ダーク・メガ・サラマンダー』!!」
私の場のブラックフレアが、炎を纏って比那名居天子に向かって飛んでいき、そのまま突撃した。よし、これで私の――
「勝ち、だと思った?」
「えっ?」
「残念ね。フレアメタルを出さなかったら、もしかしたら勝ってたかもしれないのにね。」
「…どういう、意味よ?」
この時私は、勝てると確信していたため、少しばかり浮かれていた。そのため、アイツの伏せカードへの警戒が、少しだけ緩まってしまっていた(まぁ冷静であったとしても、どうしようも出来なかったのだが)。――それがいけなかった。
「こういう意味よ!! リバースカードオープン!!『立ちはだかる強敵』!!」
「ッ?! その、カードは――」
「フフフ。このカードは相手モンスターの攻撃宣言時に発動出来るカードで、自分フィールド上の表側表示モンスター1体を選択するの。そしてこのカードの発動ターン中相手が攻撃する場合、私が選択したモンスターを必ず攻撃対象にしなきゃいけないのよ! さらにさらに!! 発動ターン中相手フィールド上のモンスターは全て攻撃しなければいけない!!!」
「そ、そんな…。」
攻撃対象を指定されるだけじゃなくて、全モンスターでの攻撃を強要だなんて。って事は、私の場モンスター達は、このターンの間に全滅させられてしまう。トレーサーを使って復活させようにも、相手から攻撃を受けた訳じゃないからどうしようも出来ない。くっ、だけど――
「ならフレアメタルの効果発動!! ORUを持つこのモンスターが表側表示で場にいる限り、相手がカードの効果を発動する度に、相手に500ポイントのダメージを与える『エフェクト・フレア・リアクト』!!」
「えっ?」
驚いて目が点になっている天子に向かって、フレアメタルが全身から炎を噴き出した。その炎は決して弱くはなかったものの、熱風を伴って天子を襲った。
比那名居天子
LP 2100-500=1600
「うわあぁぁぁ!! くっ、そいつまだそんな効果持ってたのね。なるほど、前のターン出してたのは、そのバーン狙いだったのね。だけど、これはこれで好都合よ。」
「まだそんな事を。例え『立ちはだかる強敵』の効果で全滅させられたとしても、私にはまだライフが――」
「いいえ、あなたのライフは残さないわよ。さて、まだチェーンの処理は終わってないわ。『立ちはだかる強敵』の対象を選んでないしね。まぁ、選ぶって言っても1体しかいないけどね! 当然選ぶのは、『青眼の光龍』よ!!」
「…戦闘が巻き戻って、ブラックフレアの攻撃対象は『青眼の光龍』に変更されるわ。」
「そうね。じゃあ、このデュエルの終幕にふさわしい一枚を、発動するわ!! ライフを半分払い、『青眼の光龍』を対象に伏せていた罠カード、『魂の一撃』を発動!!」
比那名居天子
LP 1600÷2=800
「っ、『魂の、一撃』ですって?! でも、カードの効果を発動したら――」
「そうね。確かにカードの効果を発動したから、私はフレアメタルの効果で500ポイントのダメージを受けるわ。」
比那名居天子
LP 800-500=300
「あっつ!! そして!! 逆順処理で『魂の一撃』の効果が処理されるわ!! このカードはライフが4000以下の場合、自分の場の表側表示のモンスターと相手モンスターが戦闘を行う攻撃宣言時に、残ってるライフを半分支払って、自分の場のモンスターを1体対象に指定して発動できる!! 対象に指定されたモンスターは相手のターン終了時まで、自分のライフが4000より下回っている分だけ、そのモンスターの攻撃力をアップさせる!!」
「…という事は、ブルーアイズの、攻撃力は――」
青眼の光龍
ATK 4800+(4000-300)=8500
「8500…。」
私の、負け…。そうか、アイツがさっき、『好都合』って言ってたのは、この事だったのね。念押ししたのが、ここまで裏目に出るなんて。
「さぁ、これが最後よ!! いっけぇ、『青眼の光龍』!! 鈴仙の場のレッドアイズ達を、消しとばしなさい!! 『緋蒼のシャイニング・ソウル・バースト』!!!」
アイツの魂を受け継いだかのように、『青眼の光龍』が今までとは違う緋色の光を身に纏いながら、
青眼の光龍
ATK 8500
真紅眼の黒炎竜
ATK 2400
真紅眼の鋼炎竜
ATK 2800
鈴仙・優曇華院・イナバ
LP 5400-(8500-2400)-(8500-2800)=-6400
「キャアァァァァァァ!!!」
winner 比那名居天子
◇≡
「ハァ、ハァ。ふぅ、私の勝ち、ね。」
勝負を終え、私はデュエルディスクの電源を落とし、ディスクに乗っていた『青眼の光龍』のカードを手にとった。最後のあの一撃、あれはまるで、私とこの子が一つになったようにも思えた。『魂の一撃』というカードが、もしかしたら私の魂を、シャイニングに乗せてくれたのかもしれないわね。何というか、僕というよりは、半身みたいな感じね。
っと、その感慨に耽るのはまた後ね。鈴仙の様子を見ないと。
私は、最後の一撃で吹き飛ばされた鈴仙の傍に駆け寄って、手を貸してやった。
「鈴仙、大丈夫?」
「いったぁ。派手に吹っ飛ばしておいてそれ言う?」
鈴仙は、私に文句を言いながらも、貸した手をしっかりと握って立ちあがった。そして、徐にため息をついて、悔しそうな表情をした。
「ハァ、負けちゃったわね。」
「そうね。今回は私の勝ちよ。…ただ、ちょっとギリギリだったわね。」
「えっ?」
「…実はね、最後に使った、あの『立ちはだかる強敵』。アレ実は、手前のターンのドローで、たまたま引けたカードなのよ。」
「…そうだったの? てっきり『魂の一撃』がそうだと思ってた。」
「『魂の一撃』はシャイニング出した時からずっと伏せてたのよ。最初はあの乙女の時にプレミしたかなとも思ったけど、結果的にあれがきっかけになっちゃったわね。」
「…そうね。まぁ、もし大会とかでまたぶつかることになったら、その時は絶対負けないから、覚悟しときなさいよね。」
「……。」
…次、か。はぁ、そう言えば、しばらく、鈴仙とも会えないのよね。それだけじゃない、しばらくは準備期間のために、デュエルもこれからはここじゃ出来なくなる。そう考えると、少し、さびしいわね。
「? どうしたのよ。そんなしんみりした顔して。」
「へっ?」
「…何か、あったの? もしかして、気に障った事――」
「…何でもない。気にしないで。アンタが悪い訳じゃ、ないから。」
「…そう。」
「……。」
「……。」
沈黙が痛い。ハァ、さびしいだなんて感情、とっくに無くなってるものだと思ってたのに。私にもまだ、そんな感情が残ってたのね。それも表情に出るほどに。
というか、この沈黙さっさとどうにかしたい。でも、作りだしちゃったの私だし。
……あぁぁ、もう!!
「あぁぁぁぁ!!」
「!? な、何よ急に叫んで。」
「ふぅ、しんみりしたのは、やっぱり私に合わないわ! 鈴仙!!」
「…何?」
「私、八雲紫から頼まれた用事で『外の世界』に行くの。だから、しばらくアンタとは会えないわ。」
「そう。じゃあ、アンタに付きまとわれるのも、しばらくはないって訳ね。」
「そうなるわね。だから、一つだけ約束しましょう。」
「…何よ。」
「もし、私が帰ってきたら、その時はまた、ここでデュエルしましょう。今日みたいに。」
「……。」
「約束よ。」
「…気が向いて、忙しく、なかったらね。」
鈴仙は少し顔をそらしながら、私にそう言って、手を伸ばしてきた。少し、頬を赤らめながら。
「今日は、その、楽しかったわ。負けちゃったけど。でも、次は負けないからね。」
「フッ、次も私が勝つわ!! 必ずね!!」
「言ったわね。だったら、意地でも勝ってやるんだから。」
「フフフ、楽しみにしてるわよ!!」
互いに握手を交わし、鈴仙は、そのまま後ろを向いて飛び立っていこうとした。その後ろ姿に向かって、私は最後に、こう叫んだ
「鈴仙!!」
「…何よ!!」
「デュエル中に名前で呼んでくれた事、嬉しかったわよ!! 今度からも名前で呼びなさいよね!! 『わがまま天人』とかじゃなくて!!」
「…考えておいてあげる!!」
鈴仙はその一言を発すると、振り返らずに、彼女の戻るべき場所へと飛んでいった。
(最後の表情、ちょっと照れてたわね。)
ライバルがやっと、自分を名前を呼んでくれた。それが純粋に、嬉しいと感じた。何でかは分からない。でも、分からなくてもいいのかもしれない。感じられただけでも、きっと。
「総領娘様。」
しばらくして、衣玖が私の元へやってきた。たぶん、呼びに来たんだと思う。これから、あちらへ行くための準備やら何やらで、しばらく忙しくなるわね。
「分かってるわ、すぐ行くから。」
「…彼女とのデュエル、いかがでしたか?」
「楽しかったわ。やっぱり、あの子とのデュエルは他とは違うわ。良いとか悪いとか、そういうのを抜きにしてね。」
「そうですか。」
それを聞いたきり、衣玖は黙り込んだ。たぶん、私のその思いの余韻に浸っていてほしいんだろう。これからしばらくは、そういうデュエルはなかなか味わえないだろうから。
今は、その衣玖の配慮に少しだけ、甘えることにした。今日という日を、忘れないように。
◇≡
「ただ今戻りました。」
「あら、イナバ。お疲れ。」
私が永遠亭に返ってくると、玄関先に姫様がいた。ってえっ?!
「ひ、姫様?! どうして――」
「たまたま永林と話をして、そのまま部屋に帰る途中であなたが帰ってきたからね。声をかけたって訳。」
「そうですか。」
姫様、師匠と話していた所だったんですね。何の話をしていたのかは、気になりますが、私はあくまで師匠の弟子。そこら辺の領分はてゐと違って、しっかりとわきまえています。盗み聞きも当然しません。そんな風に思っていると――
「…少し、話でもしないかしら。」
「…はい。構いませんよ。」
姫様が私と話を? いったい何の話をするつもりなんでしょうか。
私は姫様に連れられ、永遠亭の奥の方にある姫様の部屋まで行った。
部屋の中は相変わらずで、あまり片づけられている様子はなく、物やカードなどが散乱している状態となっていた。どうやら、まだ片付けが出来ていない感じみたいですね。
「悪いわね、散らかってるけど。」
「…こういうのは失礼かもしれませんが、たまには片づけないと、師匠に怒られますよ?」
「さっき怒られてきたわ。後でやるつもりよ。」
「…まさか、話したいというのは口実で、本当は片づけを手伝ってほしいから、ここに呼んだのでは。」
「う~ん、それもあるにはあるけど、ちょっと純粋に話がしたかったって言うのもあるからね。」
「そうなんですか?」
「えぇ。」
「…分かりました。」
私と姫様は部屋の縁側に腰かけ、今し方昇ってきた月を眺めていた。
「ふぅ、月が綺麗ね、イナバ。」
「…そうですね。」
「あら、今のはもしかして、そういう意味で取ったのかしら?」
「えっ? あぁ、いえ、その――」
「ウフフ。照れなくていいのよ。それに、今のは純粋に『月が綺麗だ』って言っただけだから。」
「そ、そうですか。すみません、変な解釈をしてしまって。」
「良いわよ。」
そう仰って、姫様は私に微笑みかけてきた。…やっぱり、綺麗な顔立ちだと思う。随分昔に外の世界に姫様が暮らしていた頃、たくさんの人に求婚を迫られたのも、納得できるかも。…実際の性格を知ったら、絶対落胆すると思うけど。
「…今、失礼なこと考えてなかったかしら?」
「いえいえ!! 考えてないですよ。」
「…そう。まぁ、信じてあげるわ。」
ハァ、バレてましたか。まぁ、勘はいい人だからな。気を付けないとってよく思うんですけど。
「ところでイナバ。」
「何でしょうか?」
「久しぶりのライバルとの戦い、どうだったの?」
「…ライバル呼びしてるのは、向こうだけですよ。」
「あら、そうなの?」
「はい。私は別に、彼女とライバルという訳じゃないです。向こうが、天子が勝手に、そう言っているだけなので。」
これは実際、本当の事。アイツが勝手に私の事をライバルって言っているだけで、私自身、別にアイツをライバル視しているわけではない。どちらかというと、単なる遊び仲間の一人に近いって感じで。
「にしては、少し彼女を意識してたりするわよね。」
「そうですか?」
「えぇ。最近デュエルする時は、いつも【レッドアイズ】デッキばかり使って、それの調整ばかりしてたから。結構あの天人を意識してたりするのかなと思ってたんだけど。」
「……。」
そう言えば確かに、私は最近【
「その表情は、図星って感じね。」
「…よく、分かりましたね。」
「それは当然よ。私にだって、ライバルはいるんだから。あっ、先に言っておくけど、妹紅じゃないから。」
「ライバル、ですか。」
「えぇ。妹紅程付き合いが長い訳じゃないけど、でも私にとって、明確にライバルと呼べる存在がね。」
姫様はそう言って、静かにその人の事を、そして、その人と対この前行ったデュエルの事を、語り始めたのだった。
「どうも皆さん、お疲れ様です。いかがでしたか?」
「まぁ番外篇なので、あまり振り返ったりする必要はないんでしょうが、一応ここの方針というか、書き方に則って、書いていきたいと思います。といっても、書くことと言えばデュエルの事と、後は私と天子の関係、それと姫様の事についてぐらいですかね。」
「デュエルに関しては、もう少し伏せカード欲しかったなぁって感じです。後レダメとダークネスも出してほしかったなって感じで。一応持ってるんですよ、私。ただちょっと今回、天子が優遇されてた気がするんですよね。作者さん曰く、最初は私に勝たせようと思ってたそうですけど、話を書いている内に天子に勝たせたくなっちゃったそうで。まぁ、次デュエルするときは、当然勝たせてもらいますが。」
「で、私と天子の関係なんですけど、簡単に言うと、遊び仲間兼ライバルって感じです。まぁ『ライバル』と呼んでいるのは、天子だけなんですけどね。ただ私も、無意識にアイツの事を考えてしまっていたようで、デッキの構築や使用頻度に、それが如実に出ていたみたいです。うぅ、今度から気を付けないと。」
「さて、最後に姫様の事です。まぁ、部屋の描写を見ればわかると思いますが、相変わらずのニートです。たまにフラッと出かけたりしますが、だいたい行く所は妹紅さんの所か、本編中に言っていた『ライバル』さんの所みたいですからね。何をしていらっしゃるのかはまぁ、ご想像にお任せします。因みに、デュエルの腕は相当高めです。デッキに関してはまだ理由があって開かせませんが、【光天使】使ってた頃に1回瞬殺されましたし。あれは怖かった…。」
「んー、今回はこれぐらいでしょうか。さて、では皆さんに、次の番外篇の予告をしておきますね。お気づきの方もいると思いますが、この話は『眼の龍達の饗宴』と銘打っている通り、その名前が入ったドラゴン族の龍達を全員出す予定です。ドラゴン族とわざわざつけたのはガラクタさんを含まれると面倒だと思ったので。」
「で、今回の話はその前篇。ブルーアイズとレッドアイズ、デュエルモンスターズの始まりからい続ける、『眼の龍達の饗宴』と言った感じです。で、後編では、もう一つの『眼の龍達の饗宴』が見れる、と言った感じです。まぁ、残りの龍達はおそらく、想像が付くと思いますけどね。因みに、片方は話の流れから分かる通り、姫様が持っています。一応姫様の過去回想、と言った感じになるので。」
「では、今回はここまでです。次回はいつになるかは分かりませんが、まぁ再来週にテストを控えているそうなので、それが終わってから、という形になると思います。もしかしたら、これだけの量を急いで投稿したのも、それが理由かもしれませんね。まぁ『元々書き溜めしてたもの×4』を仕上げたものばかりなので、一から作ったりはしてないみたいですけどね。」
「長々とした後書きになりましたが、えっ、こここれが標準? そ、そうですか。では皆さん。今回はこの番外編を呼んで頂き、ありがとうございました。これからも、作者さんが書いている『遊戯王ARC-V -エンタメデュエリストと紅白の巫女-』、及び『東方遊戯王ZEXAL -白黒の反逆彗星-』を、どうかよろしくお願いします!」
「それでは、最後になりますが、次回も楽しみにしていてくださいね!!」