「さて、今回の話は、前回の続きからとなっております。そして登場人物は、フフフ、秘密です。まぁ、一人は確定していますがね。」
「それでは、本日もゆっくりしていってください。」
あれは今から、って、これじゃどこかの天使と同じ話し方の出だしね。でも大丈夫よ。あんなに昔じゃないから。
そうね、あれは私が、イナバがオーバーハンドレッド・ナンバーズとかいうヤツに囚われてたせいで暴走してたのを止めて、数日経った頃だったかしら。
何気なく、そう、本当に何気なく外に出ていたら、急に私の相棒たる竜が妙な反応を示した。まるで、自分にとって、闘うべき相手がいると主張せんばかりに、特定の方角に向かって。
最初は無視を決め込もうかとも思ったけど、ちょうど暇を持て余していた私は、退屈しのぎにとその反応を示した方角へと向かった。
その方角へと進んで数分後、随分と開けた、草原のような場所に出た。そしてそこには、一人の人物が、目を閉じて腕を組んで立っていた。
髪は銀髪の三つ編みで、如何にもメイドの服装といった感じの格好をした少女だった。私は、その人物とは一度だけ会った事がある。いや、一度だけじゃないか。一応異変の時以外にも、一回各組織の上の者だけを集めた会合のようなものをやった時にも、あの紅魔の付き人として、確かこの子は付いてきてたわね。
彼女は私がきたのを理解すると、その目を静かに開いた。どうやら、私の相棒はこの子に、いや、彼女の持つ『何か』に引かれた、と見た方がいいかしら。何となくだけど、彼女の纏う気配も、以前会った時とは違う感じがするし。
それが、私にとってのもう一人の『
☆≡
幻想郷の中には、時に場所として、木々一つない、開けた場所というのが存在する。
そこは、普段は身一つ隠す遮蔽物がないので、基本的に人が夜にいることは少ないのだが、今宵はそこに、二人の人物が月の光の下、向かい合っていた。
一人は、綺麗な銀色の髪を三つ編みに束ねており、服は、いわゆるメイド服と呼ばれるものを着ていた。
そしてもう一人は、胸元にリボンのあるピンク色の服に赤色のスカートを着ており、全体的に和服と同じような雰囲気を抱かせる感じがした。そして、腰より長めの絹のような黒髪をストレートに下ろしていた。
ここにいる二人は、この幻想郷に存在する、別々の大きな勢力に属しているもの達である。立場としては、銀髪の少女が服装の通りメイド長、黒髪の少女が、その勢力のトップである。
名は、メイド長が十六夜咲夜。その咲夜と違う勢力のトップである少女が、蓬来山輝夜という。
本来、この二人に出会う意味は無いように思える。だが、この二人がここで出会う事は、ある意味必然だったのかもしれない。何故ならば、ここは彼女らが互いに『強敵』と認めあう、そのきっかけとなった地であるからだ。
☆≡
「ふぅ、久しぶりね。元気にしてた?」
この場所について幾ばくかの沈黙の後、私は咲夜に声をかけた。この子と会うのも、大会以来、といったところかしら。まぁ、しょうがないわね。私も彼女も、あまり自由のきくような立場じゃないものね。わたしはまだ、永淋のお陰で自由のきく方だけど、彼女はそうじゃないものね。さすがに相手の予定も無視するほど、私も我が儘じゃないわ。
咲夜は私の問いかけに、微笑を浮かべながら答えた。
「えぇ。あなたは、どうだったのですか? 相変わらず、自堕落な生活を送って、八意先生にご迷惑をかけたりしてるんですか?」
「否定はしないわ。だけど、私にやれる事がない以上、自分の部屋であぁやって過ごしてるしかないのよ。第一、外に出たって暇だしね。」
「やれやれ。だから蓬来ニートだなんだと呼ばれるんじゃないですか。上に立つ者としての自覚はもう少しないんですか?」
「ニートじゃないわ、自宅警備員よ。まったく、いい加減その不名誉なあだ名、消えないのかしらね。」
「いえ、それを私に言われても、困りますよ。」
咲夜は少し苦笑いした。確かに、この子が言い出した訳でもないから、この子にこれを言うのは筋違いよね。
それに、こんな無駄な話をするために、この子を呼んだ訳じゃないしね。
私は深呼吸を一つして、再び言葉を紡いだ。
「そうよね。さて、じゃあそろそろ、この無駄話も終わりにして、始めましょうか。私達、『銀河の眼の主』の宴を。」
「・・・フフッ。そうですね、始めましょうか。私達の闘いを。」
咲夜のその一言を皮切りに、私達は互いにデュエルディスクを左手にセットし、私はその左手を天に掲げながら、いつものように、あの言葉を発した。
「デュエルモード、フルムーンチェンジ!!」
私のその宣言と同時に、私の左手にセットされていたデュエルディスクから全身に光が伝わり、それに伴って、私の服の色が、桃色を貴重としたものから、紺色を貴重としたものへと変化した。これが私がデュエルをする際の状態となる。何故服の色が変わるのかはちょっとわからないのだけど、そちらは私にとってはどうでもいい。
この姿は、いわゆる私の本気を表すモード。ARデュエルの頃は色々意味があったんだけど、今となってはリアルダメージの軽減以外に特にない。でも、私が咲夜や妹紅とのデュエルの際には、互いに容赦無しでやれるようにこの姿になることが大半。無しでも別に大丈夫なんだけど、まぁ気持ち半分こっちの方が落ち着くっていうのが本音ね。というか、細かい話とかはこの際抜きにしましょう。文字数がもったいないし。
私が準備を整えた頃には、咲夜もすでにデュエルディスクを起動して構えていた。もちろん、私はいつでもいける状態。さて、宴の幕開けといきましょうか!!
「「
蓬来山輝夜
LP 8000
デッキ枚数 35枚
手札 5枚
場、Pゾーン、伏せ 全て無し
十六夜咲夜
LP 8000
デッキ枚数 35枚
手札 5枚
場、Pゾーン、伏せ 全て無し
あら、私が先攻? うーん、しょうがないわね。出来れば後攻は咲夜に渡したくなかったんだけど。
「先攻は私からね。私のターン!! 自分フィールド上にモンスターが存在しないため、手札から『フォトン・スラッシャー』を特殊召喚するわ!」
フォトン・スラッシャー
☆4
光属性,戦士族/効果
ATK 2100
「続いて、『フォトン・クラッシャー』を通常召喚!」
フォトン・クラッシャー
☆4
光属性,戦士族/効果
ATK 2000
「レベル4の『フォトン』モンスターが2体。」
「さぁ、今回はいきなりからとばさせてもらうわ!! 私はレベル4の『フォトン・スラッシャー』と『フォトン・クラッシャー』でオーバーレイ!! 2体のモンスターで、オーバーレイ・ネットワークを構築!! 銀河の瞳を導く光の
輝光帝ギャラクシオン
★4
光属性,戦士族/エクシーズ/効果
ATK 2000
「ギャラクシオンの効果を発動!! この子はORUを1つ使って手札から、もしくは2つ使ってデッキから、『
輝光帝ギャラクシオン
ORU 2→0
ギャラクシオンが、自分の持つ剣でORUを切り裂くと、デッキから1枚のカードが光りながら飛び出してきた。それと同時に、目の前に緋色の十字の剣が出現し、私はそれをいつものように空中へと放り投げた。
「闇に輝く銀河よ。希望の光となりて、我が僕に宿れ!! 光の化身、ここに降臨!! 現れよ、『銀河眼の光子竜』!!」
銀河眼の光子竜
☆8
光属性,ドラゴン族/効果
ATK 3000
『グアオオォォォォォォォン!!』
放り投げられた十字の剣が空中で回転し続け、眩い光を放ちながら、私の相棒である『銀河眼の光子竜』へと姿を変えた。現れた光の巨竜は、背を仰け反らせて咆哮した後、身体を発光させたまま、咲夜を睨みつけていた。咲夜はその視線にひるむことなく、むしろ笑みを浮かべてこちらを見てきた。
「現れましたね、『銀河眼の光子竜』。」
「私はこのまま何もせずに、ターンエンドよ。」
蓬莱山輝夜
LP 8000
デッキ枚数 34枚
手札 3枚
場
輝光帝ギャラクシオン(ORU 無し)
銀河眼の光子竜
Pゾーン 無し
伏せ 無し
「では私のターンですね。ドロー!!」
十六夜咲夜
手札 5→6枚
咲夜はドローしたカードを見て軽い微笑を浮かべ、こちらを見据えながら口を開いた。
「先攻1ターン目でフォトンドラゴンを出してくるとは。何か考えがあるんですか?」
「いいえ、そんなものはないわ。でも、強いて言うなら、私のギャラクシーアイズも、早く戦いたくて仕方ないのよ。」
「…なるほど、相棒に合わせたと。ではこちらも、初めから行かせてもらいます!! 相手フィールド上に攻撃力2000以上のモンスターが存在するため、『限界竜シュバルツシルト』を手札から特殊召喚!!」
限界竜シュバルツシルト
☆8
闇属性,ドラゴン族/効果
ATK 2000
「さらに、『防覇龍ヘリオスフィア』を召喚!!」
防覇龍ヘリオスフィア
☆4
光属性,ドラゴン族/効果
ATK 0
「ヘリオスフィアの効果発動!! 1ターンに1度、自分フィールド上にレベル8のドラゴン族モンスターが存在する場合、このカードのレベルをターン終了時まで8にします!! 私の場には、レベル8のドラゴン族モンスター、『限界竜シュバルツシルト』がいます。よって、ヘリオスフィアのレベルを8に変更します!!」
防覇龍ヘリオスフィア
☆4→8
「レベル8が2体。来るわね。」
「いきます!! 私は、レベル8となった『防覇龍ヘリオスフィア』と、『限界竜シュバルツシルト』でオーバーレイ!! 2体のモンスターで、オーバーレイ・ネットワークを構築!! 時空を司る暗黒の銀河。
No.107 銀河眼の時空龍
★8
光属性,ドラゴン族/エクシーズ/効果
ATK 3000
『ゲアアオォォォォォン!!』
『グアオォォォォォォン!!』
咲夜の場にタキオン・ドラゴンが現れると、私の場のギャラクシーアイズと、咲夜の場のタキオン・ドラゴンが共鳴しているように咆哮した。長年の仇敵を前に、互いに自分達の戦意を示すように。そして勿論、それは持ち主である私達も同様なのだけど、彼らとは少し違って、仇敵というよりは『旧友』に近い感触だったりする。案外ギャラクシーアイズ達もそういうつもりなのかもしれないけど、見た目や雰囲気のせいもあってか、あまりそうは感じられない。
「揃ったわね。2体のドラゴンが。」
何となく、そんな言葉が漏れた。こんな盤面は何度でも見てきているはずなのに、不意に言葉が、口から付いて出てきた。
――そう言えば、前にもこんな事があったわね。確かあれは――
「そのセリフ、私達が最後に戦った時以来ですね。」
――そう。私達が最後に戦った、あの月での戦いでも、私はこんな風に呟いたのよね。ただ、あの時とは少し盤面が違う。それに、あの時の私に、今ほどの余裕はなかった。生か死か。あの時ほど、自分が死ぬかもしれない事を実感したのは、初めてだったわね。あんまり思い出したくはないけど。
「…そう言えばそうだったわね。忘れてたわ。」
「フフフ、あなたでも、思い出を忘れる事ってあるんですね。」
「そうね。あの頃は、無駄に覚えていた気がするわね。」
「そうですか。では、バトルといかせていただきます!! そしてこのバトルフェイズ開始時に、『銀河眼の時空龍』の効果発動!! ORUを1つ使う事で、タキオン以外のフィールド上で表側表示になっているカードの効果を全て永続的に無効にし、フィールド上のモンスター達の攻撃力も元々の数値に戻します!!『タキオン・トランスミグレイション』!!」
咲夜の場のタキオンが現れた時と同じ四角錐の状態に戻り、特有の時間逆行現象を引き起こした。それにより、タキオン以外の場のモンスター達、ギャラクシオンとフォトン・ドラゴンの効果が無効化され、その輝きを失わせていった。
「くっ、フォトン・ドラゴンが…。」
「バトルです!! タキオン・ドラゴンで、ギャラクシオンを攻撃!!『殲滅のタキオン・スパイラル』!!」
タキオンドラゴンが咲夜の指示と同時に紫色の光球を作り出し、それを光の奔流として放ってきた。直撃を受けたギャラクシオンはそのまま、何もできずに破壊されていった。
No.107 銀河眼の時空龍
ATK 3000
輝光帝ギャラクシオン
ATK 2000
蓬莱山輝夜
LP 8000-(3000-2000)=7000
「うっ!!」
「(…何も使いませんでしたか。)私はカードを1枚伏せて、ターンエンドです。」
十六夜咲夜
LP 8000
デッキ枚数 34枚
手札 3枚
場
No.107 銀河眼の時空龍
Pゾーン 無し
伏せ 1枚
追撃は無し、か。ふぅ、どうやら凌いだみたいね。まぁ、多少のダメージは承知の上。この程度はまだ、ダメージにも入らないわ。もし、手札にあのカードがあった場合、どんなカードを発動してもデッキに戻されてしまうと思ったから、何もせずにあえて素通ししてみたんだけど。あの様子だと、手札に握っていた可能性もあるわね。そして、それを今伏せたのだとしたら…。何にせよ、一度ドローしてみてから考えるべきことね。
「私のターン、ドロー!!」
蓬莱山輝夜
手札 3→4枚
…このカードか。となると、私がとるべき手段は――
「私は手札から、速攻魔法『破滅のフォトン・ストリーム』を発動!! 自分フィールド上に『ギャラクシーアイズ』が存在する場合、相手のカード1枚をゲームから除外する!! あなたのその伏せカード、除外させてもらうわよ!!」
私の場のフォトン・ドラゴンが一時的に光を取り戻し、光のブレスを放って咲夜の場の伏せカードを除外した。除外したカードは、『
「続いて手札から、『銀河の施し』を発動。自分フィールド上に『ギャラクシー』モンスターが存在する場合、手札を1枚墓地へ送る事で、デッキからカードを2枚ドロー出来るわ。」
手札から墓地へ送られたカード
蓬莱山輝夜
手札 2→1→3枚
「さらに魔法カード、『
銀河戦士
☆5
光属性,機械族/効果
DEF 0
「特殊召喚された『銀河戦士』の効果発動! デッキから『ギャラクシー』モンスター1体を手札に加えられるわ。『
蓬莱山輝夜
手札 2→3枚
「そして手札から、魔法カード『ギャラクシー・クイーンズ・ライト』を発動!! 自分の場のレベル7以上のモンスター1体を選択する事で、自分の場の全てのモンスターのレベルを全て、選択したモンスターと同じにするわ。私は、場の『銀河眼の光子竜』を選択し、他のモンスターのレベルを同じにするわ!」
銀河戦士
☆5→8
「レベル8が2体。もう来ますか。」
「さぁ、括目しなさい。これこそが、私の切り札! 私は、レベル8となった『銀河戦士』と『銀河眼の光子竜』で、オーバーレイ!! 2体のモンスターで、オーバーレイ・ネットワークを構築!!」
私の場の2体が光の渦に吸い込まれると同時に、私の周りから蒼いオーラが放出され、同時に眼の前に蒼色の剣が出現した。私はそれを持ちながら天高く飛び上がり、それを地面に現れた光の渦目掛けて放り込んだ。
「永遠と
No.62 銀河眼の光子竜皇
★8
光属性,ドラゴン族/エクシーズ/効果
ATK 4000
ORU 2つ
『クルオォォォァァアアアン!!!』
剣を投げ入れた渦から光の爆発が起こり、そこからギャラクシーアイズの赤いパーツがはがれ、神々しい蒼い光を纏った新たなギャラクシーアイズが姿を現した。その新たに現れたフォトン・ドラゴンを、咲夜が緊張した面持ちで見ていた。
「…現れましたか。プライム・フォトン。まさか、このタイミングでやってくるとは。」
「切り札だから最後に出すとでも思ってたのかしら? 残念だけど、それは間違いね。」
「ですよね。ネオ・フォトンよりも素材が一つ少ない分、出しやすいですし。」
「その点については否定しないわ。さて、じゃあついでにこの子の効果も使わせてもらおうかしら。墓地の『銀河眼の雲竜』の効果発動!! デュエル中に一度だけ、墓地のこのモンスターを、自分の場の『ギャラクシーアイズ』エクシーズモンスター1体のORUに出来る!! 当然プライム・フォトンを選択し、クラウドラゴンをORUに補充するわ! 来なさい、幼き我が僕の魂よ!!」
私達の前に紫色の渦が出現すると、そこからフォトン・ドラゴンの子供のようなモンスターが現れ、それが黄色の光となってプライム・フォトンの周りを回り出した。デュエル中に1度しか使えないものの、あのカードの防御範囲から唯一外れられる墓地発動効果を持ってるって事で、結構便利だったりする。さぁ、反撃開始よ!!
「バトルよ!! 銀河眼の光子竜皇で、銀河眼の時空龍を攻撃!! そしてダメージステップ開始時に、手札から速攻魔法、『禁じられた聖槍』をプライム・フォトンを対象に発動!! このカードの効果により、プライム・フォトンは攻撃力800がダウンするのと引き換えに、相手の魔法・罠カードの効果を受けなくなるわ!!」
「…チェーンはしませんよ。」
「でしょうね。じゃあこのまま処理に入って、聖槍の効果でプライム・フォトンの攻撃力は800ポイントダウンする。けど代わりにこのターンの間だけ、相手の魔法と罠の効果を受けなくなるわ!! そしてこのダメージ計算時に、プライム・フォトンの効果発動!! このカードが戦闘を行うダメージ計算時に1度だけ、ORUを一つ使う事で、このカードの攻撃力をそのダメージ計算時のみ、場のエクシーズモンスター達のランクの合計×200ポイントアップさせる!! 今場のエクシーズモンスターは、私のランク8のプライム・フォトンと、あなたの場のランク8のタキオンドラゴンの2体。よってそのランクの合計は16となり、プライム・フォトンの攻撃力は3200ポイントアップする!!」
No.62 銀河眼の光子竜皇
ATK 4000-800=3200+16×200=6400
「攻撃力、6400?! それ本当に聖槍で下げた数値ですか?!」
「残念ながら本当なのよね。さぁ、いきなさいプライム・フォトン!!『エタニティ・フォトン・ストリーム』!!」
プライム・フォトンが一瞬透明になって、各部に発光していた球体の物質のみが、夜に輝く星々のように光り輝いた。そしてすぐに元の状態に戻ると、強烈な光のブレスを放った。咲夜の場にいたタキオン・ドラゴンは、その光に抗おうとするも、そのまま拮抗する事も出来ずにのまれて爆発した。
No.62 銀河眼の光子竜皇
ATK 6400
No.107 銀河眼の時空龍
ATK 3000
十六夜咲夜
LP 8000-(6400-3000)=4600
「うぅ、アァァァァァァ!!」
タキオンの爆風を受けた咲夜はそのまま派手に吹き飛ばされて、地面に背中をうちつけていた。ただ、さすがそこはあの吸血鬼の館のメイド長、身体はだいぶ堅いみたいね。さて、こちらはこちらで進めましょうか。と言っても、やることないのだけど。
「私はこれで、ターンエンドよ。」
蓬莱山輝夜
LP 7000
デッキ枚数 29枚
手札 1枚
場
No.62 銀河眼の光子竜皇(ORU 2つ)
Pゾーン 無し
伏せ 無し
ふぅ、相変わらず手札がギリギリね。まぁ、私のデッキと咲夜のデッキ、両方に言えることだけど、基本的に短期決戦を主眼に置いている以上、手札消費なんて端から度外視している。というより、手札消費を抑える方に枠を割く余裕がほとんどない。故に、決めるときはほぼ一撃で決めないといけない。今回みたいなのは例外だけど。
さて咲夜、この状況であなたは、どのカードを引いてくるのかしら。フフフ、楽しみね。
☆≡
…相変わらず、引きの強いお方ですね。それに、プライム・フォトンの効果を再度使えるようにしているのが、また何とも言えませんね。こうなってくると、突破するには『アレ』を使うしかない。――負担はデカいですが、やるしかないですね。
(タキオン、力を貸して下さい。私の思いを、この引きに!!)
「私のターン!!」
自分のターンの宣言と同時に、私は右手に赤紫の光を纏わせ、その状態でデッキの一番上に手を置いた。そして退くべきカードを強くイメージし、そのまま勢いよくカードを引こうとした。
「『バリアンズ・、――ッ?!」
――ドクンッ――
「――ッ、カオス・ドロー』!!」
十六夜咲夜
手札 3→4枚
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ。」
『オーバーハンドレッド使い』のみが使える『バリアンズ・カオス・ドロー』を使用した私は、そのまましばらくの間、息を荒げていた。実はこれ、自力で『オーバーハンドレッドナンバーズ』を押さえこんだ西行寺幽々子様以外は、使った反動で身体にかなりの負担がかかるんです。彼女曰く、『死人が使う力を生きたまま使おうとするが故の反動』だそうで、確かにこれを使う度に、心臓を鷲掴みされたかのような痛みが走るので、おそらくそういう事なのだと思いますが。デュエルの相手である輝夜も、それが分かっているからか、私が立ち直るのを黙って待ってくれていました。
数秒たつと、私の呼吸が徐々に落ち着いてきたので、引いたカードを確かめてから、家具屋にそのカードを公開した。
「私が引いたカードは、『
「セブンス・ワン…。あのドローがあったからだいたい想像はついていたけど。」
「まぁ、他にも出そうと思えば出来ますが、基本的にこのカード以外は持ってきませんからね、誰も。さぁ、いきますよ。『RUM-七皇の剣』発動!! このカードは通常ドローでドローしたこのカードを相手に公開し続けることで、デュエル中に一度だけ発動することができます!! その効果の処理は、大きく分けて二つある事はもう分かってますよね?」
「えぇ。一つ目の効果でまず、墓地かエクストラデッキから『オーバーハンドレッドナンバーズ』1体を呼び出し、さらに続けて2つ目の効果の処理に移り、場に一つ目の効果で特殊召喚した『オーバーハンドレッドナンバーズ』をカオス化させ、ランクアップさせる、だったわね。」
「はい。なのでこのタイミングまで来ると、止めるには今しかないわけですが、何かありますか?」
「ないわ。伏せカードが仮にあっても、私のデッキじゃそのカードを止められないわ。」
「そうですか。では、このまま効果処理に入ります! まずセブンス・ワンの一つ目の効果で、先程破壊されたタキオン・ドラゴンを復活させます!!」
No.107 銀河眼の時空龍
★8
光属性,ドラゴン族/エクシーズ/効果
ATK 3000
ORU なし
「そして2つ目の効果により、タキオンドラゴンをオーバーレイ!! 1体のモンスターで、オーバーレイ・ネットワークを再構築!! 混沌たる時空を統べし、永遠をも超越せし龍の星よ!! 全ての幻想を正しく終わらせるため、時すらも止まりし暗き深遠より、逆巻く銀河を貫き蘇れ!! カオス・エクシーズ・チェンジ!! 顕現せよ!! 『
CNo.107 超銀河眼の時空龍
★9
光属性,ドラゴン族/エクシーズ/効果
ATK 4500
『『『グゲアオォォォォォォオン!!!』』』
『クルオォォォァァアアアン!!!』
タキオンが光となって飛び込んだその渦から、金色に輝く細長い四角錐のような物体が出現し、それが変形していくと、黄金に輝く三つ首の巨龍がその姿を現しました。そして現れた巨龍、ネオタキオンは輝夜の場のプライム・フォトンを威嚇するように吠え、プライム・フォトンもまた、それに応えるかのようにネオ・タキオンに向かって咆哮していた。
そして、私の場に現れたネオ・タキオンを、輝夜はほんの少し笑みを浮かべながら見上げていた。
「ネオ・タキオン…。あの時とはまるで逆の立場ね。」
「フフッ、そうですね。あの時のリベンジ、させてもらいますよ。」
「あら、良いのかしら? ここで効果を使ったら、ネオ・タキオンのもう一つの効果が使えなくなるわよ?」
「だったらこうするまでです。『銀河の施し』を発動!!」
「ッ、握っていたの?」
私が『銀河の施し』を発動させたのを見て、輝夜が眉をひそめた。確かに、前のターンでも使えたのは使えたんですけど、温存させておいても問題ないだろうと判断したんですよね。結果的に、タイミング良く『このモンスター』を落とす事が出来ますね。
「あなたも先程使ったので、説明は不要ですね。手札を1枚墓地へと送り、デッキからカードを2枚ドローします。」
手札から墓地へ送られたカード
銀河眼の雲竜
十六夜咲夜
手札 2→1→3枚
「あなたもクラウドラゴンを手札に…。」
「えぇ。さて、では私もクラウドラゴンの効果を使わせて頂きます。今墓地へ送ったクラウドラゴンを、自身の効果でネオ・タキオンのCORUにさせて頂きます。」
CNo.107 超銀河眼の時空龍
CORU 1→2つ
目の前に暗い穴が出現し、そこからクラウドラゴンが飛び出してくると、輝夜のプライム・フォトンの時と違って、赤い光を纏って、ネオ・タキオンの足元にある十字状の物体と同じ姿になり、整列するように配置された。
「そして、ネオ・タキオンの効果を発動!! 1ターンに1度、メインフェイズにCORUを一つ使う事で、ターン終了時までこのカード以外の表側表示のカード効果を全て無効にし、さらに相手がターン終了時までフィールド上のカードの効果を発動できなくします!! 今補充したCORUを使い、効果発動!!『タイム・タイラント』!!」
『『『グゲアオォォォォォォオン!!!』』』
ネオタキオンの咆哮と同時に、私達が今いる場所が暗い虹色へと色を染め、映像を巻き戻したかのように、風で舞っていたりした木の葉などが、先程までとは逆の動きをしていた。そしてある程度の時間まで戻ると、その現象は治まった。
「また時間逆行…。タキオンのと違って、ネオ・タキオンの時間逆行は私達の身体にまで影響が出るから、あまり好きではないわね。あなたには影響出てないみたいだけど。」
「持ち主にまで影響出てたら面倒ですよ。さて、これでプライム・フォトンはこのターンの間、効果が使えませんね。手札もウィザードで確定してますし、墓地発動のカードもない。一気に攻めさせてもらいます!! バトル!! 超銀河眼の時空龍で、銀河眼の光子竜皇を攻撃!!『アルティメット・タキオン・スパイラル』!!」
ネオ・タキオンの三つの頭がそれぞれ、タキオン・スパイラルの時と同じ紫色の光球を作り出し、そこから猛烈な光を同時に放出させた。プライム・フォトンもそれに対してブレス攻撃を撃ち返したものの、拮抗は長く続くことなく、ネオタキオンの攻撃が、プライム・フォトンを容赦なく呑み込んでいった。
CNo.107 超銀河眼の時空龍
ATK 4500
No.62 銀河眼の光子竜皇
ATK 4000
蓬莱山輝夜
LP 7000-500=6500
「うあぁっ!! くぅ、ダメージはたった500なのに、衝撃がすごいわね。」
「先程3000以上のダメージをこちらに与えてきたあなたが言う事ですか、それ。…まぁこれ以上やる事もありませんし、私はカードを1枚伏せてターンエンドとさせてもらいます。」
十六夜咲夜
LP 4600
デッキ枚数 31枚
手札 2枚
場
CNo.107 超銀河眼の時空龍(CORU 1つ)
Pゾーン 無し
伏せ 1枚
「私のターン、ドロー!!」
蓬莱山輝夜
手札 1→2枚
「…まだいけるわね。魔法カード、『逆境の宝札』を発動!! 自分の場にモンスターが存在せず、相手の場に特殊召喚されたモンスターが存在する場合、デッキからカードを2枚ドロー出来る。そして今、私の場は完全にがら空き、そしてあなたの場には、セブンス・ワンの効果で特殊召喚されたネオ・タキオンが存在する。よって条件を満たしているから、カードを2枚ドローさせてもらうわ!」
蓬莱山輝夜
手札 1→3枚
ここで『逆境の宝札』ときましたか。…やはりこういう土壇場の引きでは、『バリアンズ・カオス・ドロー』抜きでは彼女に勝てませんね。それだけ彼女が、あのデッキやフォトン・ドラゴンに愛されているという事なのでしょう。
「……。」
引いたカードを見た彼女は少しだけ微笑を浮かべた後、そのカードを発動させた。
「さらに魔法カード、『貪欲な壺』を発動! 自分の墓地の5体のモンスターをデッキに戻してシャッフルし、デッキからカードを2枚ドロー出来るわ。私はこの5体をデッキに戻して、2枚ドローよ!」
墓地からデッキに戻したカード
銀河眼の雲竜
フォトン・クラッシャー
フォトン・スラッシャー
銀河戦士
輝光帝ギャラクシオン
蓬莱山輝夜
デッキ枚数 26→31→29枚
手札 2→4枚
『貪欲な壺』まで…。ここで一気にドローしてきた上に、墓地にいたプライム・フォトンを戻してきましたか。これは少し、まずい状況ですね。とはいえ、あの2枚に手札のこのカードを使うのは少しもったいない気もします。…これはもう、後は輝夜の引き次第、ですね。
そう思いながら、私は彼女の行動を見守っていたのですが、ここはまだ動けないのか、消極的な行動できました。
「……モンスターをセット。これでターンエンドよ。」
蓬莱山輝夜
LP 6500
デッキ枚数 29枚
手札 3枚
場
???(裏側守備表示)
Pゾーン 無し
伏せ 無し
モンスターを伏せただけ、ですか。…何か誘われている気もしますが。ですが、伏せモンスターのステータスによっては、ある意味好都合かもしれませんね。
「私のターン、ドロー!!」
十六夜咲夜
手札 2→3枚
…ついに来ましたか、このカードが。それにこの状況、上手くいけば!!
「魔法カード、『フォトン・サンクチュアリ』を発動!! このターンの間、光属性以外のモンスターを召喚・反転消化・特殊召喚出来ない代わりに、私の場にレベル4の攻撃力2000、守備力0の『フォトン・トークン』を2体、守備表示で特殊召喚します!!」
フォトン・トークン(×2)
☆4
光属性,雷族
DEF 0
「ここでフォトン・トークン…。咲夜、アレをやるつもり?」
「当然! ネオ・タキオンの効果発動!! このカードが『銀河眼の時空龍』を素材に持っている場合、1ターンに1度、自分の場のモンスターを2体リリースする事で、このターン、ネオ・タキオンは相手モンスターに3回の攻撃が出来るようになります!! 私は場の2体の『フォトン・トークン』をリリースし、タキオンの攻撃回数を増やします!!」
私の宣言と同時に、私のフィールドに存在していた『フォトン・トークン』2体が、ネオタキオンに吸収されるように光となって吸い込まれていき、それによって力を得た事を示すように、ネオタキオンが三度、その声を轟かせた。
『『『グゲアオォォォォォォオン!!!』』』
「そして、このままバトルフェイズに入ります! ネオ・タキオンで、あなたの場の伏せモンスターに攻撃!! そしてこの攻撃宣言時、伏せていた永続罠、『竜の逆鱗』を発動!! 私の場に存在するドラゴン族モンスターが守備モンスターを攻撃した場合、その守備力を攻撃力が上回った分、貫通ダメージを与えます!!」
「くっ、よりによってそれを伏せてたの?!」
発動した『竜の逆鱗』を見た瞬間、輝夜が苦い顔をしていた。という事はあの伏せモンスター、間違いなくアレですね。
「いきなさい、ネオ・タキオン!!『アルティメット・タキオン・スパイラル』!!」
ネオ・タキオンが再び強烈な光をそれぞれの口に溜めこみ、3つの光を一つにして放出した。そして、輝夜のフィールドに伏せてあったモンスターがリバースすると、予想通りのモンスターが伏せてありました。
☆3
光属性,魔法使い族/効果
DEF 800
「『銀河魔鏡士』の効果発動!! このカードがリバースした時、墓地の『ギャラクシー』と名のついたモンスターの数×500ポイント、自分のライフを回復するわ!! 私の墓地には『銀河眼の光子竜』と、プライム・フォトンの合計2体がいるわ。よって、1000ポイントライフを回復するわ!!」
「ですが、『竜の逆鱗』の効果で、貫通ダメージは受けてもらいます!!」
CNo.107 超銀河眼の時空龍
ATK 4500
銀河魔鏡士
DEF 800
蓬莱山輝夜
LP 6500+500×2-(4500-800)=3800
「キャアァァァァ!! くぅ…、『銀河魔鏡士』のもう一つの効果、発動! リバースしたこのモンスターが破壊された場合、デッキまたは墓地から、レベル4以下の『ギャラクシー』と名のつくモンスター1体を、裏側守備表示で特殊召喚するわ! 2体目のミラー・セイジを、デッキから特殊召喚よ!!」
☆3
光属性,魔法使い族/効果
DEF 800
「それでも、ネオ・タキオンの攻撃回数はまだ残っています!! よって今伏せた『銀河魔鏡士』も、当然攻撃させてもらいます!! やりなさい!!『アルティメット・タキオン・スパイラル』!!」
「ミラー・セイジの効果発動!! 私のライフを、墓地の『ギャラクシー』モンスター1体につき、500ポイント回復させるわ!! 墓地にはさっきの2体に、さらに今し方破壊されたミラー・セイジも含めて合計3体いるから、1500ポイントのライフ回復よ!!」
「だとしても、先程同様貫通ダメージは受けてもらいます!!」
CNo.107 超銀河眼の時空龍
ATK 4500
銀河魔鏡士
DEF 800
蓬莱山輝夜
LP 3800+500×3-(4500-800)=1100
輝夜の場に再び現れた『銀河魔鏡士』は、そのままネオタキオンの攻撃を受けて爆散した。そしてその時に起こった爆風が彼女に容赦なく襲いかかり、輝夜はそのまま煽られて吹き飛ばされていた。
「アァァァァァァァ!!」
「…削り切れませんでしたか。ですが、次のターンで確実に決めます!! カードを1枚伏せ、ターンエンド!」
十六夜咲夜
LP 4600
デッキ枚数 30枚
手札 1枚
場
CNo.107 超銀河眼の時空龍(CORU 1つ)
竜の逆鱗
Pゾーン 無し
伏せ 1枚
さて、これでほぼ詰みにはしたつもりです。手札には、『ギャラクシーアイズ・タキオンドラゴン』が存在する場合、手札から発動できるカウンター罠、『タキオン・トランスミグレイション』を、そして伏せには、破壊された時用に2枚目の『時空混沌渦』があります。万が一どちらかが突破されたとしても、この状況であれば、おそらくやられる事はそうそうないはずです。後はもう、最後の輝夜のターンのドローがどうなるか。それが、運命の分かれ道となるでしょうから。
☆≡
あんなにあったライフがここまで削れるなんて。正直、ミラー・セイジがなかったら危なかったわ。
…でも、さっきのダメージのせいで、形成はかなり不利になっている。そして、手札、もしくは伏せにあのカードがあると考えると、このターンで決着をつけなかったら、私は負ける。でも、このターンで決めるには、まだ手札のパーツが足りない。後1枚、その1枚さえ引ければ!!
「私の――」
意識を集中し、右手をデッキの一番上に置く。大丈夫、信じればきっと、デッキは必ずこたえてくれる。それを証明して見せた子を、私は身近でよく知っている。
(妹紅に出来たんですもの。私に、出来ない道理はない!!)
「――タアァァァァアン!!!」
蓬莱山輝夜
手札 3→4枚
瞑っていた目を開き、引いたカードをみた。そしてその瞬間、私は自分が勝てる軌跡を見出した。
「咲夜!! 悪いけど、今回も勝たせてもらうわ!!」
「この状況で、ですか? 何を引いたのかは知りませんが、幾らあなたでも、この状況を突破するのは相当きついはずです。それを、たった4枚の手札で、ですか?」
「えぇ、勝ってみせるわ。」
「…本気みたいですね。では私も、本気でそれを阻止させてもらいます!!」
「やれるものならやってみなさい!! まずは『銀河の魔導師』を召喚!!」
銀河の魔導師
☆4
光属性,魔法使い族/効果
ATK 0
「『銀河の魔導師』の効果発動!! 1ターンに1度、自身のレベルを4つあげるか、自身をリリースして、デッキから同名カード以外の『ギャラクシー』カード1枚を、手札に加えられるわ!! 私は、自身のレベルを4つあげる効果を使って、ウィザードのレベルを8にするわ!!」
銀河の魔導師
☆4→8
「そして手札から、魔法カード『銀河遠征』を発動!! 2回目だから説明不要ね。デッキから、レベル8の『
「させません!! 手札からカウンター罠、『タキオン・トランスミグレイション』を発動!! このカードは、自分フィールド上に『ギャラクシーアイズ』と名のつくモンスターが存在する場合のみ発動でき、さらに、自分フィールド上に『ギャラクシーアイズ・タキオン・ドラゴン』と名のつくモンスターが存在する場合、このカードは手札から発動できます!! そしてその効果により、チェーン上で発動していた相手のカードの発動を全て無効にし、それらを全てデッキに戻します!! よって、『銀河遠征』は発動そのものを無効にされ、デッキへと戻ってもらいます!!」
咲夜がカードを発動させた事により、彼女の場にいたネオ・タキオンが、現れた時と同じように金色の細長めの四角錐の形態をとり、タキオン・ドラゴンと同じ時間逆行現象を発動した。それと同時に、私の場で発動しかけていた『銀河遠征』のカードが消滅し、デッキへと帰っていった。その状況を見て、咲夜が口を開いた。
「これで終わりですね。残念ですが、この勝負――」
「――いいえ、咲夜。この勝負、私の勝ちよ!!」
「えっ?」
「『銀河の魔導師』のもう一つの効果発動!! 自分フィールド上のこのカードをリリースする事で、デッキから同名カード以外の『ギャラクシー』カード1枚を手札に加えられる!! その効果で、デッキから『ギャラクシー・クイーンズ・ライト』を手札に加えるわ!!」
蓬莱山輝夜
手札 2→3枚
「ここでその効果を…? っ、まさか!?」
私が『銀河の魔導師』の効果を使った事に最初は訝しんだ咲夜だったけど、私がサーチしたカードから、私のしようとしている事が読めたのか、急に顔を青ざめた。
「そのまさかよ! 魔法カード、『未来への思い』を発動!! このカードは、墓地のレベルの異なる3体のモンスターを対象にして発動でき、そのモンスター達を、攻守0、効果無効の状態で特殊召喚するわ!! そしてこのカードを発動するターン、私はエクシーズ召喚以外の特殊召喚が出来ず、エクシーズ召喚をしなかった場合、4000ポイントのダメージを受ける。」
「『未来への思い』…。それを安全に通すために、わざと『銀河遠征』を囮に。」
「そういう事になるわね。さぁ、『未来への思い』の効果を、墓地の『銀河眼の光子竜』、『銀河の魔導師』、『銀河魔鏡士』を対象に発動するわ!! 蘇りなさい、『銀河の魔導師』!! 『銀河魔鏡士』!! そして、『銀河眼の光子竜』!!」
銀河の魔導師
☆4
光属性,魔法使い族/効果
ATK 0
銀河魔鏡士
☆3
光属性,魔法使い族/効果
ATK 0
銀河眼の光子竜
☆8
光属性,ドラゴン族/効果
ATK 3000→0
「そして手札から、さっき加えた2枚目の『ギャラクシー・クイーンズ・ライト』を発動!! 自分フィールド上のレベル7以上のモンスターを1体選択し、他のモンスター達のレベルを、選択したモンスターと同じにするわ!! 私が選ぶのは、当然『銀河眼の光子竜』!! そして、それ以外のモンスター達のレベルを、フォトン・ドラゴンと同じ8にする!!」
銀河の魔導師
☆4→8
銀河魔鏡士
☆3→8
「レベル8が3体…。という事は――」
「そうよ。私は、レベル8となった『銀河の魔導師』、『銀河魔鏡士』と、『銀河眼の光子竜』でオーバーレイ!! 3体のモンスターで、オーバーレイ・ネットワークを構築!!」
『ギャラクシー・クイーンズ・ライト』によってレベルを統一されたフォトン・ドラゴン達が、上空に現れた光の渦へと飛び込んでいった。それと同時に、私の身体から、プライム・フォトンの時とは真逆の紅いオーラが発生、目の前に赤い二又の槍が出現した。私はそれを掴んで、そのまま片手で上空の光の渦へと勢いよく投げ飛ばした。
「逆巻く銀河よ、今こそ怒涛の光となりて、姿を現すがいい!! エクシーズ召喚!! 降臨せよ、我が魂!!『
超銀河眼の光子龍
★8
光属性,ドラゴン族/エクシーズ/効果
ATK 4500
ORU 3つ
『『『グオアアァァァァァアアアン!!!』』』
『『『グゲアオォォォォォォオン!!!』』』
光の渦から強烈な爆発が起こった後、その中から、3つの頭を持った紅の巨龍、『超銀河眼の光子龍』が、その姿を現した。そして、互いに呼応するように、2体のギャラクシーアイズからそれぞれ、紅と黄金色のオーラが立ち上り、威嚇し合うかのように咆哮した。
一方咲夜はというと、私の場に現れたネオ・フォトンを見て、顔をしかめていた。
「くっ、ここに来てネオ・フォトンですか。」
「えぇ。最も、最初にプライム・フォトンを出した時点では、出す予定には無かったんだけど、さっき引いたカードを使うのに、この子は絶対必要だからね。さぁ、『超銀河眼の光子龍』の効果発動よ!! このカードが『銀河眼の光子竜』を素材にエクシーズ召喚された時、このカード以外のフィールド上の表側表示のカードの効果を全て無効にする!!『フォトン・ハウリング』!!」
ネオ・フォトンの中央の頭が、私の宣言と同時に強烈な音波を放ち、それによって、咲夜の場のネオ・タキオンの輝きが少しだけ失われ、さらに発動されていた『龍の逆鱗』のカードを灰色へと変えた。ネオ・タキオンは何とか倒れまいと踏ん張ってはいるものの、正直すぐにでも倒れそうな感じだった。
「っ、ネオ・タキオン!!」
「バトルよ!! 『超銀河眼の光子龍』で、ネオ・タキオンを攻撃!!」
「くっ! 迎え撃って、ネオ・タキオン!!」
ネオ・フォトンが空中へ飛び上がってブレスのチャージをしている間に、ネオ・タキオンもまた、咲夜の呼び掛けに応じて、光を溜めこみながらネオ・フォトンの方へと3つの首を向けた。そして、それぞれの口から、同時に光が、私達の宣言と同時に放出された
「『アルティメット・フォトン・ストリーム』!!」
「『アルティメット・タキオン・スパイラル』!!」
2体の龍から同時に放たれた光は、互いにぶつかり合って均衡を保った後、そのまま強烈な爆発を起こしながら、2体の龍を飲み込んでいった。
「ハァ、ハァ。これで、場は互いにがら空きですね。」
「そうね。でも、まだこれで終わりじゃないわ。言ったでしょ? この勝負、私の勝ちって。」
「という事は、手札に握っているのは――」
「そう、これがラストの1枚!! 速攻魔法、『エクシーズ・ダブル・バック』を発動!! 自分フィールド上のエクシーズモンスターが破壊されたターン、自分フィールド上にモンスターが存在しない場合に発動でき、自分の墓地から、そのターンに破壊されたエクシーズモンスター1体と、そのモンスターの攻撃力以下のモンスター1体を選択して特殊召喚する!! 蘇りなさい!!『超銀河眼の光子龍』!!『No.62 銀河眼の光子竜皇』!!」
超銀河眼の光子龍
★8
光属性,ドラゴン族/エクシーズ/効果
ATK 4500
ORU 無し
No.62 銀河眼の光子竜皇
★8
光属性,ドラゴン族/エクシーズ/効果
ATK 4000
ORU 無し
『『『グオアアァァァァァアアアン!!!』』』
『クルオォォォァァアアアン!!!』
私の場に、再び紅と蒼の2体のフォトン・ドラゴンの進化形が姿を現し、天高く吠えた。咲夜はその光景を見て、一瞬呆けた後、穏やかな笑みを浮かべていた。
「…今回も、私の負けですか。つくづく、あなたには勝てませんね。」
「悪いけど、私にも譲れないものって言うのはあるからね。これで終幕よ!! いけ、『超銀河眼の光子龍』!! 銀河眼の光子竜皇!!『エタニティ・アルティメット・フォトン・ストリーム』!!」
ネオ・フォトンが地上から、そしてプライム・フォトンが空中から同時に光の奔流を咲夜に向かって放った。それに飲み込まれながらも、咲夜は終始、穏やかな表情をしていた。
超銀河眼の光子龍
ATK 4500
No.62 銀河眼の光子竜皇
ATK 4000
十六夜咲夜
LP 4600-4500-4000÷2=-1900
winner 蓬莱山輝夜
☆≡
ハァ、結局負けてしまうとは。後少し、だったんですけどね。やはり、あの人の土壇場の引きは、侮れませんね。
夜空に輝く月を見ながらそう考えていると、私に向かって伸ばされる手が一つあった。輝夜のものだった。
「…咲夜。」
手を伸ばす彼女の表情は、先程までの気高く誇り高い『姫』としての顔ではなく、『聖母』のような、暖かな笑みを浮かべていました。正直、こんな彼女がどうして『蓬莱ニート』と呼ばれるような事をしているのかが、私には理解できませんねと思いましたが、彼女的には、そういうのがめんどくさいのかもしれないと思い、思わず苦笑してしまいました。そんな私の様子を見て、輝夜が不思議そうに首をかしげ、「どうしたの?」と尋ねてきました。
私は、「何でもないです。」と答えながら、彼女の手を握って立ち上がりました。輝夜は私の返事に少し不満げな顔をしていましたが、気にせず私は、言葉を紡ぎました。
「それにしても、今回は勝てる自信あったんですけどね。あと一歩で、どうしても届きませんね。」
「咲夜…。フフッ、そんなことないわ。実際、私もギリギリだったもの。最後のターンに引いた『未来への思い』や、『銀河魔鏡士』がなかったら負けてたわ。」
「だとしても、ですよ。」
「謙虚なのね。」
「それが、従者というものですよ。」
「面倒ね。私じゃ、絶対に出来ないわ。」
「確かに、似合いませんね。あなたには。」
「馬鹿にしてるの?」
「いいえ。あなたはお嬢様と同じで、やはり常に上にいる事の方がふさわしいと、思いましてね。」
「…そう。」
輝夜のその返事で、会話が言ったん途切れる。しばらく、私達の間を沈黙が支配し、ただ、風が草木を揺らす音だけが、耳に入っていた。
最初に沈黙を破ったのは、輝夜だった。
「…外の世界に、いくそうね。」
「っ、何故それを――」
「聞いたわ。八雲紫から。」
「…そうですか。という事は、あの話も?」
「えぇ。」
そう答える輝夜の表情は、少し陰りを帯びていた。その顔色から察するに、私がタキオンを連れていけない事に反対なのかもしれません。プライドが高く、また私の事を『強敵』と見てくれている彼女の事ですから、その『強敵』が、常に全力のデュエルを出来ない事に、そして私が『相棒』を連れていけない事に、納得がいかないのでしょう。
そんな彼女の様子を見ながら、私は、ディスクに入っているカードをいくつか取り出し、それを輝夜に渡しました。
「輝夜、これを。」
「咲夜? っ、これは――」
「私が戻ってくるまで、預かっていてほしいんです。あなたに。」
「……。」
輝夜は私の手にあるカードを見て、戸惑っていました。私が預けようとしているカード。それは、先程話題に上がったタキオンとネオ・タキオンの2枚、そして、タキオンをネオ・タキオンへと変えるための3枚の『RUM』のカードなのですから。
「…正気なの?」
輝夜はそう、ちょっと怒り気味に私に聞いてきました。まぁ、こう返事が返ってくるかもしれないというのは、薄々分かってはいましたが。まぁ、だからと言って、私の答えは変わりませんが。
「はい。むしろ、あなただからこそ、安心して預けられるんです。おそらく、このまま持っていても、しばらく八雲紫に預かられてしまう可能性もありますし。なら、同じ『銀河の目を持つ龍』を操るあなたに預けた方が、タキオンも本望だろうと思ったので。」
「…相棒を気遣った上での選択、って事?」
「はい。」
「…自分よりも、相棒を気遣うなんて。変な子ね。」
「『相棒』が反応すると、何かとすぐに応えてあげてるあなたが言う事ですか、それ?」
「フッ、そうね。」
そう言って、さっきまでとは逆に笑みを浮かべた輝夜は、同じようにディスクからカードを1枚取り出して、私に渡してきました。
「これは、
「あなたがそのデッキを使うかどうかは知らないけど、1枚も『ギャラクシーアイズ』がないのは、さすがにきついでしょ? だから、私もあなたにそれを渡しておくわ。」
「ですが、これは――」
「心配しなくても大丈夫よ。『鎧』のカードはもう1枚あるし、あなたからそのカード達を預かるのだもの。問題はないわ。」
「…分かりました。大切に、使わせて頂きますね。タキオン達の事、お願いします。」
「任せなさい。私が預かるのだから、退屈はさせないわ。」
そして私達は、互いに取り出したカードを交換しあい、いつかまた、会えるようにと誓いを交わして、互いにその場を後にした。
先程まで激戦を繰り広げていたあの草原には、もう、静けさだけが残っていた――
☆≡
咲夜と別れた私は永遠亭に戻った後、彼女から託されたタキオンのカードをもう一度取り出し、私の持つフォトン・ドラゴンと並べてみた。この2体にまつわる伝説は、以前月に上がった時に聞いている。ただ、その2体のそれぞれの持ち主に選ばれた私達の事を考えてみると、何か因縁めいたものを感じざるを得ない。
――月という光から地上に降り、この永遠亭の姫としてい続ける私。
――地上で生まれ育ち、闇に属する吸血鬼に仕え続ける彼女。
――互いによく似た能力や、名前。
あげればまだあると思うけど、これだけでも、何かあるのではないかと勘ぐってしまいたくなる。運命の悪戯にしては、あまりに出来過ぎている気もするし。
まぁ、今はその事に関して考えるのは止めましょうか。取りあえず、タキオン達を上手く使えるように、デッキを調整しておかないと。せっかく預かって、退屈させないとまで言ったんだから、ちゃんと使ってあげないと。
――咲夜、あなたから預かったこのカード達、必ず使いこなしてみせるわ。
「お疲れ様。どうだったかしら、今回の話は。」
「あっ、自己紹介するのを忘れてたわね。今回の後書きを担当させてもらう、蓬莱山輝夜よ。」
「まぁ、本当はこんな事やってるより、動画見たり、PCやデッキいじってたりしたいんだけど、仕事だから仕方ないわ。全く、人気者は辛いってヤツかしら。」
「さて、今回の話だったけど、まぁ、私と咲夜のデュエルね。」
「で、今回の話を見て、違和感を覚えてる人がいるかもしれないから、一つ説明を加えておくわ。これは主に、家の作者が書いてる、魔理沙が主人公の方の小説(タイトル何だったか忘れたけど)を読んでる人が抱いてると思うんだけど。」
「まぁ、向こうの本編内でも話していた通り、咲夜の本来のエースはタキオン・ドラゴンなのよ。でも、あの八雲紫の命令で、持ち出しできなかったみたいでね。そうなると、あのデッキはほぼ根幹を失ってるからだいぶ厳しい状況なの。そこで、代替案として【マドルチェ】のデッキを組む事になったって訳。」
「まぁ、それでも向こうではほぼ負け無しみたいだし、私の渡したFA・フォトンも使わずに済んでるみたいだし。――【マドルチェ】じゃ出せないだろ、ですって? フッ、果たしてそうかしらね。まぁ、楽しみにしていなさい。」
「じゃあ、ついでにデッキの説明もしちゃうわね。私のデッキだけど、見ての通り【銀河フォトン】、つまり、原作で『天城カイト』っていうのが使ってたデッキとほぼ同じね。ただ、そいつが使ってなかった『銀河戦士』とか、それに付随してプレアデスとか入れてたりするけど。」
「逆に咲夜のデッキは、タキオン・ドラゴンの入手と同時に手に入れた、いわゆる『ミザエル』とかいうヤツが使っていた感じのデッキね。これは、『オーバーハンドレッドナンバーズ』に一度でも取りつかれてしまうと、そのオーバーハンドレッドナンバーズが戦いやすいデッキがどこからともなく出現しちゃうらしいのよ。実際鈴仙も、それのせいで【
「まぁ、デッキの説明はこんな感じかしら。で、次に私と咲夜の口上についてね。そう言えば、家の作者の作品、口上とかあんまり突っ込まれたことないけど、今回は原作と同じものも交じっていたから、その辺りも含めての説明を入れろって事かしらね。――余談になるけど、私今カンペ読みながらやってるから、そこの所よろしく。」
「で、説明に移るけど、私の口上が『カイト』とかいうヤツとかぶっているものもあったり、全然かぶりもしてなかったりするのがあるのは、ぶっちゃけると早苗のせい。」
「実は、あの子とデュエルするまで、ギャラクシーアイズ達の口上無かったのよね。付けるのめんどくさかったし。」
「でもある日、あの子とデュエルする事があってね。俗にいう『寝取り』をされちゃったのよ。その時にあの子があの口上を言ってて、良さそうと思ったからつけたのよ。ネオ・フォトンに関しては、召喚する時に聞いたわ。」
「プライム・フォトンだけ口上が違うのは、あの子が知識としてアイツの口上を持ってなかったって事と、私が召喚する際に胸に浮かんだ言葉をそのまま紡いだ結果よ。まぁ、私的には、気にいってるからいいんだけど。」
「咲夜も確か、同様の理由だったと思うわ。早苗も何か、『オーバーハンドレッドナンバーズ』や『RUM』に関しては知らなかったみたいだし。」
「まぁ、ちょっとした裏設定とかもした所で、次に行くわ。えーっと、『私と咲夜の戦績について』、か。これはもうさっさと済ませるわ。」
「今のところ、私視点では3勝1敗2引き分けってところかしら。中断した試合とかもあるし、正確には覚えてないけど、だいたいこんな感じね。」
「…もう話す事もないわね。強いてあるとすれば、この『眼の龍達の饗宴』は、これでまだ終わらないって事。作者も結構気にいてるみたいでね。後一つだけ書くらしいわ。」
「まぁ、出だし回想だったのに、この話をしている時の鈴仙や私は出てきてないからね。たぶん、次はそこからのスタートだと思うわ。楽しみにしててね。」
「さて、じゃあ今回はここまでよ。最後まで読んでくれてありがとね。また会えるのを楽しみにしてなさい。」
(あれ、何か忘れてる気が…。まぁいっか。)