──4月。一般的な学校なら入学式やら始業式などといったイベントがあるだろう。無駄に長いだけの意味もない話を聞くあの行事には一体何の意味があるのかといつも問いたくなる。
それはさておき、一般的ではない我が校、武偵校でもその例に漏れず始業式を行ったわけだが、こちらの行事は中々に意味がある。他のやつはどうかは知らないが俺にとって見ればこれは一種の訓練だ。
まず校長の長い話。他所ならただの長い話だが、うちの校長は普通じゃない。あの覚えられない顔、読みずらい気配、それらを記憶しようと努力するだけでも結構な鍛錬になる。まあ、一向に成果は出ないし、出たら多分殺されるから程々にするが。
もしくは、参列している教職員。ここの教師は全員一癖も二癖もあるやつらばかりだ。だから気配察知による場所の把握、そこから脱出する方法をイメトレするのもいいだろう。
と、まあどうでもいいことをツラツラと並べ立てたのは何も俺が暇人だからとかではなく、目の前にその始業式をフケた奴がいるから説明っぽく述べたわけだ。え?声に出してないから意味がない?いやいや、別に聞かせるつもりはないからいいんだよ。と言うわけで、話しかけてみよう。
「よう、キンジ。始業式にはいなかったが何してたんだ?」
「......カルムか。別に、ちょっと爆弾魔に追われてただけだ」
「あー、なるほどね。メールのあれはおまえだったのか」
ちなみに、メールのあれとは教務科から届く周知メールのことである。生徒に何らかの被害があった場合、もしくはその可能性があったりすると届いたり届かなかったりする。そんな曖昧なものだから生徒の俺たちは内容は見てもそれに関心を向けることはあまりない。それはおいといて、キンジの奴随分落ち込んだ顔してるな。ここは一親友として発破をかけてやるか。
「そんな顔してると白雪の奴がうるさくなるぞ?」
「今は俺の前で女の話をするな」
ありゃ、逆効果だったか?不機嫌がプラスされて余計ひどくなっちまった。にしてもあの言いぐさ、さてはあいつ
ずぎゅぎゅ、パパン!!キィン!
気がつくと何故か俺は銃をかまえて立っていた。え?あれ?どういう状況?とりあえず周りを見てみよう。周りには唖然としているクラスメート達。うん、分かるぜ。俺も唖然としてる。さらに何故か変なポーズで立ち上がったまま固まっている理子。何やってんだあいつは。あとは涙目の担任。ふむ、高天原先生か。面倒はなさそうで安心だな。その隣にピンクツインテールのチビ。そいつが持つ銃からは煙がでている。ついでにいうと、俺の銃も同じく煙が出ている。つまり、さっきの音はあいつの銃声に反応して俺が銃を無意識に撃ち、それがぶつかった音、か。うん、前から思ってたがつくづく人外だな俺。そりゃ二つ名も付くわ。何だよ、銃声に反応して迎え撃つって。意味分かんねえよ。しかも、俺寝てたからね?かなり無防備な恰好してたからね?どうしてそれで迎え打てるの?なんなの?バカなの?...はあ、もういいや。とりあえず寝よ。