それは、一枚のカードだった。
間桐の家に養子に出された遠坂桜。
その際通っていた幼稚園に通えなくなり、卒園する際にある男の子から渡された。
「えっと」
桜が言いよどんでいると男の子は桜の手を取り、
「ほら!俺の宝物だけど、やるよ!元気でな!」
そう言いながら桜の手に持たされ、その男の子は去って行った。
遠坂桜
幸か不幸か・・・いや、この場合は不幸だったのだろう。
彼女は世にも珍しい虚属性の持ち主であった。
それが原因だったのか切っ掛けだったのか。
残念ながら、魔術的に優れていた為に遠坂の家を出され、古くからの盟約により実の父親により間桐家の養子に出さた。
そして髪や瞳の色などの容貌が著しく変わってしまった。
苦痛の中救いを求めるが救いは無く、心が擦り切れていく日々。
ある日、服を着ているとカードが足元に落ちた。
まだ平和で、幸せだった日々の最後の日。
幼稚園である男の子がくれた『宝物』。
もはや擦り切れた心ではそれを見ても何も感じなく、何も意味もなく、ゴミに等しかった。
だが、男の子の笑顔が脳裏によぎり、そのカードをポケットに仕舞った。
それが自分が救われる切っ掛けになるとも知らずに。
そこは、間桐の家の蟲が蠢き薄暗く広い地下室。
そこには老人と男性二つの影があり、サーヴァント召喚と言う、一つの儀式が行われていた。
「雁夜よさあ、サーヴァントを呼び出すのじゃ」
「くっわかっている」
老人から雁夜と呼ばれた男は苦しそうにしながら呪文を唱えだした。
閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。
繰り返すつどに五度。
ただ、満たされる刻を破却する。
―――――告げる
――――告げる。
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。
雁夜が呪文を唱えそれに呼応するように、前方に有る魔法陣から光が漏れる。
そして、二人は気づかなかった。
広い地下室の一室。
遠坂・・・今や間桐桜となった者が虚ろな目をし、聞こえて来る呪文を無意識に唱えていたことを。
そして、
されど汝はその眼を混沌に曇らせ侍るべし。
汝、狂乱の檻に囚われし者。我はその鎖を手繰る者――。
汝三大の言霊を纏う七天、
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!
呪文が唱え終わり、ふらつき膝をつく雁夜。
「うむ、成功じゃな」
光が音が収まる中、老人は気づいた。
呪文がまだ、唱えられていたことを。
「なっ、どこから」
そして、光が漏れだした。
「この気配、サーヴァントか!」
遂には倒れてしまった雁夜を無視し、漏れだした光が収まった部屋へと歩き出す老人。
雁夜はそれを失う寸前の意識で、目で追っていた。
老人が部屋へと入っていってしばらくして、
リボルケイン
そう聞こえたとおもったその時、
「ぎゃあああああああああああ!!」
老人の悲鳴が辺りに響く。
雁夜が意識を失う寸前に見た物は、黒い異形に抱かれ連れていかれる間桐桜の姿だった。
聖杯戦争が行われた時期と場所を見て何でこれ、又はこのシリーズのキャラが他のSSででてこないのかな~と思って書きました。