西木野病院の談話室で、啓は海未と連絡を取っており、警視庁で話があることを伝えるが…。海未達の両親達は、昨日の音乃木坂白いドーム事件で外に娘達を出すことを拒んでおり、自由に外出が取れない事を話すのであった。
だが、両親が不在の絵里や希なら今日一日は自由に外出出来ることを話す海未。
啓は海未の話を聞いて、絵里達を待って警視庁に行くことになる。
そして、約束の時間ににこが眠る病室に来たのは・・・希1人であった。
啓は希が啓に対して、何か伝える事があると”見聞色の覇気”で気付きそれを指摘する。
啓の指摘によって、自分の胸の内を気付かれた希は自分が手に持っていた物・・・”タロットカード”を手に取りながら、自分の過去を話しつつ、ある事実を話すのであった。
この”世界の崩壊”を・・・。
2015.4.1 ~西木野病院”矢澤にこの病室”~
希「《この世界の崩壊》や。」ドン!!
手にタロットカード《the world》を持って、元μ’s3年生メンバー”東條 希”はそう、言葉に発した。
確かにそう発したのだ…。 傍から聞けば「一体この娘は何を言っているんだ?」と言われてもおかしくはないだろう。
それだけにぶっ飛んだセリフ、常人ならスルーというか近づかなくなるだろうが…。
しかし、今この言葉を発した”東條 希”の目の間に居るのは単に常人という言葉に収まらない男。
転生者・・・”桐生 啓”だ。 普通の常人と違い、一度死んでμ’sを護る為にこの世界に転生してきた《超人》だ。
啓はスルーするどころか、希のバイオレットの瞳を真っ直ぐに見つめ・・・。
啓「そのまま…説明してくれないか…?」
希に説明を促した。
その言葉に希は頷くと説明し始めた。
希「うん、あのな…。 そもそも、”世界の崩壊”っていうんは。 よく、オカルト雑誌とかネットのオカルト坂とかに載ってたりするんよ。」
啓「へぇ…そういうもんか。 ”世界の崩壊”なんてぶっ飛んだことは”希の占い”じゃなきゃ出るもんじゃないかと思ったぜ。 案外、”身近”な事なんだな。」
希「ううん、啓君。 ウチの占いはあくまで”普段の生活”とか出来るだけ規模の低い事を占ってるんよ。」
希「”世界”なんて、規模が一番大きい事なんて滅多に占うどころか…”一生”占う事なんて無かった筈や…。」
啓「・・・成程な、普段は”絶対に占わない事”を占わなざる負えなかったのは…。」
啓「俺を含めた《転生者》の存在か…。」ドン!!
希「…うん、その通り。」
希「ウチは”昨日の事件”とその前に起こった”にこっちの誘拐”と”ライブ会場”の件で、もう占わないとおれんかった。」
希「不安で、不安ですごい怖かったんよ…。 今まで生きてきた人生で、これだけ《自分の命の危険》を感じたことは無かったんよ。」
希は昨日の自分の行動を思い出す…。
昨日の”音乃木坂白いドーム事件”が終わった後、すぐにタロットカードを引っ張りだして…今後の世界について占い始めた。
普段はタロットカードを生活や手助けなどといったことに、多く用いる希にとって、《世界》を占うなど余りにも規模が大きかったのだ。それも普段から占いをしているからこそ、常人より良く分かった。
そんな・・・希が生命の危機を最大限に感じつつ、占った出た答えというのが…。
啓「《世界の崩壊》って訳か…。」
希「・・・。」
啓(…世界の崩壊か。 いつ、始まるのか…いや。)
啓(もう、《起こってるんじゃねえか…。》)
啓は考えた。
そう、《世界の崩壊》というのは《既に起こっている》といってもいい、あの馬羅垣によるにこの誘拐事件は、《転生者》というこの世界に始めから存在しない男達が《存在》したことによって始まってしまったのだ。
既存の軍隊では全く歯が立たない強さ、バネや相手に化けるなどの超人然として能力、そして一人で地球そのものを破壊出来る非常に強力な転生者の存在・・・。
そう言った意味では、希の占いは当たっているのだろう…。非常に恐ろしい事このうえないのは間違いない。
希「これで終わりやないんよ…啓君。」
希は唐突に言葉を発した。
啓「何…。 まだ、何かいう事があるのか?」
啓は希がまだ言うべき事があるのに、疑問に思った。
希「うん、そもそもな。 ウチは今の”世界の崩壊”っていうのを伝える為にここに来たんと違うんよ。」
啓「なんだって・・・。」
啓は驚いた。
啓「いや、《世界の崩壊》以上に言うべき事があるのか…?」
希「うん、あるんよ。」
希「そもそも、ウチが占って出た”世界の崩壊”っていうんは…。」
希「凄い《曖昧》や。」ドン!!
啓「曖昧‥。」
希「確かに世界の崩壊なんて、ウチには問題が大きすぎる…。けど、それだけやなくて一体なにで”世界が崩壊”するのかが分からへんのよ‥。」
希「転生者だけやない、隕石とか、大地震とか色々と世界が崩壊するにはきちんとした理由がある筈やと思うんよ。」
希「けど、占いで出たのはただ”世界の崩壊”という事だけや・・・。 この曖昧な結果によって、人によって異なった解釈が生まれてまう。」
希「占いっていうんは、結果を《曖昧》のまま・・・うやむやにしては絶対にあかんのよ。」
希「それで”世界の崩壊”っていうのが出たんが…昨日の話なんよ。 やから、今日ウチが占ったんはその”崩壊する理由”…。」
啓「それじゃあ・・・希が落ち込んでいたのは…。 世界の崩壊そのものじゃなくて、その理由…。」
啓「じゃあ一体…何が《世界の崩壊》を招こうとしているんだ…。」
希「それは…。k」
その時であった。
「うう・・・んっ。」
この病室で寝ている少女が声を出した。
2人「!!」
そして…。
にこ「・・・ここは。」
にこが目を覚ました。
啓「にこッ!」
啓はにこの傍に駆け寄る。
にこ「け、啓?」
啓「良かったぜ…。 随分、寝てたな。」
にこ「えっ…。 もしかして大分寝てたの…。」
啓「割とな。 …それにほらッ。」
希「にこっち、無事で良かった!!」
希はにこをハグした。
にこ「ちょっ…希!」
思いの他、力強く抱きしめる希にストップを掛ける。
希「あっ、ごめんな。 にこっち。」
にこ「いきなり抱くなんて、びっくりするじゃない!!」
にこはそう言い、希に言い放った。
にこ「全く、さっきの”感触”はにこへの当て付けなのっ!?」
啓「”感触”…?」
にこ「お、男のあんたには関係のない話よっ!!」
啓「?」
にこ「それより、なんでにこは病院に・・・あっ。」
すると、にこは思い出したかのように言葉を開いた。
にこ「啓、希…!! ママ達はっ!!」
にこは啓に服を掴んだ。
にこ「無事なの!? ねぇっ!!」
にこは叫んだ。
そう、にこがここに運ばれたのは病気でも怪我でもない‥。
自分の大切な家族を誘拐された為に、そのショックで寝込んでいたのだ。
だからこそ、自分より家族の安否を知りたいのだ。
しかし・・・現実は。
啓「いや、”矢澤一家”は無事じゃない。」
にこ「えっ…。」
・・・”残酷”だ。
にこ「そんな、うそでしょ…。 啓。」
啓「もし、無事なら目覚めたお前の傍で無事を喜んでいる筈だろ?」
にこ「!!」
啓「病院で寝込む娘を・・・”姉ちゃん”を心配しない妹や弟や母親はこの世にいねぇ。 …そうだろ?」
にこ「・・・。」
にこはその言葉を聞き、俯いた。 涙が出たのだ。
にこ「うっうっ…。」
”ポタッポタッ・・・”
希「に、にこっち…。」
その時だった。
”ポンッポンッ・・・”
にこ「えっ…。」
にこの頭を優しく宥める啓の手があった。
啓「確かに、今ここに虎太郎もこころもここあもにこの母ちゃんもいねぇが…。」
啓「なにも死んだわけじゃねぇ…。」
にこ「け、けど…転龍会に捕まったって…。」
啓「ああ、捕まった。 けど、死んじゃいねぇ筈だ。」
にこ「な、なんでよっ!!」
にこは大きく声を上げた。
にこ「なんで、はっきりそう言えるのよ!! 会ったことも無いのに!!」
啓「ああ、無い。」
にこは啓のはっきり言う態度に怒った。
にこ「ふざけんじゃないわよ!! そんな、ぶっきらぼうに言ったところで何も解決し…。」
啓「ああ、何も解決しねぇな…。」
にこ「…!」
啓「にこ、お前は捕まった時…。」
啓「どんな気持ちだった…?」
にこ「えっ…!?」
啓「人生で一番最悪だったんじゃないのか?」
にこ「っ…!!」
啓「確かに家族が居なくなって混乱する気持ちは分かる…。 けど、お前が混乱している以上にお前の妹達はずっと混乱している筈だ…。」
にこ「そ、それは…。」
確かにそうだ、今こころ達はきっと怖くて混乱している筈だ‥。
啓「・・・捕まってもない人間が捕まった人間より混乱するのは、可笑しい話じゃねぇか。」ドン!!
にこ「!!」
啓「お前はそこまで”ダメな姉ちゃん”じゃねぇだろう?」
にこ「…。」
啓「けど、どうしても辛いなら・・・。」
啓「安心しろ…。《俺》が居るッ!!!」ドン!!
啓はbの形を作った。
啓「そもそも、俺が死なせやしねぇ…!!」ドン!!
啓「だから、にこ。 混乱するより俺を信じてくれねぇか?」
にこ「し、信じる・・・啓を。」
啓「ああ…。」
にこは指で涙をぬぐった。
啓「・・・で、どうだ。 ”元会長”」
啓はドアの前に目を向けた。
すると、ギィッ…とドアが開く。
にこ「絵里・・・それに真姫ちゃん。」
真姫「よく気が付いたわね、にこちゃん…。」
そう言い、真姫はにこに近づき安堵した。
”鼻かむ? にこちゃん。”
”ちょっ…アイドルは鼻水出さないわよ!?”
”じゃあ、要らないのね…。”
”いや、要るわっ!! 欲しいわ、真姫ちゃん!!”
それを傍で見る2人。
絵里「気付いてたのね…啓。」
啓「ああ…見聞色の覇気でな。 俺の代わりに、にこを宥めようと考えたのか?」
絵里「ええ、にこは昔から気丈な性格だから…。」
啓「フッ…。」
絵里「えっ、なんで笑ったの、今。」
啓「いや、絵里は優しいんだな…。」
絵里「それは褒め言葉として、受け取っておくわ。」
啓「ああッ。 ・・・それじゃあ、皆聞いてくれ!」
啓は手を叩いて、皆を注目させた。
啓「今から、警視庁へ鷲尾さんと大切な話をするんだ。 それで行くのは、俺と絵里と希なんだが…他のメンバーは残って貰おうと思ってる。」
にこ「・・ちょっと、待ちなさいよ。」
啓「なんだ? にこも、もしかして一緒に行くのか? …寝てた方がいいんじゃないのか。」
にこ「もしかしなくてもよ。 だって、にこの家族なのよ? 私が行かないわけにはいかないのよ。」
にこ「・・・そ、それに啓の隣に居たほうが凄く落ち着くし…。」ボソっ
啓「まぁ、そうだな。 よし行くか!」
にこ「ちょっ…聞きなさいよっ!!」
啓「ああ、俺の隣に居たほうが凄く落ち着くんだろ?」どーん
にこ「ぜ、全部聞いてたの? い、今の忘れなさいよっ!!」
啓の耳は良いのである。
啓「無茶言うな。」
啓がやれやれと部屋を出ていこうとすると…。
にこ「ちょっ・・・どこにいくのよ!!」
啓「どこって、今から警視庁に行くに決まってんだろ。」
にこ「にこをおぶりなさいよっ!! 今すぐに!!」
啓「・・・自分で行くって言う割には自分の足で動けねぇのか?」
にこ「にこは”病人”よっ!! だったら、それ相応の助けが必要なのよ!!」
啓「どんな”病人”だ …ッたく。 そら、乗れ。」
にこ「うん。」
啓はにこをおぶると、部屋を今後こそ後にした。
部屋を出る時、どういう訳か”にこの頬”は赤みがかっていた。
それを真姫、絵里、希が見ており、何とも微笑ましい表情で見ていた。
希「…凄いな、にこっち。 もう、いつもの調子に戻っとるやん。」
絵里「そうね、心配してきた割には…大分元気そうね。」
にこと同じ三年メンバーである絵里と希は口を揃えて言った。
そんな中、真姫だけは1人違う考えを示していた。
真姫「・・・やっぱりね。」
絵里「…? どうしたの、真姫。」
真姫「いえね、にこちゃんの受け止め方が気掛かりだったけど、杞憂だったわね。」
希「受け止め方…? どういうことなん、真姫ちゃん。」
真姫「ええ、物事の受け止め方よ。」
真姫「例えば、500円玉を落とした時…それが貧乏な人だったら、凄くショックだけど。 これがお金持ちだったら、少々の値段で気に留めない事が多いわよね?」
絵里「…つまり、同じ物事でもそれを受け取る人によって違うってことかしら?」
真姫「そう、これを今のにこちゃんに置き換えると…本来なら自分の家族が、誘拐犯に捕まえられたりしたら…まず、正気にいられないしパニックになる可能性が高い。」
真姫「自分の大切な家族が誘拐されたなんてなったら、とてもじゃないけど耐えられそうにない。 ・・・戻ってくる保障が無いもの。」
希「…けど、それだけの出来事なのに、にこちゃんがパニックになってないのは…。」
真姫「”啓さんの存在”ね…。 間違いないわ。」
真姫「今のにこちゃんの心には、啓さんの存在が大きく占めているわ。 あの時、崩壊ライブ事件が終わった後に、私が啓さんと話してた時に噛みついてた程にね。」
”にこ「分かったわ!!真姫ちゃん、啓を独り占めするつもりね!!」”
第30話 闇夜の病室にて
真姫「良くいえば、”信頼”しているし…悪くいえば、”依存”してると言う感じね。」
絵里「”依存”…。 にこが。」
真姫「ええっ・・・にこちゃんは四人姉妹の一番上で凄く慕われてるし、私達一年生メンバーの面倒見も良いし、ずっと一人で《アイドル》を続けてた…。」
真姫「身長は私より小さいのに、誰よりも負けない気持ちを持っているのよね。 にこちゃんは…。」
真姫「けど、あの卒業式の日ににこちゃんがお母さんに抱き付いて甘えてるのを見て、なんだか違和感を感じたわ。」
真姫「普段とのギャップというか…もしかして、あれが本来の”にこちゃん”じゃないかなって…。」
希「じゃあ…ずっとにこっちは誰かに甘えたかったんかな。」
真姫「…恐らくその筈よ。 そして、その相手が…。」
真姫「啓さんだったのよ。」ドン!!
真姫「啓さんは只の男の人じゃない。 文字通り命懸けでにこちゃんを護ってくれてる。」
希「そうやね…。 啓君は確かにその通りの男の人やね。」
絵里「希…。」
絵里「もしかして、言ったの…? 世界の崩壊を招いてるのは。」
希「ううん、まだいうてないんよ。・・・けど。」
希「近い内にウチは絶対に言わないかんと思う。」
”ググっ・・・”
希はタロットカードを握る。
希「さぁ、エリチ。 うちらも警視庁に行こうな。」
絵里「・・・そうね。 じゃあ、真姫・・・後はお願いね。」
真姫「分かってます、”絵里先輩”。」
絵里「もうっ…。 それじゃあ!!」
”置いてかないでよっ!! 希っ!!”
”ええっ!? ウチは別にエリチを置いていかへんよ!!”
2人の”先輩”は警視庁へ駆けていった。
そして、1人。
病室に残った真姫は、ベッドの縁に座った。
真姫(ああ、私は言ったけど…なにも、にこちゃんだけじゃない…。 μ’s全体の心の支えになりつつある。)
真姫(啓さんは私達と凄く年が離れているわけじゃない。 同じ十代の筈なのに…。)
真姫(あの包容力というか、凄く頼りたくなると言うか…あの年齢で物事を達観視出来てる。)
真姫(一度死んだ人間、転生者でありながら…自分の前世を持ってない男の人。)
真姫(”桐生 啓”…一体、前世で何があったと言うの…?)
真姫(そして、世界の崩壊は・・・。 どういう事なのかしら…。)
浮かんでは消えることの無い、疑問の数々…。
しかし、今は疑問の前にやることがある。
真姫「ともかく、今はパパの手伝いをしないと…。」
真姫はベッドから降りると、そのまま手伝う為に外を出ていった。
意識が外に向いていた為か…。 真姫は、外にいる人物に気付かなかった。
?「成程ね。 《あの人》が選ぶわけだ。」
続く…。
ここまで、読んで頂いた方…。
非常に申し訳ない!! この話は非常に難産でした。 話を頭で考えては考えての繰り返し。こんなに時間が掛かってしまいました。
もう、占いはコリゴリだぜ!!
さて、次回は第47話 警視庁にて、矢澤家救出会議
次回も乞うご期待b