今回の話と今後の流れに時間と頭をタップリ使いました。では、どうぞ。
~前回のあらすじ~
矢澤家を救出する為に、警視庁に向かう事になった啓達”同い年組”…。
世間は・・・昨日の”音乃木坂白いドーム事件”によって、国は国家の存亡に関わるとして”非常事態宣言”を宣言する緊急事態となっており、《転生者》達によって世界は混沌とした世界に向かってしまっていた。
そんな中、警視庁に到着した啓は鷲尾警部達に会い、警部の口から啓に対して「この国を護る最高戦力になって欲しい。」と頼まれる。
頼まれた理由は…既に起こった三つの事件…。その三つとも、警察が解決した訳ではなかった。
警察が解決出来ない理由は言うなれば、単純に《次元が違い過ぎる戦闘力の圧倒的な差》であった…。
そして、自衛隊との連携を考えたが…肝心の闘いすら起こらず一瞬で失神する始末。
だからこそ、鷲尾警部は啓の戦闘力が頼みの綱として啓に頼み込む。
当然、男…”桐生 啓”は鷲尾警部の頼みを断る筈もなく、その頼みを一手に引き受ける。
そんな”漢”の姿に、にこはドキドキする半面‥自身の父親と同じ姿を心に浮かべるのであった…。
2015.4.1 某時刻 ~警視庁”大会議室”~
啓達、同い年一行は…鷲尾警部に連れられ、ようやく会議室に辿り着く。
そして、鷲尾に手招きされ、既に置かれている椅子に啓を真ん中にして四人とも座っていく。その後、鷲尾と柿谷は先に会議室に居た2人の人物と同じ席に座る。
先に会議室で在室していたのは、《矢澤にこ誘拐事件》に於いて救出部隊を率いていた木ノ内隊長とそして…大門寺警視総監であった。190㎝以上はある身長に加えて、丁寧に髭を整えた初老の男性であった。 そして、胸に輝く警視総監のバッジがその輝きを隠すことなく輝いていた。
ここに来て…にこ、絵里、希の三娘は一気に緊張した面持ちになっており、自分の今の気分と同調する様に三人とも顔から汗が出ていた…。
音乃木坂を卒業しても尚、今後の人生でまず来ることが無い筈であろう警視庁の一部屋。今まで味わってきた音乃木坂学院の雰囲気とは違う。言うなれば、女子校特有の明るさや楽し気な雰囲気とは360°全く違う。
…重々しい雰囲気が漂っていた。
要は三人とも、全くこの場にそぐわない…浮いた存在であった。本来なら全く入る余地がないこの一部屋に彼女達は入っていたのである。
…だがしかし、彼女達三人共にこの場に呼ばなければならない”最重要人物”である事には変わりはない。
そんな三娘とは対照的に、啓は普段から力強い表情をより一層強張らせると同時に四人の警察関係者を見据え、これから話すであろう会議に対して気を引き締めていた。
鷲尾「警視総監殿、これで全員揃いました。」
大門寺「…その様だ。 では始めるか。」
ゆっくりと立ち上がると、啓達に向かって会釈をした。
「皆さん、初めまして。 私が警視総監の大門寺 剛三郎です。」
”警視総監” ”大門寺 剛三郎”ドン!!
大門寺が会釈をすると、四人も立ち上がりお辞儀する。
三娘「こちらこそ、お願い致します。」
啓「お願いします。」
「うむ、君たちがμ’s…そして、桐生君だね。」
「はい。」
「君の活躍の御蔭で、これまでの事件を切り抜ける事が出来た。 改めて、警察の代表としてμ’sの皆さんを助けて頂き…。」
「誠に有難うございました。」
そう言うと、深々とお辞儀をする。
対して、啓はさも当然に言い返す。
「いや、俺は”当然の事”をしたまでです。」
「…フフッ。 いや、鷲尾君の言った通りだな、言葉に裏表がない真っ直ぐな青年だ。」
大門寺は少し微笑むがしかし、すぐに表情を変えて真面目な顔付きになる。
「…本来なら桐生君にこれまでの事件の謝礼として、μ’sの皆さんも呼んで謝礼祭でも開きたかったのだが。」
”ググッ…”
「今はそれより優先しなければならない事がある。」
「それは、君達自身がよく”理解”している事だろう。」
「‥‥。」
「今から、言う事は警察として‥一人の大人として、君達に対して非常に残酷な事を告げねばならない。」
大門寺は、先程の真面目な表情から更に強張らせると…青年と少女達を見回しながらこう発言した。
「…我々警察組織は将棋でいう…《詰み》に陥っている。」ドン!!!
「…!!!」
その言葉に息を呑む三娘。
「”詰み”ッスか…。どういう事ですか?」
啓が呟くように聞き返す。
「単刀直入に言えば、そういう事になるという事だ。」
大門寺はその事を告げると、その理由を話した。
「今、我々が置かれている状況…。 矢澤にこさんの御家族…現在の世帯主であるさゆりさんと幼い三人の御子息が《転龍会》に人質として捕らえられてしまっている。」
「そして、奴らが望むのは…”金銭”ではない。 以前、”馬羅垣”が起こした”誘拐事件”で警察の身代金交渉に応じなかったからな。」
「! …馬羅垣の野郎がそんな事を言ってたんですか。」
「そうだ。 仮に”世界中”から金を集めたとしてもな。」
「あの事件を踏まえると、奴ら”転龍会”は”金”じゃなく…”μ’s”を手に入れたがっているのは非常に明白だ。」
「なにせ…奴らが、μ’sを手に入れんとする為にこれまで実際に起こした事件の”イカレ具合”から…警察としても認めるしかない。」
その言葉に、にこ達はこれまでの自分達の身に起きた事を少し思い出す。
…当然、世にも恐ろしい経験だ。よく今の今まで生きてこれたと思う。特に、にこは絵里や希以上に恐ろしく危険な目にあって今を生きている。
「確かに全国のスクールアイドルの頂点に立ったと言える彼女達の人気は本当に凄い事だ。」
「…だが、いくら凄いといっても彼女達はあくまで”女子高生”だ。仮に少女9人を手に入れる為に…せいぜい十数人の犯行グループで事足りる筈だ。」
「だというのに、彼女達を襲ったのは…そんじょそこらのギャングどころではない。 ヤクザ…いや、軍隊顔負けの大量の銃や車両に人員…。」
「更に報告書によれば…最新鋭の戦闘機や軍用機も所有していると判明している。」
「最早、私設軍隊どころではない。 未だ全貌が見えない”軍事大国”クラスの組織がμ’sを狙っているという事になる!!」ドン!!
その事を言い切った大門寺。
場内は先程の重々しい空気はより重くなり、皆言葉に出さないが…表情はより一層悲痛な面持ちになってしまうのであった。
(この話の流れ、可笑しいな。)
啓が内心一人考えていると…。
その時だ、啓の右隣に座っていた絵里から手が挙がる。
絵里「すいません。 質問してもよろしいですか?」
大門寺「ええ、どうぞ。」
「はい、有難うございます。」
絵里は礼をすると、尋ねた。
「今の話で、”将棋の詰み”と警視総監さんから申されたのですが…どうして、そういった結論になったのか? それと、桐生君は呼ばれるのはともかくとして…私達3人がこの会議室に呼ばれるのと何か関係があるんでしょうか…?」
その事を言うと、絵里は一旦一呼吸を置く。そして、にこの顔を見ると意を決してもう一つの質問を投じた。
「…私が一番言いたいのは警察の皆さん方は矢澤さん、いえ…”にこの御家族”を助ける事は出来ないのでしょうか?」
にこ「!! …ちょっと、どうしてそんな失礼な事を聞くのよっ!!」
にこは絵里の言葉に対して、勢いよく立ち上がりながら言い放った。絵里の言葉に驚いたのは…他の誰でもないにこ自身であった。
にこの言葉に対して、絵里はにこへ視線を向けずに俯きながら喋る。
「どうしてって…。 警察の人達がここまで言うのよ。」
「最初から最後まで話を聞いて、私には…。」
「”警察にも手に負えない”みたいに聞こえたわ。」
「!!」
”ガシッ”
その時だ、にこの左隣に座っていた啓が肩を抑えていた。
「にこ、落ち着け。 俺には絵里の言い分が分かる。」
「でも、啓。 絵里の言ってることは。」
「…今は座って聞いてくれ、にこ。」
「! ‥う、うん。」
にこは啓の言葉通りに座った。
「絵里、代わりに俺が続けて良いか?」
「ええ、啓の方が理解していると思うしお願いするわ。希は?」
希「うん、うちもエリチと同じ意見や。 啓くん頼める?」
「ああ、俺に任してくれ。 ‥よしッ。」
啓は絵里とは違い、椅子から勢い良く立つと四人の警察関係者に見回すと話を切り出した。
「俺も絵里と同じ気持ちですよ。 最初の”詰み”という話。」
「これから、この会議でこころ達を助ける話を始めると思ったら…いきなり、警察から弱音とも取れる事を言うから、俺は驚いた。」
「…」
「そして、その後…転龍会について説明して貰ったとしても。」
「ハッキリ言ってあいつらがどういう組織なのかは”闘った俺”や”狙われたμ’s”もとっくに知ってる。」
「それはあんたらも知らない訳がない筈だ。」
「俺としては…まず、”警察のトップ”である警視総監が”詰み”と言い切る…《
啓はやや荒っぽい口調を最後まで辞めず、話を言い切るとその《理由》を知るべく、”警察のトップ”である”警視総監”の答えを黙って待った。
「‥‥」
その一方で、警視総監…大門寺は目を瞑って口を閉じ、啓の質問を答えるべく何を言うか‥…迷っていた。
その場に居たその他の警察関係者やにこ達は固唾を呑んで、その答えを待った。
…だが、しかし大門寺の口から出たのは啓の求める答えではなかった。
「私はこの警視庁で……直に《転龍会》に会っている。」ドン!!
「!!!???」
「警視総監殿ッ!! その件は秘密なのでは…!?」
鷲尾は声を上げる。
「鷲尾君、今は黙ってくれ。」
「!!…承知しました。」
「…それは本当なんッスか?」
「ああ、君達に嘘を付く理由がないからな…。」
大門寺は先程勢いよく立った啓とは対照的にゆっくり立ちながら真実を告白し始めた。
「あれは先月に起こった出来事だ。丁度、最初の誘拐事件で桐生君が矢澤さんを助けた次の日になる。」
「突如やって来たのだよ。 警視庁に居た人間を一切の抵抗などさせず…一瞬で意識を奪ってな。」
(意識を奪うか…”覇王色の覇気”だ、間違いねぇ。)
啓も覇王色の覇気を持っている為、直ぐに答えが出た。
「そして、私達の眼の前に…現れたのは、全員で8人の屈強な男達。」
「名前が今の時点で分かっているのは、馬羅垣、麦野、炎山。桐生君と一度か二度対面し、闘った男達だ。」
「次に私より背の高い三人の男達だ。 後で確認したが…確か、ユーマ、雷堂、岩礁と言っていた。」
「…最後の2人は、ハンチング帽を被った男と顔をマスクで覆っている男だ。」
(ハンチング帽…俺がこの世界に来た時に会ったオペオペの能力を使う奴だ…! それに、雷堂という奴にも会っている。)
「そして、ハンチング帽の男がこう言ったんだ。」
”今後警察は一切、μ’sに関与しないこと”
「そんな事を…奴らが命令したんッスか。」
「ああ、奴らは警察がμ’sに関わない様にと…釘を刺しに来たという事だろう。」
「そして、それを破った場合。 奴らは‥…。」
「地球を破壊すると言った。」ドン!!
「えっ…。」
希はその言葉に驚いた。何故なら、この数日…その事でずっと悩んでいたのであった。
「な、なんなのよ。…全く話についていけないわ。」
絵里は余りにも現実離れした話についていけずにいた。
その時だ、にこが思い出した様にあった。
「そ、そう言えば…先月にあった南極の謎の光と北極の地震ってニュースがあったて聞いたわ。」
「それって、まさか関係あるんですか?」
「ああ、勘が鋭いね…矢澤さん。」
「そのまさかだよ。その極地で起こった災害は、《2人の男》が起こしたのだよ。」
「えっ!!!!!」
「ニュースでは、本当の所は判明されていないが…実際に起こしたのは”2人の髑髏の仮面を付けた男達”だ。」
「その恐ろしい《悪魔の所業》を私達警察はモニター越しで見せられたのだ…。」
大門寺は身を震わながら、その事を思い出していた。
「…成程な。 色々と聞きたい事が俺にはあるが、一先ずは置いといてだ。」
啓は警視総監を向き合い言い放った。
「要は、警察が動いちまうとμ’sどころか、《全世界に生きてる人間》が殺されるって訳か。 …地球ごと俺を含めて。」
「…そう言う事になるな。」
「クソッ…無茶苦茶な話だ、チッ‥。」
啓は苛立ちながら舌打ちをした。
誰もが…言葉を失っていた。
矢澤家を救出するどころか、救出するという行動さえ与えてくれない事実に…。
今、日本は非常事態宣言をして…この事態を日本どころか世界各国が、有史史上最大最悪の事件になっていくだろうと重く重く未来を見据えているのだ。
そして、この事件の最初の犠牲者達になろうとしているのが…μ’s、矢澤一家、そして…音乃木坂に住まう人達なのだ。
明日に迎える四月二日に、転龍会との人質交換で…μ’sはもう二度と家族に逢えない生活を送るという可能性が非常に高いのだ。
それは、きっと世に言う”地獄”という生活が彼女達を待っている気がしてならないのだ。
(どうしよう…。 どうしよう。嫌だ、そんなの嫌よ。)
にこはかってない程…絶望した。
つまり、このまま事が進めば…人質交換として、μ’sは転龍会の手に渡る事になる。
断る事など出来ない、地球そのものを破壊し尽くせる事がたった《一人》で出来てしまうのだ。
そうならない為に人質として行かなければならないが…そうなれば、にこは家族と永久に別れなければならず。
…もう、二度と啓に逢う事が叶わなくなるのだ。
(怖い、怖い…。)
あの崩壊ライブ事件の時、μ’s全員で居れば怖くないと思っていた自分に腹が立つ。
全然、現実を見ていなかった…なんとかなると楽観視していた。
これで、終わると考えていたかった。
‥だが、現実問題として…この事件は未だ終わらず、始まったばかりなのだ。
(…救いはないの、ママ…こころ、ここあ、虎太郎…パパ。)
(啓…。)
その時であった…!!
「だからこその《日本最高戦力》が必要なんだよ。 …なぁ、桐生君。」
椅子に座っていた鷲尾が啓に向かって、言い放った。
「鷲尾君? 急に何を言い出す…」
大門寺が言い懸けたその矢先…!!
「!!」
大門寺は声を上げる暇なく、そのまま…
”ドサッ‥‥”
倒れるのであった…。
「えっ!!??」
μ’s三娘はこの一連の出来事に驚きつつ、すぐさまある”人物”を見た。
この会議室で、一切の道具を使わず…人間の意識を奪う事が出来る唯一の男を彼女達は知っていた。
そして、にこは恐る恐るこの”犯行”を犯した”犯人”を見た。
「な、何をやってんのよ…。 《啓》っ!?」
にこの言葉を受けた”犯人”は、表情を変えずにこう言い放った。
「《腑抜け》に喝を入れてやった。」ドン!!
後編に続く…。
警視総監を覇王色の覇気で気絶させる男…桐生啓。字面だけではかなりの犯罪者ですが。
こうした行動‥いや”やらざる負えない”行動にはキチンとした理由があるのです。
それは一体なんなのか…。次回も乞うご期待b