転生の龍が如く 〜女神の守護者~   作:kantarosu

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~前回のあらすじ~
迫る東京港の交渉に、高坂穂乃果は父に諭され‥最期まで家族と共に過ごそうとする。

しかし、金獅子会を名乗る黒衣の大男…tyrantが穂むらへ突如として襲撃。

そんな、絶対絶命の危機に太陽一家の危機を救ったのは…μ’sを攫おうとする転龍会の転生者。

”常夏のダン”であった。


第51話 VS金獅子会”T‐103”

 その日、和菓子の老舗”穂むら”周辺に近くに住む住民達が、大きな轟音が鳴り響いたと騒いでいた。

 穂むら周辺で轟音があったという事は、そこに住むμ’s元リーダーの高坂穂乃果になにかあったのではないかと皆が勘づき始めていた。

 

 しかし、国は転龍会との交渉が行われる情報漏洩を防ぐ為に、交渉地点を中心に広範囲のネット規制を仕掛けていた。

 その規制によって、普通の住人は外で何があったのかを外部へ発信出来ずにいた。

 

 それは国が本気で情報漏洩の防止に本気で徹すれば、一個人の力などまともに立ち向かう事など出来はしないと証明でもあったのだ。

 

 しかし‥仮にだ。

 例え…外の戦いを知ったところで、何の力も持たない人間など立ち入るどころか…意識を保つことすら許されないだろう。

 

 今から始まる闘いは互いが人智を超えた力を持った()()()()()()()()()()()()()()()()なのだから。

 

 

 

 

 

 冊冊冊冊冊冊

 

 

 

 

 

 某日、某時刻 ~”穂むら”周辺~

 

 T-103「やはり…μ’sの防衛に当たっていたのですな。」

 

 金獅子会所属のtyrant-seriesこと、T-103は現れた敵に対して確信を持ち言い放った。

 

 「転龍会直系”麦野一家”組長‥”常夏のダン”君。」

 

 麦野「へッ…。」

 

 tyrantにそう告げられた麦わら帽子の転生者…麦野は、不敵にtyrantを睨んでいた。

 

 

 「全く君には困りますな。 昨日の”支倉 かさね”奪取の件といい、よくもまぁ私達の邪魔をしてくれますな。」

 

 tyrantとダンは初めて会った訳では無い。昨日の避難場所にてダンとその仲間である馬羅垣と共に2人掛かりでtyrantと闘っていた。

 

 「そういえば、君の仲間である”分解屋(バラシや)”は見かけないが…成程、”レッド君”とやりあってるのは、”分解屋”のようですな。」

 

 tyrantのその口ぶりは、μ’sを襲っているのはtyrant以外にもいるという事になる。 

 

 「そうだ。 俺は二年、一年の方はあいつに頼んでんだ。」

 

 「ほう、そうであったのですな。 いや~困りましたな…。」

 

 しかし、呆けた口調を続けさせる程、少年の闘争心は容易いものではない。 

 

 

 

 「そんな事より…俺の挑戦は受けねェのか? ”ハゲコート”。」

 

 「…挑戦? 君単体で私に勝てるのですかな?」

 その口ぶりは、昨日2人掛かりで闘った麦野に対して神経を逆撫でる一言。

 

 「問題ねェ…俺の前世は元ボクサーだ。 生憎”タイマン”でやる方がおr」

 

 

 

 ”がぶっ…”

 

 突如、麦野の右腕は噛みつかれた。

 

 麦野は少しも顔を痛みで歪めず、噛みついた対象を見た。

 

 

 

 「…ふぅふぅ!!」

 噛みついたのは…麦野に抱えられた穂乃果であった。

 息を荒くした穂乃果は涙目になりがら、麦野の腕に歯を立てている。

 

「おい…俺は女の噛みつきぐらいでダウンしねぇぞ。」

 

 だが…実際の効き目はあまりない。

 ゴムゴムの実の能力を差し引いても、噛みつきで痛みの声を出すほど軟な男ではないのだ。

 

 しかしながら、穂乃果は歯を引っ込めようとしない。

 それどころか…それを見ていた雪穂も姉と同じ様に噛みついた。

 

 「ほう…此処に来て、噛みつきと‥やはり、μ’sは()()()()()()()。 妹さんも中々ですがな。」

 意味ありげな言葉を呟いたtyrantは麦野に近づいた。

 

 「やはり…μ’sは期待大でしたな。 イイ”世界”が創れそうだ。」 

 

 

 ”ドゴォンッ!!”

 

 

 「…ほう。」

 

 tyrantの顔面に麦野の一撃が放たれた。

 ゴムゴムの実の格闘の間合いは広く、近づいてきたtyrantを立ち止まらせた。

 

 

 「なっはっはっはッ!! スゲぇ()()()()!!」

 

 麦野は空を見上げ直後、大声で笑った。

 

 「まさか、いきなり…俺に噛みつくなんてよ!! 気に入ったぜ…()()()()()()とその妹!!」

 

 (ま…まんじゅうっっ!?)

 穂乃果は困惑した。

 なにぶん、自分が噛みついたから、仕返しをされると思ったからだ。

 だが、少年はそれを笑い飛ばして、面白いという始末。

 穂乃果には麦わら帽子の少年の行動に自分の理解がついてこなかった。

 

 麦野は抱えていた穂乃果と雪穂を下ろす。

 

 「お前ら、邪魔になっから逃げてろ。」

 

 「えっ…私達を連れていくんじゃ…。」

 

 「うっせェ…早くしろッ!! 巻き込まれてェのかッ!!」

 

 麦野は穂乃果の問いを乱暴に吹き飛ばした。

 そして、間髪入れず…2人の両親を素早くに指示をする。

 

 「おい、和菓子のオッサン、おばはん!! サッサとしやがれ!! その内、アイツが此処に来る!!」

 

 麦野の遠慮しない物言いにビクつく2人。

 2人の反応を待たずに、麦野は姉妹を押し付けた。

 

 きいは麦野に対して、何か言いたげであった。

 

 しかし‥幸作はきいと2人の娘を引っ張ると…何も言わずにその場を離れた。

 

 四人の一家が逃げている中、tyrantは敢えてそこを無視し…眼の前の麦わら帽子の少年を見ていた。

 

 

 「”高坂一家を奪いたければ…先ず俺を殺してから行け”と良いという事ですかな。」

 

 「ああ、その通りだぜ‥。 ”ハゲコート”」

 

 ”ドルンッッ!!”

 

 麦野はギア2を発動させ、身体の隅々から蒸気が上に噴出していく。

 そして、それだけでなくポケットからあるモノを装着した。

 

 装着したのは、なんと…”メリケンサック”であった。

 

 「これは、”武蔵”が創った俺専用の特注品だ。俺も関わってる。」

 

 「ほう、あの”武蔵さん”が創ったのですか? しかし、麦野クン。 君は武器を使うタイプじゃないと思っていましたのですがな。」

 

 「それは”麦わらのルフィ”の考え方だぜ。 …俺は転龍会の”常夏のダン”だッ!!」

 

 「ヌハハッ…意気込みや良しですな。 それでは…”クソガキ”…宜しいか?」

 

 tyrantは悠然と麦野に挑発を繰り出した。

 

 「…しゃあ行くぞォ!! ”ハゲコート”!!!」 

 

 麦野はギアブーストを発動させ、一気にtyrantの前面に移動した。

 

 

 

 

 

 冊冊冊冊冊冊

 

 

 

 

 

 VS金獅子会”T-103”

 ♪- The End of The Drama

 

 「”JETピストル”!!」

 

 ギア2版のピストルがtyrantの頭目掛けて叩き出される。

 

 全身が黒衣で包まれたT-103。

 その全身は露出が一切なく、強化コーティングされた装備となっていた。

 

 しかし、頭部だけはその例に漏れず、さらけ出されていた。

 麦野の攻撃はゴムゴムの実を利用した拳打や蹴撃。つまり、その威力を十分に発揮するには”ガンメン”を狙うのがベストだ。

 しかも、今の麦野はメリケンを装備し、打撃力を上げているのだ。

 

 (やはり、私の頭目掛けて攻撃してきましたか‥。 昨日の例に漏れず、変わっていませんな。)

 

 tyrantは麦野の攻撃のタイミングに合わせて、武装硬化と鉄塊を組み合わせた”二重鉄塊”で防御に徹した。

 

 ”ズゴッ!!”

 

 tyrantの顔面にクリーンヒット。しかし、麦野の攻撃はそこで終わらない。

 

 ギア2の驚異の速度を利用して、ピストルの最大威力を見極めて、次の攻撃にすぐさま移行。

 

 「右脚武装硬化…!!」

 

 麦野の右脚は一気に黒くなる。

 

 …そして、tyrantの頭上目掛けて右脚を振り下ろした。

 

 

 「”ゴムゴムのメタルアックス”ッッ!!」

 

 

 ”ガキィンッッ!!”

 

 振り下ろした斧は、tyrantごと大地をたたき割る様に繰り出された。

 そして、文字通り…技の威力で、大地にひび割れが生じていた。常人なら、真っ二つ間違いなしだ。

 

 麦野は一度距離を取り、tyrantの出方を伺った。

 

 (あの野郎はこれで終わらねぇ…。 俺の攻撃でどう出るか。)

 

 土煙が晴れていき、麦野の考えた通り…tyrantの姿が現れた。

 

 

 「ヌフフッ…メリケンだけでなく、靴にまで”鉄”を仕込んでいましたか。」

 

 「確かに麦わらのルフィは”素手ゴロ”で闘っていましたが…何も戦法まで彼を網羅する必要は無い。」

 

 

 「いやはや…”若い転生者”の成長は早い‥!! やはり、転生者こそ最強になるには”最適の存在”ですな。」

 

 

 tyrantは麦野の二連撃を痛がるどころか、称賛を浴びせた。

 

 

 「…んだよ。 ちったぁ痛がれ、バカヤロー。」

 

 麦野はぶつくさと文句をブー垂れる。

 

 (あのハゲヤロー…俺の攻撃を褒めて来やがった。 つまり、怒る程じゃあねえのか。)

 

 一度、攻撃を出した麦野は一旦インターバルを於く。

 

 だが、麦野の休憩と裏腹に出方を見ていたtyrantは攻めに転じようとしていた。

 

 

 (あの”紫のボウフラみてぇの”…やたらと動きが出てきやがった。 仕掛けてくるか。)

 

 考え通り、tyrantは攻めの構えに出てきた。

 

 「では、次は私の触手群を見せましょうかな。」

 

 ”ドジュンッ!!”

 

 tyrantの巨体から、おどろおどろしい紫色の触手群がうねり始めた。

 その触手群の動くさまは、ミミズが大量に動いている様にも見え、()()()が所狭しに襲ってくれば、襲われる前に気絶した方がましだと言わんばかりだ。

 

 しかし、麦野はそんな気弱な事を考えずに、集中して眼の前の敵の触手群の動きを注意深く見た。

 

 「ヌフフッ…”evil・worm”」

 

 触手群はtyrantの意思を汲むかのように、整然として麦野に照準を合わした。

 

 

 「”デス・ディストラクション”!!」

 

 tyrantは瞬間、触手群に武装硬化を施して殺傷力を高めると一斉に襲い掛かる。

 

 触手群の動きは、単に真っ直ぐ進むモノ、ドリルの様にねじれるモノ、蛇の様にうねるモノの様に‥実に様々な動きを出していた。

 

 それぞれが違う動きを取るが‥その様々な動きの一つの目的は全部が”前方向の麦野”を追いかけるのであった。

 

 

 「よっと…ほっほっほっ!!」

 

 だが、麦野は触手の動きに翻弄されず…的確に避けながら、逆に眼の前の触手群を捌いていく。

 

 文字通り…身軽なフットワークを活かして、逆に返り討ちにしていくのであった。

 

 

 「ほぅ‥私の触手を捌いて行きますか。 やはり、”強者との戦闘”は何に於いても格別ですな。」

 

 tyrantの胸の内は敵である麦野にある種の称賛を浴びせた。

 

 その称賛に嘘は混じっていない。

 

 

 …つまり、tyrantに言わしてみれば、麦野は無視出来ない強さなのだ。

 

 だが、敵を只者と思っていないのはtyrantだけでない。

 

 

 

 (ハゲヤロー‥さっきから自分から動いてねぇ。)

 

  触手群から逃げ回りながら対抗している麦野に比べて、tyrantはその場から動かず、彫像の如く動いていなかった。

 攻撃方法も触手を使った追尾攻撃しか使ってない。まだ、全ての攻撃を出し切っていないのはまず筈だ。

 

 

 (アイツは”ボウフラ”だけで、俺を仕留めようと考えちゃいねェ。 別の技で仕留めるつもりか?)

 

 麦野はtyrantが別の攻撃で仕留めようと考えていると即座に考える。

 

 現に麦野は触手群を捌いており、麦野へのダメージにこぎつけていない。

 ゴムゴムの実の能力者である麦野と対峙するのであれば、斬撃や刺突など…。

 麦野と対峙するのであれば…ゴムの性質に極めて有効な攻撃手段で攻めるのが常套手段である。

 触手群の攻撃は確かに苛烈であるが、ゴムゴムの実により強力な肉弾戦を得意とする麦野の攻撃に捌かれているのが、tyrantの現状だ。

 

 (ハゲコートはこのまま動かずに俺を仕留めようと思ってねぇ筈だ。)

 

 

 

 

 だったら…!!

 

 麦野は思いっ切り四股を踏むと、自身の左親指を噛んだ。

 

 「”ギア(サード)”!! 骨風船ッッ!!!」

 

 身体に空気を送り込み、風船の様に両腕が膨らんで…左右の腕だけデカいアンバランスな体型になった。

 

 しかも、メリケンもギア3と同様に膨らんでいるではないか。

 

 (あれも膨らむのか‥流石、特注品といったところですな。)

 

 「武装色硬化…メタルギガントッ‥!!」

 

 見る見るうちに両腕は黒くなり、tyrantに目掛けて跳ねあがると…麦野は叫んだッ!!

 

 

 「”ガトリング”ッ!!!」

 

 ”ドドドドドッ!!!”

 

 麦野の巨大な黒き拳による連続拳打がtyrantへ全弾浴びせられた。

 

 ルフィの技の中でも、最も手数が多いこの技で…頑なに動こうとしないなら、この状況を逃す手はない。

 

 麦野はtyrantを一か所に留めさせる事で、次の攻撃へ移る。

 

 

 だが、その時であった。

 

 「うがッ!?」

 麦野は呻き声をあげた。

 

 なんと…身体にevil・wormが巻き付かれていたのだ。

 

 「畜生…いつボウフラを出しやがった!!」

 

 (しかも…力が入りにくい様に縛ってる!!)

 

 触手群は麦野の様な怪力でも、解けない様に力強く巻いているようだ。

 

 

 「ヌフフッ…闘いに於いて、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、麦野クン。」

 

 tyrantは独特な笑いで縛り付けた麦野を白い眼で眺める。

 そして、触手群を思うように動かして…”紫色の座椅子”を造りそこに座った。

 

 「私の”evil・worm”は使い勝手が良いものでして…ただ左手で操るだけの三流マンとは違い…。」

 

 

 ”ズボッ!!”

 

 地面から勢いよく”evil・worm”が飛び出してくる。

 

 「この様に…地中に忍ばせる事も出来るのですな、これが。」

 

 「けッ…!! 今まで動かなかったのは、俺に気付かれない様に忍ばせてたからか!!」

 

 「その通りですな。 …さて、少し話をしますかな。」

 

 「話だと…オメェと話す事なんかねぇぞ‥‥。」

 

 「ヌフフッ…君に無くてもこちらにあるのですよ。」

 

 「それに…”evil・wring”」

 

 ”ググッ…!!”

 tyrantはさも簡単に触手群で麦野を絞めつけた。

 

 「!!…イギギギッ…!!」

 

 「()()()()()()()()()()()()…君の生命は私が持っているのですぞ。」

 

 「…!!!」

 

 

 

 

 「さぁ、転生者である以上…”また死にたくないなら”…私の話を聞く事ですな。」ドン!!

 

 tyrantはヌフフッと邪悪な笑みを浮かべたのであった。

 

 

 

 

 

 冊冊冊冊冊冊

 

 「はぁ…はぁ…っ!!」

 

 穂乃果達は一斉に逃げていた。時折、後ろから轟音が鳴り響き…その度に内心びっくりしながらも、あてもなく逃げていた。

 

 そして、穂乃果は一つの疑問が浮かび上がっていた。

 

 ”どうして、あの人は助けてくれたの…?”

 

 それが頭にどうしても引っ掛かった。

 

 自分達を攫おうとしている男がどういう理由で、自分達を助けたのか…?

 

 全く見当がつかない。一体どういう事なのか…。

 

 

 「もう…わけわかんないよ。」

 思わず、グチをこぼす穂乃果。

 

 「そうだっ!! お姉ちゃん、こんな時こそ…啓さんに連絡したら!!」

 雪穂は思い出した様に、提案した。

 

 こういう状況下でこそ、啓の力が必要だ。

 

 「!!…分かった。 だけど、啓君はケータイ持ってないから…絵里ちゃんに連絡しよう!!」

 

 穂乃果は絵里や希が警視庁に向かった事を知っていたので、連絡しようとした刹那…。

 

 

 

 

 「グオオオオッッ!!」

 

 明らかに…ケモノの様な声色が叫び渡る。

 

 その声に高坂一家は立ち止まってしまう。

 

 

 「なっ、なに!? 今度も怖いのが出てくんのっ!!」

 

 当たりを見回しながら…雪穂は怯えた声を出し、震える。

 

 今しがた、tyrantという怪物に襲われている高坂一家。

 続けざまにナニかが自分達を襲い掛かってくるんじゃないかと、肝が冷え過ぎていた。

 

 絶対になにかが襲い掛かろうとしていると皆が思ったその時であった。

 

 

 「グオオ…。」

 

 それは丁度、向かい側の角から…姿を現した。

 

 そいつは二足歩行であった。

 

 深緑色の爬虫類の皮膚を持ち、黄色い眼の凶暴な眼つきに加えて、四肢が異様に発達している。

 さらに、手先と足先には鋭利な長い爪が備わっていた。

 

 一言で表すのなら‥それは爬虫類のクリーチャーであった。

 

 「あっ…。」

 

 穂乃果は思わず、尻もちをついた。

 

 眼の前の化け物に恐怖し、上手く逃げる事が出来ない。

 

 

 「穂乃果!! しっかりするんだッ!!」

 

 

 尻餅をついてしまった穂乃果に喝を入れ、幸作は素早く穂乃果を抱きかかえた。

 そして、四人は幸作を先頭に化け物を正面から睨みつつ、後ずさりを始めた。

 

 絶対に敵わない…殺される!!

 深緑のクリーチャーは爪を構えると、一家に襲い掛かろうとした。

 

 

 

 

 「”頬肉(ジュ―)・シュート”ッ!!」

 

 ”メリッ‥!!”

 クリーチャーの頬に勢いのある蹴りが叩き込まれ、吹っ飛ばされた。

 

 穂乃果は突然の事に目を瞑り、恐る恐る目を開けると…見知った姿が現れていた。

 

 

 「泣いて嫌がる家族に近づくんじゃねェよ…化けモンが。」ドン!!

 

 

 「け、啓君!?」

 穂乃果は驚きと喜びの声色を混じった声を出す。

 

 啓は四人に何も言わせない様に制止する。

 

 「穂乃果…話は後だ、隠れてろ。」

 

 啓は角を指差すと、穂乃果達に逃げる様に指示した。

 

 「!…うん。」

 

 啓の言葉に従い、そそくさと角に隠れる穂乃果達。

 

 

 「よし…”緑の武装色硬化”…”グリーン・ジャンブ”」

 

 啓の両脚に緑の覇気が纏われていき、緑のオーラが発生する。

 

 深緑のクリーチャーは頬に舌なめずりすると‥啓を睨みつけるが、穂乃果達の方へすぐさま視線を移す。

 

 

 「ギャシャアアッ!!!」

 興奮するクリーチャーは下肢の筋を隆起させ、隠れようとする穂乃果達に襲い掛かる。

 

 

 「余所見するなよ。」 

 

 突進するクリーチャーを啓は片足でとどめた。両脚に緑の覇気を纏い、防御力を上げた結果によるものだ。

 

 片足で止められた事に一瞬動きの止まったクリーチャーの顎に下からの蹴り上げが突き上がった。

 

 

 「”カウンター・ストライク”…終いだ、”レッド・ジャンブ”」

 

 啓の右脚が今度は止めと言わんばかりに赤く発光し、血の様に染まっていく。

 

 

 

 「”切り裂き(セクタム)・シュート”ッ!!」

 

 足の先を”刃物”の如く、硬化された啓の赤き足は…深緑のクリーチャーを切り刻んでいく。

 

 

 「グガァ…ガガ‥。」

 

 顎の蹴り上げに意識を奪われそうになった深緑のクリーチャーは間髪入れずに刻まれた。

 

 そして、追撃の意思を途絶え…意識を手放すのであった。

 

 

 (これで襲ってきたの全部か…それにしても、この化け物…まさか。)

 

 啓は少し考えるが、一旦置き…隠れている穂乃果の所に急いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 冊冊冊冊冊冊

 

 ~ある路地裏~

 

 「もう、大丈夫だ…出てきていいぞ。」

 

 啓は穂乃果達が隠れている路地裏に向かい、そこに穂乃果や雪穂が声を上げた。

 

 「啓君っ!!!」

 「け、啓さんっ!!!」

 啓の無事を喜ぶ姉妹。

 

 

 「そうだ…あの怪物は倒したの?」

 

 「ああ。 …さっき俺達にも襲い掛かってきた化けモンだ。 襲ってきたのは返り討ちにしてある。 昨日闘った澤井より弱いが、澤井組の殆どの奴らよりは手ごわかった。」

 

 「まぁ、()()かは倒れてたがな。 穂乃果に雪穂…それに。」

 

 啓は後ろに居るきいと幸作を見つける。

 

 

 「後ろの2人が、お前らの両親か?」

 

 「うん、お父さんとお母さんだよ。」

 

 「…初めまして、俺は桐生啓…元総合格闘家です。」

 

 啓は直ぐに自己紹介を済ませた。

 

 「あ、貴方が桐生さんですか? ありがとうございます。」

 

 「…本当に助かりました。 重ねてですが、ありがとうございます。」

 

 

 「いや、やる事をやったまでだ。 それよりも、4人ともここまで逃げてきたのか?」

 

 「そうだよ。…あの男の人に、助けて貰ったんだ。」

 

 「”男の人”…。 そいつは、”ドレッドヘアーと麦わら帽子”どっちだ。」

 

 

 「”麦わら帽子”…私と同い年くらいの。」

 

 

 (麦野の方か…。 間違ってなかったな。)

 

 啓の考えていた予想は合ったていた。

 

 金剛山がいた御二方とは、やはり…馬羅垣と麦野の2人の男で正解であった。

 つまり、言葉通りなら…本来なら転龍会の幹部であれば、μ’sのメンバーは奪うのが目的である筈なのに…。

 

 どういう訳か、2人の男はμ()()s()()()()に動いているのである。

 

 その意図は何なのか…? 何故にそこで攫おうとしないのか…その意図は未だ不明であるが、今は置いておくのが先決だ。

 

 

 「穂乃果…じゃあ、お前らは麦野に襲われたんじゃなくて…”別の奴”に襲われたのか?」

 

 「襲ってきたのは…黒いコートのおっきい人だよ。 確か、”きんじしかい”って言ってたよ。」

 

 「ああ、俺もそう聞こえた。 奴は大きな声で喋っていた。」

 幸作の言葉にきいと雪穂も肯定する。

 

 

 (きんじしかい…金獅子ってことは、金獅子のシキとなにか関係があんのか?)

 

 ワンピース好きな啓にとって、金獅子と言えば…かって、海賊王ゴールド・ロジャーとやりあった伝説の海賊…金獅子のシキが思い浮かんだ。

 

 この疑問も府に落ちない。何故に金獅子会と名乗っているのかはわからないが‥。

 

 恐らく…蛇蝋に澤井組、そして金獅子会…昨日の事件と今の穂乃果達の話を聞けば、転龍会とは敵対関係にある可能性が高い。

 

 

 

 「穂乃果!! 無事なら返事しなさいよっ!!」

 

 すると‥遅れてきたにこの声が聞こえてきた。

 

 「あっ…にこちゃんの声。 皆っ!! 私達は無事だよ!!」

 

 にこ達の呼びかけに応じる穂乃果はにこの方へ向かっていった。

 

 

 「丁度来たか。 …穂乃果のオヤジさん、おばさんもにこ達といてくれ。」

 

 「それは助かるよ。 君はどうするんだ?」

 

 「今から俺は穂乃果の家の方に行ってくる。」

 

 「!!…危険じゃないのか?」

 

 「危険は承知の上です。 けど、奴らをこのまま放っておく訳にはいかねェ。」

 

 「‥成程分かった。 そういう荒事は君の方が頼りになりそうだ。」

 

 幸作は啓の意見に賛成する事にした。

 

 かくして、啓は他のメンバーに旨を伝える事にした。

 

 啓は麦野対tyrantを止める事を目的に”穂むら”に向かう事にして、先を急ぐ…。

 

 

 

 

 

 

 冊冊冊冊冊冊

 

 (啓の視点)

 

 結論から言うと…俺が穂むらに駆けつけた時。

 

 …”闘い”は既に終わっていた。

 

 赤色の血は兎も角…どういう訳か緑色の血も飛び散っていた。それだけじゃなく、陥没した地面に焦げた跡だったり…まるで怪獣が暴れまわった光景だった。

 

 しかも、そいつは…紫色の触手を操っていたらしく、辺りにそれらしき”紫色のミミズ”が散らばっていた。

 

 ‥‥穂乃果によれば、麦野が闘っていた相手はtyrantという3mを超す黒いコートの大男だったらしい。

 

 

 俺はその言葉を聞いて…()()した。

 

 

 何故なら、俺はそれを()()()()()()()()。恐らく、バイオハザードに出てきた”tyrant”だというのは、まず…100%間違いねェ。

 

 それにあの緑色の化け物もバイオハザードに出てきた”hunter”に違いない。

 

 tyrantもhunterも俺の知識にあるものだ…。

 不思議な話だが…俺自身の記憶は不明なのに、俺自身が前世で得た知識や雑学などは覚えているようだ。現に俺はonepieceの事は記憶しているが、俺自身の記憶は思い出す事が出来ねェ。

 

 それを踏まえて…tyrantやhunterの一件は俺達にとって非常に不味い話になる。

 

 バイオハザードに出てくる化け物が現れたという事はつまり…それ()()()()()()()()()()()()()()()()()()が出て来てしまうからだ。

 

 更にこれで終わりでなく…襲われたのは穂乃果だけでなく、”一年生メンバ”ーも襲われていた。

 

 襲われていたのは…花陽。

 

 しかも、話に寄れば…襲った奴もtyrantと同じ”金獅子会”だった。

 

 容姿は”赤い三角形”の兜を被り、大剣を武器にもつ大男。

 

 穂乃果と花陽の所へ、金獅子会を名乗る怪物が同時期に襲い掛かった事になる訳だが…。

 

 

 だが…花陽は無事に済んでいた。

 

 …それは助けた男がいたからだ。

 

 

 その花陽を助けた男と言うのが…俺と以前闘った”馬羅垣”。

 

 花陽達が逃げるまでサポートし、大剣男と闘っていたという事を花陽から訊いた。

 

 

 ‥‥今までの情報を纏めると…転龍会は俺を脅迫し出来るだけ休ませ、その間のμ’sの護衛を麦野と馬羅垣に任せていた事になる。

 

 そして…転生者とは”別の存在”とも言える”金獅子会”の怪物2体とhunter共がμ’sへ襲い掛かるのを何故なのか…”護った”訳だ。

 

 

 転龍会からしてみれば、俺は敵の筈なのに…どうしてこうも回りくどい事をするのだろうか…。

 

 そもそも、μ’sを奪うだけなら…金獅子会と同じ様に襲撃すれば終わる話だ。

 

 …奴らが真意を話せない限り…真実は分からないだろう。

 

 兎に角…俺達は明日の交渉に備える為に、μ’s全員とその家族と共に警視庁へ移動して…そこで待機になる。

 

 

 俺自身は‥後の残り時間を警察の訓練施設で調整するつもりだ。

 

 色々と疑問は晴れないが…今は明日の作戦を成功させる為に…最後まで俺の出来る事をしよう。

 

 

 続く…。

 




”金獅子会”を名乗る怪物達を退けたのは、どういう訳かμ’sを狙う立場である転龍会の馬羅垣と麦野であった…。 
一体、どの様な意図で金獅子会と闘ったのか、彼奴が真意を明かさない以上…真実は見えてこないだろう。

さて、後の残り時間…転生の龍は明日の”作戦成功”を成就する為に、警視庁で最終調整を行うのであった。

次回…第52話 ”助太刀少年” 次回も乞うご期待b
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